おいでやす全司法
プライバシーポリシー  
CONTENTS 全司法紹介 司法制度改革 少年法関連 全司法大運動 全司法新聞 声明・決議・資料 リンク サイトマップ
  トップページ > 全司法新聞 > 2018年6月 > 2288号
 
 
全司法新聞
 
憲法、国公法…「公務員として知っておくべきこと」を楽しく学べた2日間
第24回中央労働学校
 
グループ討議で「学習会」を準備

 全司法は5月13日〜14日に第24回全司法中央労働学校を開催し、青年・若手組合員を中心に27名が参加しました。1日目は、各支部や青年部で学習会のチューターができる人を育てていくための「講師養成講座」と銘打って、レジュメの作成やプレゼンテーションを行い、2日目は、「日本国憲法の理念を伝える伝道師」として知られ、法律資格の受験指導校として有名な伊藤塾塾長である弁護士の伊藤真さんの講演を受けました。

討論とプレゼンで、どんどん理解が深まった

 中央労働学校1日目は、昨年に引き続き、体験型の学習として、全司法本部が各機関での組合員学習用テキストとして作成した「全司法標準カリキュラム1 はじめて読む『国家公務員法』」にもとづいて、学習会のチューターを育成する「講師養成講座」を実施しました。
 参加者は5つの班に分かれて、「標準カリキュラム」の項目(@国家公務員法と裁判所職員、労働基本権をめぐって、A公務員の給与について、B人事評価制度、C職員団体((労働組合))に関する規定はどうなっているのか)の中から、それぞれ指定されたテーマで学習会用のレジュメを作成し、模擬の学習会をプレゼンテーションとして行い、参加者全員で審査しました。
 審査の結果、優勝したのは人事評価制度について発表した班で、レジュメに「めざせA評価!〜人事評価とは〜」とタイトルをつけ、寸劇やホワイトボードの活用などで見せる工夫をした点が評価されました。

 参加者からは「自分たちで話し合ってプレゼンし、他の班の発表も聞くうちに、各テーマについて、どんどん理解が深まっていった」「グループ別討論は講義を聴くより大変だったが、班の方々と協力して発表でき、達成感が得られた」「討論の中で、いろいろな感性があり、その感覚を共有することが大切だと感じた」「公務員として知っておくべきことを、楽しく学ぶことができた」等の感想が出されました。

公務員には憲法を擁護する義務がある

若い仲間に伊藤真さんからメッセージ

 2日目は、伊藤塾塾長で弁護士の伊藤真さんによる講演を受けました。伊藤さんは「憲法を学び、知ってしまった者の責任として、憲法の伝道師なりたいと考えています」と述べられて、「いま改めて『憲法を守り、活かす』ということ 〜裁判所の若いみなさんへ〜」というテーマで、次のような話をされました。
 仕事との向き合い方に関わって「自分の成長が幸せに感じられ、自分の幸せが社会の幸せにつながると実感できると、もっと幸せを感じられる、そのためには『誰のものでもない自分自身の原理原則=マイプリンシプル』が必要」としたうえで、「憲法99条には『公務員は憲法を尊重し、擁護する義務がある』と書かれている、みなさんはそういう立場にあることを認識していてほしい」と述べられました。

立憲主義はブレーキのようなもの

 立憲主義に関わって、「民主主義は多数決が基本になるが、多数意見が常に正しいわけではない、人権や平和などの多数意見でも奪えない価値があり、これを予め、頭が冷静なうちに文章にしておこうということで作られたのが憲法」だと述べ、「政治権力を憲法で縛るという立憲主義は、民主主義というアクセルに対するブレーキのようなもの」だと説明されました。そのうえで、憲法が81条で選挙などの多数決で選ばれたわけではない裁判所に違憲審査権を与えたことの意味は大きく、「みなさんの中には公務員だから、裁判所だから、政治的なものには関わらないという意見があるかもしれないが、81条の存在は、きわめて政治的なもの」だと指摘されました。

労働組合は「自己実現」を根拠にしている

 また、「日本国憲法で一番大切なことは、憲法13条が示している『個人の尊重』である」とし、「誰にもみんなに価値があり、幸せになる権利を持つ」「自分の幸せは自分で決める(自己決定権)」ということが、その内容であると説明されました。そのうえで、労働組合活動について「労働基本権はこれまでは25条の生存権から説明されていたが、今は13条との関連で説明されるようになってきている。つまり、生活できる賃金を求めるだけではなく、自分たちの職場環境について意見を述べるという自己実現の観点が労働組合の根拠になっている」、公務員の仕事のあり方について「『国民全体の奉仕者』ということの意味は、人々の自己決定権をサポートすることが公務員の仕事だということ」と指摘して、今回の労働学校のテーマに引き寄せた説明も加えられました。

他者への共感や想像力が重要

 生活の中の憲法という視点では、「私たちの生活の中でも強い者と弱い者がいるときには、強い者から弱い者を守るために憲法が重要な役割を果たす。権力、暴力、財力、会社、社会的地位、専門知識などの強い力から弱い者を守るための道具になる」という憲法の役割を指摘するとともに、「憲法を理解するうえで、他者への共感や想像力が重要」だと指摘されました。参加者からは「憲法についてより深く知ることができた。憲法だけでなく、これからの人生を生きていくうえでの考え方を学ぶことができた」「憲法の問題は自分とは無関係でないことや、むしろ積極的に自分自身の考え方を持つべきだと思った」との感想が出されました。

参加者の感想

◇ 裁判所を良くしたいとか良い仕事をしたいという志や考えを持っている同世代の人が全国にいることが分かって良かった。今後は組合活動についてもう少し興味を持って、根拠やとりくみについて理解を深めていきたいという思いを持つことができた。
◇ 実際に前に出て話すことの難しさをとても感じた。特に印象に残っているのは、本部の方が言っていた「学習会の準備をしている時が、一番、自分自身が勉強している」という言葉であった。
◇ プレゼンや講義も良かったが、ほぼ全員が集まって夜中まで部屋のみをしながら、雑談から組織拡大の話までざっくばらんに話し合えたのがとても良かった。
◇ 普段会う機会のなかなかない全国の組合員の方と話すことができて、すごく楽しかった。今の中心となって組織を運営している方々は遅かれ早かれ抜けられてしまうし、若い世代が頑張っていかないといけないなと思った。
◇ 学習会の必要性を強く感じました。学習会は年に一回開催しているものの、講師は親支部に依頼しているので、青年部内で講師をしても良いなぁと思いました。
◇ 今まで組合の活動に深くかかわることがなく、組合のことを考えることも少なかったのですが、今回の中央労働学校に参加して、全国の組合員の人がそれぞれに問題意識を持って、活動しているということを知ることができ、また、今まで自分が持っていない考えを聞くことができ、勉強になりました。

 
ページの先頭へ
 
請願署名の意義を確認する行動に
全司法大運動国会議員要請行動
 

 全司法は5月21日、全司法大運動国会議員要請行動にとりくみました。これまで全国で集約してきた「裁判所の人的・物的充実を求める請願署名」を、法務委員を中心とした国会議員を訪問して手渡し、請願採択への協力とともに、紹介議員になってもらうよう要請するものです。

行動前の学習で初参加者にもわかりやすく

逢坂議員(立民)に北海道の署名を託す
仁比議員、藤野議員(共産)に署名を託す

 午前中は出発前の学習として、「国会議員要請のポイント 〜何をアピールするのか〜」と題して、請願署名が国会のなかでどのように扱われ、どのような役割を果たすのか、また、これまで通算21年請願採択されていること、昨年度は、衆議院法務委員会に全司法の中央執行委員長が参考人として呼ばれ、裁判所の職場実態をふまえて人的・物的な充実が必要なことを訴えたこと、などを紹介しながら、国会議員に何を伝えるかを学習しました。
 午後からは、議員会館の会議室において、院内集会を行いました。院内集会冒頭には、国会議員要請行動をどのように行うかについて、長岡書記長が詳細な説明とともに、議員事務所を訪問したときの対応についてデモンストレーションで演じて見せるなど、はじめて参加する人でも議員訪問でとまどわないような工夫も行いました。

司法の充実への熱意を感じた議員の報告

 院内集会には、法務委員の藤野保史衆議院議員及び仁比総平参議院議員が参加され、国会情勢を報告されました。その中で、藤野議員からは、日東京家裁を視察し、執務室の狭隘、児童室の不足などを実際に見て確認したことが紹介され、「現場の様子、現場の声を国会審議に活かしていきたい」と述べられました。また、仁比議員は、裁判所職員定員法の国会審議の様子にも触れながら、「みなさんのとりくみが裁判所の充実につながり、国民の裁判を受ける権利の拡充にもつながっている」として、引き続き、全司法のとりくみに協力し、裁判所の人的・物的充実に力を尽くす決意を力強く述べられました。
 国会情勢が緊迫している影響もあって意見交換はできませんでしたが、その場で両議員に対して、請願署名を託しました。参加者からは「議員からの報告は裁判所職員以上の熱意を感じた」「裁判所のどこに関心をもっているか聞けてよかった」「裁判所外から国民のための司法の充実が必要であるとの熱意に感動した」との感想が寄せられました。

職場に経験を伝えて来年へつなげよう

 その後、地連単位で班を作り、地元議員を中心に議員会館内の議員室を訪問して要請行動を実施しました。
 国会情勢の影響もあり、全体として秘書対応となるところが多かった中でも、地元事務所訪問でアポイントをとった逢坂誠二議員と北海道地連の参加者が懇談し、「人的な面のみならず、国民が利用しやすい施設の充実などについて司法の充実が求められている」とお話しいただくなどの成果も得ることができました。
 まとめの集会では、参加者から「これまで署名がどのように扱われているのか分からなかったが、参加してみて、それを理解した上で、職場でのとりくみの重要性が確認できた」等の感想が聞かれました。
 この経験を職場で共有し、全司法の運動が職場環境の改善や「国民のための裁判所」実現につながっていることを確信に、次年度の運動につなげていくことが必要です。

 
ページの先頭へ
 
書記官事務の簡素化・効率化、全司法の提案に具体的な回答示さず
2018年諸要求貫徹闘争期第2回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は、5月22日、第2回人事局総務課長交渉を実施しました。職種担当の中央執行委員も参加して、全国から報告された職場実態をもとに、「国民のための裁判所」の実現、職員制度、昇格課題に関する要求で最高裁当局を追及しました。

「国民のための裁判所」実現

被疑者国選対象事件拡大等に伴う執務資料を整備

職種担当中執を交えて交渉実施

 「国民のための裁判所」実現をめざし、各種制度の安定的な運用に向けた態勢整備や、法改正への対応、労働審判員・調停委員・通訳人等の人数と質の確保などを求めました。最高裁は、被疑者国選の対象事件拡大や、その他改正される手続について「留意点や手引等の参考資料を整備し、配布してきた」「必要な通達や事務連絡を順次発出している」と述べ、職場の態勢整備については「事件数の動向や事務処理状況等を常に注視し、必要な検討等を行っていく」と回答しました。法改正に伴う手続の変更点の周知について、メール送付のみという職場も多いことから、最高裁に対し更に丁寧な周知を求めました。
 家裁の充実に関わっては、「これまでも繁忙庁に対して書記官等を増配置してきた」「今後とも成年後見制度利用促進法や児童福祉法の一部改正法等の施行後の事務処理状況を踏まえながら、適正な人員配置に努めたい」と回答しました。その上で、成年後見制度利用促進基本計画の具体化にあたって「各地の検討状況や先進的なとりくみを各家裁に還元するなど必要な支援をしていきたい」とし、後見制度支援信託に並立・代替する新たな方策については「関係府省とも連携し、金融関係団体に対し必要な協力をしていきたい」と回答し、今後の推進に向けた姿勢を示しました。この他、家事事件手続法に関わる資料として昨年12月に家事調停事件及び別表第二審判事件に対する実務研修報告書を配布したことを明らかにし、新たな資料作成について引き続き検討課題としました。

書記官

上京団交渉で提案した要望に対する反応もなく

 書記官については、総研のカリキュラムにおいて家事・少年部門の研修を充実させることやブラッシュアップ研修の充実を求めたほか、現場における「厳格化一辺倒」の取扱いを見直し、事務の簡素化・効率化について最高裁がイニシアチブをとって具体的な方策を示すよう求めました。昨年秋に実施した書記官上京団交渉において、郵券の保管金化推進、実務講義案のデータ化など全司法の側から事務の簡素化・効率化に資する具体的な提案をした点について、検討状況を確認しましたが、具体的な回答はなく、極めて不満です。

専任事務官

有資格率引き下げ、スタッフポスト活用を求める

 専任事務官については、全国的に3級在級期間が長期化していることを踏まえ、書記官有資格者の占有率の引き下げに加え、スタッフポストの活用を求めました。最高裁は「書記官事務の経験がないということだけで事務官の昇進の途を奪うことは考えていない」との従前回答にとどまりましたが、事務官に対する研修の充実については「下級裁での集合研修の実施状況も踏まえ、中央研修とのすみ分けも考慮しながら、必要な研修が適切に企画・実施されるよう努め、専任事務官を対象とする研修についても、その中で対応していきたい」と回答しました。こうした回答も活用して、専門的な知見を深める研修への参加機会の拡大を求めていく必要があります。
 速記官については、電子速記タイプライターの整備に関わって、なお「検討中の段階」としながらも、仕様の策定にあたっては「先に行った聴取結果も参考にし」「必要な機能を十分精査して検討を行いたい」との姿勢を改めて示しました。

家裁調査官

調査官補の超勤、認めていない庁の改善を求める

 調査官については、「二重の異動」の負担解消、実務修習のカリキュラムを余裕のあるものにすること、異動政策の見直し等について主張しましたが、いずれも従前回答にとどまりました。調査官補の超勤について、申請が認められず、サービス残業が黙認されている庁があることなどを指摘し、改善を求めたのに対し、最高裁は「必要な超勤についてはその時間を報告させている」「管理職に対しても的確かつ遅滞なく把握するよう指導を徹底したい」と回答しました。
 医療職に対する高裁ブロック研修を、今年度は広島高裁と福岡高裁で実施することを明らかにしました。

 
ページの先頭へ