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全司法新聞
 
2018年人事院勧告に向けて
労働基本権「代償措置」の役割発揮を!
 

 今年も8月上旬に人事院勧告が出される予定となっており、現在、全司法と最高裁、国公労連と政府・人事院との交渉が続いています。今年の人事院勧告に向けたとりくみでは、賃金改善をはじめとして、多くの課題で、人事院に対して労働基本権の代償措置としての役割を果たすよう求めることが極めて重要になっています。

「政策的な賃上げ措置」を求める

 2018年春闘の結果、多くの企業で5年連続のベースアップが実施され、昨年を若干上回る賃上げ状況となっています。また、経団連の2018年夏のボーナスの一次集計結果では、大手企業の平均妥結額は前年比6・71%増で、調査開始以来で最高という結果となっています。こうした民間の到達点が人事院勧告の基礎になりますが、国公労連は「政策的な賃上げ措置が求められる状況だ」と主張しています。
 最大の問題は、ここ数年、官民ともに賃上げが行われているもとで、公務の職場では「給与制度の総合的見直し」によって、中堅・ベテラン職員の賃金は改善されておらず、今年4月からは「現給保障」が廃止されたことで、むしろ平均5937円(全司法の調査)の賃下げとなっています。これに加えて、配偶者にかかる扶養手当の改悪、宿舎使用料の引き上げなどもあり、中高年層の賃金改善は必要不可欠です。こうした実態をふまえ、全世代での賃上げを強く要求しています。

今年こそ、住居・通勤手当を改善せよ

 手当の中では、とりわけ、住居手当の改善が重要です。人事院は昨年の勧告で「公務員宿舎の削減等により受給者の増加が続いている。今後、その動向を注視しつつ、職員の家賃負担の状況、民間における住宅手当の支給状況等を踏まえ、必要な検討を行っていくこととする」としつつ、改善を見送りました。青年層をはじめ、強い要求が出されており、今年こそ改善が必要です。なお、住居手当は較差内(本俸と同じ原資を使う)の手当とされていることから、国公労連は較差外の手当として、本俸にマイナスの影響を及ぼすことなく改善するよう要求しています。
 裁判所では家裁調査官をはじめ新幹線通勤が増加し、自己負担も月額3万〜6万円にのぼっているもとで、新幹線を利用して通勤する職員に対する「通勤手当の特例」の改善は切実な課題です。全司法は、異動が「官の都合」で行われていることもふまえ、最高裁に対して人事院への働きかけを強めるよう要求するとともに、国公労連に結集して改善が実現するよう目指しています。
 国家公務員全体の課題では、非正規職員の安定雇用と処遇改善も重要です。

定年延長、超勤規制、パワハラ対策なども課題

 政府は2月に人事院に対して、国家公務員の定年引上げの検討を要請しており、人事院は今年の人事院勧告と同時に、定年延長についての考え方を示すものと思われます。公務に導入されれば、今後の民間での高齢期雇用に影響を与えることもふまえ、「総人件費削減」を前提とする政府に対して、人事院が労働基本権の代償措置として役割を発揮することが重要です。
 具体的な課題では、役職定年制、60歳を超える職員の給与水準、短時間勤務の枠組みなど、高齢期の職員が安心して働ける制度になるよう追及を強めることが必要です。
 長時間労働をめぐる課題が社会問題となり、民間を対象とした「働き方改革」関連法案が成立したもとで、超勤規制などの公務における働き方も課題となってきます。民間では労使の協約で決める部分もあり、これを制約されている公務員について人事院がきちんと対応するよう、勤務時間の適正な把握と、実効ある超過勤務の削減を求めていくことが重要です。
 また、休暇制度では、とりわけ不妊治療のための通院休暇等の新設が重点課題となっています。
 あわせて、厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」が3月に報告書をとりまとめたことをふまえ、公務でのパワハラ対策をすすめていくことが人事院勧告期の重要な課題です。

 
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賃金、諸手当、定年延長などの課題で当局を追及
人事院勧告期における最高裁交渉
 

 全司法本部は7月10日、人事院勧告期に向けた要求の前進をめざし、最高裁人事局和波総務課長と交渉を実施しました。交渉では、賃金や諸手当の改善、休暇制度の拡充などの制度課題に加え、定年延長における制度設計やパワハラ対策等について追及しました。

賃金・諸手当改善の要望「関係機関に伝える」

最高裁交渉の様子

 賃金改善については、給与制度の総合的見直しにおける現給保障の終了や扶養手当の改悪など、この間の労働条件の不利益変更を上回る賃上げを求めて追及を強めました。最高裁は「職員及び職員団体が生計費の維持、確保という観点から、賃上げに向けた強い要望を持っていることは認識しており、職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
 また、諸手当の改善については、地域手当や通勤手当、単身赴任手当の改善を求めるとともに、これまで人事院が検討姿勢を示している住居手当について、支給上限額の引き上げに加え、受給者が増加する状況のもと、見直しが本俸の改善に影響しないよう、住居手当を較差外に位置付けるよう求めました。最高裁は「今後とも人事院の動向を見守っていきたい」「職員団体の要望は伝える」等と回答しました。8月の人事院勧告に向けては、夏季闘争の具体的なとりくみについて、引き続き国公労連への結集を強めていくことが重要です。

少年押送、タクシー利用の問題点指摘に「適切に運用されている」と回答

 国家公務員の定員管理に関わって、国の定員合理化計画に協力しないよう改めて追及するとともに、新たな定員合理化計画を策定しないように政府への働きかけを求めましたが、最高裁は「意見を述べる立場にない」との姿勢を崩しませんでした。また、行(二)職の必要な人員の確保を求めるとともに、とりわけ少年押送に関わって、現行のタクシー利用による問題点を改めて指摘し、今後の運行業務の在り方について最高裁を質しましたが、「行(二)職の新規採用は極めて困難」とし、「少年押送における業務の性質及び各庁の実情を踏まえて、」「適切に運用されているものと認識している」、「(契約の困難性について)遺漏なく対応されている」との回答にとどまりました。今後さらに運転手が減少していく状況のもと、タクシーを前提とした現在の運用の問題点を最高裁に突き付けていく必要があります。

定年延長「政府の検討状況注視」

 定年延長に関わって、最高裁は「職員が強い関心を有していることは十分認識している」「裁判所としては政府の検討状況を注視していきたい」とした上で「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」との基本姿勢を示しました。本部は、現在の人事院の検討状況を踏まえ、60歳を超える職員の賃金水準の維持や定期昇給の実施、定年前に退職した職員の柔軟な働き方、役職定年制に関する対象範囲や任用換の在り方に関する慎重な検討、退職手当の水準維持・改善など追及を強めました。いずれの課題においても「政府の検討状況を注視していきたい」との回答にとどまりましたが、定年延長による在職年数の長期化や役職定年制の導入に伴い、特に専任事務官を中心とする処遇の在り方が改めて問われることとなることから、改めて裁判所の制度設計における全司法との協議を求め、誠実対応を確認しました。
 女性がん検診や青年の血液検査をはじめとする健康診断項目の充実・改善に対しては「裁判所のみが独自に定めることは困難」とし「職員団体の要望は人事院に伝わるようにしたい」と回答しました。また、パワハラについて、厚労省の検討会の報告書を踏まえ、専門の相談窓口設置をはじめとする具体的なとりくみを求めたのに対し、最高裁は「人事院の動向を注視しつつ、引き続きパワハラ防止に向けたとりくみを検討していきたい」との姿勢を示しました。
 休暇制度に関わっては、特に不妊治療のための休暇の早期新設について、職場での事例も指摘しながら追及を強めました。

 
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日常活動の基礎に年4回の職場会
鳥井書記次長釧路支部を訪問
 
職場大会で報告する間地連書記長

 6月21日〜22日、組織強化・拡大の課題で、北海道地連の間書記長とともに釧路支部の本庁分会と帯広分会を訪問しました。
 両分会での昼休み職場大会に参加し、直接組合員の皆さんに本部の活動とその成果をお知らせして改めて全司法への結集を呼びかけ、21日夜には役員のみなさんと支部における運動の進め方や労働組合の活動について意見交換を行いました。

最高裁回答を活用し、一緒により良い職場を

 職場大会では、直前に実施した最高裁との交渉で勝ち取った前進回答を紹介し、交渉において「回答」として伝えられることは現時点での最高裁の方針であること、方針である以上、本来は全国のすべての職場で回答どおりに組織運営がされるべきところ、現場の管理職や職員が回答を理解していなければ方針どおりの職場にはならないことを伝え、「勝ち取った回答を活用して、私たち労働組合の運動でより良い職場を作っていきましょう」と呼びかけました。
 また、交渉は「職場にどういう課題があって、それについて労働組合(職場)がどういう解決を求めているのかがきちんと伝わるシステム」だと説明し、交渉がより充実したものとなるよう、「職場実態や職場の要求を本当につかんでいるのは全司法だと言える活動」をしていくことが大切であることを伝え、組合員のみなさんの結集を呼びかけました。
 組織拡大についても、未加入者への加入のよびかけに、職場での結びつきを持っている組合員一人ひとりが協力してほしいと訴えました。

「万能薬」はなくても、「処方箋」を持って働きかけよう

 帯広分会では組合員のみなさんに発言を求めたところ、「脱退した人への再加入の呼びかけや再任用職員に対する呼びかけで、効果的な言葉はありますか」との質問が出され、職場でも組織拡大の重要性が認識されていることを心強く感じました。
 組織拡大に万能に効く「魔法の言葉」はありませんが、働きかける相手の置かれた状況や要求をふまえた「処方箋」を持って働きかけることが大事だとお答えしました。
 結局、私なりの思いを伝えることにとどまった感はありますが、本部から支部・分会の組合員に直接訴える機会がなかった中で、本部の思いを伝えることができたのは、有意義な機会になったと思います。

4月新採用は全員加入を達成

釧路支部の役員のみなさんと

 機関役員との懇談では、支部役員から「職場での対話活動」を基礎に据えた「新たな組織方針」に基づいて、すべての職場で職場会を4回ほど実施し、その中で組織拡大も進んだ経験が話されました。
 釧路支部は今年4月に5名の新規採用職員を迎えましたが、新採用職員に対して職場の中で全司法への加入を呼びかけ、全員加入を達成する成果につながっています。
 今回も本庁分会の昼休み職場大会には新加入の4名を含む33名(43名中)が参加、帯広分会でも17名(20名中)の組合員が参加してくれましたが、ここにもそうした日常活動の成果が現れていると感じました。

「厳格化」でなくなる余力

 オルグの中では、支部の折衝や交渉の実態をお聞きしたほか、令状センターや裁判手続のIT化について意見交換をしたり、職場の実状を伺ったりしました。
 全国的に増員が厳しい状況にある中、北海道では過去4年で53名の純減が押しつけられ、釧路では本年4月にも書記官1名が減員されています。
 また、採用された時点から即戦力としての働き方が求められることから、若手に余裕がないという声が出されたほか、郵券の管理をはじめとして事務が厳格化されていること、適正化が過度に強調され、より緻密な事務処理が求められるもとで、事務の簡素化・効率化を検討する余力がなくなっていることなども指摘されました。
 最後に、今回のオルグでお世話になった釧路、帯広のみなさん、ありがとうございました。
(本部書記次長鳥井絵美)

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国公労連青年運動推進委員会が人事院と交渉
 
青年の重点要求書を人事院に提出

 6月20日、国公労連・青年運動推進委員会は人事院交渉を実施しました。交渉には国公労連本部をはじめ、全司法、全労働、国土交通労組、全法務、全厚生の各単組の青年役員・組合員が参加しました。全司法からは、古田青年協議長と函館支部青年部長の森が参加しました。
 冒頭に「初任給をはじめとする青年層職員の処遇改善を求める要求書」を提出し、続けて各単組の青年から職場実態に基づいて追及を行いました。
 全司法からは、高速道路の通行料金や新幹線を含めた特急料金の全額支給などの通勤手当の改善、宿日直手当について長く改善されておらず、令状事務や当事者対応の負担に比して手当額が見合っていないこと、単身赴任手当の支給要件の改善等について発言しました。
 他の単組からは同一地域ながら市の境界である川1本を隔てて大きく異なる地域手当の不合理性や、現在の住居手当が都市圏を中心とする高額家賃の実態に見合っていないことが指摘されたほか、通勤手当が6か月定期を前提とし、支給時期が遅れるため新採用職員にとって採用直後の大きな出費であり負担が大きすぎるとの切実な声、魅力ある公務職場を作っていくことの必要性といった発言もあり、青年組合員が日々感じていることが多岐にわたって示されました。
 これに対して人事院側は、出された意見については部内で共有すること、人事院勧告に向けては「職員団体(労働組合)の意見も聴きながら対応していく」と回答する一方、現在の制度には合理性があるとの発言も行っています。
 裁判所職員の労働条件の改善を目指すには、裁判所職員臨時措置法が国家公務員法を準用している以上、今後も国公労連を通じて人事院に要求の前進を求めていくことが必要であると改めて感じました。
 また、今回の交渉に参加してみて、地域や単組が違えばより多くの要求があることを再認識し、他の単組とのつながりを感じることのできる良い機会であったと思います。
(函館支部森慧佑)

 
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