全司法本部は、9月30日、「2019年人事院勧告の取扱い等に関する要求書」に基づき、最高裁中村事務総長との交渉を実施しました。
【賃金】
「要望は関係機関に伝わるようにしたい」
今年の人勧は、6年連続の改善勧告とはなったものの、まったく生活改善には結びつかない不満なものでした。とりわけ、30歳台半ばを超える職員や再任用職員の給与改定がなかったこと、高卒初任給を時給換算すると最低賃金の全国加重平均にも届かないものであること、住居手当見直しなどの問題点を指摘しつつ、改善部分の早期実施を関係機関に働きかけるよう追及しました。
事務総長は「職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいる」「職員及び職員団体に誠実に対応していきたい」とした上で、「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。また、各種手当や赴任旅費については、「今後の動向を見守っていきたい」と回答しました。
【人材確保・育成】
「管理職員の指導・評価能力の更なる向上を図る」
家裁調査官補の受験申込者数の減少や事務官の新採用名簿の不足を踏まえ、人材確保のとりくみを強化するよう求めました。また、評価制度については、育成方針や目標が組織的なものになっていないことなどを指摘し、評価者訓練のあり方を抜本的に見直すよう求めました。
事務総長は「今後も、より能力・適性の高い人材の確保に向けた取組を続けていきたい」「管理職員の指導・評価能力の更なる向上を図りつつ、職員の人事評価や人材育成に対する理解がより一層深まるよう努力していきたい」と回答しました。
また、人材確保・育成の検討においては、意見聴取などの全司法との誠実対応の姿勢を示しました。
【長時間労働是正】
サービス残業根絶、事務の簡素化・効率化を要求
超勤の「暗数化」の実態を指摘しつつ、長時間労働とサービス残業の根絶、思い切った事務の簡素化・効率化を要求しました。また、不妊治療休暇の制度化を求めました。
事務総長は諸要求期と同様に、「超過勤務を的確かつ遅滞なく把握」する、「通達等の見直しなども含め、これまで以上に事務の簡素化・合理化」を推進する、「下級裁に対しても、より一層指導するとともに、その取組を後押ししていきたい」などと回答しました。
また、不妊治療休暇については、「職員団体の要望は人事院に伝わるようにしたい」と回答しました。
【ハラスメント防止策】
「より効果的な取組に務めたい」
パワハラ根絶については、人事院の検討を待たず、裁判所における防止策やとりくみをすすめるよう要求しました。
事務総長は「職員団体の問題意識も踏まえながら、全ての職員に対する研修等の機会を通じた各種ハラスメントの防止に関する意識啓発、相談しやすい体制づくりやその周知等、より効果的な取組に努めていきたい」「職員団体の問題意識、社会一般の取組状況等を踏まえ、職員が健康で働きやすい職場環境の向上により一層努めていきたい」と回答しました。
【非常勤職員】
労働条件改善と職場環境整備を要求
非常勤職員にかかわっては、病気休暇等の有給化、住居手当等の支給、更新時の公募の撤廃、無期雇用化などの要求について、関係機関に働きかけるよう要求しました。
また、障がいを持つ職員が活躍でき、無理なく働き続けることができる職場環境の整備を求めました。
事務総長は、給与については「人事院において何らかの見直しが行われる場合には、必要な見直しを検討してきたい」、休暇については「職員団体の要望は人事院に伝わるようにしたい」と回答しました。
また、「障害者である職員が働きやすい職場環境の整備に向けて努めていきたい」との姿勢を示しました。
【定年延長】
裁判所における制度設計にあたっての誠実対応を回答
雇用と年金の接続を制度的に保障する立場から、定年延長に向けて関係機関への働きかけを強めるよう要求しました。また、人事院が示した60歳超職員の賃金水準の問題点などを指摘し、全司法の意見も聞きながら、裁判所における制度設計をすすめるよう求めました。
事務総長は、政府における「検討状況を注視していきたい」と回答し、裁判所における検討にあたっての全司法からの意見聴取など誠実対応の姿勢を示しました。
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