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全司法新聞
 
増員、裁判手続IT化予算、昇格などで最大限努力
2018年諸要求貫徹闘争・最高裁交渉結果
 

 全司法本部は6月11日〜14日、諸要求貫徹闘争期における最高裁とのまとめの交渉を実施しました。この間、全司法が職場実態にもとづいて提案・主張してきたことが、多くの課題で最高裁の検討を促している手応えが感じられる交渉となりました。

事務総長交渉に臨む中央執行委員

増員に最大限努力、事務局の体制整備にも言及

 最高裁は、2019年度の増員について、国家公務員の定員削減をめぐる情勢や事件動向からくる厳しさを強調しつつも、「必要な人員の確保に向けて、最大限の努力をしていきたい」と回答しました。「ワーク・ライフ・バランス推進」のための定員とともに、全司法の主張を受けて「事務局を含めた人的態勢の整備の必要性」に初めて言及したことも注目されます。

適切に超過勤務が申告される環境作りに努める

 超勤縮減については「これまで以上にすすめていきたい」と回答し、そのために、適切に超過勤務の申告がなされるような環境作りや、事務の簡素化・効率化に向けたとりくみをすすめるよう、下級裁への指導を強める姿勢を示しました。
 また、この間の焦点となっている始業前、昼休み、休日における勤務については、改めて「(勤務時間終了後の超過勤務と)変わるものではない」と回答しました。そのうえで、事前申告がなかった場合でも管理職は超過勤務を把握する必要があると述べ、「超過勤務の申告がしにくくなる言動を管理職員が行うことはあってはならない」と回答させました。今後、この回答を職場で活かし、事前・事後を問わず適切な申告ができる職場環境を作らせることが必要です。

ストレスチェック受検方法見直しに向けて検討

 職員の健康管理については、「職員団体の問題意識」を踏まえて「各種ハラスメントの防止を含めて、職員が健康で働きやすい職場環境の向上」をすすめるとの基本姿勢を示し、全司法の意見を聞く立場を明確にしました。
 そのうえで、健康管理懇談会で出された意見の施策への反映、ストレスチェックの意義や目的の職員周知と受検方法の見直し、一般職員も含めたパワハラについての意識啓発・知識付与、ハラスメント相談対応のあり方の検討など、具体的な施策の検討姿勢を示しました。

裁判手続のIT化で、予算確保に最大限努力

 裁判手続のIT化について、この間の全司法の攻勢的なとりくみを背景に「必要な予算の確保に向けては、最大限の努力」をするとの回答を引き出しました。
 一方で、次期裁判所事件処理システムについては「当該業務の合理的なあり方」を強調し、「コスト等を踏まえて行う必要がある」との姿勢に終始しました。

「同一分野における職場経験」について認識示す

 専門能力の向上や部門別の人材育成を求めたのに対して、中高年層について「それまでの職務経験を通じて、その能力、適性が明らかになっている部分も多い」との認識を示し「同一分野における職場経験などを通じて、能力の伸長が期待できる場合もある」との考え方を示したことは、今後の足がかりとなるものです。

電子速記タイプ、官支給に向け着実な動き

 電子速記タイプについて、調達手続に入ることが明らかになり、官支給に向けた動きが具体的になりました。
 調査官補の超過勤務に関わって「的確かつ遅滞なく把握するよう今後も指導を徹底」するとしました。引き続き、育成新施策の見直しを求めていくことが重要です。
 また、研修や工程会議でのテレビ会議システム等の利用、法廷警備業務に関する知識・技能を習得する機会の必要性などについて、今後の足がかりとなる姿勢を示しました。
 令状事務の簡素化・効率化策として、庁印省略を「庁内の裁判官で申し合わせをすることが考えられる」との認識を示しました。全司法が求めている令状センターについては「将来考え得る選択肢の一つとして受け止めている」との姿勢を改めて示しました。

業務代替職員の処遇改善。昇格は最大限努力

 業務代替職員の処遇について、初任給の引き上げとあわせて、最高裁の承認手続を経ずに通勤手当の上限を5万5000円とすることを可能にした旨明らかにしました。
 昇格については、国家公務員の人件費削減をめぐる厳しさに触れつつ級別定数拡大に「最大限の努力をしていきたい」と回答しました。
 これらをはじめ、様々な要求について前進または足がかりとなる回答があったことを受けて、本部は7月6日のプレート行動を中止し、昼休みの報告集会に切り替える旨の原案を提起しました。

 
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事前申告なくとも、超勤実態把握の必要性は当然
最高裁人事局長交渉
 

 全司法本部は、6月12日、最高裁堀田人事局長との交渉を実施しました。人員の確保、裁判手続のIT化のために必要な予算の確保、昇格の級別定数改定について「最大限の努力」姿勢を示したほか、超勤縮減、パワハラ対策、各職種に関わる課題等の重点要求についても一定の到達点を築くことができました。

人員

引き続き最大限の努力姿勢示す

全地連・支部からの「要請書」を提出

 次年度の増員に向けた基本姿勢については、内部努力の必要性を強調し、「2019(平成31)年度の増員を巡る財政当局との折衝はこれまで以上に厳しくなるものと考えている」との認識を示しつつも、「必要な人員の確保について引き続き最大限の努力をしていきたい」と回答しました。
 書記官については「必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」との姿勢を示しましたが、家裁調査官については「必要な人的態勢の整備に向けて引き続き努力していきたい」、事務官については「事務処理の簡素化、効率化という観点も踏まえて事務処理態勢を検討していく」との回答にとどまりました。
 地方から中央・大規模庁へのシフトを縮小することを強く求めたのに対しては、「各種事件数の動向や事件処理状況等の種々の要素を考慮し、事務量等を見極めて行ってきており、人員配置の見直し後の事務処理態勢等についても、十分検討した上で実行してきている」と、この間の認識を述べるにとどまりました。

超勤縮減

適切に超勤申告がなされる環境作りに努める

 超勤縮減に関しては、「組織全体として超勤削減に向けたとりくみをこれまで以上にすすめていきたい」、「超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握するよう今後も指導を徹底していきたい」との姿勢を示したうえで、勤務時間管理について「ミーティングをはじめとした部下職員とのコミュニケーションを図る中で、適切に超過勤務の申告がなされるような環境作りに努めるよう、下級裁を指導していきたい」と回答しました。また、特に全司法が強調した始業前・昼休み・休日の超過勤務については、「超過勤務手当は、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合に、正規の勤務時間を超えて勤務した時間に対し支給されるものであり、始業前、昼休み、休日における勤務についても変わるものではない」と回答したうえで、「職員が事前に申告できなかった場合であっても、官側が超過勤務の実態を把握する必要があることは当然であり、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握するよう、今後も下級裁に対して指導を徹底していきたい」と述べました。事前申告が原則であることに言及はしていますが、事前申告は勤務実態を的確に把握し、事務量の検討・調整が目的であり、申告しづらい環境を作るべきではないとの認識を示しました。

ハラスメント防止

遠慮なく相談できる体制、周知のあり方を検討

 パワハラ根絶に向けて相談窓口の充実を求めたのに対しては、「パワー・ハラスメントに該当するかどうかについて疑義があるような場合であっても、相談窓口を利用することができる」と回答したうえで、調査等の結果パワー・ハラスメントに該当しない場合であっても、「指導やコミュニケーションについて、より改善すべき点があれば、職場環境の調整を図るため、職場の管理者や人事担当者等から当該上司等に対して指導を行うことはあり得る」と述べて必要な指導を行っていく姿勢を明確にし、「遠慮なく相談できる体制であることが職員に伝わるような周知の在り方を検討していきたい」との姿勢も示しました。あわせて、一般職向けパワハラDVDなどの職員周知と知識付与に向けた姿勢を示しました。
 また、健康管理懇談会のフィードバックを適切に行うよう下級裁を指導することや、ストレスチェックの受検方法について検討姿勢を示しました。

IT情報システム

裁判手続IT化の予算確保に最大限努力

 次期裁判所事件処理システムについては「利便性という観点最優先で対象業務を網羅的にシステム化するのではなく、当該業務の合理的な在り方や、システム化するメリットとそれに要するコスト等を十分に踏まえて行う必要がある」との姿勢を崩しませんでしたが、裁判手続のIT化について「必要な予算の確保に向けては、最大限の努力」をする姿勢を示しました。
 人材育成については、中高年層について「参事官室提言で示されている若手事務官を対象としたジョブローテーションや研修がそのままストレートに当てはまるものではな」いとの認識を示し、「同一分野における職場研修(OJT)」による育成に言及しました。

職員制度

家裁調査官補の超勤、把握するよう指導を徹底

 職員制度では、全司法が研修機会の拡充を求めたのに対し、「テレビ会議システム等の利用について検討してみたい」と回答しました。
 法廷警備員について、全司法が警備業務に関する研修を求めたのに対し「要望は、きちんと受け止めたい」と回答したほか、電子速記タイプライターについて「できる限り速やかに官側で整備することを視野に入れて近々調達手続を開始できるよう準備中である」ことを明らかにしました。家裁調査官の実務修習のスケジュールと超過勤務については、「できる限り正規の勤務時間を超えて実務修習を行うことがないようなスケジュールにするべき」との姿勢を示したうえで、「超過勤務については、その時間を家裁調査官補に適切に報告させるなどして、的確かつ遅滞なく把握するよう今後も指導を徹底していきたい」と回答しました。

宿直

令状に庁印押印しない取扱いが可能

 宿日直に関し、令状センター構想については「将来考え得る選択肢の一つとして受け止めている」との姿勢を改めて示したうえで、令状事務の効率化に関わって庁印を押印しない取扱いについて言及し、各庁に周知したことを明らかにしました。

昇格

最大限努力の姿勢を維持

 昇格課題について級別定数の改定に最大限努力するとしたうえで、書記官4・5級、家裁調査官3・4級の切上げに向けた努力姿勢を示しました。

 
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事務総長交渉回答要旨
 

人的態勢の整備について

 「事件の適正迅速な処理や成年後見制度の利用促進に向けた諸施策の進捗状況を踏まえた対応」に言及し、2019年度の増員については「事務局を含めた人的態勢整備の必要性を粘り強く主張するとともに、引き続き『国家公務員の女性活躍とワークライフバランスの推進』の観点を踏まえ」「必要な人員の確保に向けて、最大限の努力をしていきたい」と回答しました。

超勤縮減、事務の簡素化・効率化について

 超勤縮減の前題となる勤務時間の把握について「職員の健康管理の観点からは、管理職員も含めて、的確な勤務時間の把握が重要であると考えており、超過勤務等の勤務実態の把握が適切に行われるよう努めていきたい」としました。
 そのうえで、「長時間勤務の解消に向けた事務の見直しについて意識啓発を図り」「職場実態に合った事務の簡素化、合理化に向けた具体的な取組を実施し、日々の効率的、合理的な事務処理に向けた意識改革を更に徹底していくよう、最高裁として、より一層下級裁を指導するとともに、その取組を後押ししていきたい」と回答しました。

人材育成、女性の登用拡大について

 専門能力の向上や部門別の人材育成を求めたのに対し、「若手から中堅層以上に至るまで職員一人一人の士気を高め、それぞれの経験も踏まえた上で、専門知識、技能等を含めた職務能力を伸長させるための計画的かつ継続的な人材育成の取組が重要である」との認識を示し、人材育成の充実に努める旨回答しました。
 また、女性の登用拡大については「女性職員一人一人の実情に応じて、ワーク・ライフ・バランスの在り方に配慮し、意欲とやりがいを持って活躍できるよう、さらに取組を進めていきたい」と回答しました。

職員の健康、ハラスメント対策について

 ストレスチェックについて「できる限り多くの職員に受検してもらうことができるよう、制度への理解の浸透を深めていきたい」、ハラスメント対策について「政府における検討や人事院の動向等を注視しつつ、全ての職員に対する研修等の機会を通じた各種ハラスメントの防止に関する意識啓発と相談しやすい体制づくりを行っていきたい」と回答し、「職員団体の問題意識、社会一般の取組状況等を踏まえ、各種ハラスメントの防止を含めて、職員が健康で働きやすい職場環境の向上により一層努めていきたい」と、全司法の問題意識を踏まえる姿勢を示しました。

権利について

 引き続き、「誠実対応」の姿勢とともに「下級裁当局に対しても、職員団体に対して同様の認識で臨むよう、その指導を一層徹底」していくことを確認しました。

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最高裁3局(総務・人事・経理)、1課(情報政策課)と交渉
 

人事局交渉

内示と意向打診は区別、問題事例は下級裁を指導

 労働時間短縮、超過勤務縮減の課題では、「裁判所においても超過勤務の削減はますます重要な課題となっている」との認識を示し、「組織全体として超勤削減に向けたとりくみをこれまで以上にすすめていきたい」との基本姿勢を示しました。また、サービス残業根絶に関わっては「超過勤務の申告が適切に行われるよう管理職員に対する指導を徹底」すると回答しました。
 健康管理の課題では、ストレスチェックの受検率の向上に努めるよう求めたのに対し、「できる限り多くの職員に受検してもらうことが望ましい」と回答しました。最高裁の認識を踏まえ、本部は個人端末や自宅パソコンからの受検、J―NETポータルを活用した受検など、受検方法の見直しとバリエーションを増やすよう追及しました。
 また、パワハラの課題では、ハラスメント根絶に向けた具体的な方策を講じること、一般職への研修・啓蒙を行い、指導とハラスメントの線引きを明確にすること、本人の意向に沿った相談対応などを求めました。
 旧姓使用の拡大に関わって、特に身分証明書での使用を認めるよう強く求めたことに対し、「引き続き検討を続けていく」とし、「要望はきちんと受け止めている」とコメントしました。
 異動に関わって、近年、意向打診と内示が混同され、「断ることはできない」と強要される事例が散見されることを指摘しました。最高裁は「異動の必要性等について理解してもらった上で異動を実施している」とし、「内示とは区分して意向打診が行われている」との認識を示した上で、問題事例があれば下級裁を指導する旨回答しました。
 女性登用に関わって、管理職試験の受験を強要する事例が各地で見受けられる状況を踏まえ、自己決定に基づくキャリアプランの構築を基本に据えるよう求めました。最高裁は「登用に際しては本人の意向も十分確認した上で行っている」との認識を示し、問題事例があれば下級裁を指導する旨回答しました。
 宿日直に関わって、令状センター構想については「考え得る選択肢の一つとして受け止めている」との従前の姿勢を示しました。また、連絡員体制の負担について指摘したのに対し、「個別具体的な業務を処理する場合は勤務として認められる」と回答し、入庁時の雪かきは業務と明確に認めました。

経理局交渉

事務の合理化・効率化策広く高裁に情報提供

 会計事務の簡素化・効率化に関わっては、「各庁において合理化・効率化のとりくみが積極的に進められている」との認識を示した上で、「今後も、引き続き事務の合理化・効率化策を広く高裁に情報提供し、可能な範囲で合理化・効率化のとりくみを進めるよう促していきたい」と回答しました。
 さらに、法規よりも内規が厳格であるために3者見積もりの見直しが進んでいない庁があるとの指摘に対しては、「今後も、協議会等の機会にアナウンスしていく」と回答しました。具体的な事務の簡素化・効率化策については、各庁から意見を上げてもらい、よい循環で改善していければとの考えが示されました。
 また、工事案件における工程会議について、テレビ会議の活用により出張負担を軽減するよう求めたのに対し、「会議の内容によってテレビ会議の活用も検討していきたい」と、今後の足がかりとなる回答をしました。
 老朽庁舎の新営・改修等に関わって、「職員の勤務条件に関わる問題として、常に関心を持って努力している」と回答しました。この基本姿勢を踏まえ、本部は具体的な庁名を挙げて、耐震化、空調の運転、児童室の整備等の課題で追及しました。
 宿舎に関わっては、類型基準の緩和が進んだことから、宿舎の確保や宿舎情報の早期提供を求めました。これに対しては、「省庁別宿舎はもとより、合同宿舎についても維持管理する財務事務局等へ積極的に働きかけを行うなど、最大限の努力を行いたい」「今後もできる限り速やかに宿舎を提示できるように引き続き努力していきたい」と回答しました。
 SEABISに関わっては、裁判所版マニュアルの作成など、「現場の要望を意識し、円滑な旅費事務に資する適切な環境整備に引き続き努めている」と回答しました。これを受けて、航空機利用の場合における不便さや最高裁マニュアルの不十分さなどを指摘しました。
 外注警備に関わっては、職場から必要と思われるポストまでが引き上げられていることを指摘し、必要な警備体制の確保を求めました。これに対し、「各庁においては、それぞれの事情に応じ、真に必要となる案件を精査し、見直しを行ったと承知している」との回答に終始しました。引き続き、各支部において必要な配置を求めていくことが必要です。

総務局交渉

書記官事務「拡充するものもある」との姿勢を崩さず

 人員については、「社会状況も見極めながら多種多様な要因を総合的に考慮し、必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」と回答しました。一方で、「国家公務員の定員を巡る厳しい情勢や、事件数の動向等を踏まえると、今後はますます、これまでのような増員が見込めなくなる」「次年度の増員を巡る財政当局との折衝はこれまで以上に厳しくなる」との認識を示し、「事件数が著しく減少している等の場合には、各庁各部署の個別具体的な状況に応じて人員配置の見直しを検討する」との姿勢を示しました。
 全司法からは、地方から中央・大規模庁へのシフトに反対するとともに、書記官・家裁調査官増員をはじめ、繁忙度が増している事務局や支部・簡裁などへの人的手当などを強く求めました。
 総務局は、家裁調査官について現有人員の有効活用で適正迅速な処理を図ることができると判断したとし、次年度については「事件動向や事件処理状況等を踏まえながらこれから検討していく」と回答しました。家裁調査官へのワーク・ライフ・バランス推進定員の設定についても、「職務の特性を踏まえつつこれから検討していく」との回答にとどまりました。
 「国民のための裁判所」実現にかかわって、少数言語を含めた通訳人の確保・育成を求めたのに対して「対応を考えなければいけない部分はある」「今後検討し、適切に対応していきたい」と回答しました。
 職員制度に関する要求では、書記官事務について、郵券管理や秘匿情報の取扱い、正本作成等の事務の厳格化などが事務処理の硬直化と量の増大を招いていることを指摘し、合理的かつ効率的な事務処理方針を打ち出すよう求めました。総務局は「事務が簡素化・効率化するものもあれば、拡充するものもある」との姿勢にとどまりましたが、判決正本の作成については「原本との同一性が確保される限りにおいて、正本等の作成方法は限定される性質のものではない」と回答しました。こうした回答を具体的な事務の効率化に結びつけていくことが重要です。
 その他、ブラッシュアップ研修について日程短縮と総研教官の派遣による質の向上、各種研修でのテレビ会議の活用、裁判手続IT化を踏まえた下級裁へのOA専門部課の設立等を求めました。速記官の課題に関わっては、電子速記タイプライターの官支給の進捗状況等を明らかにするよう求めました。

情報政策課

次期システム「利便性優先でシステム化するのではない」

 IT情報システムにかかる基本姿勢について「実際にシステムを使用する職員の意見・要望を的確に把握することが重要」「システム利用者の意見を踏まえつつ、全体最適化計画の考え方に沿った合理的かつ有益なものとなるよう努めたい」と回答しました。
 裁判手続のIT化については、「今後の検討をすすめるに当たっては、裁判所全体で幅広く意見交換等をしていくことが必要であり、職員及び職員団体の意見も踏まえながら検討していきたい」と回答しました。また、十分な予算を確保するよう求めたのに対し、「事務の簡素化・効率化、事務過誤防止、職員の働き方等の観点についても考慮していきたい」との姿勢を示し、その上で、「必要な予算の確保に向けて努力していきたい」との姿勢を示しました。
 一方、次期システムの開発については、「IT関連予算の低減と合理化の実現」を強調し、「書記官事務の在り方を踏まえて、真に必要かつ相当なものは何かという観点から検討を行うものであるから、利便性という観点最優先で対象業務を網羅的にシステム化するのではない」と回答するなど、予算に限りがあることを前提にIT化やシステム構築をすすめていく姿勢を浮き彫りにしました。
 こういった姿勢に対して、現場から出ている「現行システムよりも事務負担の増加が明らかになっており、システム導入が事務の効率化に逆行する内容ではないか。職場の意見を踏まえない計画の強行は逆に費用を嵩ませるのではないか」との指摘に対しては、「計画通りにすすめていきたい」とするなど不満な回答に終始しました。とりわけ、第2次開発(高裁及び簡裁刑事)に関して「勾留満了日等の期間計算機能をシステムに搭載しない計画は、システムの有用性を活かしていないのではないか」と指摘したのに対して、「要望は承る」と述べるにとどまりました。
 また、事件情報データベースについて「掲載情報の充実を図っていきたい」と回答しましたが、事務局関連の通達や根拠等の情報については「規則集等データベースUにおいて掲載情報の充実を図っていくほか、事務局職員が利用している人事・経理関係法規集データベースにおいても、掲載情報の充実をはかるとともに、職員の利便性の向上について引き続き検討していきたい」と回答するにとどまりました。

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全司法の要求を実現させるため、組織を強く、大きくしていこう
第75回定期大会
 

 全司法は、7月22日〜24日、静岡県伊東市において第75回定期大会を開催し、激動する情勢のもと、向こう1年間の運動方針と財政方針等を決定します。裁判所の人的態勢整備や事務の簡素化・効率化、健康管理の課題をはじめ、種々の課題が山積する中、職場環境改善に力を尽くす労働組合の役割は、これまで以上に大きくなっています。要求の前進を勝ち取り、組織を強く大きく発展させていく観点から、運動方針案の積極的な討議を呼びかけます。

労働組合の社会的役割が問われている

 自己責任を強調し弱者を切り捨てる「新自由主義」が社会を席捲するもとで、社会保障の切り捨てや労働法制改悪などを顕著に、財界や一握りの富裕層の利益を誘導し国民犠牲を強いる社会の構築がすすめられ、安倍政権の下で更に大きくなっています。こうした状況のもとで、格差と貧困は拡大し続けており、労働者の社会的地位向上や処遇改善をめざし、生活を守る労働組合の社会的役割が問われるとともに、労働組合が市民の運動と手を携え、行政を歪める安倍政治の暴走に歯止めをかける運動の構築が強く求められています。

職場実態に見合った人員配置を

 職場では、家裁職場や事務局を中心に依然として繁忙状況が続くとともに、民事事件の複雑困難化や刑訴法をはじめとする各種法制度の改正が矢継ぎ早に行われる中で、安定的な裁判運営を担保する人的態勢整備が求められています。また、地方の職場はシフトの給源となり連年のように人員が減少しています。職場の怒りも背景に、一人でも多くの人員確保と、職場実態に見合った人員配置を行わせるよう要求を強めるとともに、裁判所の人的物的充実をめざす「全司法大運動」を更に前進させていくことが重要となっています。

事務の簡素化・効率化で具体策を示めさせる

 長時間労働が社会問題化するもとで、事務の簡素化・効率化は裁判所における組織課題と位置付けられますが、書記官事務の簡素化・効率化をはじめ、最高裁として具体的な方策を示さず、下級裁や現場任せになっている実態があります。職場では「厳格化一辺倒」の事務処理が過度にすすめられ、一つひとつの事務処理に手間を要し、日々負担が増加しています。次期システムなど新たなシステム構築にあたっては、全司法の意見を十分踏まえた、事務の簡素化・効率化や過誤防止に資するものにさせるとともに、当局の責任における具体的な改善策を示させることも重要な課題です。
 健康管理の課題では、諸要求貫徹闘争期の到達点を更に前進させなければなりません。長期病休者やハラスメントの相談件数が増加しているもと、ストレスチェックの実施方法の改善、パワハラの相談体制の確立や全ての職員に対する啓蒙・知識付与など、目に見える要求前進を勝ちとるため、引き続き追及を強化することが重要です。

IT化、令状センター、定年延長等で交渉・協議を強化

 この他、検討PTが設置され具体化に向けて動きはじめる裁判手続のIT化や、限界にきている宿日直の抜本的改善策である令状センター構想の実現など、第41回司法制度研究集会の到達点を踏まえ、職場の意見や要求をとりまとめ、最高裁への追及を強化する必要があります。また、定年延長の課題に関わっても、裁判所の職務の特殊性を踏まえた制度設計を行わせるよう、交渉・協議を強化していくことが必要です。

全司法を「身近に感じる」対話活動の強化を

 管理職の不当な対応を許さず、働きやすい職場環境を維持・改善させるため、全司法が果たしている役割はますます高まっています。全司法が職場代表として職場の要求を当局の政策に反映させていくためには、全司法の組織を強く大きくしていかなければなりません。また、自主的・自立的な支部活動を全司法の活動の中心に据えた「新たな組織方針」のもと、職場会活動を更に充実させ、青年、女性、各職種含め、対話による要求組織と全司法を「身近に感じる」活動を強化していくこと、支部が自ら考え、「従前どおり」から脱却した日常活動の充実を図ることで、全司法に対する職場の信頼を更に高め、組織強化・拡大に結び付けていくことが必要不可欠です。
 専従体制の見直しを目前に、第75回定期大会は全司法の運動と組織の維持・発展に向けた極めて重要な大会となります。実り多い大会となるよう、全ての機関、職場において運動方針案の積極的な討議をお願いします。

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異動などの課題で交渉実施 たくさんの青年を友好祭典に
青年協第4回常任委員会・最高裁交渉
 

 全司法青年協は、6月2日〜4日、第4回常任委員会と引き続く最高裁交渉を実施しました。常任委員会では、次年度の運動方針案をまとめるとともに、4月期新採用職員対策の振り返り、2018全国青年友好祭典の企画・準備、青年協統一要求書及び異動要求書の確立を行いました。4日の最高裁交渉では、賃金、採用・異動、人員等の各課題で職場の青年の実態を伝え、要求の実現を求めて最高裁を追及しました。

青年協一人一言要求が完成

顔を合わせて話をしよう

 運動方針案の検討では、一年間の運動を振り返り、次年度どのような方針で運動をしていくかを話し合いました。その中で、「青年同士の対話の充実」を方針案に掲げることとしました。これは、各交渉期における職場討議報告を見ていると、意見の集約に苦慮している青年部があることからです。昨年8月の第27回定期総会の班別討議で模擬職場討議を行いましたが、限られた時間でも、テーマを定めて顔を合わせて話をすることでそれぞれの職場の改善したい点が出てきました。各支部青年部でも顔を合わせて話ができる機会を作れるよう、青年協として具体的な工夫をしていくべきだとの考えから、提起しました。7月中下旬に送付する議案書について積極的な討議を行い、総会での充実した討論を期待します。

新歓の目的を一人ひとりまで理解しているか

 4月期新採用職員対策については、各地区常任から今期のとりくみの良かった点と改善すべき点を挙げた後、今後のとりくみと来期に向けて活かすべき点を話し合いました。今期は、管内支部の多くで100%加入を実現した地連がある一方、これまでどおりのとりくみが加入に結びついていない支部も複数見られます。委員会では、@地連や支部でしっかりと方針を定め、目的や対応方法、スケジュールについて働きかける一人ひとりまで共有できた支部では成果が出ていること、A例年のとりくみを踏襲していても、その狙いがあやふやになっていたり、働きかける側(支部と青年部、地連と支部など)の連携が取れていない支部では加入が伸び悩んでいることが確認されました。

友好祭典の企画を具体化

 8月25日〜26日に愛知県蒲郡市で開催する「2018全国青年友好祭典」については、初日のスポーツ大会の種目を決定し、二日目の室内レクについても具体化を進めました。たくさんの青年に来てもらい盛大な楽しい友好祭典にしよう!と確認しました。先日、財政活動の第2弾として、蒲郡名産品の販売も開始したところです。ぜひ支部・青年部で財政活動に積極的にとりくみ、たくさんの青年を友好祭典に送り出してください。

「生の声の積み重ね」が要求前進につながる

 4日は、確立した青年協統一要求書及び統一異動要求書に基づき、最高裁人事局和波総務課長と交渉を実施しました。交渉の冒頭、全国の青年から寄せられた「一人一言要求」を当局に手交し、青年の生の声を受け止めるよう求めました。
 賃金課題では、賃金の底上げと各種手当について、具体的な負担額を挙げて生活実態を訴えました。
 採用・異動の課題では、本人の意向を踏まえた異動の実現と内示時期の早期化などを主張しました。回答を受けて古田議長は「これまでも『努めて本人の意向も参酌し』『理解と納得を得た上で異動を実施している』と回答しているが、これに反して、今年4月異動期の対応は丁寧さに欠けていた印象を持っている。しっかり下級裁を指導してほしい」と述べ、適切な対応を求めました。
 CE・CA試験と総研の運営については、適切な入所予定人員の設定や共済診療所総研分室の廃止に伴い必要な措置を講じること、IT環境の整備等を求めました。
 人員にかかわっては、特に事務局の人員が増えない中で「事務の効率化策を考える余裕がない」「上司が変われば効率化策が振り出しに戻る」などの職場の実態を訴えました。
 回答はほぼ従前のとおりでしたが、具体的な職場実態を発言したところでは、当局が頷いたり、メモを取る手が早まっていました。青年の生の声を積み重ねていくことが、要求の前進につながります。これからも、どのようなことでも青年協に寄せてください。

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憲法や公務職場の現状を学び、楽しく交流
第48回国公女性交流集会in長崎
 

 6月2〜3日、第48回国公女性交流集会が長崎で開催されました。
 全国の公務職場から200名を超える参加者が集まり、全司法からも27名が参加。初めて参加される方も含めて、学習と交流の有意義な機会となりました。

九州地連の参加者

日本国憲法は女性の権利宣言

 1日目は、全労連女性部長の長尾ゆりさんによる「女性と憲法」と題する記念講演がありました。社会科教師として、高校生に憲法を教えてこられたご自身の経験から説き起こし、憲法の成り立ちから14条(法の下の平等)・24条(両性の本質的平等)などの意義にも触れた上で、私たちは憲法に守られており、憲法が暮らしに役に立つことを指摘して「日本国憲法は女性の権利宣言だ」ということを、ユーモアを交えて説明されました。
 現在の情勢を踏まえた基調報告の後、旧社保庁職員不当解雇撤回裁判の状況や、熊本地震・九州北部豪雨の被災状況について報告を受けました。
 その中で、伊独米などの国々にある「災害防護庁」を日本にも設立するよう目指している動きや、熊本地震の被害が大きくなった原因の一つに、東京など多くの地域で「1」と定められている建築基準法の「地震地域係数」が熊本県では「0・8か0・9」に緩和(本来、鉄筋が「1」必要なところ、その8割か9割でよいという意味)されていたことなどが報告されました。
 あわせて、災害時に全国から派遣される国土交通省のテックフォース(緊急災害派遣隊)、リエゾン(現地情報連絡班)などのとりくみも紹介され、災害時に国家公務員が果たしている役割が再確認できました。
 また、国公共済会について、共済会の瀬戸口さん(コッコさんの作者)からわかりやすい説明をいただき、参加者のアンケートで「加入を検討する」との回答があるなど、メリットを感じてもらうことができました。
 夕食交流会では、長崎の龍踊りや世界三大夜景を楽しみ、各単組の紹介などで交流を深めました。

「ぐちが集まり要求になり、改善されていく」

 2日目は5つの分科会に分かれて、学習を深めました。働き方改革の分科会では、各職場の苦労や不安、先進的なとりくみの他、職場の様子が参考になりました。医療・介護現場の実態を聞く分科会では、様々な事例が紹介され、見識を深めました。ハラスメントに関する分科会では、公務の職場でも多くのセクハラがあり、自分の職場だけではわからない事の多さも感じました。「おしゃべりカフェ」と題した分科会では、「ぐちが集まり要求になり、改善されていく」という言葉が心に残りました。
 九州実行委員会が設けたフィールドワークでは、原爆がもたらした惨禍なども含め、現地ガイドの丁寧な説明もあって、好評をいただきました。
 参加者や実行委員のみなさんをはじめ、千羽鶴、物品販売等など集会成功を支えていただいたみなさん、大変ありがとうございました。
(実行委員長早田真理子・長崎支部)

 
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