全司法本部は5月8日、諸要求貫徹闘争における一連の最高裁交渉の皮切りとなる第1回人事局総務課長交渉を実施しました。交渉では、賃金や諸手当の改善、健康管理、人事評価・人材育成、採用・異動、次世代育成支援対策、男女平等・母性保護などの要求を主張しました。
賃金改善等
業務代替職員、通勤手当の上限額が常勤職員と同額に
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交渉に臨む全司法本部 |
賃金課題については、公務員の大幅賃上げや初任給の改善、中高年層の給与抑制措置の是正等を求めました。総務課長は、「職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいる」としたうえ、「要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。また、業務代替職員の賃金については「高卒相当の者は1級5号俸、大学卒以上相当の者は1級25号俸を基礎とする給与日額に増額改定」したこと、通勤手当の上限を「5万5000円まで支給することができる扱いとした」ことを明らかにしました。代替職員の組合員が増えている中、特に要求が強い賃金改善を勝ち取ることができました。
諸手当の改善では、職場から要望が強い住居手当や通勤手当の改善等を求めました。総務課長は、諸手当全般に対する姿勢として「今後も人事院の動向を見守っていきたい」「種々の機会を捉えて、人事院に職員及び職員団体の要望等を伝えるなど、必要な時期に必要な対応をしていきたい」と回答しました。
健康管理
ストレスチェック、具体的な改善姿勢示さず
健康管理懇談会については、昨年度は49庁で開催されたことを明らかにし、懇談会で出された意見が健康管理施策に十分反映されていないという問題意識に対し「職場へのフィードバックを適切に行うなど、各庁の健康管理施策に反映するよう改めて下級裁を指導する」と回答しました。
長期病休者は裁判所全体で136人と、昨年、一昨年より増加しており、そのうち、精神及び行動の障害によるものは98人であることが明らかとなりました。
ストレスチェック制度については、受検率の向上及び受検しやすい環境整備を求めました。総務課長は、「できる限り多くの職員に受検してもらうことが望ましい」と述べ、「職員にストレスチェックの意義や目的を理解してもらうことが重要である」と回答しました。しかし、職員端末での受検などの受検方法の改善や集団分析結果に基づく職場環境改善など、私たちの要求を十分受け止めず、具体的な改善を行う姿勢を示さなかったことは極めて不満です。
パワハラ防止に関わって、この間管理職を中心とする研修・啓蒙にとどまっていることの問題指摘に対し、「管理職員をはじめとする職員全般に対し、今後も引き続き、知識付与及び意識啓発を図っていきたいと考えている」と回答し、一般職に対する啓蒙について一定の姿勢を示しました。なお、セクハラ・パワハラのいずれにおいても、最高裁・下級裁の各相談窓口への相談件数は増加していることも明らかとなりました。
定年延長
「政府の検討状況を注視、要望は伝える」
定年延長の課題に関わっては、「定年の引上げに伴う給与制度の在り方について職員が強い関心を有していることは十分認識していた」とした上で、柔軟な働き方の仕組みの構築や役職定年制の導入などの制度設計も含めて「政府の検討状況を注視していきたい」、「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。また、裁判所における制度設計においては「必要に応じて職員や職員団体の意見を聞くなど、適切かつ誠実に対応したい」と回答しました。
採用・異動
家裁調査官補、受験申込者数700人を割る
総合職試験の受験者数は、一般職で前年比88・48%、家裁調査官補で89・36%と、更に減少していることが明らかになりました。特に家裁調査官補では受験者数が700人を割り込み、受験申込者の回復は喫緊の課題です。総務課長はインターネットを利用した広報活動など「受験者確保に向けたとりくみを更に充実させていきたい」と述べましたが、全国異動を強要する異動政策の在り方を見直すなど、更に踏み込んだ対策が不可欠となっています。
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