10月14日〜15日、伊東において今年度第1回目の全国書記長会議が開催されました。第74回定期大会で確立した「新たな組織方針」のもとで「支部の自主的・自立的な活動」をすすめるために、各地連・支部が新執行体制となった年度の初めに、運動の中心となる書記長が一同に集まって、全国的に必要な意思統一を行い、具体的な活動計画を立てていくことがこの会議の目的です。
国民・市民とともに運動する中で、要求前進をめざす
開会あいさつで中矢委員長は、10月24日から臨時国会が始まることを踏まえ、安倍政権の政策の行き詰まりや改憲に向けた動き、市民に後押しされる形で野党共闘がさらに発展していること、沖縄県知事選挙の結果が政治の「潮目」を変える可能性などに触れつつ、「情勢を掴み、国民・市民とともに運動する中で、要求前進をめざす。裁判所の労働組合として憲法を守り活かす旗を立てる、そうした運動が背景にあってこそ、私たちの職場の要求も前進していく」と述べました。
増員要求、極めて不十分であり、到底容認できない
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「秋年闘争の課題ととりくみ」を 報告する長岡書記長 |
長岡書記長は秋季年末闘争の課題ととりくみについての報告で、今年の人事院勧告について問題点を指摘しつつ、「5年連続の賃上げとなったことは、春闘段階からの官民一体となった運動の到達点」と述べて、改善部分の早期実施を求めてとりくみをすすめる考えを示しました。あわせて、定年延長については賃金水準など人事院の意見の申出の内容は「到底容認できない」と指摘し、国公労連に結集してとりくみを強めるとともに、裁判所の制度設計に対する全司法の要求をとりまとめることを提起しました。
2019年度予算の概算要求については、とりわけ増員について「極めて不十分」との強い姿勢を示し、2020年度以降の新たな定員削減計画を政府に策定させないこと、最高裁の姿勢を変えさせることが必要であると強調しました。そのためにも、全司法大運動の国会請願署名と国公労連の「公務・公共サービス拡充を求める請願署名」を「車の両輪」と位置付け、積極的にとりくむことを提起しました。また、全司法大運動のとりくみに関わっては、各支部が推進計画を立てること、組合員をはじめとした職場内の集約を強化することを強調しました。
焦点は事務の簡素化・効率化、適切な労働時間の把握
職場諸要求実現のとりくみについては、「要求書を当局に提出し、交渉で当局から要求前進を引き出してくることは、労働組合の基礎となる活動」と改めて強調し、とりわけ、秋季年末闘争での支部独自要求の確立と12月初旬までの交渉配置を行うこと、交渉での要求前進をめざすために、署名、寄せ書き、朝ビラなど「組合員が参加でき、全司法の姿を職場に示せる支部独自行動」を全ての支部がとりくむよう提起しました。
人員については、各地連・支部の交渉で「職場実態や繁忙状況を的確につかみ、リアルな追及をしていくことが決定的に重要」だとしました。労働時間については「論点は出尽くした。焦点は事務の簡素化・効率化と適切な労働時間の把握だ」とし、各支部のとりくみとして、サービス残業根絶について最高裁回答を職場で活用することの重要性を訴えました。
また、ここ数か月で立て続けに台風や地震災害が相次いだことを踏まえ、「災害時においても業務継続に向けて努力することは当然だが、その前提には、職員の安全確保が最優先されなければならない」と述べて、この秋の重点課題として位置付けると述べました。
「検討姿勢」から具体的に実を結ばせる秋にしよう
IT化では全般的な課題に加え、最高裁が人・給システムの導入に向けて舵を切ったことについて「政府の圧力による『導入ありき』の見切り発車」だと厳しく指摘し、拙速な導入を許さない立場を強調しました。
各職種の課題では、行(二)職の処遇の維持に向けた方策、事務官のポスト拡大と専任事務官の積極的な登用、書記官事務の簡素化・効率化、調査官の育成新施策の見直しと超過勤務実態の正確な把握などを、この秋の重点課題とすることを提起しました。
こうした職場諸要求実現に向けたとりくみの方向性を示した最後に、長岡書記長は「2018年諸要求貫徹闘争では、『全司法の主張が最高裁の検討を促している』と総括した。この秋以降、最高裁が検討姿勢を示した課題について具体的に実を結ばせる必要がある」と述べ、本部・地連・支部が一体で要求実現に向けたとりくみをすすめる決意を示すとともに、「仮に秋に具体的な回答を示さない場合には、次の諸要求期は厳しい姿勢で臨まなければならならない」と指摘しました。
職場で対話。枠にこだわらず、集まってみよう
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「自主的・自立的な支部活動」の 報告をする鳥井書記次長 |
「自主的・自立的な支部活動のすすめ」と題して報告した鳥井書記次長は、第74回定期大会で確立した「新たな組織方針」にもとづいて、これから1年の地連・支部での運動をスタートさせるにあたって重要となるポイントを説明しました。最初に「新たな組織方針」が、全司法が運動の柱に据えていた地連専従役員配置の凍結を前提としたものだという経過に触れつつ、「地連専従役員を凍結しても、運動の質を維持・向上させ、全司法を将来に向けて発展させていくためにどうしたらいいのか。そのために『支部での自主的・自立的な活動をしていこう』というのが新たな方針の要の部分だ」と述べました。
そして、「新たな組織方針」が示したとりくみの基本である「職場における対話活動の強化」の意義について、@職場から出された要求を実現させるための運動を作っていくことが可能になる(運動の充実)、A組合員が主体的に関わり、そこで出された意見にもとづく活動ができる(支部活動の活性化)、B組合員に労働組合に入っていることを実感してもらう(居場所作り・仲間作り)という3つの観点から報告・説明を行いました。特に「職場会」の位置付けについては「活動の中心に据えたいのは『対話活動』である」と述べて、共通の話題があり、日常的に集まりやすいことから「職場会」を提起しているとの趣旨を説明したうえで、「『職場会』も対話のツールの一つ。集まりやすいのが青年同士であれば青年の会、女性同士であれば女性の会、職種であれば職種の集まりなど、組合員で集まって、職場のことを話し、組合活動について意見を聴き、愚痴が言い合える居場所を作る中で全司法の活動を見せていこう」と強調し、「枠にこだわらず、集まってみよう」と提起しました。
各支部で1年間の運動のイメージを作ろう
これら2つの本部報告を受けて、初日は庁規模別、二日目は地連ごとに分かれての分散会を行い、秋季年末闘争の課題について意思統一を行うとともに、@各支部独自要求の確立と12月初旬までの交渉配置、A要求実現に向けた各支部独自行動の計画と具体化、B職場会の確立と実施、C組織拡大など、「自主的・自立的な支部活動」をすすめるために必要なとりくみについて、各支部が1年間の運動のイメージを持ち、計画を作ることができるよう、他支部の経験等にも学びながら討議を深めました。
若手役員が多数参加!活気ある会議に
7月の大会で「全国書記長会議に、書記次長や大規模分会書記長などの参加を認めてほしい」との要望があったことを踏まえ、同時に「次世代の運動の担い手」を作る観点から、今回の会議では各地連からの参加枠を拡大しました。若手役員が多数参加する活気のある会議となったことについて、米島青年協議長は「青年層が各地連・支部のとりくみに関わるきっかけになることを期待します」と述べました。
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