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  トップページ > 全司法新聞 > 2017年12月 > 2276号
 
 
全司法新聞
 
人勧改善部分早期実施!退職手当引き下げ反対!働くルールの確立を! 11・8中央行動
 

 11月8日、全労連・国民春闘共闘などの主催により「17秋季年末闘争11・8中央行動」が開催されました。全司法は、国公労連とともに、人事院勧告の改善部分の早期実施、給与制度の総合的見直しの廃止、退職手当引下げ阻止等の要求を掲げて結集しました。また、独自行動として情勢学習会と国会議員との意見交換を含む院内集会を開催しました。

情勢を学び、行動へ

行動の前にしっかり学ぶ

 全司法は、組織を将来にわたって維持・発展させていくために、改めて「次世代の運動の担い手」を育成するためのとりくみに力を入れることとし、上京団行動などへの青年・若手の組合員の参加を積極的に追求することとしました。全体で約1500人が参加した11月8日の中央行動(日比谷野外音楽堂での総決起集会と国会請願デモ)に、全司法からは青年層を中心に28名が参加しました。初めて中央行動に参加する青年層がその意義や目的を理解できるよう、行動に先立って中矢委員長が「憲法の役割と私たちの運動〜今日の行動に参加する前に」と題する講義を行いました。総選挙の結果を整理し、その結果から今後何が課題になってくるかを確認する内容でしたが、講義で説明された課題がその後の総決起集会で語られるなど、行動へのよい動機づけになりました。続いて、鳥井書記次長が「聞いてみよう!給与のあがり方〜昇給・昇格のしくみ」と題して、人事院勧告制度の概要、昇給・昇格の基礎知識、裁判所における昇格運用の実情や課題について講義を行いました。その後、長岡書記長から、国会請願デモの決まりやポイントのレクチャーを受け、中央行動に臨みました。

公務・民間各団体が集結 すべての労働者の賃上げ、社会保障の充実等求める

横断幕を先頭に国会請願デモへ
(右2人は全司法の組合員)
 総決起集会は、戦争法の廃止や憲法改悪阻止、残業代ゼロや解雇自由化など労働法制の大改悪反対、2017年人勧改善部分の早期完全実施をはじめすべての労働者の賃金引上げ、民主的公務員制度の確立や公務公共サービスの拡充などのほか、消費税増税中止、医療・福祉など社会保障の充実などの国民的要求を掲げて開催されました。主催者あいさつの後、公務・民間等の各団体から職場実態や要求・決意表明がされましたが、ふだん聞けない他の職場の労働者の実態を聞くことができ、有意義な機会となりました。国公連の決意表明には東北ブロック国公から参加した全司法の組合員も登壇しました。
 集会の後には、特別国会が開催されている国会議事堂に向けて国会請願デモに向かいました。函館と愛知からの参加者が横断幕を持って先頭を歩き、神戸からの参加者は、持参した神戸支部の旗を掲げてデモを歩きました。総決起集会が始まったときに降っていた雨は止み、初めての参加者も一緒にシュプレヒコールを上げながら行進しました。

増員の必要性、宿日直の実態等を議員に訴える

職場実態を伝え、衆参法務委員に要請

 国会請願デモ終了後は、全司法独自に、参議院議員会館で院内集会を開催しました。参議院法務委員会に所属する仁比聡平議員、衆議院法務委員会に所属する藤野保史議員に参加いただき、まず、仁比議員から国会情勢の報告を受けました。その中で、「衆院法務委員会での中矢委員長の意見陳述は、職場を基礎とした要求が的確に述べられていた。職場の要求と運動と、とりわけ全司法大運動が、国民のための裁判所として発展していくために重要となっている」「全司法の要求と運動が民主主義や裁判所の役割を守りぬく力になる」とのエールが送られました。自身の経験に基づく臨場感のある報告に参加者は引き込まれていました。
 続いて、裁判所の職場実態にかかる意見交換を行い、各職場での繁忙状況や地方での人員削減の実態、裁判所の大幅増員や家裁調査官の増員の必要性、宿日直や連絡員体制の負担などを議員に直接訴えました。両議員はメモを取りながら真摯に耳を傾けてくれました。参加者の発言を受けて、両議員は、「裁判所の充実という要求実現に向けて、精一杯やっていきたい。裁判所と職員の実態についてこれからも皆さんと意見交換していきたい」と述べました。院内集会の最後には、来年の通常国会に向けてとりくむ全司法大運動に関する要請を行いました。
 要求実現のためにどのような活動をしているのかを直接見聞きする機会は非常に重要です。中央行動などの機会には、今後の活動を担う青年層の皆さんに参加してもらい、経験してほしいと思っています。

11・8中央行動 参加者の感想

【学習会(情勢・給与)】

◇裁判所職員として日頃から情勢の動きをよく観察し、自分の仕事にどのような影響があるかを理解しなければならないと感じた。特に憲法改正についてはこれからより注視していきたい。
◇人事評価や給与の上がり方について、昇給、昇格のちがいや、その要件などくわしいことを知ることができました。また、昇格の運用と現状に対し、全司法がどのような働きかけをしているか、これまでにどのようなことを実現してきたかを知ることができた。

【総決起集会・国会請願デモ】

◇想像以上の数の参加者とデモを行い、このような地道な活動が結果につながるのだな、と思った。

【院内集会】

◇現職の議員と意見交換ができる機会は初めてだったので、とてもためになった。議員としても、裁判所の人的・物的改善はよりよい司法サービスを実現する上で必要不可なものであると考えていてくれたことがうれしかった。
◇仁比議員の裁判官考察がとても心に響いた。全司法が裁判所と(裁判官の)ために果たす役割は大きい。自信をもって活動したい。

【全体について】

◇今まで考えたことも無かったことや、知らなかったことが多くとても貴重な経験ができた。
◇非常に貴重な体験をさせて頂いた。特に青年層は、一度参加されることをおすすめする。

 
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超過勤務の実態、書記官養成課程研修生の意見・要望を当局に伝える
青年協第2回常任委員会・最高裁交渉
 

 青年協は、11月11日に総研生との意見交換会、12日〜13日に第2回常任委員会と引き続く最高裁交渉を実施しました。交渉には、常任委員・オブザーバーの計13名が出席し、常任委員会で確立した統一要求書及び異動要求書に基づき、青年の厳しい生活実態や職場の実情、意見交換会で把握した書記官養成課程研修生の実態等を訴え、当局を追及しました。

「青年の暮らしむきアンケ―ト」12月に実施

 第2回常任委員会では、第27回定期総会で確立した運動方針に基づき、通年的なとりくみや各闘争期でのとりくみを討議して具体化をはかったほか、2018年全国友好祭典の開催時期・企画・内容等の具体化をすすめました。
 また、各級青年機関の活動や実態の報告を行ったほか、秋季年末闘争期における全司法青年協統一要求書及び異動要求書の確立などを行いました。
 運動方針の具体化では、今年も青年の要求把握のため、「青年の暮らしむきアンケート」と「一人一言要求行動」を実施することを確認しました。特に、12月にとりくむ青年の暮らしむきアンケートは、1人でも多くの青年から回答を得るため、全青年組合員から集約すること、未加入者に対しても可能な限り協力を依頼することを確認しました。

超勤申請管理職によって対応に差

 常任委員会後には、最高裁和波人事局総務課長との交渉を実施しました。賃金、諸手当、異動、超過勤務及び書記官試験など、青年層にとって重点となる課題について当局を追及するとともに、各地の常任委員・オブザーバーから青年の生活実態や職場の実情、意見交換会と事前アンケートで集約した書記官養成課程研修生の意見を直接訴え、その改善を求めました。
 当局からは、ほぼすべての項目で従前の回答を維持したものとなりましたが、今後も私たちの要望・要求について誠実に対応する旨の回答がありました。中でも、「超勤申請について、管理職から書記官には確認があったが青年事務官にはなく、申請がしづらい」といった実態や、反対に、管理職の声掛けで超勤申請が出しやすくなった職場があることを伝えたときには、課長は頷きながら訴えを聞いていました。

研修生の呼び出し方法に一定の改善も

 総研生との意見交換会では、事前アンケートに現れた意見・要望の実態や、昨年からの変化について、書記官養成課程研修生の組合員有志に意見を聞きました。昨年と比べて、研修生の呼び出し方法に配慮がされるようになったなど、一定の改善が見られたとのことでした。その他、寮内の設備、研修カリキュラムや事前研修・実務修習のあり方についても、率直な意見が出されました。研修所内のIT環境については、「J・NETポータルを閲覧できるようにしてほしい」といった要望が出されました。

全国友好祭典

来年8月25日〜26日に開催決定!

 2018年全司法青年協全国友好祭典(於:愛知県蒲郡市)は、2018年8月25日(土)〜26日(日)での開催が決定しました。24日(金)からの青年協第28回定期総会からの連続開催です。全国からたくさんの青年が参加し、楽しめるものとなるよう企画をすすめていきます。おって、財政活動を提起しますので、ご協力をお願いします。

 
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「『法の支配』を実現することを不変の使命とする裁判所の役割はますます重みを増している」
全司法本部四役 最高裁長官会見を実施
 

 全司法本部四役は、11月17日に就任あいさつをかねて寺田逸郎最高裁判所長官と会見しました。最高裁からは、今崎事務総長、堀田人事局長、和波人事局総務課長が同席ました。
 委員長 本日の会見にあたって、全司法労働組合として持っております問題意識のいくつかの項目について意見を述べさせていただき、長官のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 長官 当局と職員団体という立場の相違はありますが、今後ともこれまで同様、相互の信頼関係に基づき、いろいろな問題について、率直に意見交換をしながら、より良い方向で解決していってもらいたいと思います。

裁判所の人的態勢の整備について

「今後とも人的・物的態勢を整備していく必要があります」

 委員長 社会・経済情勢が複雑になっているもとで、「憲法の守り手」としての裁判所の役割に対する国民の期待がより一層、高まっていることを感じています。
 家庭裁判所の充実・強化は、引き続き重要な課題だと認識しています。事件数が引き続き増加し、内容も複雑・困難化するとともに、面会交流のあり方、児童虐待への対応や、今後、成年後見利用促進法にもとづくとりくみも本格化するなど、現代の社会情勢を受けた新たな国民からの期待もかかっているところであり、家裁調査官も含めた人的態勢の強化が必要です。
 地方裁判所や簡易裁判所においては、2016年は民事事件が増加に転じるとともに、複雑困難化する事件を適正・迅速に処理する必要性は引き続き高く、刑事事件では、裁判員裁判の充実はもとより、医療観察事件や被害者保護のための諸制度など、従来の刑事裁判の枠組みを超えた事務処理も重要になっています。また、民刑いずれの事件においても、秘匿情報等の管理が新たな課題となっています。
 セキュリティ対策をはじめ、事務局の事務も増加し、全司法が行った調査に対して、最も繁忙で人的手当が必要な部署として事務局をあげる庁が少なくありません。
 具体的な人員配置については、これまで大都市への人的手当てが重点的に強化されてきましたが、地方の中小規模庁も含め、バランスのとれた人員配置が必要なのではないかとの問題意識も持っています。また、女性職員の増加を契機として、ワークライフバランスの実現に向けた人的手当てを求める声も強くなっています。
 以上の問題意識もふまえ、各職場の状況をきめ細かく見ていただき、裁判所の人的態勢整備をお願いしたいと思います。
 長官 日本国憲法の施行と同時に新しい裁判所制度が発足してから70年が経過する今日に至るまで、我が国の社会経済情勢は大きく変遷し、また、社会構造にも重要な変化が見られるようになってきました。こうした中、国民の権利を救済し、適正な法的紛争解決を通じて「法の支配」を実現することを不変の使命とする裁判所の役割はますます重みを増しており、これまで以上に、社会の多様でスピーディーな変化に対応できる柔軟性を備え、その法的ニーズに的確に応えていかなければなりません。
 各裁判部門の実情をみると、民事の分野では、社会経済情勢の変化を背景として、複雑困難な事件や、判断の結果が社会経済や国民生活に大きな影響を及ぼし得る事件が増えてきており、裁判の質の向上が求められるとともに、合理的な期間内に妥当な結論を示すことが期待されています。
 刑事の分野では、刑事訴訟法の改正により新たに導入されることとなった各種制度について、適切な運用を確保することが検討課題となっています。また、裁判員制度の運営においては、公判前整理手続の長期化や控訴審における審理判断の在り方など、引き続き検討すべき課題にとりくんでいく必要があります。
 家事の分野では、成年後見関係事件が増加の一途をたどる中、新たに成年後見制度の利用促進を図る法律が施行されたところであり、制度に対する国民の関心や期待に的確に応えられるよう、更なる取組を進めていかなければなりません。
 私たちは、これまでも、司法の果たすべき役割がますます重要になるという認識に立ちつつ、司法の機能充実・強化に努めてきましたが、こうした状況にあって、裁判所がその使命を果たしていくために、今後とも人的・物的態勢を整備していく必要があります。一方で、極めて厳しい財政状況の中、裁判所の態勢整備に国民の理解を得ていくためには、より一層の内部努力を重ねていくことが不可欠です。職員の皆さんには、引き続き御協力をお願いしたいと思います。

超勤縮減、事務の簡素化・効率化について

「効率的、合理的な事務処理に向けた意識改革を更に徹底していきたい」

 委員長 長時間労働をなくすことは、労働条件の中心的な課題として、官民を問わず重要なものとなっています。とりわけ昨今は、「過労死・過労自殺」をめぐる問題がクローズアップされるなど、社会的にも労働時間短縮の必要性が広く認識されるようになってきました。
 長時間労働をなくすためには、使用者の責任において勤務時間を正確に把握することが大前提であり、そのうえで複合的な対策を講じる必要があります。とりわけ、業務の処理に必要な人員を確保するとともに、業務の簡素化・効率化をすすめることが重要だと考えています。また、現に行われた超過勤務が「暗数」になっては意味がありませんから、「持ち帰り・サービス残業」の根絶を一体ですすめることが不可欠です。
 裁判所の職場においても、この間、当局は超過勤務の削減にむけたとりくみをすすめておられるところですが、なお一層のとりくみ強化をお願いするものです。
 特に、事務の簡素化・効率化を思い切ってすすめるうえで、最高裁のリーダーシップの発揮が重要だと考えています。昨年、「失敗を許さない雰囲気が職場の中で強くなっている」との問題意識をお伝えしましたが、「適正さ」や「コンプライアンス」が過度に意識される雰囲気の中で、法規に則った合理的な事務処理よりも、ただ慎重なだけの事務処理が行われる傾向が強くなっており、むしろ「簡素化・効率化が叫ばれるのに反して、事務はますます煩雑で非合理的なものになり、事務量が増大している」というのが職場の実感となっています。こうした雰囲気を変えるためにも、具体的な施策を伴った最高裁の強いメッセージが必要だと考えるものです。
 こうした声も受け止めていただき、長時間労働をなくすとりくみが、より一層効果的なものとなるよう、最高裁の積極的なとりくみを期待しています。
 長官 長時間勤務の問題は社会的にも大きく取り上げられているところ、最高裁としても、これまで以上に事務の簡素化・合理化を進め、超過勤務の削減や働き方の見直しに取り組んでいく必要があると感じています。全ての職員が持てる能力を最大限発揮することができるよう、その事務処理状況等をきめ細かく把握しつつ、法令に則った適正な事務を遂行していくとともに、効率的、合理的な事務処理に向けた意識改革を更に徹底していきたいと考えています。

職員の育成について

「OJTとOFF―JTを通じた職員の育成が図られるように一層努めていきたい」

 委員長 本年8月8日に人事院が出した「公務員人事管理に関する報告」は「人材の確保及び育成」を柱の一つに置いていますが、その中に「職場における執務を通じた研修(OJT)に執務を離れた研修(OFF―JT)を組み合わせながら、それぞれの充実を図るとともに、職員の自発的な能力開発を促していくことが重要」と記載されています。
 裁判所においては、2015年に「これからの人材育成について」が示され、OJTのあり方が打ち出されるとともに、家裁調査官については2012年からは「家庭裁判所調査官の育成のための新たな施策」がすすめられてきましたが、まだまだ人材育成が担当者任せになっており、組織的かつ計画的なものになっていないのではないかと考えています。とりわけ、育成担当者による指導のバラつきについて、若い職員から不安や不満の声が聞こえてきます。
 また、若い時期には多様な経験をすることが重要である一方、中堅からベテラン職員、再任用職員も含めて、一定の年齢や経験を重ねた職員にとっては、それまでのキャリアの中で身に付けた経験や能力を活用できるようにし、組織の中で役割を果たすことが本人のモチベーションに繋がり、組織の活性化にもつながるものだと考えています。さきに述べた人事院の報告は「今後20年間にわたって多くの職員が定年に達することになるため、高齢層職員から中堅層・若年層職員への技能・ノウハウの継承が課題となっている」としていますが、この点は裁判所においても同様だと認識しており、喫緊の課題として職員の育成のとりくみを充実・強化していただくよう要望します。
 長官 社会、経済状況の変化等を反映して、裁判所に求められるものがますます幅広く、深くなってきている中、これまでにも増して、一件一件の事件の適正・迅速な解決に向けて誠実に努めることにより、国民、社会からの信頼をより確かなものとしていくためには、若手から中堅層以上に至るまで職員一人一人の士気を高め、その能力を伸長させる人材育成が重要であることから、育成に関する基本的な考え方を組織的に共有するとともに、OJTとOFF―JTを通じた職員の育成が図られるように一層努めていきたいと考えています。

全司法との誠実対応について

「平成4年3月18日の事務総長見解の内容は当然のこと」

 委員長 1992年3月18日の最高裁事務総長見解以降、全司法と裁判所当局とは相互の信頼関係に基づいて、建設的な労使関係が築かれていると認識しています。
 全司法はこれまでにも職員の声を集め、現場の職員の視点から、当局に対し様々な課題で意見を述べてきていますが、相互の信頼関係にもとづき、そうした率直な意見交換を行うことを通して、様々な施策が立案、検証され、今の裁判所の職場のあり様ができあがってきたものと考えています。そうした役割をふまえ、私たちは今後とも、職員の地位の向上と「国民のための裁判所」実現を目指す立場から努力を重ね、意見を述べていきたいと考えています。
 引き続き、全国の各庁で、全司法の意見に耳を傾けていただき、率直で建設的な議論を積み重ねていけるよう、全司法との誠実な対応と健全な労使関係を築いていくことを確認したいと思います。
 長官 昨年も述べましたように、平成4年3月18日の事務総長見解の内容は当然のことと考えています。職員の勤務条件やこれに関連する事項については、これまで築き上げてきた相互の信頼関係に基づき、率直に問題意識をぶつけ合い、忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図っていかなければならないと考えています。
 担当部局には、今後もそのような立場で努力させたいと思いますし、職員団体もその方向で努力していただきたいと思います。

 
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勤務時間を正確に把握するよう管理職員に対する指導を徹底
秋年期第3回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は11月14日、秋年期第3回となる最高裁人事局和波総務課長との交渉を実施しました。次年度の増員をはじめ、労働時間短縮・超勤縮減等、ITシステム化、宿舎、休暇・休業、次世代育成支援策等、男女平等・両立支援等の課題を中心に最高裁を追及しました。

第3回人事局総務課長交渉

【人員】

情勢の厳しさを示しつつ、「全力を挙げる」姿勢を堅持

 増員について、「財政当局との折衝はこれまで以上に厳しいものとなっている」との認識を示しつつ、「民事訴訟事件の内容が一層複雑困難化していること、成年後見関係事件をはじめとする家事事件が引き続き増加傾向にあること等から、財政当局に対しては、裁判所の人的態勢の充実強化を図っていく必要があることや、各庁の事件処理状況を詳細に説明し、その理解を得るべく全力を挙げている」との努力姿勢を示しました。
 政府に新たな定員削減計画を行わないよう働きかけることを求めたのに対して、「裁判所は意見を述べる立場にはない」との姿勢を示したことは大変不満です。
 また、家裁調査官についてもワークライフバランス推進定員による要求の対象とするよう求めたのに対し、「家裁調査官の職務の特性を踏まえつつ、子育てや介護をしながら活躍できる職場作りの実現にどのように生かすことができるかといった観点も含めて検討していく」との姿勢を示しました。

【労働時間短縮・超勤縮減等】

早朝、昼休み、休日の超過勤務も変わりなく、正確に把握するよう指導

 「サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならない」「超過勤務を、的確かつ遅滞なく把握するため、職員においても必要な超過勤務時間をきちんと申告してもらうことが重要である」としたうえで、「部下職員の執務状況等について的確に把握するよう、今後も管理職員に対する指導を徹底していきたい」とサービス残業に対する問題意識をあらためて示しました。
 また、早朝、昼休み、休日の勤務時間把握の徹底と超勤手当の支給については、「(超勤手当は)早朝、昼休み、休日における勤務についても変わるものではない」としたうえで、「勤務時間については正確に把握するよう管理職員に対する指導を徹底」するとしました。

【IT情報システム化】

次期システム「利便性最優先でのシステム化はしない」

 次期裁判所事務処理システムについては、「書記官事務の在り方を踏まえて、利便性という観点最優先ではなく、業務の合理的な在り方や、メリット・コスト等を十分に踏まえて行う必要がある」と回答し、事務の効率化と逆行しても総合的に考えるとの認識を示しましたが、一方で「職員及び職員団体の意見等も踏まえつつ、システム化の要否を検討していく」と回答しました。
 また、人・給システムの導入については、行政府省等のほとんどが移行した状況等も踏まえ、「具体的な実現可能時期を引き続き検討していく」と回答しました。

【宿舎】

宿舎貸与に関する運用基準全般「緩和する方向で見直せないか検討中」

 宿舎貸与に関する運用基準全般については、「緩和する方向で見直せないか検討中」「必要な見直しを早急に行っている」と回答しました。また、5類型該当性については、「裁判官以外についても、家裁調査官や営繕技官については、常に第2類型に該当する余地がないか前向きに検討中」と回答しました。

【その他】

その他の課題については、おおむね従前回答を維持しました。

 
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異動、育成など、抜本的な見直し求める意見が多数
地連調査官担当者会議・上京団交渉
 

4万人が参加。全国各地でも集会!

調査官上京団交渉の様子

 11月5〜6日、地連調査官担当者会議を開催しました。調査官の職場実態や諸課題について意見交換を行うとともに、上京団交渉において職場の繁忙実態、異動、育成新施策などについて、最高裁を追及しました。

PT「やること」自体が目的化の実態も

 会議では、職場の繁忙実態について、同一職種による代替要員確保が切実な要求になっているのに加えて、出産・育児を抱える職員をサポートする周囲の負担も厳しくなっている状況などが報告されるとともに、各庁で実施されているPT(プロジェクトチーム)について、「やること」自体が目的化しているものもあり、負担感が強まっていることが報告されました。

負担が重く、研修効果に不安の声

 育成新施策については、最高裁が「育成は概ね順調にすすんでいる」としているのに対して、実際には様々な問題点があることが指摘されました。
 まず、実務修習のカリキュラムが過密である一方、超勤縮減が強調されるもとで、早朝出勤して処理し、その分がサービス残業になっていたり、逆に勤務時間内に収めることが最優先される結果、調査官補自身が研修効果に不安を感じている状況なども報告されました。また、グループ修習に偏った研修となっているため、各自の面接技法の向上に不安を感じるとの指摘もされています。
 任官後1か月だけ現庁で勤務することに伴ういわゆる「二重の異動」問題については、1か月に2度の転居等の負担があるうえ、宿舎も貸与されず、3月2日付けの辞令により住居手当も支給されないなど、金銭的にも精神的にも大きな負担となっている実態が報告されました。
 また、その後に配置される庁では、その規模には幅があり、十分な育成が行われていない庁の実態も出されました。

切実な要求に、実態を無視した回答

 異動については、とりわけ庁を示しての意向打診が行われないことや、内示が遅いことから保育所の確保が困難になるなど、家庭生活に大きな影響が生じていることが各地から報告されました。
 上京団交渉では、会議で報告された問題を中心に、サービス残業の実態、指導監督の名のもとに行われるパワハラの問題についても最高裁当局を追及しました。
 最高裁は、全国異動を理由に「庁名を明らかにした意向打診は困難」との認識を示したほか、育成新施策について「抜本的に見直すことは考えていない」など職場実態を無視した回答に終始しました。

 
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裁判闘争の到達点、原告の想いを伝えよう
賃下げ違憲訴訟原告団会議
 
賃下げ違憲訴訟原告団会議

 10月20日に最高裁第二小法廷が行った上告棄却決定を受けて、全司法は賃下げ違憲訴訟原告団会議を行いました。
 冒頭のあいさつで中矢委員長は、賃下げ特例法の制定当時、自律的労使関係への移行と人事院の廃止が検討されていた経過に触れ、「人勧尊重とした国側のフィクションを基に事実認定を行った不当判決」と指摘し、本件訴訟が憲法訴訟であったことを踏まえ、「憲法が国民の最後の拠り所になる中で、安倍政権がすすめる憲法改悪を許してはならない」と述べました。

人勧によらない賃下げを合憲とはしていない

 また、弁護団長の岡村親宜弁護士からは、戦後の労働裁判の歴史や賃下げ特例法が制定された経過、一・二審判決の矛盾点について報告があり、「原告一人ひとりが声を上げ、運動として裁判闘争にとりくんできたことは、戦後の労働運動の中で画期的」、「世論に訴え続けるたたかいを提起していくことが必要」と述べました。また、「決定による上告棄却であり、最高裁判例とはならず、人勧によらない賃下げに最高裁として合憲のお墨付きは出していない」ことを指摘しました。

本件訴訟の意義を職場に浸透させよう

 今後のとりくみや展望に関わって、長岡書記長は、@ILOが本件訴訟に関心を寄せており、日本の国家公務員の権利と労働基本権が国際社会の課題となっていること、A官民一体となった賃金闘争の中で、民間労働者から公務員賃金に対する理解が広がっていること、B労働基本権回復も視野に、人事院勧告制度が画餅に帰すことがないよう、国公労連に結集し政府・人事院への追及を強化すること、C公正・民主的公務員制度の確立にむけたとりくみを強めること、D憲法と基本的人権の保障を守るたたかいに全力をつくすことが提起され、「裁判闘争に立ち上がった原告の勇気と奮闘を讃え合いたい」と呼びかけました。
 参加者からは「今までにない貴重な経験であり、裁判闘争の意義を職場に浸透させる必要がある」、「当時の公務員バッシングを押し返す力となった」、「原告団に名を連ねたことを誇りにしたい」との感想が寄せられ、引き続き裁判闘争の意義や到達点、各原告の想いを職場に伝えていくことを確認しました。

 
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要求組織は職場の対話から 全国職場会の様子
 

 全司法では、7月の定期大会で確立した、支部独自の活動を全司法の活動の中心に据え、職場に根ざした活動で組織の強化・拡大を目指す出発点として、11月中に全国すべての職場で職場会を開催することとしています。各地で開かれている職場会の様子をお聞きしました。

【東京地裁支部】

「全体職場会」と「職場会」二段構えで声を拾い上げる

 東京地裁支部はこれまでも、支部交渉や分会交渉の実施前には、「全体職場会」や「職場会」を開催し、職場の小さな声を拾い上げて交渉に活かしています。また、職場環境改善のためにも「職場会」のとりくみをとても大切にしています。
 この秋も、11月9日に、まずは刑事分会で「全体職場会」を開催し、職場状況の報告等を行いました。「全体職場会」では、9月から東京高地裁合同庁舎へ本格導入された「開廷表のタブレット端末化」に関して、タブレットへのデータ移行の不具合や導入に際して職場へ全く説明がなかったことを問題視するものなど、多くの声が寄せられました。また、裁判員裁判で利用する評議室のテンキー式ドア不具合の改修情報に関する職場周知がまちまちであることや、最近被告人や証人等の急病人が多いことで、部も訟廷も対応に手間が取られてしまっている等の職場実態も報告されました。
 この「全体職場会」開催後に、もう少し小さな単位で「職場会」を実施し、一つでも二つでも職場の要望が実現するよう、分会執行委員中心に日々頑張っています。

群馬支部

分会全員が顔を合わせて対話 大きな一歩を踏み出す

 群馬支部は、全国でも最小クラスの組織人員ですが、毎年3回の所長・局長交渉を実施し、職場の要求実現に向けて奮闘しています。
 ですが、実は、大会以外で本庁分会全員が顔を合わせる機会を持てずにいました。この秋は、新たな組織方針を受けて、本庁分会における職場会を、11月7日の昼休みに開催することができました。組合員からは、当直負担軽減や育児休暇取得者の後補充、調査官の出張時におけるタクシー利用の柔軟対応など、全国各地から出されるものと共通した要求のほか、裁判官に病休者が出ており代替要員若しくは填補などの手当を求めるといった、職場固有の要求も出されました。秋の支部交渉に活かしていく予定です。
 今回実施できたのは本庁分会のみで、今後の課題も残りましたが、それでも、今回のとりくみを、大きな一歩ととらえています。

三重支部

職場の生の声が一番の参考に

 三重支部は、小規模庁である津地家裁本庁分会と、管内6分会(管内5支部・3独簡のうち、組合員がいる6庁)で活動をしています。10月23日〜11月8日にかけて、本部の「新たな組織方針」及び2期目の浦田委員長の提起に基づき、すべての職場で職場会を実施しました。
 職場会の枠組みは、本庁で部署ごとに8つ設置し、支部・独簡は分会単位で設置しました。これまでも交渉前に各職場へ執行委員が足を運んで職場の声を聴く「オルグ」は配置していましたが、今年は、職場のとりまとめとなる職場委員を、執行委員とは別に選出してすすめました。
 こぢんまりとした職場会だと参加者も話をしやすく、何より執行部は職場の生の声を聴くのが一番参考になると改めて実感しました。今後も、職場委員の意識を高める方法を模索しつつ、要求組織と組織拡大強化を職場の対話からすすめていきたいと思います。

 
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『奨学金』借換プランを実施中
 

 全司法は組合員の福利厚生として、中央ろうきんの教育ローンを活用した「奨学金借換プラン」を開設しています。このプランを利用すると、通常の教育ローンの金利よりも低い金利で借り入れができます。詳しくは、お近くの組合役員までお問い合わせください。

 
 
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