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職種担当中執も参加し交渉を実施 |
全司法本部は5月21日、第2回人事局総務課長交渉を実施しました。職種担当の中央執行委員も参加して、全国から報告された職場実態をもとに、「国民のための裁判所」の実現、職員制度、昇格課題に関する要求で最高裁当局を追及しました。
引き続き、家裁の人的態勢整備の姿勢示す
「国民のための裁判所」実現の課題では、各種制度の安定的な運用と平均審理期間短縮に向けた態勢整備、通訳人候補者の確保と質の向上、成年後見制度の運用見直しが検討される家事部門の人的態勢整備や最高裁からの支援などを求めました。総務課長は、平均審理期間の短縮について「合理的期間内での適正な裁判がされるよう努めている」との姿勢を示すとともに「事件数の動向や事務処理状況等を踏まえながら、必要な態勢整備に努めていきたい」と回答しました。また、通訳人の確保に向けては、「4月23日付事務連絡により登録拡充策を講じた」として「適性のある通訳人を迅速に選任できるよう、引き続き通訳人候補者の確保に努めたい」との努力姿勢を示しました。
家裁の充実に関わっては「これまでも繁忙庁に対して書記官等を増配置してきた」とした上で、後見部門について改めて言及し「引き続き担当部署の事務処理状況等を注視しつつ、必要な人的態勢の整備に努めていきたい」と回答しました。成年後見制度の運用見直しや自治体・金融機関との協議を念頭に置いた姿勢が示されたものです。
調査官の中途退職増が明らかに
職員制度に関わって、書記官及び家裁調査官の養成課程について、「より質の高い書記官及び家裁調査官を養成するため、養成課程の見直しを検討している」ことを明らかにしました。具体的な内容は明らかにしませんでしたが、「二重の異動」の見直しも含めた検討が期待され、人事局長交渉で前進面を築けるよう追及を強めます。また、研修におけるテレビ会議の活用を求めたのに対し「ワークライフバランス等の観点から、研修受講の機会を増やすことの必要性について問題意識を持ちながら検討を進めていきたい」との姿勢を示し、実現に向けた大きな足掛り回答を引き出しました。
2018年度における家裁調査官の中途退職者数は、2017年度から13人増加し、25人となったことが明らかとなりました。また、家裁調査官の職場で設置される各種プロジェクトについて、目的を明確にし、真に必要なものに整理・統合するよう求め、成果物が職場で活かされていない実態などを追及しました。総務課長は「成果を実務に活用することなどを目的として」「必要な期間、設置されている」との認識を示しており、この認識に見合った実態にさせていくことが重要です。
「出された個々の提案や問題意識は受け止めたい」
(書記官事務)
書記官事務の簡素化・効率化は今年の諸要求貫徹闘争における重要課題の一つです。全司法は予納郵券の取扱い見直しをはじめとする具体的な簡素化策を提案し、繰り返し書記官事務の簡素化・効率化を求めてきましたが、今回の交渉で初めて「出された個々の提案やその問題意識は受け止めたい」と回答し、これまでの姿勢から一歩踏み出す貴重な到達点を築きました。また、事務過誤に起因して、チェックも含めた個々の事務が過重となっている実態を指摘し、合理性のある過誤防止策の検討を求めたのに対し、総務課長は「当該原因に対応した合理的な改善策が策定される必要がある」との認識を示し、全司法の問題意識に応えました。
今後、これらの回答を踏まえた、より具体的な改善策を最高裁に打ち出させるよう、更に追及を強める必要があります。
旧姓使用、拡大する方向で検討
専任事務官については、全国的に3級在級期間が長期化していることを踏まえ、書記官有資格者の占有率の引き下げやスタッフポストの更なる活用を求めました。総務課長は「書記官事務の経験がないということだけで事務官の昇進の途を奪うことは考えていない」との従前回答にとどまりましたが、事務局事務の簡素化・効率化の課題では、最高裁報告の見直し縮小や問い合わせ事務の負担軽減に向けたQ&Aの作成、会計事務における適正化と合理化に配慮した事務処理の見直しなど、具体的な改善策を明らかにした上で、「引き続き事務の簡素化・効率化策について検討していきたい」と回答しました。
速記官については、今年度の電子速記タイプライターの整備庁について、全司法は1・2人庁全てに配布するとともに、個別事情から追加配布を求める庁について庁名を挙げて要求しました。総務課長は「今後決めていく」と回答しましたが、メンテナンスの在り方も含め、運用面での検討に引き続き全司法の意見を反映させる必要があります。
なお、旧姓使用の対象範囲の拡大と身分証明書への適用を求めたのに対し、「今後も拡大する方向で、具体的に準備をすすめている」と回答し、要求の前進が見込まれます。
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