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  トップページ > 全司法新聞 > 2018年5月 > 2287号
 
 
全司法新聞
 
これでいいのか、裁判所の人材育成?
専門性を活かし、スペシャリストを育てることが必要
 

年代によるニーズの違いを踏まえた育成を

 4月21〜22日に開催した全国書記長会議の分散会の中で、裁判所の人材育成について次のような意見が出されました。
 「二、三年スパンの異動で、その度に新しい事務を行うのはきつい。年配層はこれまでの経験の蓄積を踏まえた能力を発揮したい、という感覚を持っているのに対し、若手は様々な経験を積みたいというニーズがある。年代によってあるべき育成方針は異なるのではないか」
 「ベテラン職員が全く新しい部署に異動して、一から仕事を覚えるというのは相当な精神的負担であり、それが頻繁に繰り返されることで、仕事に対するやりがいの喪失やメンタルヘルスの悪化につながっているのではないか」
 「ゼネラリストだけでは職場がもたなくなっている。会計や人事など、分野的にはスペシャリストを作らなければいけない」
 「スペシャリストが必要なのは書記官も同じ、事件の種類によって必要とされる知識は違うし、一般的な事件や手続には対応できても、レアケースや複雑な事件になると蓄積されたノウハウが意味を持つ」
 「書記官では、法律専門職として、ある程度オールラウンダーを育成することも必要。一方で、今の育成・研修・短期異動を見れば『広く浅く』ということにしかなっておらず、十分なものではない」
 「若手書記官は『広く経験したい』という意識。しかし、それぞれの分野ごとの経験が少ないため、中堅になっても、職場が変われば『一から学んでいく』という状況。スペシャリストを作ったほうが、過誤も減っていくだろう」
 「当該部門の経験を積んだ職員がいるほうが、仕事もスムーズに進み、部署全体としても事務の簡素化・効率化を具体的に検討できて、それを周囲に広げていくことも可能」
 これらの意見について、みなさんは、どのように感じるでしょうか?
 この分散会では、議論の結果、人材育成にあたっての全体的な職員のニーズとしては、次のとおりだということで一致しました。
■ 若手(職種問わず)
 様々な経験を積みたい。
■ 中堅層
 自分の適性を見出し、その専門能力を身に付け、高めていく。その観点で、能力開発に見合った(相応しい)異動
・配置が必要。
■ ベテラン層
 これまでに身に着けた専門能力を十分発揮できる部署で働きたい。
 これは、全司法が交渉等で主張している内容を改めて裏付けるものとなりました。

これまでの異動や人材育成の考え方は転換を

 全司法本部は最高裁との交渉において「人材育成については、研修や配置のあり方を含め、若手から中高年まで個々の職員の経験や資質に応じた一貫性・継続性を持ったものにすること」を要求しています。
 若い時期には多様な経験をすることが重要である一方、一定の年齢や経験を重ねた職員にとっては、それまでのキャリアの中で身に付けた経験や能力を活用できるようにし、組織の中で役割を果たすことが本人のモチベーションに繋がり、結果として、組織の活性化にもつながります。
 職場における年齢構成の変化や、ますます複雑・困難化する事務処理の実態をふまえると、事務局、裁判部を問わず、各部門ごとに専門的知識を持った「スペシャリスト」的な人材を配置することの重要性は、今後ますます高まってくると考えられます。
 今後の裁判所のあるべき姿を考えた時、「異動」そのものを目的化したような人事や「ゼネラリスト」的な人材育成のあり方を過度に重視する考え方は、大きく転換すべき時期に来ていると考えます。
 全司法が2年に1回開催している司法制度研究集会が、4月22〜23日に静岡県熱海市で開催されました。この集会は、労働条件の改善とあわせて全司法が目的とする「国民のための裁判所」を考えるために開催しているもので、今回は「『裁判手続のIT化』と令状センター構想の実現に向けて「戦後裁判所の歴史と課題」をテーマに学習と討論を行い、今後の運動の方向性を考える集会になりました。

人材育成に関する最高裁回答

 人材育成のとりくみに当たっては、職場の実情や個々の職員の特性、資質、経験、業務内容に応じた目標が設定され、専門知識・技能等を含めた職務能力の向上のため、計画的かつ継続的なとりくみが実践されているものと認識しているが、それぞれの職員の経験等を活かした能力発揮が図られるような育成が意識的に行われるよう、引き続きとりくみたいと考えている。
(2018年5月8日 人事局総務課長回答)

…しかし、実際にはどうなっているか?

 
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業務代替職員の賃金改善 2018年諸要求貫徹闘争
第1回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は5月8日、諸要求貫徹闘争における一連の最高裁交渉の皮切りとなる第1回人事局総務課長交渉を実施しました。交渉では、賃金や諸手当の改善、健康管理、人事評価・人材育成、採用・異動、次世代育成支援対策、男女平等・母性保護などの要求を主張しました。

賃金改善等

業務代替職員、通勤手当の上限額が常勤職員と同額に

交渉に臨む全司法本部
 賃金課題については、公務員の大幅賃上げや初任給の改善、中高年層の給与抑制措置の是正等を求めました。総務課長は、「職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいる」としたうえ、「要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。また、業務代替職員の賃金については「高卒相当の者は1級5号俸、大学卒以上相当の者は1級25号俸を基礎とする給与日額に増額改定」したこと、通勤手当の上限を「5万5000円まで支給することができる扱いとした」ことを明らかにしました。代替職員の組合員が増えている中、特に要求が強い賃金改善を勝ち取ることができました。
 諸手当の改善では、職場から要望が強い住居手当や通勤手当の改善等を求めました。総務課長は、諸手当全般に対する姿勢として「今後も人事院の動向を見守っていきたい」「種々の機会を捉えて、人事院に職員及び職員団体の要望等を伝えるなど、必要な時期に必要な対応をしていきたい」と回答しました。

健康管理

ストレスチェック、具体的な改善姿勢示さず

 健康管理懇談会については、昨年度は49庁で開催されたことを明らかにし、懇談会で出された意見が健康管理施策に十分反映されていないという問題意識に対し「職場へのフィードバックを適切に行うなど、各庁の健康管理施策に反映するよう改めて下級裁を指導する」と回答しました。
 長期病休者は裁判所全体で136人と、昨年、一昨年より増加しており、そのうち、精神及び行動の障害によるものは98人であることが明らかとなりました。
 ストレスチェック制度については、受検率の向上及び受検しやすい環境整備を求めました。総務課長は、「できる限り多くの職員に受検してもらうことが望ましい」と述べ、「職員にストレスチェックの意義や目的を理解してもらうことが重要である」と回答しました。しかし、職員端末での受検などの受検方法の改善や集団分析結果に基づく職場環境改善など、私たちの要求を十分受け止めず、具体的な改善を行う姿勢を示さなかったことは極めて不満です。
 パワハラ防止に関わって、この間管理職を中心とする研修・啓蒙にとどまっていることの問題指摘に対し、「管理職員をはじめとする職員全般に対し、今後も引き続き、知識付与及び意識啓発を図っていきたいと考えている」と回答し、一般職に対する啓蒙について一定の姿勢を示しました。なお、セクハラ・パワハラのいずれにおいても、最高裁・下級裁の各相談窓口への相談件数は増加していることも明らかとなりました。

定年延長

「政府の検討状況を注視、要望は伝える」

 定年延長の課題に関わっては、「定年の引上げに伴う給与制度の在り方について職員が強い関心を有していることは十分認識していた」とした上で、柔軟な働き方の仕組みの構築や役職定年制の導入などの制度設計も含めて「政府の検討状況を注視していきたい」、「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。また、裁判所における制度設計においては「必要に応じて職員や職員団体の意見を聞くなど、適切かつ誠実に対応したい」と回答しました。

採用・異動

家裁調査官補、受験申込者数700人を割る

 総合職試験の受験者数は、一般職で前年比88・48%、家裁調査官補で89・36%と、更に減少していることが明らかになりました。特に家裁調査官補では受験者数が700人を割り込み、受験申込者の回復は喫緊の課題です。総務課長はインターネットを利用した広報活動など「受験者確保に向けたとりくみを更に充実させていきたい」と述べましたが、全国異動を強要する異動政策の在り方を見直すなど、更に踏み込んだ対策が不可欠となっています。

 
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第89回中央メーデー 「8時間働ければ普通に暮らせる社会」を求め 2万8000人が結集!
 
国公労連のサウンドデモが話題

 5月1日、「8時間働けば普通に暮らせる社会」を目指し、第89回メーデーが全国307か所で開かれました。東京では代々木公園を会場に中央メーデーの集会が行われ、本部・東京地連・在京各支部・裁判所退職者の会から約30名が参加しました。
 汗ばむ陽気の代々木公園には9時半を過ぎると参加者が続々と集まりはじめ、あちこちに色とりどりの団体の旗が立てられました。会場一面にルーシートが敷かれ、要求を書いたアドバルーンが上がっていたり、飲食物を販売するテントがあったり、ラッパーATSさんのライブがあったりと、会場は正に「労働者の祭典」といった空気に包まれました。
 主催者である全労連の小田川義和議長は、働き方改革関連法案について「高度プロフェッショナル制度を創設する『働かせ方改悪法案』を廃案に追い込み、過労死のない職場を実現する決意を固めよう」と訴え、政党や各団体の連帯あいさつや決意表明が続きました。
 集会の終わりには、「貧困と格差が拡大し日本経済のゆがみが広がっている」として、最低賃金を時給1500円に引き上げる目標などを盛り込んだメーデー宣言を採択しました。
 集会が終わった後は、2万8000人の集会参加者が3手に分かれてデモ行進を行いました。全司法が加盟する国公労連のデモ隊は、代々木公園から新宿駅までサウンド・デモを敢行し、中矢委員長、鳥井書記次長、関口中執の3人がコーラーを務めました。沿道の注目度も高く、原宿駅前では道を歩く多くの若者が、沿道のビルからは窓を開けて、工事現場からは作業員が、サウンド・デモに関心を示していました。
 デモ行進が終わって、参加者で結集を労いながら、世界の労働者が連帯する国際的な統一行動であるメーデーが“明るい雰囲気”の中で行われるのは素晴らしいことだと思いました。
 (書記次長鳥井)

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9条改憲NO!平和といのちと人権を! 5・3憲法集会に6万人が結集
 

 日本国憲法施行から71年を迎えた憲法記念日の3日、有明にある東京臨海広域防災公園において9条改憲を阻止しようと「5・3憲法集会」が開催されました。全司法も本部及び在京から参加しました。

「自衛隊明記すれば集団的自衛権の全面容認になる」

東京・有明で6万人が憲法集

 集会前には、ユキヒロと一緒に歌おう「HEIWAの鐘」や、自然エネルギーのみでライブを行っている佐藤タイジさんのコンサートが行われ、原発問題、沖縄の基地問題など平和への願いを会場との一体感を高めながら始まりました。
 集会冒頭、主催者を代表したあいさつでは、世論調査では安倍政権下での改憲に対して反対が58%と過半数以上に達しており、改憲反対の声が高まっていることが指摘されました。
 その後、学者や市民らがリレートークを行いました。一橋大学名誉教授の山内敏弘さんは、「自衛隊を明記すれば集団的自衛権の全面容認になる。戦争、平和を享受できたのは9条のおかげ。自衛隊を明記して戦争の準備をするより、孫の代まで生かすべきだ」と述べ、作家の落合恵子さんが「平和と命、人権のためにあらがうことは生きる証しであり誇りです」と呼びかけると会場からは大きな拍手が沸き起こりました。
 また、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」の諏訪原健さんは「憲法は未来に語りかけられた言葉。憲法の理念を私たちのものにして未来につなげていこう」と呼びかけました。
 改憲反対の運動として提起されていた「安倍9条改憲NO!全国統一署名(3000万人署名)」の集約状況の報告がなされ、4月末現在の署名数は、1350万人を突破しました。引き続き3000万人めざして署名を集めるとともに運動を広げていくことが確認されました。

市民と野党の共闘をさらに広げて!

 集会には、立憲民主党の枝野幸男代表、民進党の大塚耕平代表、日本共産党の志位和夫委員長、社民党の又市征治党首が壇上にそろってあいさつするとともに、自由党の小沢一郎代表からはメッセージが届けられました。
 参加者からは「憲法9条改悪反対!」「安倍政権は今すぐ退陣!」とのコールが巻き起こりました。集会後、参加者は2コースに分かれてデモ行進を行い、9条改憲NOを高らかにアピールしました。

 
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