秋季年末闘争は、来年4月の人員配置をはじめ、異動や昇任・昇格の発令等、職場の切実な要求を実現させるのに重要な時期です。全司法本部でも最高裁交渉や職種上京団交渉(事務官、家裁調査官、書記官、速記官)を配置し、2020年度裁判所予算案の確定に向けたとりくみを強化しますが、支部・地連でのとりくみが最も重要です。秋の課題や各支部におけるとりくみのポイントについて、鳥井書記長に聞きました。
予算配分・定員配置が検討される秋
地連・支部が主役に
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鳥井絵美書記長 |
―「秋は地連・支部が主役」と言われるのはなぜですか?
8月30日に最高裁が次年度予算の概算要求を政府に提出しました。予算案として確定するまでに若干の変動はありますが、全国の枠がほぼ決まったと言えます。それを受けて秋には、「各高裁・地家裁にどのように予算配分・定員配置をするか」が検討されます。この時期の当局の検討にどれだけ地連・支部の要求を反映させることができるかで次年度の職場態勢が決まるといっても過言ではありません。それが、「秋は地連・支部が主役」といわれる理由です。
ですから、すべての支部で独自要求書を確立して、12月上旬までに交渉を行いましょう。交渉は、職場の声や要求を伝え、当局にその実現を迫る機会ですから、予算案またはその配分が“確定する前”に行わなければ意味がありません。時期を意識したとりくみが大切です。
増員や適正な人員配置を求め、地方の人員削減を阻止しよう
―この秋の課題は何でしょうか?
人員について最高裁は、増員要求と定員合理化の差し引きで15名の純減となる要求を行いました。これまでにない2桁の純減要求となったことや全司法が強く要求してきた家裁調査官の増員要求を行わなかったことは極めて不満です。予算案確定まであきらめず1人でも多くの人員を確保できるよう最高裁を追及するとともに、地方からの削減阻止のとりくみを強めることが重要です。各地連・支部は、独自交渉において詳細な職場実態を当局に訴え、増員や適正な人員配置に関する要求実現を迫りましょう。
勤務時間の適正把握、事務の簡素化・効率化の具体化を
また、4月に超勤の上限規制が導入された後、職場からは「残業するなと言われる」「超勤申告がしにくい」との声が寄せられています。超過勤務の「暗数化」につながらないよう、必要な超過勤務は正確に申告する、当局には勤務時間を適正に把握させるといったとりくみを、改めて強化する必要があります。
より一層の超勤縮減をすすめるためには、事務の簡素化・効率化をすすめることが必要不可欠です。全司法は諸要求貫徹闘争期の交渉で、事務の簡素化・効率化について「職員団体から出された個々の提案やその問題意識は受け止めたい」(総務課長)、「通達の見直しなども含め、これまで以上に事務の簡素化・合理化、業務プロセスの見直し等を推進」(事務総長)していくとの回答を、過誤防止策の検討にあたっては、「原因に対応した合理的な改善策が策定されることが必要であり、このような検討を行わないでただ単に過剰な過誤防止策を構築するようなことが求められているのではない。この趣旨が各庁で正しく理解され、実践されるよう、最高裁として支援を行っているところである」(人事局長)との回答を引き出す大きな到達点を築きました。この回答を具体化させることが今後の課題となります。職場会での対話やアンケートなど創意工夫した独自のとりくみによって職場の超勤実態やサービス残業の実態把握に努め、地連・支部においても最高裁回答を活用しながら、「これまでにない思いきった合理化・効率化」や「不合理な過誤防止策をやめさせる」よう、追及を強めましょう。
忙しさや強いストレスを感じる職場は、パワハラやメンタル不全の温床になりがちです。パワハラ防止に向けた具体的な対策の構築、ストレスチェックや健康診断等、健康施策の充実に加え、心身に負担の大きい宿日直の負担軽減も大きな課題です。
職場会で職場の声を届けよう
―職場の組合員は、どういう形で結集(参加)していけばいいですか?
11月5日の週を中心として、11月中にすべての職場で職場会を開催することを提起しています。職場会で確認した職場実態や職場の問題点は支部での交渉に活用することになりますので、ぜひ参加して声をお寄せください。また、署名や寄せ書き、朝ビラなど創意工夫した独自行動が展開されます。4月の要求実現に向けて協力・支援をお願いします。

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