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全司法新聞
 
事務の簡素化・効率化、やりがいある書記官事務を求める運動を!
書記官担当者会議・上京団交渉をふまえて
 

 全司法は、10月21〜22日に地連書記官担当者会議を開催するとともに、引き続き最高裁和波人事局総務課長との書記官上京団交渉を配置しました。会議には、中堅書記官から3月に任官した書記官まで、役員歴も様々な参加者が集まり、多岐にわたる課題で議論を深め、上京団交渉に臨みました。
 事務の簡素化・効率化がきわめて重要な課題となっており、やりがいのある書記官事務をめざし、今こそ書記官運動の活性化が必要であることが確認されました。

このままでいいのか?書記官の仕事と体制

書記官上京団交渉の様子
 書記官は、配置されている部署・担当している職務ごとにそれぞれ課題が大きく異なりますが、現在の書記官事務や裁判所の在り方について、「このままでいいのか?」という思いは共通しています。
 書記官担当者会議では、職場の繁忙状況を改善するための「事務の効率化に資する具体策」や書記官の職務評価を高めるための「研修の充実」を中心に、庁舎・法廷内の危機管理、次期システム開発や民事裁判手続のIT化、少年押送の在り方や令状事務の在り方(令状センター構想)などについて意見交換を行い、要求を確認しました。
 会議の冒頭、長岡書記長から、書記官を取り巻く情勢と課題について基調報告を受けました。連年にわたり地方から大都市への人員シフトが進んでおり、地方では事件数が増えているにも関わらず書記官が減員となっている部署もあることが報告され、2019年度予算の概算要求における書記官の増員要求数は「極めて不十分」とする本部の分析を共有しました。

最高裁は職場実態から目をそらすな

 会議では近年、交通事件の増加による嘱託事務の増加、秘匿情報の取扱いにかかる事務の増加で、1つ1つの事務に手間がかかり負担の増加につながっていることが報告されました。
 最高裁はこの間、「裁判所が国民の信頼を得ていくためには、裁判の『迅速さ』と『適正さ』を確保することが極めて重要である。適正な事務を確保するには、職場実態に合った事務の合理化の観点を踏まえつつ、書記官事務について、法的な根拠及び本来の目的は何かという視点から検討を行い、あるべき事務処理態勢を構築していくこととなる。そのため、結果として、従前と比べて事務が簡素化・効率化するものもあれば、拡充するものもあることを理解してほしい」との回答を繰り返しています。書記官事務の整理にも現れる最高裁の姿勢ですが、これが、職場においては事務の増加や硬直化につながっており、特に減員に苦しむ小規模庁や簡裁へ大きな負担を課しています。
 ファックスの誤送信を防ぐため職員2人でファックスを送る、記録紛失・改ざん防止のため一人で記録庫に行けない、送達報告書を訂正印で直すといつ直したのか分からず、後から直したものと区別がつかなくなるとの理由で訂正印を使わず作成し直させる…。これらは今、職場で実際に起きている事態です。「事務の適正化」や「コンプライアンス」の過度な強調により簡素化・効率化からどんどん離れている実例は少なくありません。
 こういった実態を、最高裁は目を背けずに受け止め、本当に必要な事務なのかどうかを再検討し、従前と比べて拡充した事務があるのであれば、それに見合った負担軽減策を当局の責任において示すべきであり、それができないのであれば職場の事務量に見合った人員の確保を財務省に求めていくべきです。
 そうでなければ、「書記官自らで根拠と目的から検討して合理的な事務を遂行する」ことなどできないばかりか、長時間労働や、ミスが許されない緊張感の中で職場が疲弊し、心身の不調を訴える書記官が後を絶たない状況になってしまいます。

「煩雑な郵券事務」から書記官を解放せよ

 全司法はとりわけ郵便送達費用の手数料化を基本要求に据えつつ、当面は保管金化の拡充と郵券管理にかかる現在の取扱いの変更を最重点の課題としています。近年の厳格すぎる郵券管理の取扱いは、書記官が課せられている硬直的な事務の象徴であり、「煩雑な郵券事務から書記官を解放すべき」だと考えます。
 これに加え、民事事件における上訴事件記録の丁数打ち廃止、乱立する秘匿情報管理に関する事務連絡等の一本化、実務講義案のデータ化といった事務の軽減化・効率化策を、1年前から最高裁に求めてきました。
 しかし、最高裁は、1年経過した今年の書記官上京団交渉においても、具体的な事務改善(効率化)の提案に向き合わず、「どの分野でどのような方策を検討するのかを明らかにするといったことはできない」との回答にとどまりました。
 全司法が提起しているこれらの効率化策は最高裁が定める規則や通達等を変更しなければできない方策がほとんどです。しかし、最高裁は「根拠・目的を踏まえた合理的な事務処理態勢の構築を可能とするような支援を継続的に行っているところであり、今後も引き続き必要な支援を行っていきたい」との回答に終始し、事務量の削減を求める職場の思いや全司法の意見を全く受け止めようとしません。

全司法の役割を確認、未加入者にも響く活動を

 上京団交渉では、その他の要求についても、「従前回答どおり」「要望は承る」との回答にとどまりました。
 書記官を巡る課題は、実効性のある事務の効率化策の実施だけではありません。地連書記官担当者会議では事務の効率化策以外にも多くの課題について意見交換し、その要求実現に向けて最高裁を追及しました。
 会議の参加者からは、「これだけ現場から事務改善の提案が出るということは、裁判所はまだまだ伸びしろがある職場だ」「全司法が果たす役割を再確認した」という声や、「全国の状況を知り、大庁として責任を果たしていかなければならないと思った」「『裁判所の再生』のために書記官が先頭に立って、未加入者にも響く活動をしよう!」との決意が寄せられました。
 この会議を契機に全国で書記官運動を活発にすすめていく必要があります。

 
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10月23日全司法本部四役・最高裁長官会見 発言要旨
 

 全司法本部四役は、10月23日に就任あいさつをかねて大谷直人最高裁判所長官と会見しました。最高裁からは、今崎事務総長、堀田人事局長、和波人事局総務課長が同席しました。

委員長 本日の会見にあたって、全司法労働組合として持っております問題意識のいくつかの項目について意見を述べさせていただき、長官の考えをお聞かせ願いたいと思います。
長官 委員長の御意見は承りました。
 当局と職員団体という立場の相違はありますが、今後ともこれまで同様、相互の信頼関係に基づき、いろいろな問題について、率直に意見交換をしながら、より良い方向で解決していってもらいたいと思います。

裁判所の人的・物的充実について

「社会経済の変化に対応し、国民のニーズに応えていくことが望まれます」

委員長 国の機関で仕事をするうえで、また、労働組合で活動するために、社会情勢の動きを見ることは必要不可欠だと感じていますが、今は情勢が大きく動く、時代の節目ではないかと感じています。政治に関する情勢を見ると、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という日本国憲法を形づくる基本的な価値観が議論の対象になっていることに大きな特徴があるのではないかと感じています。そうした時に、三権分立のもと「憲法の番人」と呼ばれる裁判所の役割がきわめて重要になっており、多くの国民から求められているものだと考えています。
 裁判所が国民の信頼を勝ち取ることは、そこで働く職員にとっても、自らの仕事に対するやりがいや誇りにつながるものだと考えます。こうした社会情勢を受けて、裁判所に係属する事件も複雑・困難なものになっています。家庭や子どもをめぐる社会環境の変化を受けて、家庭裁判所が国民から求められる役割も大きくなっていますし、2002年の推進計画以来の司法制度改革の定着に加えて、裁判手続のIT化など新たな課題も提起されています。これらを着実に実行していくためには、引き続き、裁判所の人的・物的充実が重要だと考えています。
 また、2017年度における新受事件の動向を見ると、家事事件、民事事件が増加していることがうかがわれます。この間、地裁・簡裁から家裁へ、地方から大都市へという人員シフトが続けられてきたことに対して、特に配置人員が少ない中小規模庁の負担感が強く、「人員シフトは限界」との声が強まっています。また、各庁の事務局について、増員を含む繁忙解消が最も強い要求として伝わってきています。
 以上の問題意識をふまえ、各職場の状況をきめ細かく見ていただき、裁判所の人的・物的態勢整備をお願いしたいと思います。
長官 平成も残すところ数か月となりました。この間を振り返ると、裁判の全ての分野にわたって、その態勢と機能を強化し、より身近で、信頼される司法を実現することを期して、大きな制度改革がされてきました。他方で、我が国の社会経済に目を向けると、国際化、少子高齢化、家族観の多様化といった構造的な変化は、今後もそのスピードを増していくことが予想されます。このような状況の下で、国民の信頼を維持し、その期待に応えていくためには、一人一人の裁判所職員が、組織の一員としての役割を意識し、社会経済の変化に対応して、国民のニーズに的確に応えていくことが望まれます。
 各裁判部門の実情をみると、民事の分野では、裁判の質を更に高めていくことが求められていく中で、適正迅速な裁判を実現する方策として、合議の充実・活用を図るなどの取組が進められてきましたが、近時は裁判手続のIT化の検討も喫緊の課題となっています。裁判手続のIT化は、民事裁判の在り方を振り返るための重要な契機と捉え、裁判全体の適正化、合理化といった要素も視野に入れて推進されるべきものと考えています。
 刑事の分野では、刑事訴訟法の改正により新たに導入されることとなった各種制度について、施行後の運用状況を注視しながら、円滑な実施を図っていくことが必要です。また、裁判員制度の運営においては、公判前整理手続における争点及び証拠の整理がその事件にふさわしい的確なものとなっているか、審理・評議において裁判員と裁判官との真の意味での協働が実現できているかといった大きな課題に正面から取り組んでいく必要があります。
 家事の分野では、家庭裁判所の果たす役割への期待が、家庭を取り巻く多くの局面において同時的に高まっています。当事者間の価値観や感情の対立が激しく解決が困難な事件が増えており、紛争や問題の実相を捉えた適正な解決に導いていく必要があります。また、成年後見制度については、今後も更に利用促進が図られ、国民の関心はますます高まっていくことが予想されることから、引き続き、制度の適切な運用に努める必要があります。
 私たちは、これまでも、司法の果たすべき役割がますます重要になるという認識に立ちつつ、司法の機能充実・強化に努めてきましたが、こうした状況にあって、裁判所がその使命を果たしていくために、今後とも人的・物的態勢を整備していく必要があります。一方で、極めて厳しい財政状況の中、裁判所の態勢整備に国民の理解を得ていくためには、より一層の内部努力を重ねていくことが不可欠です。職員の皆さんには、引き続き御協力をお願いしたいと思います。

超勤縮減、事務の簡素化・効率化について

「効率的、合理的な事務処理に向けた意識改革を更に徹底していきたい」

委員長 長時間労働をなくすことは、官民を問わず重要な課題となっています。「過労死・過労自殺」をめぐる問題やワークライフバランスの推進のためにも、労働時間短縮の必要性は社会的に広く認識されるようになってきました。
 使用者の責任において勤務時間を正確に把握することが大前提であり、「持ち帰り・サービス残業」の根絶を一体ですすめることが不可欠ですが、長時間労働をなくすための重要なとりくみの柱は事務の簡素化・効率化をすすめることだと考えます。
 一方で、今の職場の仕事のすすめ方はむしろ「慎重さ」に傾いており、思い切った簡素化・効率化をすすめるためには、最高裁のイニシアチブが必要不可欠だと考えています。
 その背景にあるものとして、私どもはこの間、執務を行うにあたって「適正化」やコンプライアンスを過度に強調する状況が職場に広がっていることを、折に触れて指摘してきました。また、そのことが、事務の硬直化や煩雑さ、事務量の増大を招き、ストレスの強い職場環境を作り、職場の活力を奪い、職員の士気の低下につながっていることも、あわせて指摘してきました。
 もちろん、ミスがないこと、対外的に説明できる適正さが担保されることは、仕事をするうえで必要不可欠なことでありますし、とりわけ、コンプライアンスも含め、裁判所であればこそ、国民から強く求められることは理解しております。
 数年前、書記官事務のあり方に関わって「根拠と目的に沿った仕事」が強調されたことがありました。今あらためて、事件部・事務局を問わず、仕事が真に根拠と目的に沿ったものなのか、ただ「念のために、無難に、できるだけ慎重にやっておく」といったことになっていないか、裁判所全体で事務の簡素化・効率化をすすめるためにも、改めて最高裁が方向性を示し、強いメッセージを発していただきたいと思っています。
長官 長時間勤務の問題は社会的にも大きく取り上げられているところ、最高裁としても、これまで以上に事務の簡素化・合理化を進め、裁判部、事務局を問わず、組織全体として超過勤務の削減や働き方の見直しに取り組んでいく必要があると感じています。全ての職員が持てる能力を最大限発揮することができるよう、その事務処理状況等をきめ細かく把握しつつ、法令に則った適正な事務を遂行していくとともに、効率的、合理的な事務処理に向けた意識改革を更に徹底していきたいと考えています。

職員の育成について

「経験も踏まえた上で、計画的かつ継続的な人材育成が重要」

委員長 年齢構成を見ると、1980年代後半の大量退職・採用期に採用された職員が順次60歳を迎える時期にさしかかっているものと認識しています。
 現在、政府において国家公務員の定年の引き上げが検討されているところですが、定年延長にせよ、再任用にせよ、高齢期の職員がやりがいをもって、いきいきと働ける状況を作ることがきわめて重要な課題になってくると考えています。
 そうした課題の一つとして、人材育成やキャリアデザインの問題があると考えています。
 ベテラン職員については、ジョブローテーションで育てる若手職員と異なり、それまでに得た知識や経験を活かして仕事ができるよう異動や配置を検討する必要があると考えますし、部門別の人材育成や専門性を身につける研修も重要だと考えます。
 裁判所においては、若い時期あるいは管理職を前提とした人材育成の仕組みは比較的作られているものの、中堅からベテラン層を視野に入れた人材育成の仕組みは、率直に言って弱いのではないかと感じています。自らのキャリアデザインのあり方として管理職にならない道を選んだ職員がおり、さらには、今政府が検討している役職定年制が導入された場合には管理職を外れた職員も出てくる状況のもとで、高齢期の働き方として、全ての職員が高いモチベーションを維持するためには、どういう人材育成や異動・配置が良いのか、検討いただきたいと考えます。
 また、そのことが、今後進行していく大量退職の中で、裁判所全体の事務処理能力を維持・強化し、新たに採用される職員の育成を職場の中で果たしていくのに有効だと考えるものです。
長官 社会、経済状況の変化等を反映して、裁判所に求められるものがますます幅広く、深くなってきている中、これまでにも増して、一件一件の事件の適正・迅速な解決に向けて誠実に努めることにより、国民、社会からの信頼をより確かなものとしていくためには、若手から中堅層以上に至るまで職員一人一人の士気を高め、それぞれの経験も踏まえた上で、その能力を伸長させる計画的かつ継続的な人材育成が重要であることから、育成に関する基本的な考え方を組織的に共有するとともに、OJTとOff―JTを通じた職員の育成が図られるように一層努めていきたいと考えています。

全司法との誠実対応について

「率直に問題意識をぶつけ合い、解決を図っていかなければならない」

委員長 1992年3月18日の最高裁事務総長見解以来、全司法と裁判所当局とは相互の信頼関係に基づいて、安定した労使関係を築くことができているものと考えており、日頃から誠意をもって対応いただいていることに対し、改めて感謝いたします。
 全司法は職員の地位の向上と「国民のための裁判所」実現を組織の目的としており、職員の処遇問題にとどまらず、官の職制の中からは浮かび上がってこない職場実態を拾い上げ、可視化し、より良い裁判所を作るために努力しているものと自負しています。そうした視点から、全司法を裁判所の職場をともに作るパートナーとして受け止め、職場で起きる様々な課題について、今後とも建設的な議論を続けていただきたいと考えております。
 その意味でも、全国の各庁で、全司法の意見に耳を傾け、率直で建設的な議論を重ねていくことができるよう、これまで築き上げてきた信頼関係を尊重し、誠実に対応されるよう下級裁に伝えていただくことを含め、確認したいと思います。
長官 平成4年3月18日の事務総長見解の内容は当然のことと考えています。職員の勤務条件やこれに関連する事項については、これまで築き上げてきた相互の信頼関係に基づき、率直に問題意識をぶつけ合い、忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図っていかなければならないと考えています。
 担当部局には、今後もそのような立場で努力させたいと思いますし、職員団体もその方向で努力していただきたいと思います。

 
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調査官3年目異動
「庁規模は一義的、固定的に定めるものではない」と認識
秋年期第2回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は10月29日、秋季年末闘争期第2回となる最高裁和波人事局総務課長との交渉を実施しました。交渉では国民のための裁判所実現、職員制度(職種)、昇格の各課題について、職種担当の中央執行委員も参加して職場の実情を訴え、要求実現をめざしました。

小規模庁「適正な人員配置に努めたい」

各職種の要求について主張
 司法制度改革に関わって、最高裁は「職員及び職員団体の意見を踏まえながら、人的・物的な面を含めた態勢の整備を計画的に行ってきた」「事件数の動向や事務処理状況等を常に注視し、必要な検討等を行っていく必要がある」との基本姿勢を示しました。また、独立簡裁を含む小規模庁の機能充実について「担当者が少数であることや書記官等が多様な業務を担当しているといった事務処理の実情等を踏まえた配慮を行っている」とし、「各庁各部署の実情等を踏まえた適正な人員配置に努めたい」との姿勢を示しました。

タクシー押送「適切に運用」 職場での問題点を指摘

 タクシーによる少年押送の抜本的見直しを求めたのに対し、「逃走防止やプライバシー保護の措置を施した上で、適切に運用されている」と回答しました。本部からは契約の困難さや逃走時の責任の問題、小規模庁においても頻度高い少年押送の実態などを追及しました。
 また、外国人事件が増加傾向にあるもとで、通訳人の確保と質の向上について求めたのに対し、「必要な通訳人の確保に努めたい」「通訳人候補者に対し法廷通訳経験の多寡などに応じた複数タイプの研修を行っている」と回答しました。

テレビ会議を活用した研修 「検討を始めたところ」

 研修の充実に関わっては「研修の企画、実施、研修環境の整備充実等に努めていきたい」との基本姿勢を示しました。また諸要求期に検討姿勢を示したテレビ会議を活用した研修実施について、「検討結果を明らかにできる状況にない」としながらも「司法研修所の試行を踏まえつつ、検討を始めたところである」と回答しました。
 書記官の課題では、特に郵券管理の在り方をはじめとする事務の簡素化・効率化について追及を強めました。総務課長は「法的な根拠及び本来の目的から」「あるべき事務処理態勢を構築していくことになる」、「そのため、結果として事務が簡素化・効率化するものもあれば、拡充するものもある」とした従前の姿勢に終始しました。また、送達費用の手数料化を求めたのに対し、「郵便料金の手数料化が裁判実務、とりわけ書記官実務に大きな影響を与えるものであることは認識している」としましたが、「現時点において明らかにできるものはない」との回答にとどまりました。

3年目異動「家庭事情等にも一定の配慮」

 家裁調査官の異動施策に関わって、「公平性を損なわない範囲で、本人の生活環境にも十分配慮した異動が行われるよう更に検討したい」と回答し、庁名を明示した意向打診は困難としながらも、「できる限り早い時期に内示できるよう努めている」と回答しました。また、いわゆる3年目異動について小規模庁に限定しない幅のある配置を求めたのに対し、「具体的な配置においては、庁規模は一義的、固定的に定めるものではない」との認識を示した上で、「各庁の事件数、事務処理態勢、人的構成等を個別に検討し」「家庭事情等にも一定の配慮を行った上で、育成に相応しい庁を選定して配置している」と回答しました。今後の配置にあたっての足がかりとなるものです。
 なお、実務修習中の超過勤務について「正規の勤務時間を超えることがないようなスケジュールにすべきである」とした上で、「その時間を家裁調査官補に適切に申告させるなどして、的確かつ遅滞なく把握するよう今後も指導を徹底したい」と回答しました。

電速、試打・研修に検討姿勢

 電子速記タイプライターの官支給について、今年の整備予定庁やメンテナンス体制などについては明らかにしませんでしたが、速記官による試打については「要望があれば機会を設けることを検討する」との姿勢を示し、研修実施についても「今後検討していく」との姿勢を示しました。
 昇格では、人件費を巡る厳しい情勢を強調し、「これまでにない厳しい状況もあり得る」としながらも、「職務に応じた適正な処遇を行い、モチベーションの維持向上を図る必要がある旨強く主張し」「年末に向けて全力を尽くしていきたい」との姿勢を示しました。

 
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電子速記タイプ官支給がいよいよ目の前に
地連速記官担当者会議・上京団交渉
 

速記官がやりがいを持てる執務環境を

速記官上京団交渉の様子
 11月4〜5日、地連速記官担当者会議と、引き続く最高裁交渉を行いました。
 担当者会議では電子速記タイプライター(機種名:ルミネックス)の整備に向けたこの間の経過報告に加え、長年の悲願である電子速記タイプライターの官支給がいよいよ目前に迫った喜びを共有するとともに、メンテナンス体制や更新計画など、整備にあたっての具体的な運用に関わる要求を確認しました。
 また、今年度も「速記官の養成再開署名」にとりくむとともに、全司法の運動によって電子速記タイプライターの官支給が実現したこのタイミングを活かし、未加入者への加入呼びかけを強めていくことを意思統一しました。
 執務環境改善の課題では、会議に向けて実施した事前調査をもとに、各地の実態を出し合って意見交換しました。大規模庁における法廷録音機の不足状況をはじめ、立会事件の選定・速記要請について速記官が関与できない庁や所在尋問に速記官が立ち会えない庁の実態、1人庁解消に向けた異動要求の実現など、速記官が抱える職場の課題や、やりがいを持って働きつづけられる職場環境の整備について議論し、その改善を求めることを確認しました。

速記官の要求実現を地連・支部のとりくみに

 来年度には、速記官が配置されている全45庁のうち、3人庁までの少人数庁が32庁(うち1人庁は14庁)と、全体の7割を占めることが予測されます。速記官の執務環境改善のためには、各地連・支部のとりくみに速記官の要求を反映させ、その実現につなげていく必要があることが改めて確認されました。
 上京団交渉では、1年目には3人庁以上に整備予定の電子速記タイプライター官支給に関して、2年目にはそれ以外のすべての庁に整備するよう訴え、また、先行して納品された2台については早期の供用(職場配付)を求めました。その他、昇格改善、速記官の立会のあり方、法廷用録音機、研修、特定健康診断などに関する要求を主張しました。

 
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自主的活動 花開け! 第2回
「声かけ待っていた」との声も 札幌支部
 

「声掛けキャンペーン」で8名加入

青年部で組織拡大について検討
 こちら北国では紅葉も終わりを迎え、道民一同は冬眠の準備のため、木の実拾いに追われています。中でもドングリは栄養価も高く、取り合いも起きるほど。しかし、これを狙っているのは道民だけでありません。熊もまたこれを狙っているのです。そのため最近では、人里での熊の目撃情報が相次いでいます。知床観光などに訪れた道外の人が熊を見つけると、カワイイーなどと言って逃げようともしないそうですが、これは大きな間違い。野生の熊は自分のテリトリーが脅かされると容赦なく襲い掛かってきます。くまのプーさんのシャツが元々白かったことは、道民には常識です。
 さて、前置きが長くなりましたが、札幌支部では2月から7月ころにかけて支部、高・地・家裁分会、青年部の各役員を対象に、役員1人につき1人の未加入者(新採用職員を除く)を勧誘するキャンペーンを実施しました。延べ40名の方に声掛けを行ったところ、8名の方、すなわち実に2割の方に加入していただきました。清宮幸太郎選手の今シーズン打率と同じと言えば、いかにすごい数字かお分かりいただけますでしょうか。

「声掛け・きっかけを待っていた」 まずは一人目から

 そんな打率を上げることができた声掛けキャンペーンですが、加入してくれた方からは「声掛けされるのを待っていた」という話を聞きました。「加入したいけれども誰に聞いたらいいのか分からない」や、「きっかけがあれば加入したい」と思っている方は意外と多くいるのだと思います。
 声掛けをしていると断られることも多く、心が折れそうになることもあります。しかし、諦めないで声掛けを続けると、いつかはそれが実を結ぶと確信しました。二軍降格から復活した清宮選手のように諦めない気持ちが大切なのです。
 ぜひこれを読んだ方も、まずは1人目から実践してみてください。なお、本キャンペーン実施にあたっては各機関役員の方に多大なるご協力をいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げるとともに、来シーズンの清宮選手の活躍を祈念して本稿を締めたいと思います。
(札幌支部)

 
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「健全育成」の理念にもとづく議論・検討こそが必要
2018年度少年法対策会議
 

金矢弁護士法制審の
状況を報告
 11月3日〜4日、少年法対策会議を開催しました。法制審議会での議論が重要な局面を迎えるもと、各地で少年法の運動に関わってきた組合員等が参加し、今後のとりくみを意思統一する会議となりました。

必要な処遇が行われない制度となる

 会議1日目、日弁連・子どもの権利委員会の金矢拓弁護士から、少年法適用年齢問題の法制審議会での審議状況について基調報告を受けました。
 金矢弁護士はこれまでの議論状況を振り返るとともに、7月26日に出された「分科会における検討結果」の中で構想されている18・19歳に対する処分の枠組みについて解説した(表1)うえで「本当に必要な処遇が行われない制度となり、少年法の適用年齢引き下げの代替となるものではない」と批判しました(表2)。
 
 法制審のスケジュールについては「年内に議論を終了するという最悪のシナリオも想定していたが、まだ両論併記になっている部分が多いことなどをふまえると、常識的にはそれは厳しそうだ」と述べたうえで、「自民党の委員会が適用年齢の引き下げを打ち出した2015年当時に比べると沈静化している状況もある。民法と少年法とは別だという議論も出てきている中で、18・19歳を少年法の対象外とすることについて疑問を持っている国会議員もいるので、そこに働きかけていきたい」と述べました。
 講演を受けた全体討論では、18・19歳が立ち直りの好機であること、「健全育成」の理念にもとづく議論・検討がなされる必要があること、年齢引下げが行われれば、家裁調査官の働き方や裁判所予算などにも大きな影響が懸念されることなどが議論されました。

「活動の担い手」を作っていくことが重要

 会議の2日目には、今後の運動のすすめ方について議論しました。
 これまでとりくんできた、@少年法をめぐって世間一般的に広がっている「誤解(増加・凶悪化)」を解く、A対象から外れる18・19歳の実像・立ち直りの可能性を指摘する、B家裁・家裁調査官が少年事件で果たしている役割を伝えることに加え、「若年者に対する新たな処分」の問題点を指摘し、法制審、最高裁、国会・政党への働きかけを行うことを、全司法が行うべき役割として確認しました。また、引き続き、日弁連・弁護士会との協力・共同をすすめるとともに、それ以外の団体等との共同・共闘も検討することを意思統一しました。
 参加者からは「官ルートも含め、少年部の家裁調査官に状況が伝わっていない」「家裁調査官の中でも問題意識が広がっておらず、他職種はなおさら」といった問題が指摘され、学習・宣伝を強める必要があるとの意見が多く出されました。
 また、これらのとりくみをすすめていくために「活動の担い手」を作っていくことが意思統一されました。

 
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