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全司法新聞
 
勤務時間の的確な把握、事務の簡素化・効率化へ
流れを変える前進回答 2019年諸要求貫徹闘争最高裁交渉
 

 全司法本部は6月10日〜13日、諸要求貫徹闘争期における最高裁とのまとめの交渉を実施しました。今年4月から超過勤務の上限規制が導入されたことを踏まえ、事務の簡素化・効率化をすすめる姿勢を引き出したほか、書記官・家裁調査官の養成課程の見直しによって、家裁調査官の「二重の異動」を解消するなど、多くの課題で貴重な前進を勝ち取りました。

上限規制テコに簡素化・効率化を動かす交渉

事務総長交渉に臨む中央執行委員
 この間、事務の簡素化・効率化が課題となりながら、職場では「適正さ」やコンプライアンスが過度に強調され、むしろ、事務が増加・硬直化していることが問題となってきました。その中で、地方では人員が減らされ、さらに矛盾が広がっています。
 また、4月から超勤の上限規制が導入されましたが、超勤縮減のためには事務の簡素化・効率化が必要不可欠です。
 その点を大きなテーマに据えた今年の諸要求貫徹闘争で、これまで「現場任せ」「掛け声だけ」にとどまっていた簡素化・効率化について、流れを変える前進回答を最高裁から引き出すことができました。

始業前・休日も含め、勤務時間を的確に把握する

 事務総長交渉では「超過勤務命令の上限規制が導入される等、長時間労働が社会的に大きな問題となっている」との認識を示し、「超過勤務の内容をきちんと申告してもらうことが重要であるという認識を、個々の管理職員と部下職員が共有し、管理職員において部下職員の事務処理状況等をきめ細かく見て、的確かつ遅滞なく超勤時間を把握する」と回答しました。
 人事局長交渉では、早朝などの勤務時間把握が課題になっているとの全司法の主張を受けて「始業前、昼休み、休日における勤務についても(勤務時間終了後と)変わるものではない」と回答し、「サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならない」と回答しました。
 これらの交渉回答を活かし、超過勤務そのものを減らすとともに「持ち帰り、サービス残業」が一切ない職場にしていくことが重要です。

通達等の見直しも含め、事務の簡素化・合理化をすすめる

 事務の簡素化・効率化については「最高裁としても、職場の実態等を踏まえながら、通達等の見直しなども含め、これまで以上に事務の簡素化・合理化」をすすめると事務総長交渉で回答しました。
 とりわけ、課題になっていた書記官事務の簡素化・効率化については、過誤に起因して事務処理が厳格化・増大しているとの追及に対し、「ただ単に過剰な過誤防止策を構築するようなことが求められているのではない」「この趣旨が各庁で正しく理解され、実践されるよう、最高裁として支援を行っている」と回答しました。また、「合理化を図る上で必要となるのであれば、事務局と同様、通達等の見直しなども選択肢として排除しているものではない」(人事局長)と、従来よりも踏み出した姿勢を示しました。

家裁調査官の「二重の異動」は解消される

 「より質の高い書記官及び家裁調査官を養成していくために、書記官及び家裁調査官の養成課程を見直す」とし、「異動発令を修了日と同日に行い、修了日の翌日以降、新所属庁で事務官、家裁調査官補として執務を行い、書記官、家裁調査官への任官を4月1日とする」よう検討していることを人事局長交渉で明らかにしました。
 これによって、家裁調査官の養成課程修了後の1か月間の原庁配置とその直後の赴任先への異動(いわゆる「二重の異動」)については、解消されることになります。「二重の異動」解消は育成新施策に起因する家裁調査官の最重点課題の一つでしたが、その要求が実現することになります。
 また、旧姓使用がすすむ中で残された課題として要求してきた身分証明書について、「旧姓使用ができるよう見直すこと」となりました。
 なお、2020年度概算要求に向けた増員、昇格運用の維持、裁判手続きのIT化等に必要な予算確保などについて、最大限努力の姿勢を示し、職員の健康管理などの様々な課題で、全司法の意見を聴く姿勢を示しました。

 
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合理化に必要であれば、「通達等の見直し」も選択肢
最高裁人事局長交渉
 
人事局長交渉の様子

人員

引き続き最大限の努力姿勢示す

 次年度の増員に向けた基本姿勢については、「次年度の増員をめぐる状況は、これまでにない極めて厳しいものになる」との認識を示しつつ、「必要な人員の確保について引き続き最大限の努力をしていきたい」と回答しました。一方で、「各庁各部署の個別具体的な状況に応じて人員配置の見直しを検討する」と引き続き人員シフトの可能性を示唆し、地方から中央・大規模庁へのシフトの縮小を強く求めたのに対しても、「人員配置の見直し等の内部努力は必要不可欠」「事務量等を見極めて行って」いるとの従前からの回答にとどまりました。
 書記官については「必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」と回答したものの、事務官については「事務局部門については、事務処理の簡素化、効率化が図りやすい部門であることから、こうした事務処理の簡素化、効率化という観点も踏まえて事務処理態勢を検討していく必要がある」、家裁調査官については「必要な人的態勢の整備に向けて引き続き努力していきたい」と回答するにとどまりました。

超勤縮減

事前申告合理化・効率化、業務の在り方見直しにも活用

 超勤縮減・超勤の上限規制に関しては、管理職員からの事前の声かけを含め、「超過勤務の申告が適切に行われるよう、引き続き管理職員に対する指導を徹底していきたい」と回答したほか、「超過勤務の事前申告は、勤務時間を適切に管理するためだけでなく、管理職員が超過勤務の内容を把握することで、事務の合理化・効率化に繋げたり、業務の在り方を見直していくきっかけを得るためにも行うもの」との認識を示しました。また、改めて「始業前、昼休み、休日における勤務についても変わるものではない」と回答しました。
 事務の簡素化・効率化については「人事部門及び会計部門は、下級裁から、実際に、簡素化・効率化を求める事務の要望等を聞いた上で最高裁として検討を進めている」「職場の要望等を踏まえながら、事務の簡素化・効率化策について検討していきたい」と回答した上で、「職員団体として提案等があるのであれば、述べてもらって差し支えない」と回答しました。

ストレスチェック

「全ての職員が受検することが望ましい」

 健康管理等について、全司法が求めている健康安全委員会の設置については「必要性はない」と従前の回答を崩しませんでしたが、ストレスチェックについては、「対象となる全ての職員がストレスチェックを受検することが望ましい」との前進回答を引き出しました。ハラスメント防止については、今回配布された一般職向けのパワハラDVDの内容について全司法が強い問題意識を持っていることを伝え、研修教材として適当かどうか再考するよう求めました。

裁判手続のIT化

引き続き予算確保に最大限努力

 裁判手続のIT化については、「必要な予算の確保に向けては、最大限の努力を行いたい」と回答したほか、IT化された裁判事務における書記官事務の在り方等について「書記官は(中略)あらゆる裁判の運営を支える官職であり、IT化された民事訴訟手続においても、このような役割を適切に果たせていけるよう書記官事務の在り方についての検討を行い、その役割の重要性にふさわしい職務評価が与えられるよう努力していきたい」との姿勢を示しました。

書記官・調査官

養成課程見直しで「二重の異動」ついに解消

 職員制度に関する課題については、書記官及び家裁調査官の養成課程について「養成課程の修了日を3月25日頃とすることで、研修日数を確保して、養成課程を更に充実したものとする」「書記官養成課程については、養成課程開始時の4月に、新たに予修期修習を設けることで(中略)より効果的な研修が進められるようにする」と大幅に見直すことを明らかにしました。それに伴い、家裁調査官における養成課程修了後の1か月間の原庁配置(いわゆる「二重の異動」)については「異動に伴う職員の引越の負担等も考慮したものであり、結果として、解消される」と回答しました。

書記官事務簡素化で検討姿勢、旧姓使用「身分証明書」も

 書記官事務の簡素化・効率化については、過誤に起因して事務処理が厳格化・増大しているとの全司法の問題意識を受け止め、「過誤防止策の検討に当たっても、事実を正確に把握し、的確に原因を分析した上で、この趣旨にのっとった検討を行い、当該原因に対応した合理的な改善策が策定されることが必要」「このような検討を行わないでただ単に過剰な過誤防止策を構築するようなことが求められているのではない」「この趣旨が各庁で正しく理解され、実践されるよう、最高裁として支援を行っている」と回答しました。また、「合理化を図る上で必要となるのであれば、(中略)通達等の見直しなども選択肢として排除しているものではない」とも回答しました。旧姓使用の範囲拡大についても、「身分証明書についても旧姓使用ができるよう見直すこととした」との回答がありました。

宿日直

令状センター受け止めるも「超勤化」は否定

 宿日直に関しては、「令状センターの提言については、将来考え得る選択肢の一つとして受け止めている」との認識を改めて示したものの、宿日直の令状・勾留事務について、実態に合わせて超過勤務とするよう求めたのに対しては「宿日直勤務における業務量が常態として勤務時間内のそれと同程度にあるとは言い難い」と回答しました。

昇格

最大限の努力姿勢を維持

 2020年度の昇格定数について、級別定数の改定に最大限努力するとした上で、書記官4・5級、調査官3・4・5級の切上げに向けた努力姿勢を示しました。

 
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事務総長交渉回答要旨
 

人的態勢の整備について

 2020年度の増員について「これまでにない極めて厳しいものになる」としつつ、財務省に対する要求にあたっては「各職場の実態並びに職員及び職員団体の要望等を十分に踏まえた上、職員の休暇等の取得や健康管理の面にもきめ細かく配慮しつつ、司法需要に的確に対処し、一層適正迅速な裁判を実現するため、裁判部門の充実強化を目的とした事務局を含む人的態勢の在り方、及び『国家公務員の女性活躍とワークライフバランスの推進』の観点を踏まえ、事務処理を円滑に行うために必要な人員の確保に向けて最大限の努力をしていきたい」と回答しました。

超勤縮減、事務の簡素化・効率化について

 「超過勤務命令の上限規制が導入される等、長時間労働が社会的に大きな問題となっている」としたうえで、「職員においても具体的な超過勤務の内容をきちんと申告してもらうことが重要であるという認識を、個々の管理職員と部下職員が共有し、管理職員において部下職員の事務処理状況等をきめ細かく見て、超過勤務を的確かつ遅滞なく把握」すると回答し、最高裁の姿勢を示しました。
 事務の簡素化・合理化については「職場の実態等を踏まえながら、通達等の見直しなども含め、これまで以上に事務の簡素化・合理化、業務プロセスの見直し等を推進して、裁判部、事務局を問わず、組織全体として超過勤務の削減に取り組む必要があると考えている」と、「通達の見直し」にも言及して回答しました。

職員の健康、ハラスメント対策について

 「引き続き、メンタルヘルスへの対応を始めとする職員の健康管理について、懇談会等の機会を利用した職員の意見把握を含め、きめ細かな配慮をするとともに、職員団体の問題意識、社会一般の取組状況等を踏まえ、各種ハラスメントの防止を含めて、職員が健康で働きやすい職場環境の向上により一層努めていきたい」との基本姿勢を示しました。
 ストレスチェック制度については「対象となる全ての職員がストレスチェックを受検することが望ましい」とした上で、「引き続き、制度への理解の浸透を深めていきたい」と受検率の向上に向けた姿勢を示しました。
 また、「ハラスメントについては、その種類を問わず、これを防止することが、職員が働きやすい職場環境を維持・向上するために不可欠」「各種ハラスメントの防止に関する意識啓発、相談しやすい体制づくりやその周知等、より効果的な取組に努めていきたい」として、ハラスメント防止に向けた努力姿勢を示しました。

裁判手続のIT化について

 裁判手続のIT化について、今回初めて事務総長交渉の議題としてとりあげ、「今後も必要に応じて、職員及び職員団体の要望等も踏まえながら検討していきたい」との基本姿勢を引き出しました。
 予算確保については「裁判手続のIT化のために必要な予算の確保に向けては、最大限の努力」をすると回答しました。
 また、「司法アクセスの向上」と「国民が利用しやすい裁判所の実現」のための方策となるよう求めるとともに、これまでのOA化、IT化の経過と総括に立った検討を求めたのに対しては、「利用者の利便性の向上を図るとともに、裁判所をはじめとする関係者の業務効率の向上が図られるよう」「これまでの裁判事務のシステム化の実情等も踏まえながら、適切に進めていきたい」と回答しました。

権利について

 引き続き、「誠実対応」の姿勢とともに「下級裁当局に対しても、職員団体に対して同様の認識で臨むよう、その指導を一層徹底」していくことを確認しました。

 
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最高裁3局(総務・人事・経理)、1課(情報政策課)と交渉
 

総務局交渉

簡素化・効率化「最高裁の責任で行うべきものは、しっかり行っていきたい」

 増員要求については、「社会状況も見極めながら多種多様な要因を総合的に考慮し、必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」と回答した一方で、「国家公務員の定員を巡る厳しい情勢や、事件数の動向等を踏まえると、今後はますます、これまでのような増員が見込めなくなる」「財政当局との折衝はこれまで以上に厳しくなる」との認識を示し、「事件数が著しく減少している等の場合には、各庁各部署の個別具体的な状況に応じて人員配置の見直しを検討する」との姿勢を示しました。
 全司法からは、減員の影響が大きい地方職場の実情を挙げながら、地方から中央・大規模庁へのシフトを縮小するとともに、書記官・家裁調査官の増員をはじめ、繁忙度が増している事務局や支部・簡裁などへの人的手当などを強く求めました。
 「国民のための裁判所」実現に関わっては、裁判員制度10周年の広報活動の負担に配慮するよう求めたのに対し、「広報活動等のおかげで世間に一定の理解が得られている、執務状況への影響を注視したい」との回答が、少数言語を含めた通訳人の確保・育成を求めたのに対し、「必要な態勢整備に努めたい、障害が何なのかを把握して考えないといけない」との回答がありました。
 裁判手続のIT化についてPTに職場の意見を反映させるよう求めたのに対し、「現場での議論が大切」とした上で、「関係部署に伝わるようにしたい」と回答しました。
 職員制度に関する要求では、過誤防止のための事務が増大しているとの主張に対して、「書記官事務の整理は事務の合理化の観点も踏まえて検討するものであったが、正しく理解されていないのであれば誤解のないように各庁で実践されるよう支援したい」との回答が、郵券管理については、「強い問題意識は受け止めたい」との回答が、事務の簡素化・効率化については、「最高裁の責任として行うべきものについては、しっかり行っていきたい」との回答がありました。
 また、電子速記タイプライターの一人一台官支給を求めました。

経理局交渉

適正化・合理化に配慮した整理、執務資料の配布を実施

 労働時間短縮、超勤縮減に関わっては、「組織全体として超勤削減に向けて事務の簡素化・効率化に向けたとりくみをこれまで以上に進めていきたいと考えている」との認識を示した上で、会計事務の簡素化・効率化について、「契約に関する事務処理において、第2順位以下の検査監督職員を任命することも可能とする旨を明らかにするとともに、作成日付のない請求書の補正手順を実務に沿った形に改める等、事務の適正化と合理化に配慮した整理を行った」「会計事務を初めて担当する職員を念頭に置いた執務資料『裁判所の会計事務入門』を作成し、配布したところである」と回答しました。
 また、工事案件に関する工程会議について、各庁におけるテレビ会議の実績については、「最高裁が新規工事に着手するに当たり、高地家裁との間でテレビ会議によるキックオフミーティングを実施した例がある」と回答しました。人事・経理関係法規集データベースについては、「引き続き掲載内容の充実を図っていきたい」と回答したことから、事務を行ううえで参考となる事務連絡等を含めた掲載を求めました。
 老朽庁舎の新営・改修等に関わって、「事件の関係者のみならず職員の働きやすさにも配慮した上で、必要な整備を計画的に行っていきたい」と回答しました。これを受けて、具体的な庁名を挙げ、今後はバリアフリーへの対応など、物理的・機能的、社会的劣化の解消にシフトしていくべきと主張しました。その他、空調運転、家裁等の人員増による著しい狭隘化、児童室等の整備等の課題について改善を求めました。障がい者雇用推進に関わっては、バリアフリー化された休養室の整備や改修に向けた準備が進められていることを明らかにしました。喫煙スペースの設置に関わって、来庁者への対応について、「受動喫煙防止の観点から屋内禁煙とすることが相当」と回答した上で、「来庁者に対する説明は丁寧に行っていきたい」と回答しました。全司法からは、現場の職員任せにせず組織として対応することを重ねて求めました。特急の包括協議路線については、拡大を求める路線を具体的に主張したのに対し、「今後とも機会を捉えて関係当局へ伝えていきたい」と回答しました。
 元号改正に伴う保管金システムの不具合について、この問題は公契約の在り方の視点からも問題があったのではないか、原因を究明の上、一連の障害対応に問題がなかったかを検証し、職員に納得のいく説明をすることを強く求めたところ、「事務処理に支障が生じたことは重く受けとめている」と回答しました。

人事局交渉

宿日直「現場の切実な実態については受け止めたい」

 労働時間短縮、超勤縮減の課題では、「超過勤務の事前申告等を通じて、勤務実態の正確な把握と超過勤務の必要性・緊急性の適切な判断に努めており、特に超勤削減に向けた積極的なとりくみを進めるべき幹部職員は、部下の管理職員の働き方を含めて、その指導を行っている」と回答しました。職場では、早朝、昼休み、休日の超勤が申告・把握されていない現状があるため、その時間帯の勤務時間把握の徹底を求めたのに対し、適切な勤務時間管理については「始業前、昼休み、休日における勤務についても変わるものではない」と回答したほか、上限規制の趣旨が職場で理解されておらず、とにかく上限時間を超えさせないための指導ばかりなされている実態を伝えたのに対しては、「どのように伝えていくのかについて問題提起をいただいた。十分でないとの指摘は承る。引き続き指導していきたい」と述べました。
 健康管理の課題では、指導とハラスメントの線引きを明確にし、行き過ぎた指導をする管理職に対して指導・啓発を行うことを求めたところ、「パワハラに該当しない場合であっても適切な対応を行っている」と回答しました。
 旧姓使用の範囲が拡大される中、身分証明書での使用について、事件出張で事件書類と身分証明書の氏名が異なり用務先での説明に苦慮するため、旧姓使用の強い要求があることを伝えたところ、「現在具体的に検討している」との前向きな回答がありました。
 いわゆる「引越難民問題」に起因する各課題については、早期の異動内示、着任日についての柔軟な運用と10日間の赴任期間の周知、通勤手当や住居手当の支給に関する異動前の丁寧な周知、通勤手当の支給についての柔軟な運用、引越費用の高騰による職員の負担に見合った赴任旅費の支給改善を求めました。
 宿日直制度については、中小規模庁における割当の増加や、大規模庁での日直での超過勤務の常態化を訴えたところ、「現場の切実な実態については受け止めたい」と述べました。一方、現状を踏まえて、宿日直中の令状・勾留事務について超過勤務と扱うよう求めたのに対しては、宿日直として扱うとの姿勢を崩しませんでした。

情報政策課

IT化「職員及び職員団体の意見も踏まえ検討」

 労働時間短縮、超過勤務縮減等について「(裁判手続のIT化等の検討は)事務の簡素化・効率化、事務過誤防止、職員の働き方等の観点についても考慮していきたい」と回答しました。
 IT情報システム化にかかる基本姿勢について「実際にシステムを使用する職員の意見・要望を的確に把握することが重要」「システムの利用者の意見を踏まえつつ、裁判所のシステム最適化計画の考え方に沿った合理的かつ有益なものとなるように努めたい」と回答しました。また、「今後の検討をすすめるに当たっては、裁判所全体で幅広く意見交換等をしていくことが必要であり、職員及び職員団体の意見も踏まえながら検討していきたい」と回答しました。
 また、必要な予算を確保するように求めたのに対し、「予算の確保は大変厳しい状況である」との姿勢を示しつつ、「必要な予算の確保に向けては、最大限の努力を行いたい」と回答しました。
 一方、NAVIUSの開発については、「当該業務の合理的な在り方やシステム化するメリットとそれに要するコスト等を十分に踏まえて行う必要がある」と回答しました。また、事務の効率化・簡素化、事務過誤防止に資するものになるよう求めたのに対し「システム最適化計画の考え方に基づき」「真に必要かつ相当なものは何かという観点から検討しており、その中で事務の合理化・効率化や、事務過誤防止といった点についても考慮している」と回答しました。
 システムが停止した場合の対応について、万全の体制をとることを求めたところ、「各システムの所管部署において業務継続のための手順等を検討していると承知している」と回答し、システムの不具合について、裁判所全体での対応を求めたところ「要望として承る」と述べるにとどまりました。
 仮想デスクトップ技術の導入については「情報セキュリティや費用対効果を含めた多角的な観点からの検討が必要になる」と回答しました。当面の間、手元で照会に応えられるよう、タブレット端末の整備を求めたところ、インターネット閲覧専用パソコンを自分の机上に運んで作業することも可能であることから「現段階においてタブレット端末の整備は考えていない」と回答しました。

 
全司法の役割に確信を!
要求を前進させ、組織を強く大きく発展させよう
第76回定期大会
 

 全司法は、7月21日から23日まで、滋賀県長浜市において第76回定期大会を開催し、激動する情勢のもと、向こう1年間の運動方針と財政方針等を決定します。裁判所をとりまく状況や職員の労働条件が劇的に変化しようとしている中で、常に職員の立場から職場環境改善に力を尽くす全司法の役割は、これまで以上に大きくなっています。要求を更に前進させ、組織を強く大きく発展させていく観点から、運動方針案の積極的な討議を呼びかけます。

政治が仕事に直接影響 問われる政治の在り方

 安倍政権の経済政策によって大企業は儲けを大きく膨れ上がらせる一方で、実質賃金は下がり続けており、経済を悪化させる原因になっています。「2000万円の老後の蓄えが必要」とする金融庁の報告書以来、年金への不安が高まっているにも関わらず、社会保障改悪を続ける姿勢を崩さず、さらには10月からの消費税増税を強行しようとしています。一方で、トランプ政権の要求どおりに兵器を「爆買い」し、米軍と一体で「戦争する国づくり」をすすめるなど、その逆立ちした政治姿勢は極まっています。また、森友・加計問題に続いて、政府統計データの改ざん、文書隠蔽などが次々と明るみに出ていますが、そうした「行政の私物化」の後始末が、文書管理事務など、私たちの仕事にも直接影響を及ぼしていることも見過ごせません。
 国民生活の観点からも、公務員の働き方の観点からも、今まさに政治の在り方が鋭く問われています。

地方の削減を許さない 職場実態に見合った人員配置を

 職場では家裁職場や事務局をはじめ依然として繁忙状況が続くとともに、地方の職場は人員シフトの給源とされ、毎年のように人が減らされ続けてきました。内部努力は限界に達しており、増員による司法の容量拡大や職場実態に見合った人的態勢整備は喫緊の課題となっています。地方の削減を許さず、裁判所の人的・物的充実をめざす上で、「全司法大運動」の意義と役割は更に高まっており、25年目のとりくみを大きく飛躍させていくことが重要です。

最高裁回答に基づき簡素化・効率化の具体策を

 超過勤務の上限規制が導入されたもと、適正な勤務時間把握は制度の根幹であり基礎になります。導入から3か月が経過し、最高裁回答と職場実態との乖離や矛盾も徐々に顕在化し始めていますが、問題点を当局に直視させ、制度の趣旨に則った運用をさせていくためには、労働組合が職場の実態を常に掴むことが重要です。加えて、事務の簡素化・効率化は必要不可欠な課題です。全司法の提案や問題意識を受け止めると回答し、通達見直しや合理的な過誤防止策の策定に言及した諸要求貫徹闘争期の到達点を具体的な簡素化・効率化に結びつけるよう、とりわけ郵券管理事務の負担から書記官を解放するよう、更にとりくみを強めていく必要があります。

健康課題、定年延長、IT化等にも職場の声反映を

 長期病休者や現職死亡者数が増加傾向にあるもとで、ハラスメント対策も含めた健康管理施策の充実が求められます。そのためにも、健康安全委員会の設置やストレスチェックに基づく職場環境改善の具体的なとりくみについて、他省庁と劣後しない対策を講じるよう求めていきます。
 この他、定年延長の法整備がすすめられた後には、裁判所の制度設計について最高裁との対応を強め、また、裁判手続IT化やNAVIUSの開発などについても私たちの要求を最高裁の検討に反映させていく必要があります。障がい者雇用が推進されるもとで、安心して働きつづけられる職場環境の構築はもちろん、雇用の確保をはじめとする非常勤職員の労働条件改善にも力を尽くしていく必要があります。これらの課題に関わって、裁判所の在り様が変革していく中で、職員を代表する全司法がその役割を十分果たしていかなければなりません。

全司法の役割・存在意義を職場に示し、組織拡大を

 課題が山積する中で、要求を前進させ、働きやすい職場環境を維持・改善させるためには、全司法の組織を強く大きくしていかなければなりません。「新たな組織方針」のもと、職場や職種・階層など、あらゆる分野で対話活動を活性化させ、要求実現に向けた組合員の期待に応える運動を展開することが必要です。全司法の活動やこれまで築いてきた到達点、職員の立場に立って職場のルールを作る役割など、全司法の存在意義を示しながら、一人でも多くの仲間を全司法に迎え入れることに、組織の総力をあげましょう。
 第76回定期大会は、全司法の運動と組織の維持・発展・継承に向けた重要な大会となります。実り多い大会になるよう、全ての機関において運動方針案の積極的な討議をお願いします。

【2号議案について】

 障がい者雇用の推進のために非常勤職員の採用が本格的に始まったことを踏まえて非常勤職員を組織対象として明確に位置づけ、その要求前進に向けた活動を強化する観点から、組合費(本部費)を月額500円とすることを提案しています。なお、これとの均衡をはかる観点から、従来は支部の判断に委ねていた産休・育休代替要員等の組合費(本部費)も月額500円とする提案です。

 
一人ひとりを大切に!生き生きと働ける職場を
第49回国公女性交流集会
 

連帯の輪で、ハラスメント根絶を!

「いま、つながろう」
「もう、ひとりじゃない」の
メッセージを掲げて
 1日目は、ジャーナリストの松元ちえさんを迎え、「そのひと声からはじまる?草の根の連帯でつくるセクハラのない社会」と題する記念講演がありました。講演では、新聞労連や日本マスコミ文化情報労組会議(通称MIC)のとりくみが紹介されたほか、アンケート等から見えたセクハラの実態やセクハラを受けても相談できない女性が多いことが語られました。ハラスメント根絶に向けては、「セクハラは暴力であり、暴力は支配につながる人権侵害だ」という認識を共有し、被害者に寄り添った労働組合の活動はもとより、「どうやって解決していくのか」を自らで話し合う場が必要だと語られました。
 その後、国公女性協の橋本議長からの基調報告と職場・地域からの報告がありました。社保庁不当解雇撤回闘争については、全厚生闘争団による歌とナレーションの構成劇で不当解雇の問題点や闘争の現状を学びました。会場からはすすり泣きも聞こえ、労働者の権利と誇りを取り戻し、仲間を職場に戻すこのたたかいを支援する「想い」が溢れました。また、国公共済会について、保険と共済の違いや国公共済会のメリット、女性の視点からおすすめの補償内容等について説明がなされました。夕食交流会では、ジャズの演奏をバックに交流を深めました。

集まり、話せば、要求改善に!

 2日目は4分科会に分かれ、学習を深めました。ハラスメントの分科会では、職場のハラスメントがどうなっているのか、どう対応すればよいのか意見を交わし、ライフステージにかかる休暇制度の分科会では、働き続けるための制度について学習し意識を深めました。また、しゃべり場の分科会では職場やプライベートでの悩みや思いを出し合いました。フィールドワークでは、ガイドの説明を受けながら靖国神社と遊就館を見学し、その由来や歴史に触れながら平和について学びました。学習・交流全体を通じて、実りある集会となりました。
 参加者や実行委員をはじめ、寄せ書きや物販に協力いただき、成功を支えて頂いた皆さん、ありがとうございました。
(実行委員長根本厚子東京地裁支部)

 
 
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