 |
交渉に臨む全司法本部 |
全司法本部は5月8日、諸要求貫徹闘争期における一連の最高裁交渉の皮切りとなる第1回人事局総務課長交渉を実施しました。交渉では、賃金や諸手当の改善、健康管理、定年延長、庁舎設備、次世代育成支援、男女平等・母性保護等の課題で、最高裁を追及しました。
通勤手当10万円もの持出しも
賃金課題では、公務員の大幅賃上げや初任給改善、中高年層の給与抑制措置の是正などを求めました。総務課長は「職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいる」とし、「要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。また、諸手当の改善では、職場の要求が強い住居手当、単身赴任手当の改善や、特に通勤手当については、新幹線通勤等における自己負担額が月2〜3万円となり、多い人で月10万円もの持ち出しとなっている実態も訴え、その改善を強く求めました。総務課長は「種々の機会を捉えて、人事院に職員及び職員団体の要望等を伝えるなど、必要な時期に必要に応じた対応をしていきたい」と回答しました。
健康管理懇談会の形骸化を指摘
健康管理懇談会の実施自体が目的化し、形骸化していることを指摘した上で、出された意見を健康管理施策に十分反映することを求めました。総務課長は「健康管理を担当する者の間で、懇談会の結果を今後の職員の健康保持・増進に活かせられないか検討している」との認識を示し「今後も各庁の健康管理施策に反映するよう下級裁を指導していきたい」と回答しました。
また、災害発生時の特別休暇の柔軟運用を求めたのに対し「適切な特別休暇の承認の判断がされるよう、下級裁を指導していきたい」とし、「今後も引き続き職員の安全確保にも十分配慮しつつ、適切な業務の継続を行っていきたい」と回答しました。
集団分析に基づく職場環境改善 他省庁に劣後
ストレスチェック制度については、「最終的には『全ての職員』がストレスチェックを受検することが望ましい」との認識を示し、受検方法の見直しについては、引き続き「検討しているところである」との姿勢を示しました。また、集団分析結果に基づく職場環境改善について、他省庁のとりくみより劣後しているとの問題意識に対し「管理職員への結果のフィードバックや管理監督者への研修、必要に応じた職員への個別面談等についてとりくまれている」とし、「裁判所の職場環境の改善に向けた支援は最高裁の役割であり、今後も各庁の支援を行っていきたい」との姿勢を示しました。
一方、2018年度における現職死亡者数は19人であることが明らかとなり、更なる健康保持・増進に向けた施策の充実が求められます。このほか、パワハラ根絶に向けた積極的な施策のとりくみを求めたのに対し、一般職対象のDVD教材を整備したことを明らかにし、Q&Aの作成について「工夫できる余地がないか考えたい」との姿勢を示しました。
定年延長後の課題も追及
定年年齢引き上げの課題において、確立した「定年年齢引き上げに関する要求書」に基づき、60歳を超える職員の給与水準や柔軟な働き方ができる制度設計、退職給付の在り方、役職定年等の給与格付けをはじめ、事務官処遇の維持と組織の新陳代謝の観点から、課長補佐・専門官を役職定年の範囲に含めるよう求めました。総務課長はいずれも「(政府の)検討状況を注視していきたい」と回答し、裁判所の制度設計にあたっては「適切かつ誠実に対応していきたい」との姿勢を改めて示しました。
なお、2018年度中の早期退職者数は114人であり、引き続き増加傾向にあります。
年休取得の更なる推進や事務の簡素化・効率化を追及
年次休暇の年間平均使用日数は、管理職員が16・76日、一般職が17・83日と増加傾向にありますが、また超勤上限規制に起因して取得日数が減少することがないよう配慮を求めたのに対し「その点は変わらないところである」「より一層取得しやすい環境作りに努めていきたい」と回答しました。超勤上限規制のもとでも年休取得を更に推進するためには、更なる事務の簡素化・効率化をすすめることが必要不可欠であることを重ねて主張しました。
|