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全司法新聞
 
5年連続の賃上げ、定年延長の意見申出、しかし、中味は問題山積 2018年人事院勧告
 

 人事院は8月10日、政府と国会に対して、国家公務員の給与に関する勧告を行い、同時に、公務員人事管理に関する報告、定年延長にかかる意見の申出を行いました。賃金・一時金ともに5年連続の改善となりましたが、生活改善にはつながらない低額の勧告です。定年延長に関わっては、「当分の間」としつつ給与等を60歳前の7割に引き下げることなど、問題の多いものになっています。

平均655円(0・16%)、一時金0・05月の改善

 給与勧告では、人事院が算出した官民較差にもとづいて、月例給で平均655円(0・16%)、一時金(ボーナス)で0・05月を、それぞれ改善するものとなっています。具体的には、俸給表を改定して、初任給を1500円、若年層については1000円程度、その他は400円の引き上げを基本として全ての号俸を引き上げ、一時金は勤勉手当に配分するとしています。
 5年連続の改善勧告となりましたが、改善額はわずかで、生活改善につながらない低額勧告です。とりわけ、4月に「給与制度の総合的見直し」の現給保障が廃止されるなど、ベテラン層職員を中心に賃下げになっている状況のもと、「高齢層に重点をおいた配分など生活改善できる政策的な賃上げ」を求めていた私たちの要求に応えないものとなっています。
 手当については、宿日直手当が200円引き上げられるものの、職場の強い要求である通勤手当や、昨年の勧告で「必要な検討を行う」としていた住居手当の改善を見送ったことは不満です。住居手当については、改善を実現するためには、較差外の手当とすることを同時に求めていくことが重要です。 再任用職員については、月例給・一時金ともに改善するとし、今回はじめて他の職員と同様に一時金の改善をはかるとしたことは、運動の一定の成果です。一方、生活関連手当の支給や退職前の年休繰り越しの要求には応えませんでした。

超勤の上限時間を人規に明記、実効性が課題

 公務員人事管理に関する報告では、さきの通常国会で「働き方改革関連法案」が成立したことも踏まえて、長時間労働の是正にむけて超過勤務命令の上限を人事院規則において原則1月45時間・1年360時間(他律的業務の比重の高い部署においては1月100時間・1年720時間等)に設定するなどの措置に言及しています。
 国公労連全体としては、上限規制の厳格な運用とそれを可能にするための客観的な勤務時間管理の義務化、さらには必要な要員確保などを求めて、これを実効あるものにしていくことが課題です。
 裁判所においては、全司法がこの間、勤務時間の適正把握、事務の簡素化・効率化による超勤縮減、早朝・休日も含めてサービス残業をなくすことの3つを一体ですすめるよう要求して勝ち取った、「持ち帰り・サービス残業があってはならない」等の最高裁回答をはじめとした到達点を職場の隅々にまで浸透させ、その実効性を確保させることが重要です。

65歳まで段階的に定年延長、給与水準は7割

 定年延長にむけては、定年年齢を65歳まで段階的に引き上げるとした意見の申出が行われました。
 その内容は、役職定年制の導入、60歳超職員の年間給与を60歳前の7割の水準に引き下げること、定年前の短時間再任用の導入、分限処分を適時厳正に行うことを目的とする人事評価の適正な運用の徹底などとなっており、多くの問題点を含むものとなっています。
 今後、これにもとづいて政府がどういう制度設計をするかが最大の焦点になることから、引き続き、国公労連に結集して、定年延長を希望しない人も含めて、安心して働き続けられる高齢者雇用の枠組みを作らせることが重要です。
 あわせて、最高裁が裁判所にどう当てはめるかが課題となってきます。これまでの裁判所における再任用制度の到達点を足がかりに、裁判所の特殊性を踏まえた運用を実現するよう求めていく必要があります。

パワハラ対策で検討会を設置、森友・加計の影響も

 公務員人事管理に関する報告では「今般、決裁文書の改ざん、幹部職員によるセクシュアルハラスメント等の問題により、国民の信頼を大きく損なう事態が生じていることは誠に遺憾」と述べ、行政への信頼回復に全力を挙げるとして、一定の方向性が示されています。森友・加計問題など、政治の責任で起きた問題を公務員の人事管理に転嫁する姿勢には疑問を感じるとともに、今後の具体化を注視する必要があります。
 また、パワハラについては、検討会を設けるなどして外部有識者の意見も聞きながら、公務におけるパワハラ対策を検討するとしており、パワハラ対策の強化を求めてきた私たちの要求が反映されるよう、注目していく必要があります。
 非常勤職員については、雇用の安定や均等待遇など、制度の抜本的、賃金、有給休暇制度をはじめとする改善を求めてきた国公労連等の要望を正面から応えることなく、結婚休暇等の慶弔に係る休暇を措置するにとどまりました。

 
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地連大会の特徴 「新たな組織方針」の具体化が求められる地連大会
 

 北海道(8/18)、東北(8/18)、東京(8/4)、中部(8/18〜19)、近畿(8/4)、中国(8/18〜19)、九州(8/4〜5)の各地連大会で定期大会が開催されました。出席した本部役員が、その様子について報告し合いました。

九州地連大会の様子
東北地連―新執行部を選出

地連専従凍結のもとで支部の活動が重要に

中矢 昨年の全国大会での決定を踏まえ、今年度から地連専従配置の凍結が具体化することから、近畿では地連委員長の挨拶で「地連書記長が非専従になることを踏まえ、覚悟を固める大会」と述べ、そのことが意識された大会となりました。
長岡 中国では、地連専従を凍結するもとで、これまで以上に各支部が自主的に活動し、運動の質を落とさないことを確認しました。
 九州でも、各支部がそれぞれの活動に誠実に対応すること、職場や分会に顔を見せていくことが大切であり、各支部がその責任を十分に果たし、地連との情報共有や連携を図っていくことを確認しました。
田中 中部は独自財政でもう1年、地連専従を配置することを決め、この1年間で専従未配置後のありかたを検討していくとしました。
鳥井 東京ももう1年専従配置を続けるとしており、その後の運動が課題になります。
中矢 これまで専従配置がなかった北海道が、これを機に「すべての支部が本部役員を選考する責任を持つことを確認したうえで、人材を育てていこう。そのために各支部ができることをやっていこう」と意思統一し、その中で地連・支部も含めた運動の担い手を作っていくことを提起したのは心強く感じました。
鳥井 東北では、各支部持ち回りで年に1回開催している青年のつどいを成功させ、若手の加入と育成をすすめるためにも、全体で青年をサポートしていこうと意思統一しました。

人員、超勤など、職場で起きている問題が報告

鳥井 東京では、職場実態を踏まえた発言が多く出されました。「超勤をしても理由を説明して認められないと許可してもらえない」「産前休暇前の年休を使わないでほしいと言われた人が複数いる」といった事例も紹介されました。
長岡 中国では、家裁調査官の人員がもともと少ない中で、育休代替を事務官で補充してもできる事務が限られ、繁忙解消に至っていない等、家裁調査官の課題が多く発言されました。2月の異動内示では保育園の申込みに間に合わず、12月中の内示を強く要求するといった発言もありました。
 九州では、大幅な人員削減が強行された影響が大きく、事件数が増加している職場でもシフトにより削減される職場もあり、地方職場の人員確保は秋の重要な課題となります。また、離島を抱える九州では異動要求の実現は切実な課題です。
中矢 育休等の代替要員の確保が困難になっているのではないかという問題意識は北海道でも示されました。
 近畿で「大阪高裁の頑なな態度」と指摘されていたのが、事務の簡素化・効率化に向けた姿勢と他高裁からの異動の受け入れなどです。
田中 中部では家裁調査官の増員がすすまないもとで、本庁から支部に人員がシフトされたり、減員によってチームとして仕事がしにくくなったという意見が出ていました。「超過勤務も増えているが、仕事が出来ないと見られるのが嫌で申請していない」と言った声も出されていました。

「職場での対話」が組織強化の肝

鳥井 活動面で、東北では、本部や地連が提起する運動に対し各支部できちんと総括がなされている印象です。全司法大運動、朝ビラをきっかけとした対話、組織拡大強化などについて教訓的な発言が多く出されました。
 東京では、事務官の退職時5級を確実に発令させるため、これまでの総括を踏まえた今後のとりくみが強調されたこと、次年度の活動として、中高年の集いと同上高団交渉の配置が提案され、全体で確認されたことが特徴的でした。
長岡 九州では、これまでの堅実な運動も背景に、職場会活動が各支部で実践されている様子です。支部独自の行動も昨年秋には工夫してとりくまれたことが印象的でした。
 中国では、各職場で工夫しながら職場会が行われている様子がうかがわれ、定着させていくことが重要であると強調されました。
田中 中部では、委員長挨拶で組合の原点に立ち返り「要求を吸い上げ解決する」ことが強調され、書記長の提案でも職場会を基礎にした組織対策をはかっていくとの提案がありました。これを受けて、各支部からも職場会のとりくみ報告がありました。
中矢 近畿でも、書記長提案で「新たな組織方針」は現場の思いを受け止めた方針だとの説明があり、「職場における対話活動が、組織強化の肝」と強調されていました。職場会のとりくみが各支部に広がっていくことが重要だと思います。
長岡 中国は、地連として確定人員数を維持して迎えた定期大会であり、高い水準にある新採用職員の加入を更に増やし、脱退を減らしていくことで組織を増勢に転じさせていく決意を固めた大会になりました。
中矢 北海道地連が、新採用職員加入のとりくみについて、各支部の努力は評価しつつも、地連の歓迎会(イベント)頼みになっていたのではないか、早期加入の方針が徹底されたのかといった視点で総括していたのは重要な指摘だと思いました。

 
 
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