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  トップページ > 全司法新聞 > 2019年7月 > 2314号
 
 
全司法新聞
 
住居手当の改悪反対、生活できる賃金改善を行え!
2019年人事院勧告に向けて
 

 今年も人事院勧告に向けて、全司法と最高裁、国公労連と政府・人事院との交渉が行われています。職員の労働条件改善に向け、これまで以上に人事院の役割発揮が求められています。一方で人事院は住居手当について、多くの職員にとって改悪となる内容の見直しを検討しています。

すべての級号俸で改善を 住居手当改悪案が急浮上

 国家公務員の賃金は、この間の「給与構造改革」や「給与制度の総合的見直し」などによって高齢層を中心に賃金水準が大幅に抑制され、地域間格差も拡大しています。また、高卒初任給で民間給与との差額は1万4951円となっており、俸給月額から時間給を計算すると、最低賃金を下回る地域も発生しています。今年の人事院勧告に向けては、初任給近辺の官民較差解消とともに、すべての級号俸で適切な改善を行うよう要求しています。
 勧告に向けて、急浮上してきたのが住居手当の問題です。人事院は住居手当の見直しを検討していますが、その影響は大きく、とりわけ地方勤務職員・若年層職員にとっては、改悪になる方向性が示されています。
 これは、「公務員宿舎に入居している職員とそうでない職員との均衡」が住居手当の基礎とされており、この間の公務員宿舎の宿舎費の引き上げを反映して「基礎控除額(現行1万2000円)」が引き上げられる可能性があるからです。仮に2018年4月の平均宿舎使用料にあわせて1万9000円とされた場合には、全面的な改悪となります。民間の住宅手当の最高支給限度額の中位数が3万円以上3万1000円未満となっていることから、最高限度額が引き上げられる可能性もありますが、その原資は給与全体の官民比較による較差が当てられるため、較差が小さければ原資が確保できるかどうかわからず、仮に改善されても6万2000円を超える家賃を払っている人だけが対象となります(表参照)。
 国公労連は「住居手当は所定内給与の較差外とし、全額支給限度額・最高支給限度額を引き上げること」という基本要求を踏まえ、住居手当全体の改善と住居手当の拙速な「見直し」をさせないための追及を強めています。

非常勤・再任用の処遇改善や健康・安全確保も課題

 運輸業界の人手不足に端を発した「引っ越し難民」問題を契機に、赴任旅費について多額の自己負担が生じていることから旅費法の運用について関係機関に働きかけること、転居を伴う人事異動の縮小や長時間通勤の解消など、ワークライフバランス実現の観点からも改善と必要な働きかけを行うことなどを求めています。
 また、公募要件の撤廃や休暇制度の拡充など非常勤職員制度の抜本改善、定年延長に向けた働きかけと再任用の労働条件改善、不妊治療休暇の制度化と費用助成、実効ある超過勤務規制の具体化、障がいを持つ職員をはじめ全職員が安心して働き続けられる環境整備、包括的な対策によるハラスメント根絶なども課題となっています。
 健康・安全確保の課題では、裁判所でも問題になっている、職員などを対象とする外部からの暴言、暴力、違法・不当な要求などへの安全確保策・人権確保策を講じることも求めています。

 
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賃金、非常勤、パワハラ、安全確保対策などの課題で最高裁を追及
人事院勧告期における最高裁交渉
 

賃金・諸手当改善

「関係機関に伝える」

人事局総務課長交渉の様子
 全司法本部は7月10日、人事院勧告に向けた重点要求書に基づき、最高裁人事局和波総務課長との交渉を実施しました。
 賃金改善については、春闘相場や最低賃金の底上げ・全国一律最賃制の必要性が指摘されているといった情勢を踏まえ、地域間格差・世代間格差を解消すること及び各種手当の改善も含めた公務員賃金の改善を図るよう求めました。最高裁は「職員及び職員団体が、生計費の維持、確保という観点から、賃上げに向けた強い要望を持っていることは認識しており、職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
 諸手当の改善については、初任給、通勤手当、住居手当の改善を求めました。最高裁は「これまでも種々の機会を捉えて、人事院に職員及び職員団体の要望等を伝えるなど、必要な時期に必要に応じた対応をしてきているところであり、今後とも同様の方針で臨んでいきたい」と回答しました。

非常勤

「行政府省の制度を参考に、今後検討」

 非常勤職員制度については、賃金・手当・休暇制度等の改善のほか、公募要件の撤廃や常勤化(ステップアップ制度)の枠組みを求めました。最高裁は「賃金、休暇制度等の改善について、要望は人事院に伝わるようにしたい」「ステップアップの枠組みについては、行政府省の制度も参考にしつつ、今後検討していきたい」と回答しました。
 国家公務員の定員管理については「政府の総人件費抑制に向けた定員合理化に協力していく必要がある」との姿勢を崩さず、政府が6月28日に「令和2年度から令和6年度までの定員合理化目標数」を決定したことについては「意見を述べる立場にはない」と回答しました。
 定年延長にかかわっては、定員管理、定年延長に伴う給与制度及び昇格運用等について追及しました。しかし、最高裁は「政府において必要な対応について検討されるものと承知しており、裁判所としては引き続きその検討状況を注視していきたい」と回答するにとどまりました。
 休暇制度等について、最高裁は「要望は人事院に伝わるようにしたい」との姿勢を維持しました。全司法からは、子の看護休暇の改善、特に対象となる看護に予防接種が加わったものの、現場においては、かかりつけ病院から平日の時間指定をされたにもかかわらず子の看護休暇が認められなかった例があるなど、画に描いた餅になっていることを指摘したほか、不妊治療のための休暇新設を強く求めました。
 女性がん検診や青年の血液検査をはじめとする健康診断項目の充実・改善については「人事院規則で定められていない検査項目についての健康診断の実施は困難」とし、「要望は人事院に伝わるようにしたい」と回答しました。

パワハラ防止策

「DVD使用の際には、補足説明する」

 パワハラ防止策について、指針の策定や相談対応態勢の充実を求めたのに対しては従前回答にとどまりました。4月に整備した一般職向けDVD教材の使用にあたって慎重を期すことを求めたのに対しては、「DVD教材を使用した研修等を実施する際には、受講者に対し、パワー・ハラスメントの定義やパワー・ハラスメントと業務上の指導等の違いについて補足説明するなどパワー・ハラスメントに関する基本的な理解を得られるように努め、相談窓口の周知をするなど、様々な角度・視点からパワー・ハラスメント防止のための効果的なとりくみを行うことを指示している」旨回答しました。

職員の安全確保対策

「事案に応じた対応を継続」

 職員の安全確保対策について、裁判所としての対応要綱の策定を求めたのに対し、最高裁は「各庁において、収集した情報を元に、事案に応じた安全確保のための対応をとっているものと承知しており、これからも継続していきたい」と回答しました。それに対し、暴行や傷害など有形力の行使はもとより、インターネットでの誹謗中傷や名誉棄損など無形による危害行為に対しても、最高裁として指針を提示し、組織的に対応すべきだと追及しました。

 
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処遇の維持・改善に向けた展望を
地連行(二)担当者会議・上京団交渉
 

生き生きと働ける職場を 支部での追及が重要

 全司法は、6月16〜17日、地連行(二)担当者会議を開催し、引き続き17日午後に最高裁交渉を実施しました。会議・交渉には、オブザーバーを含めてのべ13名が参加しました。
 会議の冒頭、本部から行(二)職をとりまく情勢と課題について報告を行い、行(二)職員の配置状況・組織実態、労働環境の変更点及び行(二)職の要求に対する国公労連・全司法の運動と課題について確認しました。そのうえで、組織拡大・強化のとりくみとして、全司法の活動とその成果を行(二)職に広めるにはどうすればよいか、行(二)職の声を集める効果的な方法等について議論しました。また、行(二)職の課題において今後の展望を見出すため、処遇の維持・改善については国公労連への結集を軸に、特に部下数制限の撤廃について人事院への働きかけを強めること、配置等を含む労働条件を改善し、定年まで生き生きと働ける職場を作るためには支部が下級裁当局に対し具体的な追及を強める必要があることを確認しました。
 加えて、行(二)運動の現状を踏まえ、今後の運動の在り方について、すべての地連で検討をすすめることを確認しました。

少年押送は裁判所固有の事務 運転手の必要性を確認

 その後、賃金や処遇の維持・改善、人員が減っているもとでの本務に関する職場実態、特に庁舎の安全管理にかかわっての守衛業務や外注警備に関する実態、少年押送にかかわっての運転手業務やタクシー利用の実態、付加業務の実態、人事評価制度、研修を含む人材育成、備品の整備を含む労働条件全般、定年延長の課題等について議論を行いました。
 庁舎管理については、裁判所としてあるべき庁舎管理・安全確保についての認識を当局に示させることが必要であると確認されたほか、この間、行(二)対策会議だけでなく、書記官担当者会議や全国会議においても議論をしてきた少年押送について「裁判所固有の事務として、裁判所運転手において責任を持って行うべき」との議論がなされ、裁判所における運転手の必要性を確認しました。また、定年退職や再任用満了で今年度末人員に変更がある職場については、早期の情報開示と4月以降の体制についての丁寧な意見聴取及び意見反映を求めていくことも確認されました。
 交渉では、行(二)職の生活実態や職場実態、各職種の要求を伝え、従前回答にとどまったものの、行(二)職の実態を認識させることができました。

 
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国公労連セミナー2019
 
国会議員とのフランクな懇談

低賃金の実態等を訴える
議員懇談を実施

 国会議員と聞いて、どんな印象を持ちますか?
 6月14日〜15日、東京で「夏の国公青年セミナー2019」に参加し、その中で議員懇談に臨みました。懇談というとカタく感じますが、実際はそうでなく、国会議員に、座談会のような近い距離感で、各省庁の青年が、アツい想いを伝える、非常にフランクで贅沢な機会でした。
 対応してくれたのは山添拓・参議院議員。TVや選挙運動でよく見る、なんとなく「偉そう」「変にへりくだる」国会議員のイメージとは全く異なります。紳士で、若さ溢れ、話も丁寧に聴き、さらには問いも発し、深く切り込んでくれます。
 私からは、初任給を中心とした、低賃金の問題について発言しました。食費を削ったり、当直の回数を増やしたりして凌いでいる若手の実態を交えつつ、そんな中でも頑張って働いていることを伝えました。
 今回の行動を通じて、国会議員に対する自身のイメージががらりと変わったように、公務員に対する国民や国会議員からのイメージも見直されるといいなと思います。
 ところで、今回は多くの行政省庁の青年が全国から集いました。当然初対面しかいないので、最初はぎこちなかったですが、グループワークを重ねるごとに仲も深まり、最終的には3次会まで盛り上がりました。裁判所とは異なる仕事・働き方を教えてもらい、とても面白かったです。
 今度は10月に福島で集まる機会があるそうです。ぜひお会いしましょう!
(愛知支部青年部・廣瀬旅人)
 この他、人事院交渉に参加した青年からは、高卒初任給が県の最低賃金を下回る職場があることや、採用1年目には仕事着の購入にも苦労した生活実態、広域異動をさせられるにも関わらず新幹線代が手出しになり、生活を圧迫している実態等を訴えたことが報告されました。

10月に国公青年交流集会を開催
多くの参加を!

 10月25日〜27日に、国公青年フォーラム主催の「国公青年交流集会2019」がスパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)にて開催されます。この集会は、「自然災害と公務」をテーマに学習・交流を行います。福井地裁で大飯原発の差止判決を出した樋口英明元裁判官の記念講演や、フットサル施設でのレクリエーション、夕食交流会なども企画しており、上記セミナーと同様、行政省庁の青年との交流面も充実した貴重な機会です。
 全国から多くの青年の参加をお待ちしています。

 
 
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