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全司法新聞
 
「学び」そして「人」に伝えることを体験
第25回全司法中央労働学校
 

 全司法は5月12〜13日、熱海市において第25回中央労働学校を開催し、若手組合員を中心に全国から24名が参加しました。1日目は、全司法本部が組合員学習用テキストとして作成した「全司法標準カリキュラム1はじめて読む『国家公務員法』」を使って学習会のチューターを育成する講師養成講座を、2日目は、国会パブリックビューイングにとりくむ上西充子さん(法政大学キャリアデザイン学部教授)の講演を受けました。

「標準カリキュラム」をテキストに国公法を学ぶ

何をどう伝えるか、みんなで検討
 1日目の講師養成講座では、労働組合や職場の仕組みについて学び、その内容を学習会の講師として“人に伝える”体験をしました。
 6班に分かれ、「指定されたテーマで若手組合員対象の学習会を実施する」という設定で、各班15分のプレゼンテーションをするのが講座の課題です。最初に中矢委員長が、全司法標準カリキュラム1のテーマである@国家公務員法の中で私たちの労働条件がどう位置付けられているのか、A労働組合に関する規定はどうなっているのか、B給与の仕組み、C裁判所における人事評価制度の仕組みについて、ポイントの説明を行い、その後、班別にディスカッションを行いました。

語り合い、補い合いながら「学習会」を企画

演劇形式で国公法を解説する青年

 標準カリキュラムはレジュメ・資料・講義案で構成されており、基本的には講義案を読み上げていけば学習会が進行できるように作られていますが、ディスカッションでは、人に伝えるために、それぞれのテーマについて理解を深め、発表素材(レジュメ)を作ったり発表スタイルを決めたり、参加者は悩みながらも活発に討議を行いました。採用1年目の参加者から相応の経験がある参加者まで、それぞれの経験を踏まえながら主体的に討議に参加しており、経験の浅い人からは素朴な疑問が、経験のある人からは実例や経験が語られ、補い合いながら討議が進んでいたのが印象的でした。
 プレゼンテーションについては、ほかの班の良かった点や改善すべき点を挙げながら全員が審査するという方式をとり、学習会聴講者としての視点でプレゼンテーション(学習会)の在り方を考えることもできました。また、本部の長岡書記長から丁寧な講評と補足がなされ、学習会で気をつけるべきポイントや標準カリキュラムのテーマについての知識をより深めることができました。

“大切なことが必要なところに伝えられていない”現状を明らかに

上西充子さん公演
講演する上西さん

 2日目は、国会答弁における意図的な論点ずらしを「ご飯論法」(2018ユーキャン「新語・流行語大賞」トップテン入賞)と指摘して話題になり、「国会で何が行われているのかを国民がしっかり理解する必要がある」として国会審議を街中で上映する国会パブリックビューイングのとりくみを続けている上西充子さんによる講演を受けました。
 大学で教鞭をとっておられ、「大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A」や「10代からのワークルール」などの著書がある上西さんは、働き方改革の問題点を青年にもわかりやすい言葉と例えで話されました。また、働き方改革により柔軟に働けるようになるかのような印象操作がマスコミを使って行われたことや、働き方改革法案が採決された翌日の日経新聞(サラリーマンが多く購読している)にはインデックスにも掲載がなかったなど“大切なことが必要なところに伝えられていない”現状が明らかにされたほか、国会審議の問題点や、市民の運動や野党の追及によりどのように国会答弁が変わってきたのかといった経過もお話しいただきました。
 少しではありましたが国会審議(委員会中継)の映像も見ながら、今国会でどんなことが起きているのか、何が問題なのかを学ぶことができたのは非常に有意義でした。
 加えて、国会パブリックビューイングのとりくみに触れながら、具体的で効果的な問題点の伝え方・広げ方をお話しいただきました。わかりやすい言葉で話すこと、話だけでなく現物(現実)を見せること、相手を否定しないことなどについては、そのまま組合活動にも使えるものであり、参加者はこれからの組合活動のヒントを得るとともに、勇気づけられました。

組織強化・拡大に、学習は必要不可欠

 青年協が企画・進行した夕食懇親会も非常に盛り上がりました。「実は私…」というキーワードを入れて自己紹介するという“お題付き自己紹介”を行いましたが、参加者から「実は私」と語られる特技や趣味、自慢がすごいものばかりで、驚きの連続でした。全司法の楽しさ、組合員の人柄やパワーを感じることができました。
 全司法は今、組織強化・拡大を喫緊の課題としており、そのためには全司法の活動やこれまで勝ちとってきた成果、職場で果たしている役割などをしっかり示していくことで、職場や組合員の信頼を得ていく必要があります。その方法の一つとして、学習の機会は必要不可欠です。今回の講師養成講座と「どういうふうに問題点を広げていけばいいのか」という観点での上西さんの講演は、正に今必要なものでした。全国に今回の労働学校の成果が広がっていくことが期待されます。

参加者の感想

(「講師養成講座」について)
◇ 今までなんとなく「そういうもの」として聞いていた、覚えていた組合に関するあれこれを、法律にもとづいて説明していただき、確固たる知識を得たので、他の人に、もう少し上手く、自信をもって、組合について教えることができるようになる気がします。
◇ 班の人たちとの討論では、他の人の質問にきちんと答えられる部分や、そうでない部分があり、勉強不足を痛感した。
◇ どうやったら興味を持ってもらい、わかりやすく説明できるかという視点で、各班ともプレゼンの方法や話の組み立て方、具体的なエピソードを取り入れたりと工夫されていたので、こういうやり方もあったのかと非常に参考になりました。

(上西さんの講演について)
◇ これまで高度プロフェッショナル制度や働き方改革について、あまり問題であるとは感じていなかったが、今回の講演を聴いて、少し印象が変わった。日々、触れる情報について、ただ鵜呑みにするのではなく、自分で考えていくことが必要だと感じた。
◇ 従来の街宣にありがちな一方的な主張の羅列ではなく、映像で実物を見せるというとりくみが斬新で素敵だと思いました。何より、押しつけでなく、受け手の心を考え、相手に今の政治への違和感をどう持ってもらうか、という視点に共感しました。
◇ どうやったら役員以外の一般部員にもっと活動に関わってもらえるか悩んでいましたが、上西先生の話の中の「やってもらったことを素直に褒める、肯定する」という点にヒントを感じ、とても印象に残りました。

 
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書記官事務の簡素化・効率化で貴重な到達点を築く
2019年諸要求貫徹闘争 第2回人事局総務課長交渉
 
職種担当中執も参加し交渉を実施

 全司法本部は5月21日、第2回人事局総務課長交渉を実施しました。職種担当の中央執行委員も参加して、全国から報告された職場実態をもとに、「国民のための裁判所」の実現、職員制度、昇格課題に関する要求で最高裁当局を追及しました。

引き続き、家裁の人的態勢整備の姿勢示す

 「国民のための裁判所」実現の課題では、各種制度の安定的な運用と平均審理期間短縮に向けた態勢整備、通訳人候補者の確保と質の向上、成年後見制度の運用見直しが検討される家事部門の人的態勢整備や最高裁からの支援などを求めました。総務課長は、平均審理期間の短縮について「合理的期間内での適正な裁判がされるよう努めている」との姿勢を示すとともに「事件数の動向や事務処理状況等を踏まえながら、必要な態勢整備に努めていきたい」と回答しました。また、通訳人の確保に向けては、「4月23日付事務連絡により登録拡充策を講じた」として「適性のある通訳人を迅速に選任できるよう、引き続き通訳人候補者の確保に努めたい」との努力姿勢を示しました。
 家裁の充実に関わっては「これまでも繁忙庁に対して書記官等を増配置してきた」とした上で、後見部門について改めて言及し「引き続き担当部署の事務処理状況等を注視しつつ、必要な人的態勢の整備に努めていきたい」と回答しました。成年後見制度の運用見直しや自治体・金融機関との協議を念頭に置いた姿勢が示されたものです。

調査官の中途退職増が明らかに

 職員制度に関わって、書記官及び家裁調査官の養成課程について、「より質の高い書記官及び家裁調査官を養成するため、養成課程の見直しを検討している」ことを明らかにしました。具体的な内容は明らかにしませんでしたが、「二重の異動」の見直しも含めた検討が期待され、人事局長交渉で前進面を築けるよう追及を強めます。また、研修におけるテレビ会議の活用を求めたのに対し「ワークライフバランス等の観点から、研修受講の機会を増やすことの必要性について問題意識を持ちながら検討を進めていきたい」との姿勢を示し、実現に向けた大きな足掛り回答を引き出しました。
 2018年度における家裁調査官の中途退職者数は、2017年度から13人増加し、25人となったことが明らかとなりました。また、家裁調査官の職場で設置される各種プロジェクトについて、目的を明確にし、真に必要なものに整理・統合するよう求め、成果物が職場で活かされていない実態などを追及しました。総務課長は「成果を実務に活用することなどを目的として」「必要な期間、設置されている」との認識を示しており、この認識に見合った実態にさせていくことが重要です。

「出された個々の提案や問題意識は受け止めたい」
(書記官事務)

 書記官事務の簡素化・効率化は今年の諸要求貫徹闘争における重要課題の一つです。全司法は予納郵券の取扱い見直しをはじめとする具体的な簡素化策を提案し、繰り返し書記官事務の簡素化・効率化を求めてきましたが、今回の交渉で初めて「出された個々の提案やその問題意識は受け止めたい」と回答し、これまでの姿勢から一歩踏み出す貴重な到達点を築きました。また、事務過誤に起因して、チェックも含めた個々の事務が過重となっている実態を指摘し、合理性のある過誤防止策の検討を求めたのに対し、総務課長は「当該原因に対応した合理的な改善策が策定される必要がある」との認識を示し、全司法の問題意識に応えました。
 今後、これらの回答を踏まえた、より具体的な改善策を最高裁に打ち出させるよう、更に追及を強める必要があります。

旧姓使用、拡大する方向で検討

 専任事務官については、全国的に3級在級期間が長期化していることを踏まえ、書記官有資格者の占有率の引き下げやスタッフポストの更なる活用を求めました。総務課長は「書記官事務の経験がないということだけで事務官の昇進の途を奪うことは考えていない」との従前回答にとどまりましたが、事務局事務の簡素化・効率化の課題では、最高裁報告の見直し縮小や問い合わせ事務の負担軽減に向けたQ&Aの作成、会計事務における適正化と合理化に配慮した事務処理の見直しなど、具体的な改善策を明らかにした上で、「引き続き事務の簡素化・効率化策について検討していきたい」と回答しました。
 速記官については、今年度の電子速記タイプライターの整備庁について、全司法は1・2人庁全てに配布するとともに、個別事情から追加配布を求める庁について庁名を挙げて要求しました。総務課長は「今後決めていく」と回答しましたが、メンテナンスの在り方も含め、運用面での検討に引き続き全司法の意見を反映させる必要があります。
 なお、旧姓使用の対象範囲の拡大と身分証明書への適用を求めたのに対し、「今後も拡大する方向で、具体的に準備をすすめている」と回答し、要求の前進が見込まれます。

 
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伊藤元全司法副委員長 2つの法案で国会参考人招致
 

 元全司法中央執行副委員長で、現在も本部少年法対策委員として活動に参加していただいている元家裁調査官の伊藤由紀夫さん(非行克服支援センター相談員)が、4月25日の参議院法務委員会における「民事執行法等の一部改正案」(子の引き渡し、養育費の執行)と5月22日の衆議院法務委員会における「民法等の一部改正案」(特別養子縁組)の、それぞれの法案審議で参考人として招致され、意見を陳述しました。同一国会で、短期間に複数の法案審議に招致されるのは珍しいケースですが、いずれも家裁調査官の役割が重要になることから、参考人として選ばれたものです。

「子どもたちに伴走する形での支援強化を」

意見陳述する伊藤さん

 伊藤さんは4月の民事執行法について、養育費は子どもの権利だという立場から「強制執行に至る前の家裁のとりくみが重要だが、執行の実効性を上げることは必要」と述べ、子の引き渡しに関しては、これまで明文の規定がなかったことが問題だとしたうえで、債務者の立会を不要とするケースを認める法案内容に関わって「子の利益に配慮する観点から執行補助者の必要性が明示されたことは重要」だと指摘しました。
 また、5月の民法改正では、特別養子縁組の年齢引き上げについて「虐待等のケースを考えると、選択肢を増やすことは必要」としつつ、「6歳未満」から一気に「原則として15歳」に対象年齢が引き上げられることで、家裁調査官の調査が様々な困難を抱えることも指摘し、家裁調査官、書記官等の人的態勢整備の必要性にも言及しました。また、法案はごく部分的な手当てに過ぎないと指摘し、一時保護施設や児童養護施設の整備・充実にも触れて「国として、子どもたちに伴走する形での支援強化をお願いしたい」と述べました。

家裁と調査官の役割に高い関心

 いずれの法案も部分的な改正ですが、その背景には、子どもの権利や児童虐待といった大きな問題が横たわっており、国会でも与野党が立場を越えてとりくみを模索している課題です。そうした状況も反映して、家裁の手続きや家裁調査官の役割、子どもの権利について、多くの議員が伊藤さんに質問し、関心の高さをうかがわせました。
 なお、今回の参考人招致は、全司法大運動等で国会への働きかけを行ってきた経過から、全司法に照会があって実現したものです。

 
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自主的活動 花開け! 第9回
教宣紙を活用した組織強化について(「うず」のとりくみ) 徳島支部
 
徳島支部の仲間

 徳島支部では、要求実現と組織強化・拡大の原動力・推進力の中核に教宣紙「うず」を位置づけ、企画・発行を重ねています。情報化・IT化の急速な進展に伴い、職場の人間関係や部署間の連携が薄れているとの指摘もある中、教宣紙が職場の潤滑油になることで、組合員の絆を強め、温かみのある職場を追求しているものです。
 具体的には、職場会や管内オルグ等、組合員の集まりがあれば、その大小、多寡を問わず、全てを取り上げています。もちろん、参加した組合員の笑顔いっぱいの写真を添えて…。これにより、他の部署で起きている問題を組合員全員で共有することができます。また、次世代を担う青年層職員が企画し、参加するコーナーも充実させています。例えば、@新採用職員加入の際のインタビュー、A総合研修所の入所・修了等の機会を捉えた懇親会、B他部署の先輩職員との対談コーナーなど、恒例や新規の企画モノの掲載を続けています。対談等の企画を通じて、縦・横のつながりを強めるとともに、紙面が完成していく過程を通じて、職場問題への理解を深め、組合の存在意義を実感してもらうことを企図したものです。
 教宣紙活動を通じて、組合員間に自然とコミュニケーションが生まれます。職場会を紙面化する場合、主役である組合員の写真の周りに、出された話題を散りばめるイメージで編集も楽しみます。また、「読みたい」と思ってもらうためには、遊び心を取り入れることも重要です。組合員から子供時代の写真を提供してもらい、「写真の子はだーれだ?」という企画を「うずっ子ちゃん倶楽部」と銘打ち適時掲載していますが、このコーナーは注目度が高く、多くの組合員が回答が載る次号を楽しみにしてくれています。
 今期は、組合員の協力のもと、結果として1年に40紙以上のうずを発行することができました。組織率も少しずつ回復するなか、組合員の要求実現、組織強化・拡大のために、うずは無限の可能性を秘めていると改めて実感しています。
 今後とも、職場で役立つ教宣紙を目指して、教宣活動の充実強化にとりくみ、組合員の要求実現につなげていきたいと考えています。
(徳島支部)

 
 
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