全司法本部は5月22日、和波最高裁人事局総務課長と諸要求貫徹闘争における第3回交渉を実施しました。交渉では、人員、労働時間短縮・超勤縮減等、IT情報システム化、庁舎設備、宿舎、旅費・庁費等の予算増額、宿日直などの要求を主張しました。
人員
必要な人員確保に引き続き努力
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交渉に臨む全司法本部 |
「成年後見制度関係事件をはじめとする家事事件については増加傾向が続いているものの、その他各種事件は減少又は横ばいで推移している」との認識を示し、「各庁各部署の個別具体的な状況に応じて人員配置の見直しを検討するとともに、社会状況をも見極めながら多種多様な要因を総合的に考慮し、必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」との基本姿勢を示したものの、国家公務員の定員を巡る厳しい情勢や事件数の動向等を踏まえ、「次年度の増員をめぐる財政当局との折衝はこれまで以上に厳しくなるものと考えている」と回答しました。
また、繁忙状況が続く家事部門については「事件動向のみならず、成年後見制度利用促進基本計画の閣議決定後の事務処理状況等を踏まえながら適正な人員配置に努めたい」としましたが、家裁調査官の増員については「家庭事件全体の事件動向や事件処理状況等を踏まえながら、これから検討していく」との回答にとどまりました。
労働時間短縮・超勤縮減等
事前申告ができなかった場合も実態把握は当然
超勤縮減については「組織全体として超勤削減に向けて事務の簡素化、効率化に向けたとりくみをこれまで以上にすすめていきたい」との基本姿勢を示した上で、「とりくみを正しい方向に向けさせて、事務の簡素化・効率化をすすめていけるよう、最高裁のとりくみを紹介するなどしていきたい」「(各庁の)事務の合理化・効率化策を広く高裁に情報提供し、可能な範囲でとりくみをすすめるよう促していきたい」と回答しました。
サービス残業根絶に関わっては「サービス残業や持ち帰り仕事はあってはならないし、超過勤務については的確かつ遅滞なく把握するよう今後も指導を徹底したい」と回答しました。その上で、早朝・休日の超過勤務に関わって「適正な勤務時間管理を行うためには原則としてその事由等を事前に申告してもらう必要がある」「事前申告がなされれば当該業務を正規の勤務時間内に処理できるよう、処理の期限を延ばしたり担当者の事務分担を調整するような検討も可能となり、超過勤務の削減に資するものと考えている」と述べましたが、一方で「事前に申告ができなかった場合でも官側が超過勤務の実態を把握する必要があることは当然である」と述べるとともに、「超過勤務の申告がしにくくなる言動を管理職が行うことはあってはならない」と回答しました。
裁判手続のIT化
必要な予算の確保に向けて努力姿勢を示す
「次期システムの開発、統合にあたっては、これまで職員及び職員団体から出された意見等を踏まえて、(中略)操作方法や画面のレイアウト、レスポンスやバックアップ体制、帳簿レス化等の点を中心に、使い勝手のよいシステムになるよう開発をすすめている」との基本姿勢を示しました。 また、機能を縮小することで増加する書記官事務の負担について「最高裁として、裁判手続の適正確保、業務の合理化・効率化といった観点から常に検討し、必要に応じて適宜見直しを行った上で各庁に還元していきたい」と回答し、最高裁における検討姿勢を明らかにしました。
また、裁判手続のIT化に関わっては「職員及び職員団体の意見も踏まえながら検討していきたい」と回答するとともに、必要な予算の確保に向けて努力姿勢を示しました。この他、職員の負担感が強いSEABISの旅費システムについては「事務の簡素化・合理化に資する機能改修要望や職員団体の意見・要望は関係機関に伝えていきたい」と回答しました。
赴任旅費の改善
「まずは裁判所内の実情の把握に努めたい」
その他の課題に関わっては、宿舎の確保に向けた最大限の努力姿勢を示すとともに、宿舎貸与にあたって「できる限り速やかに宿舎を提示できるよう引き続き努力したい」との姿勢を示したこと、赴任旅費の自己負担の問題について、全司法の要求を財務省に伝えるとともに、「最高裁として、まずは裁判所内の実情の把握に努めたい」と回答するなど、それぞれの課題で一定の到達点を築きました。
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