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調査官育成新施策見直しを求める寄せ書きを提出 |
全司法本部は12月5日、最高裁堀田人事局長と秋季年末闘争期の交渉を実施しました。
最高裁は増員や昇格で「最大限の努力」姿勢を示すとともに、各課題で全司法の要求を受け止め、前進または足がかりとなる回答を行いました。
交渉の冒頭、「家庭裁判所調査官の育成新施策の見直しを求める寄せ書き」482筆(12月12日現在の集約数は508筆)を提出し、職場からの意見をきちんと受け止め、引き続き「育成新施策の見直し」をすすめるよう強く要求しました。
【人員】
「最大限の努力を行っている」
来年度予算における増員に向けては「これまで同様最大限の努力を行っている」との姿勢を示しました。一方で、国家公務員の定員を巡る情勢や事件数の動向に触れ、「次年度の増員をめぐる財政当局との折衝はこれまで以上に極めて厳しい」との認識を示しており、今後の動向を注視することが必要です。
また、各庁の人員配置については「事件数の動向や事務処理状況等を踏まえながら、適正な人員配置に努めていきたい」と回答しました。
【超勤縮減等】
「始業前、昼休み、休日における勤務についても変わるものではない」
超過勤務の実態把握については、「職員の健康管理の観点からは、管理職員も含めて、適切な方法により職員の勤務実態を把握することが重要である」「超過勤務を的確把握するためには、職員においても必要な超過勤務時間をきちんと申告してもらうことが重要である」としたうえで「下級裁に徹底したい」と回答しました。
あわせて、「サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならない」との姿勢を示したうえで「始業前、昼休み、休日における勤務についても変わるものではない」と回答しました。
また、超勤縮減に関わって、人事局のとりくみを最高裁内の局課で共有する中で「下級裁にも超勤削減に資する方策を伝えることができないか検討していきたい」と回答して、事務の簡素化・効率化に向けたとりくみをすすめる姿勢を強調しました。
【パワハラ防止】
第三者からの相談も可能
パワーハラスメントの防止について、管理職員用のDVD教材を各高裁に配付することを明らかにしました。
また、パワハラ根絶のとりくみは、セクハラ・マタハラ根絶のとりくみに劣後するものではないとし、本部からの追及を受けて、第三者から相談窓口への相談も可能であることを、交渉後の折衝で明らかにしました。
【電子速記タイプライター】
「できる限り速やかに整備」を視野に
電子速記タイプライターの官支給については、「できる限り速やかに官側で整備することを視野に」すすめていること、仕様案(骨子)に対する意見聴取結果も参考に検討していくことを明らかにしました。
【調査官の異動】
「より具体的な支障の有無を把握」
調査官の異動の際の意向打診については、「内示に近接した時期を含め、適宜の時期に、より具体的な支障の有無を含めた必要な事情の把握に努めていきたい」と回答したものの、全国規模での異動計画や各裁判所への配置人員が少ないことなどを理由に「具体的な庁名を明らかにした意向打診は困難」との姿勢は崩しませんでした。
【調査官の育成新施策】
引き続く「見直し」検討要求に「受け止めたい」
育成新施策の見直しについては、「周囲と議論を重ねながら行動科学の知見を踏まえて調査事務の方法や内容を検討する姿勢で執務に臨んでおり、また、組織課題に対しても積極的にとりくんでいる」ことを根拠に「育成は概ね順調にすすんでいる」とし、実務修習の問題点も「二重の異動」の負担も理解しない回答に終始しました。
これを受け、改めて寄せ書きを示し、引き続く検討を求めたのに対して、人事局長は「受け止めたい」と回答しました。
任官後最初の配置については「庁規模に加えて、各庁の人的態勢も踏まえつつ、本人の家庭事情等にも一定の配慮をしながら選定しており、今後も、様々な規模の庁で勤務経験を持たせるという基本的な考え方に立った上で、各任官者の育成に相応しい庁を選定して配置していきたい」と、足がかりとなる考え方を示しました。
なお、任官後、採用庁での研修中の宿舎貸与を認めたことは前進です。
【宿舎】
「運用基準見直し」で大きく前進、保育園のための証明も
宿舎の貸与については、運用基準の見直しを行ったことを示し、「必要な戸数を確保するよう努めるとの最高裁のスタンスに変わりはない」と回答しました。
運用基準の見直しについては交渉前に説明があったものですが、「家裁調査官及び行(一)技官については、常に第2類型に該当することとしたほか、(転居を伴う異動から4年を経過し)類型に該当しなくなった場合であっても、所属庁の長が適当と認める合理的な期間中は退去要請を行わないことや、被貸与者が転勤等により当該宿舎を明渡さなければならない場合において、家族入居を検討する仕組みを導入した」ものであり、大きな前進です。
また、保育園等への入所申請で必要な場合に「入居予定である旨の証明も行うこととした」と回答しました。
【宿日直】
「要望が出されたことはきちんと受け止めたい」
全司法が出した「宿日直制度の見直しを求める提言(令状センター構想)」については、「多角的かつ慎重に検討をすすめなければならない問題であることは理解してもらいたい」との回答にとどまりましたが、令状センター構想の早期実現に向けて検討を加速させるよう求めたのに対し、「要望が出されたことはきちんと受け止めたい」と回答しました。
なお、裁判官の泊まり込み態勢について岡山地裁に拡大されることは前進です。
【昇格】
「引き続き最大限の努力を続けたい」
「給与問題が職員の勤務条件の中でも最も重要な問題であることは十分に認識している」と回答し、昇格定数の獲得について「更に引き続き最大限の努力を続けていきたい」との姿勢を示しました。
専門職5級の占有期間を限定的に延長する枠組みでの発令について、「適任者がいる場合には、同枠組みによる昇格が適切に行われるものと認識している」と回答しました。
また、「級別定数改定をめぐる情勢はこれまでと比較にならないほど厳しい」としながらも、書記官4級・5級、調査官3・4級について、「更に引き続き最大限の努力を続けていきたい」と回答しました。
行(二)職員の付加業務については「これまでも、職場の状況や個々の職員の執務状況等を踏まえて行ってきているものと認識しており、今後もそういった状況を丁寧に確認した上で行うなど、十分に配慮していきたい」と回答しました。
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