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全司法新聞
 
秋は地連・支部が主役
全司法の姿を職場に見せるとりくみをすすめよう!
2019年度第1回全国書記長会議
 
全国から80名が参加し、
秋のとりくみを意思統一

 10月14日〜15日、熱海で今年度第1回目の全国書記長会議を開催しました。秋は地連・支部で新執行体制が確立される時期にあたることから、運動の中心となる全国の書記長が一堂に会して情勢と課題を確認するとともに、これから1年の運動のすすめ方について意思統一し、各支部での活動計画を立てる出発点になる会議となりました。

「憲法が活きる社会」目指す 運動に要求で結集

 開会あいさつで中矢委員長は、10月4日から始まった臨時国会の情勢について触れ、「安倍首相は改憲議論をすすめようとしているが、国会で議論すべきことは、消費税増税が国民生活に与える影響や安心できる年金、社会保障をどう作るかといった課題だ。労働組合は、憲法が活きる社会を目指し、安倍政権の政策にかわる選択肢を作る運動に、要求実現の立場から結集していく必要がある」と述べました。
 続く鳥井書記長の報告は、秋に地連・支部等の新体制が発足し、1年の運動がスタートする時期であることをふまえ、最初に年間のとりくみのすすめ方や、組織拡大・強化について全体像を示したうえで、今年の秋季年末闘争の課題ととりくみについて提案するものになりました。

2桁の純減要求は極めて不満

 書記長は報告の中で、2020年度裁判所予算の概算要求について、人員では「全ての職種で増員要求数が昨年度を下回り、これまでにない2桁の純減要求となったことや、全司法が強く要求してきた家裁調査官の増員要求を行わなかったことは極めて不満」と述べ、引き続き、1人でも多くの人員を確保する努力をするよう最高裁を追及していくことが必要だとしました。
 また、庁舎の新営、増改築の予算要求がなされた庁については、要求をとりまとめて、計画に反映させるようとりくむことが重要だとしました。あわせて、裁判手続のIT化で「書面の電子提出」の検討に関わる予算が要求されていることを指摘しました。
 そのうえで、裁判所の枠を越えて共同したとりくみが必要な3つの課題として、@公務公共サービスの拡充を求める運動、A国民のための裁判所をめざすとりくみ、B賃金改善、の3つをあげ、「公務・公共サービスの拡充を求める署名」など国民本位の行財政・司法を確立する国公労連のとりくみへの結集、「全司法大運動」でこれまでの活動から一歩踏み出した積極的なとりくみを実践すること、少年法適用年齢引下げの問題点を広げること、来春闘の要求と運動の基礎となる「国公労連要求組織アンケート」及び「非常勤で働く仲間の要求アンケート」にとりくむことなどを提起しました。

超勤実態を掴み、最高裁回答を活用した追及を

 職場諸要求の課題では、「秋のとりくみは地連・支部が主役」だとして、すべての地連・支部で独自要求を確立し、必ず交渉を行うこと、交渉で要求前進を勝ち取るため、創意工夫した独自行動を展開することを提起し、「署名、寄せ書き、朝ビラなど、組合員が参加でき、全司法の姿を職場に示せるとりくみを検討」するよう呼びかけました。
 とりわけ超勤縮減や事務の簡素化について、「諸要求貫徹闘争で勝ち取った最高裁回答を具体化させることが今後の課題」だとして、職場会での対話やアンケートなど創意工夫した独自のとりくみによって超勤実態やサービス残業の実態把握に努め、地連・支部で最高裁回答を活用しながら、「これまでにない思いきった合理化・効率化」や「不合理な過誤防止策をやめさせる」よう、追及を強めようと呼びかけました。

宿日直の集約に当局が消極的

 本部の報告を受けた全体討論では、宿日直に関わって、管内支部での当直割当が困難になっている一方で、当局が本庁等への集約に消極的な姿勢に終始していることが複数の支部から報告されるとともに、令状センター構想について「裁判官からも潜在的な要望がある」との指摘とあわせて、早期実現を求める意見が出されました。
 超勤上限規制導入から約半年経った現状については、庁ごとにばらつきがあるものの、「管理職による声掛けが当初ほど行われなくなっている」「早朝・休日の超勤がサービス残業になっている」との意見が出されました。また、「留守番電話への切替え時刻や裁判記録のあり方などで、労働組合から簡素化・効率化策を提案して前進を目指したい」との表明もなされました。
 NAVIUSの少年システムが導入された庁からは「(CSVファイルで)印刷できる書類を今より充実させる必要がある」との意見が出されました。
 また、台風19号通過直後の開催となったこともあり、交通機関が計画運休になった場合に「職員の特別休暇が柔軟に運用されていない」「裁判期日の取消しも含めて、事前に対応策を検討しておく必要があるのではないか」との意見が出されました。
 なお、今回の会議では、参加者が4つの分科会に分かれ、書記長の任務と役割、組織強化・拡大、労使対応、昇格などのテーマで集中して学習し、議論する機会を持ちました。

 
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10月17日全司法本部四役・最高裁長官会見 発言要旨
 

 全司法本部四役は、10月17日に就任あいさつをかねて大谷直人最高裁判所長官と会見しました。最高裁からは、中村事務総長、堀田人事局長、福島人事局総務課長が同席しました。

委員長 本日の会見にあたって、全司法労働組合として持っております問題意識のいくつかの項目について意見を述べさせていただき、長官の考えをお聞かせ願いたいと思います。
長官 委員長の御意見は承りました。
 当局と職員団体という立場の相違はありますが、今後ともこれまで同様、相互の信頼関係に基づき、いろいろな問題について、率直に意見交換をしながら、より良い方向で解決していってもらいたいと思います。

裁判所の人的・物的充実について

「今後とも必要な人員及び物的設備の確保を図っていく必要があります」

委員長 昨今、社会情勢が大きく動いていることを反映して、裁判所の判断が世間の耳目を集め、国民から注目されることが増えているように感じています。とりわけ、憲法が政治的な争点になっているもとで、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という日本国憲法の基本原則が再認識される状況が同時に生まれており、三権分立のもと「憲法の番人」と呼ばれる裁判所の役割が多くの国民から求められていると考えています。
 社会の動きを反映して、裁判所をめぐる課題や期待される役割も多様なものになっており、係属する事件も複雑・困難なものになっています。
 2018年度における新受事件の動向を見ると、引き続き、家事事件、民事事件が増加していることがうかがわれます。地裁刑事事件はほぼ横ばいですが、国民の人権意識も反映して、準抗告など身柄に関する事件が各地で増加しています。こうした事件動向の一方、地方から大都市へという人員シフトが毎年続けられていることに対して、地方の庁の職場における負担感はより一層、強まっています。
 家庭裁判所は創設70周年になりますが、少子高齢化がすすみ、児童虐待が社会的な問題になるなど、家庭や子供をめぐる情勢の変化を受けて、国民から新たな役割が期待されています。成年後見利用促進法に基づくとりくみも動き始めており、少年事件ではネット社会等を背景にした現代型非行をめぐる問題も指摘されるもとで、家庭裁判所の充実・強化は多くの国民が期待するものになっていると考えています。
 裁判手続等のIT化はこれからの重要な課題になってくるものと認識していますが、「利用しやすくわかりやすい裁判所」「司法へのアクセス強化」のための方策となることが重要だと考えています。そのためには、司法分野における国家的基盤の整備と位置付けて、十分な予算を確保して行うことが重要であり、それを支える人的態勢の整備も図る必要があると考えています。この課題は、司法制度改革に匹敵する大きな変化を裁判所にもたらすことが予想され、今後の検討にあたっては、全司法の意見も聞きながらすすめていただきたいと考えています。
 以上の問題意識をふまえ、各職場の状況をきめ細かく見ていただき、裁判所の人的・物的態勢整備をお願いしたいと思います。
長官 平成から令和へと新たな時代を迎えました。これまで、裁判の全ての分野にわたって、その態勢と機能を強化し、より身近で、信頼される司法を実現することを期して、大きな制度改革がされてきました。他方で、我が国の社会経済に目を向けると、少子高齢化、価値観・家族観の多様化、国際化の進展等による国民意識の多極化・流動化等といった構造的な変化は、今後も一層加速することが予想されます。このような状況の下で、国民の信頼を維持し、その期待に応えていくためには、一人一人の裁判所職員が、組織の一員としての役割を意識し、社会経済の変化に対応して、国民のニーズに的確に応えていくことが望まれます。
 各裁判部門の実情をみると、民事の分野では、民事訴訟手続のIT化に関する検討が全国の地方裁判所等において行われており、また、本年度中にはウェブ会議等を利用した争点整理の新たな運用の開始が予定され、その円滑な実施に向けた準備も進められているところです。民事訴訟手続のIT化は、民事訴訟の在り方の抜本的見直しにつながる契機と捉え、裁判全体の適正化、合理化といった要素も視野に入れて推進されるべきものと考えています。
 刑事の分野では、裁判員制度における公判前整理手続の長期化等の従前からの課題のほか、裁判員裁判の成果を刑事裁判全体に及ぼしていくことなど、より大きな課題に腰を据えて取り組んでいく必要があります。
 家事の分野では、社会や家族の在りようの変化に伴い、家庭裁判所に対する国民の期待はますます高まり、求められる役割も多様になっています。子をめぐる事件をはじめとして、当事者間の価値観や感情の対立が激しく解決が困難な事件が増えており、紛争や問題の実相を捉えた適正な解決に導いていく必要があります。また、成年後見制度については、成年後見制度利用促進基本計画に基づき、地方自治体等関係機関との連携を深め、各地における取組を粘り強く後押しするとともに、引き続き、個々の事件処理における運用の改善に向けても真摯に取り組んでいく必要があります。
 私たちは、これまでも、司法の果たすべき役割がますます重要になるという認識に立ちつつ、司法の機能充実・強化に努めてきましたが、こうした状況にあって、裁判所がその使命を果たしていくために、今後とも必要な人員及び物的設備の確保を図っていく必要があります。一方で、極めて厳しい財政状況の中、国民の理解を得ていくためには、より一層の内部努力を重ねていくことが不可欠です。職員の皆さんには、引き続き御協力をお願いしたいと思います。

超勤縮減、事務の簡素化・効率化について

「組織全体として超過勤務の削減や働き方の見直しに取り組んでいく」

委員長 4月から超過勤務の上限規制が始まりましたが、これは職員の労働条件にとって大きな意義があることだと考えています。これを機に超過勤務が減り、健康で働き続けられる職場が実現することはもとより、家庭生活との両立を果たし、社会的な活動や自己研鑽、余暇、労働組合活動など、職員が自分のために自由に使える時間を確保できることを期待しています。
 一方で、「申告される超勤時間数を上限時間内に抑えること」だけが意識され、現実の事務処理に支障を来たしたり、「持ち帰り・サービス残業」につながることに強い懸念を持っています。そうならないためには、当局の責任による正確な勤務時間の把握と事務の簡素化・効率化が必要不可欠だと考えています。
 また、私どもはこの間、執務を行うにあたって「適正化」やコンプライアンス、ガバナンスを過度に強調する状況が職場に広がっていることを指摘し、これが事務の硬直化や煩雑さ、事務量の増大を招いていると述べてきました。事務の簡素化・効率化をすすめるにあたってはこの問題にも目を向け、真に意味のある、合理的な方策がとられることを期待しています。
 4月に超過勤務の上限規制が導入されて約半年が経過します。まさにこのタイミングで、最高裁の明確なメッセージを示す意味でも、下級裁への指導とあわせて、最高裁の権限と責任で具体的な事務の簡素化・効率化策を打ち出していただきたいと考えています。
長官 公務における超過勤務の上限等に関する措置が導入される等、長時間勤務の問題は社会的にも大きく取り上げられているところ、最高裁としても、超過勤務を的確かつ遅滞なく把握した上で、職場の実態等を踏まえながら、法令に則った適正な事務を遂行していくとともに、これまで以上に事務の簡素化・合理化、業務プロセスの見直し等を進め、裁判部、事務局を問わず、組織全体として超過勤務の削減や働き方の見直しに取り組んでいく必要があると考えているところであり、その取組を後押ししていきたいと考えています。

職員の育成について

「能力を伸長させる計画的かつ継続的な人材育成が重要」

委員長 前回の大量退職・採用期の影響もあり、裁判所の職員構成においては50歳台の職員が数多く在職しています。
 現在、国家公務員の定年年齢引上げに向けた政府の検討が進められていますが、当面する課題として、こうしたベテラン職員がやりがいを持って働き続けることができる職場環境が強く求められています。ベテラン職員については、それまでに得た知識や経験を活かして仕事ができるよう異動や配置を検討する必要があると考えますし、その前提として、部門別の人材育成や専門性を身につける研修も重要だと考えます。高齢期の働き方も視野に、全ての職員が高いモチベーションを維持して役割を発揮するためには、どういう人材育成や異動・配置が良いのか、検討いただきたいと考えます。
 あわせて、若手職員の人材確保と育成も重要な課題です。裁判所においては2010年に人事評価制度が導入され、2015年からは人材育成のとりくみも行われていますが、未だ「育成に関する基本的な考え方を組織的に共有する」点で不十分さがあり、人事評価の「目線合わせ」も十分行われておらず、評価と育成が担当者任せになっている実態があるものと考えています。この点についても、改めて検証・検討を求めたいと考えています。
 かつて、大量退職期から少量退職期に向かう際には最高裁と全司法との間で率直な意見交換を行い、「中長期的観点に立った職員制度に関する提言」(参事官室提言)という形で成果を得ることができました。今後、再び大量退職期が予想されるもとで、改めて全司法との意見交換の機会を求めたいと思います。
長官 社会、経済状況の変化等を反映して、裁判所に求められるものがますます幅広く、深くなってきている中、これまでにも増して、一件一件の事件の適正・迅速な解決に向けて誠実に努めることにより、国民、社会からの信頼をより確かなものとしていくためには、若手から中堅層以上に至るまで職員一人一人の士気を高め、それぞれの経験も踏まえた上で、その能力を伸長させる計画的かつ継続的な人材育成が重要であることから、育成に関する基本的な考え方を組織的に共有するとともに、OJTとOff―JTを通じた職員の育成が図られるように一層努めていきたいと考えています。

全司法との誠実対応について

「忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図っていかなければならない」

委員長 1992年3月18日の最高裁事務総長見解以来、全司法と裁判所当局とは相互の信頼関係に基づいて、安定した労使関係を築くことができているものと考えており、日頃から誠意をもって対応いただいていることに対し、改めて感謝いたします。
 全司法は職員の地位の向上と「国民のための裁判所」実現を組織の目的としており、職員の処遇問題にとどまらず、官の職制の中からは浮かび上がってこない職場実態を拾い上げ、可視化し、より良い裁判所を作るために努力しているものと自負しています。そうした視点から、全司法を裁判所の職場をともに作るパートナーとして位置付け、職場で起きる様々な課題について、今後とも建設的な議論を続けていただきたいと考えております。
 その意味でも、全国の各庁で、全司法の意見に耳を傾け、率直で建設的な議論を重ねていくことができるよう、これまで築き上げてきた信頼関係を尊重し、誠実に対応されるよう下級裁に伝えていただくことを含め、確認したいと思います
長官 昨年も述べましたように、平成4年3月18日の事務総長見解の内容は当然のことと考えています。職員の勤務条件やこれに関連する事項については、これまで築き上げてきた相互の信頼関係に基づき、率直に問題意識をぶつけ合い、忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図っていかなければならないと考えています。
 担当部局には、今後もそのような立場で努力させたいと思いますし、職員団体もその方向で努力していただきたいと思います。

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今年も、全司法大運動スタートします
 
5月の議員要請行動で

 全司法大運動は、裁判所予算の増額と裁判所の人的・物的充実をめざして、1月から始まる通常国会に「裁判所の人的・物的充実を求める国会請願署名」を提出し、同国会での請願採択をめざすとりくみです。国の予算を審議する国会に直接働きかけるとりくみで、請願が採択されることは政府・財務省への概算要求や政府予算案編成において大きな意義をもちます。

署名を集めること=理解・共感を広げること

 全司法大運動で大切なことは、まず「より多くの署名を集める」ということです。署名に協力してもらうためには、裁判所の現状や課題を認識してもらい、裁判所の人的・物的充実(=裁判所予算の増額)を求めるという請願事項に“賛同”してもらうことが必要です。つまり、署名を依頼することにより、国民への理解・共感を広げる(=世論の形成)という効果があります。
 もちろん、署名の集約数が多ければ多いほど、提出する国会に対して「多くの国民の声」であることがアピールできることは言うまでもありません。

人的態勢の整備、予算拡充を訴えて

 近年、裁判所においては、十分な増員がはかられない結果、増員が必要になった都市部の手当てのために、とりわけ地方での人員削減が急激にすすんでいます。全国津々浦々で充実した司法サービスを提供するためには、真に必要な人員は、地方からのシフトでなく予算定員の確保で対応すべきだという声を広げなければなりません。
 また、子どもの権利に関わる法的機能強化が求められる中で、家庭裁判所の福祉的機能を高めることは国会の議論でも共通の認識となってきています。家庭裁判所の更なる充実・強化を図るうえで、家裁調査官の人的態勢の整備(増員)も課題です。
 加えて、「裁判手続のIT化」をすすめるうえでも予算の拡充は重要です。このように、予算拡充が求められる課題が山積している今、全司法大運動署名の集約数を大きく積み上げることが重要です。

理解の輪を広げよう

 組合員とその家族は当然のこととして、管理職や未加入者にも署名を呼びかけましょう。また、弁護士・司法書士、調停協会など、裁判所を利用する人に理解の輪を広げるほか、裁判所退職者の会や県国公・県労連加盟の労働組合や民主団体にも協力を要請するなど、全国各地で旺盛にとりくみをすすめましょう!
 各支部での奮闘、そして皆さんの協力を期待しています。

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健康管理、人材育成と人事評価、異動などの課題で交渉
秋年期第1回人事局総務課長交渉
 
総務課長交渉の様子

 全司法本部は、10月16日、最高裁人事局福島総務課長との第1回交渉を実施しました。秋季年末闘争期に配置している3回の総務課長交渉及び人事局長交渉の皮切りとなる今回の交渉では、健康管理、労働基本権・民主的公務員制度の確立、採用・異動、宿舎、次世代育成支援、男女平等・母性保護、権利の各課題で、やりとりを行いました。

健康管理施策に意見を反映するよう下級裁を指導

 健康管理の課題については、本年9月1日現在、一般職員の90日以上の長期病休取得者の総数が136人、そのうち精神及び行動の障害による長期病休者数は110人であることが明らかにされました。長期病休者が増加していることに対する認識を示すよう求めたのに対しては「病気休暇の取得原因は様々であり、一概に認識を述べることは難しい」と述べるにとどまったものの、「職員の健康保持に向けて職場としてでき得る配慮をしていきたい」と回答しました。本部からは「病休に入らないようにするための配慮が不十分だ」と指摘し、メンタル不全の原因となりやすい繁忙度・異動期・人間関係を特に注視し、具体的な対策をとるよう求めました。
 健康管理懇談会の充実に関しては、職員の意見を聞くだけではなく、施策に反映させるよう求めたのに対し、最高裁は「懇談会で出された意見等を各庁の健康管理施策に反映するよう、下級裁を指導していきたい」と回答しました。

ストレスチェック、自宅・スマホ受検「鋭意検討」

 当事者等からの暴行・暴言・名誉棄損等(いわゆるカスタマー・ハラスメント)への対応については、「庁によって人的・物的な規模・態勢に大きな差異があり、裁判所の役割を果たしつつ安全確保を図るためには、対応や訓練、安全対策に関する物的整備の在り方については、それぞれの庁の実情に応じたとりくみを行うのが適当」「職員の職務上の行為に対して当事者等から誹謗中傷や名誉棄損があった場合には、これまでも、個々の事案に応じて、組織として必要な対応をとってきた」との認識を示しました。
 パワハラの課題については、ILOハラスメント新条約や国内法改正の動向を踏まえ、「裁判所のこれまでのとりくみを継続しつつ、人事院の動向も注視しながら、効果的なとりくみを検討していきたい」「Q&Aについても(人事院の)検討状況を踏まえ、工夫できる余地がないか考えたい」と回答しました。
 要望の強い健康診断の項目については従前の回答にとどまりましたが、風しんの抗体検査については「来年度の定期健康診断の機会に受検できるよう、必要な準備をすすめている」と回答したほか、ストレチェック制度については「対象となる全ての職員がストレスチェックを受検することが望ましい」との姿勢を改めて示し、受検率向上のための方策の一つである自宅やスマホでの受検については「鋭意検討している」との姿勢を示しました。

異動にあたっては、努めて本人の意向も参酌

 人事評価・人材育成については、OJTが担当者任せになっており、計画的な育成ができていないことを指摘し、部門別にOJTのポイントを整理する必要性があることを主張したのに対し、「専門知識・技能等を含めた職務能力の向上のため、計画的かつ継続的なとりくみが実践されている」と回答しました。
 異動については、「本人の経歴、異動歴、家庭の事情等の諸事情を十分勘案する」「努めて本人の意向も参酌し、また、当該異動の必要性等について本人に理解してもらった上で異動を実施している」「下級裁に対し、そのように指導していきたい」と従前の回答を維持しました。また、採用については、「欠員が生じた庁については、年度途中における採用者に向けて努力したい」との姿勢を示しました。
 宿舎については、「住環境の整備・改善に努めていきたい」「(耐震性に「疑問あり」とされた宿舎について)可能な限り速やかに、耐震改修のための実施設計等を行うことを検討している」と回答したほか、長野地裁佐久支部の西本町宿舎の廃止を明らかにしました。

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絆を深めながら、仲間の輪を広げよう 第38回裁退連総会
 

全司法から「60歳台の組織化」について問題提起

 10月11日、裁判所退職者の会全国連合会(裁退連)は、都内で第38回総会を開催しました。台風接近の影響で九州からの参加予定者が欠席となったものの、42名が参加し、活発な討論と和やかな交流が行われました。
 中島会長は開会あいさつの中で臨時国会の情勢に触れ、安倍政権が「全世代型社会保障」の名のもとに進めようとしている政策は高齢者の生活を直撃し、国民全体にかけられた攻撃だと指摘しました。あわせて、退職者の会の会員拡大の必要性を訴えました。
 来賓として出席した中矢委員長は、全司法の活動を紹介しながら、「これから大量退職期を迎えるもとで、定年延長・再任用の動きも見据えながら、全司法と退職者の会が協力して60歳台の人たちの組織化をどう図っていくかを考えていく必要がある」と提起しました。
 出席した各支部からは、会員の高齢化や拡大の難しさを報告しつつも、裁判所で働いていた人たちのつながりを大事にし、居場所を作る役割が語られました。全司法の各支部とのつながりを強めたいとの意見も出されました。

「組織が続いているのは、それだけですごい」

 とりわけ今回の総会では、出席者から「退職者の会の役割が親睦だけで良いのか、他に活動できることはないのか、退職者の会の役割を改めて議論しよう」との提起もあり、最近、裁判所を退職した会員からの「自分が退職するまで、この組織が続いているのは、それだけですごいことだ」との発言もあって、退職者の会の役割をみんなで議論し、確認しあう総会となりました。こうした議論を経て、「会員同士の絆を深めながら、仲間の輪を広げ、それぞれの地域での市民運動ともかかわりながら、全国での会の交流を重ね、元気で前向きに活動していきましょう」との総会アピールが採択されました。
 なお、総会代議員の交通費支給と開催時期(毎年か隔年にするか)、ブロック集会への援助金支給については、様々な意見が出され、次期総会に向けた継続討議となりました。
 また、役員改選が行われ、長年に渡って裁退連の活動に携わり、2016年からは会長を務められた中島邦雄さんが退任され、新たな会長として新田俊司さんが選出されました。選出された役員は以下のとおりです。
会長   新田俊司(最高裁)
副会長  大塚豊子(東京地)
事務局長 井塚忍男(同)
幹事   谷口繁(同)

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 台風15号・19号等により被害を受けられた皆様にお見舞い申し上げます。
 国公共済会の火災共済には、風水害での被害への給付金の制度があります。火災共済の加入者で被害を受けられた方は、最寄りの労働組合役員に声をお掛けください。

 
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