全司法本部は、6月12日、最高裁堀田人事局長との交渉を実施しました。人員の確保、裁判手続のIT化のために必要な予算の確保、昇格の級別定数改定について「最大限の努力」姿勢を示したほか、超勤縮減、パワハラ対策、各職種に関わる課題等の重点要求についても一定の到達点を築くことができました。
人員
引き続き最大限の努力姿勢示す
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全地連・支部からの「要請書」を提出 |
次年度の増員に向けた基本姿勢については、内部努力の必要性を強調し、「2019(平成31)年度の増員を巡る財政当局との折衝はこれまで以上に厳しくなるものと考えている」との認識を示しつつも、「必要な人員の確保について引き続き最大限の努力をしていきたい」と回答しました。
書記官については「必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」との姿勢を示しましたが、家裁調査官については「必要な人的態勢の整備に向けて引き続き努力していきたい」、事務官については「事務処理の簡素化、効率化という観点も踏まえて事務処理態勢を検討していく」との回答にとどまりました。
地方から中央・大規模庁へのシフトを縮小することを強く求めたのに対しては、「各種事件数の動向や事件処理状況等の種々の要素を考慮し、事務量等を見極めて行ってきており、人員配置の見直し後の事務処理態勢等についても、十分検討した上で実行してきている」と、この間の認識を述べるにとどまりました。
超勤縮減
適切に超勤申告がなされる環境作りに努める
超勤縮減に関しては、「組織全体として超勤削減に向けたとりくみをこれまで以上にすすめていきたい」、「超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握するよう今後も指導を徹底していきたい」との姿勢を示したうえで、勤務時間管理について「ミーティングをはじめとした部下職員とのコミュニケーションを図る中で、適切に超過勤務の申告がなされるような環境作りに努めるよう、下級裁を指導していきたい」と回答しました。また、特に全司法が強調した始業前・昼休み・休日の超過勤務については、「超過勤務手当は、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合に、正規の勤務時間を超えて勤務した時間に対し支給されるものであり、始業前、昼休み、休日における勤務についても変わるものではない」と回答したうえで、「職員が事前に申告できなかった場合であっても、官側が超過勤務の実態を把握する必要があることは当然であり、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握するよう、今後も下級裁に対して指導を徹底していきたい」と述べました。事前申告が原則であることに言及はしていますが、事前申告は勤務実態を的確に把握し、事務量の検討・調整が目的であり、申告しづらい環境を作るべきではないとの認識を示しました。
ハラスメント防止
遠慮なく相談できる体制、周知のあり方を検討
パワハラ根絶に向けて相談窓口の充実を求めたのに対しては、「パワー・ハラスメントに該当するかどうかについて疑義があるような場合であっても、相談窓口を利用することができる」と回答したうえで、調査等の結果パワー・ハラスメントに該当しない場合であっても、「指導やコミュニケーションについて、より改善すべき点があれば、職場環境の調整を図るため、職場の管理者や人事担当者等から当該上司等に対して指導を行うことはあり得る」と述べて必要な指導を行っていく姿勢を明確にし、「遠慮なく相談できる体制であることが職員に伝わるような周知の在り方を検討していきたい」との姿勢も示しました。あわせて、一般職向けパワハラDVDなどの職員周知と知識付与に向けた姿勢を示しました。
また、健康管理懇談会のフィードバックを適切に行うよう下級裁を指導することや、ストレスチェックの受検方法について検討姿勢を示しました。
IT情報システム
裁判手続IT化の予算確保に最大限努力
次期裁判所事件処理システムについては「利便性という観点最優先で対象業務を網羅的にシステム化するのではなく、当該業務の合理的な在り方や、システム化するメリットとそれに要するコスト等を十分に踏まえて行う必要がある」との姿勢を崩しませんでしたが、裁判手続のIT化について「必要な予算の確保に向けては、最大限の努力」をする姿勢を示しました。
人材育成については、中高年層について「参事官室提言で示されている若手事務官を対象としたジョブローテーションや研修がそのままストレートに当てはまるものではな」いとの認識を示し、「同一分野における職場研修(OJT)」による育成に言及しました。
職員制度
家裁調査官補の超勤、把握するよう指導を徹底
職員制度では、全司法が研修機会の拡充を求めたのに対し、「テレビ会議システム等の利用について検討してみたい」と回答しました。
法廷警備員について、全司法が警備業務に関する研修を求めたのに対し「要望は、きちんと受け止めたい」と回答したほか、電子速記タイプライターについて「できる限り速やかに官側で整備することを視野に入れて近々調達手続を開始できるよう準備中である」ことを明らかにしました。家裁調査官の実務修習のスケジュールと超過勤務については、「できる限り正規の勤務時間を超えて実務修習を行うことがないようなスケジュールにするべき」との姿勢を示したうえで、「超過勤務については、その時間を家裁調査官補に適切に報告させるなどして、的確かつ遅滞なく把握するよう今後も指導を徹底していきたい」と回答しました。
宿直
令状に庁印押印しない取扱いが可能
宿日直に関し、令状センター構想については「将来考え得る選択肢の一つとして受け止めている」との姿勢を改めて示したうえで、令状事務の効率化に関わって庁印を押印しない取扱いについて言及し、各庁に周知したことを明らかにしました。
昇格
最大限努力の姿勢を維持
昇格課題について級別定数の改定に最大限努力するとしたうえで、書記官4・5級、家裁調査官3・4級の切上げに向けた努力姿勢を示しました。
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