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  トップページ > 全司法新聞 > 2017年11月 > 2275号
 
 
全司法新聞
 
最高裁「賃下げ」特例法に対する判断示さず上告棄却
公務員賃下げ違憲訴訟
 
最高裁前要求行動(10月10日)

 2012年4月から2年間、人事院勧告によらずに国家公務員の賃金を平均7・8%引き下げた「給与改定・臨時特例法」(「賃下げ」特例法)は 違憲・無効だとして、国公労連とその組合員311人(全司法からは40人)が争っている「公務員賃下げ違憲訴訟」について、最高裁第二小法廷 は10月20日、上告棄却の決定を行いました。国公労連は同月25日に「憲法判断を避けた判断は、最高裁判所の存在意義が問われる不当なもの である」と抗議する鎌田書記長の談話を発表しました。

ルール無視の「賃下げ」に対する怒りを背景に

 この事件は、公務員の総人件費削減を掲げた政府(民主党政権)のもとで、人事院勧告を超える賃下げが検討されていたところ、折から発生した東日本大震災(2011年3月)の復興財源確保を口実として、不当な賃下げが強行されたというものです。
 生活に深刻な影響をもたらす大幅な賃下げを、公務員の賃金決定のルールを無視して行ったことに対する職場からの怒りを背景に、国公労連と組合員370人(全司法からは40人)が国を相手に東京地方裁判所に提訴しました。
 この裁判は、(1)労働基本権制約の代償措置である人事院勧告に基づかずに政府が一方的に賃下げを強行したことは憲法28条違反であり、ILО(国際労働機関)条約違反であること、(2)十分な交渉・協議を尽くさなかったことは団体交渉権の侵害であること、など国家公務員の権利侵害を最大の争点としてたたかわれました。

「賃下げ」特例法の違憲性審査せず、門前払い

 2014年10月30日に一審の東京地裁が原告の請求を棄却、2016年12月5日には、東京高裁が控訴棄却の判決を行いました。
 控訴審の東京高裁は、「人事院勧告制度が、国家公務員の労働基本権制約の代償措置として中心的かつ重要なものである」「国会は、国家公務員の給与決定において、人事院勧告を重く受け止めこれを十分に尊重すべきことが求められている」と、人事院勧告の重要性を認めながらも、「国会は、人事院勧告どおりの立法をすることが義務づけられているとはいえない」などとして、「賃下げ」特例法を合憲と判断しました。
 今回の最高裁の決定は、違憲性については審査せず「上告理由がない」とする門前払いの決定でした。

裁判闘争を通して得た貴重な到達点

 残念ながら私たちの主張は認められず、この決定により裁判闘争は一区切りをつけざるを得ませんが、5年間に及ぶ裁判によって、貴重な到達点を築くことができました。
 まず、裁判を通して、政府による不当な賃下げの延長や新たな賃下げを断念させ、その後、政府が人事院勧告尊重の姿勢に立たざるを得ない状況を作り出したことです。
 あわせて、裁判の情報提供
などを行うことにより、ILОから日本政府に対して、労働基本権回復と労使協議の重要性について、三度の勧告を引き出したことです。今後の労働基本権回復に向けた運動の足がかりとなるものです。
 また、裁判を通して官民の労働組合の共同が広がり、賃下げのスパイラルを断ち切り、賃上げの気運を高める一翼を担うことになりました。
 さらには、裁判闘争を最後までたたかい抜くことで、国公労連とそれに結集する労働組合が毅然とたたかう姿勢を職場に示したことです。こうした労働組合の姿勢や存在意
義については、改めて職場の中で広げ、組織強化・拡大に結びつけていく必要があります。

 
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負担に目を向けず、現場の違憲を受け止めない姿勢が明らかに
秋年期第2回人事局総務課長交渉
 
職種担当中執を含め交渉を実施

 全司法本部は11月6日、第2回となる最高裁和波人事局総務課長との交渉を実施しました。今回の交渉では、国民のための裁判所実現、職員制度(職種)、昇格の3課題について、職種担当の中央執行委員も参加して職場の実情を訴え、要求実現を目指しました。

 

【国民のための裁判所】

成年後見「必要な支援をしたい」

 司法制度改革に関わって、最高裁は「職員及び職員団体の意見を踏まえながら、人的・物的な面を含めた態勢の整備を計画的に行ってきた」、「事件数の動向や事務処理状況等を常に注視し、必要な検討等を行っていく必要がある」との基本姿勢を示しました。また、家裁の態勢整備について「家事事件が増加傾向にあることは認識しており」「新たな制度施行後の事務処理状況等も踏まえながら、適正な人事配置に努めたい」と回答しました。また、成年後見に関する自治体等との連携について、指針や工程表の提示を求めたのに対し、「一律に指針や工程表を示すことは困難」としながらも、「行政府省等のとりくみ状況について随時情報提供」し、「各地の先進的なとりくみを各家裁に還元するなど必要な支援をしたい」と回答しました。

【調査官の職員制度】

「(異動の)意向打診は困難」

 家裁調査官の課題では、職場の要求に照らして極めて不満な回答が相次ぎました。家裁調査官の異動政策について、最高裁は「公平性を損なわない範囲で、本人の生活環境にも十分配慮した異動が行われるよう更に検討したい」としたものの、事務官・書記官と同様に庁名を明示した意向打診を行うよう強く求めたのに対しては、全国異動を理由に、「計画段階で変動しやすく、その影響も広範囲に及ぶことから、具体的な庁名を明らかにした意向打診は困難」と回答しました。これまでは、実情調査の段階で大まかな地域のみの可否を確認されたにすぎず、全く違う地域への異動内示を受けた事例もあります。広域異動は育児をはじめ異動後の生活に大きな影響を与えますが、全国異動を理由に明確な意向打診を行わないとする回答は、職員の負担に目を向けず、家裁調査官に対し大変酷なものあり、最高裁の姿勢を疑問視せざるを得ません。
 また、育成新施策についても、「概ね順調にすすんでいる」、(グループ修習について)「実務修習の質を高めることができ」「抜本的に見直すことは考えていない」、「修習計画に無理はない」「通常は超勤を行うことは少ない」、(二重の異動について)「継続的な育成の観点から有効かつ必要」との回答に終始し、現場の意見を受け止めない最高裁の姿勢が明らかになりました。
 一方で、任官後の宿舎貸与について「採用庁に戻った際の宿舎貸与も含めて」「必要な見直しを早急に行っている」ことを明らかにしました。

【職員制度】

電子速記タイプ「再来年度から整備もあり得る」

 電子速記タイプライターの官支給については「最も早くすすめることができれば再来年度から整備することもあり得る」とし、「必要な機能を十分精査して検討を行いたい」と回答しました。
 当局の責任による書記官事務の簡素化・効率化を求めたのに対し、「あるべき事務処理態勢を構築していく」としながら「従前と比べて事務が拡充するものもある」「適正な事務を確保が目的であり理解してもらいたい」と回答し、書記官事務が増え続け負担が増している実態を直視しない姿勢が明らかとなっています。

【昇格】

「全力を尽くしていきたい」

 昇格では、人件費を巡る厳しい情勢を強調し、「これまでにない厳しい状況もあり得る」としながらも、「職務に応じた適正な処遇を行い、モチベーションの維持向上を図る必要がある旨強く主張し」「年末に向けて全力を尽くしていきたい」との基本姿勢を示しました。

 
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家裁と調査官の役割を伝えるとりくみを広げよう
2017年少年法対策会議
 
講演する佐々木教授(左端、その隣が金矢弁護士)講演

 11月4日〜5日、少年法対策会議が開催され、各地連からの参加者やOBを含めた28名が参加しました。
 今年の2月9日に法務大臣が法制審議会に対して、少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げることや、懲役刑と禁錮刑を一本化する見直しなどについて諮問し、これまでに5回の会議が開かれ、現在は3つの分科会に分かれて議論がすすめられています。
 今回の会議は、こうした法制審の議論状況をはじめとする少年法をめぐる情勢と課題をふまえ、今後の全司法のとりくみを意思統一するために開かれました。

「代替策となり得ない」ことの主張を

 日弁連・子どもの権利委員会の金矢拓弁護士は法制審議会の議論状況について、「少年法の年齢問題はほとんど議論されず、高齢者や障害者等を中心とした再犯防止策ばかりが議論されている。こういうものがあるから、少年法の適用年齢を下げても大丈夫だ、という議論になることを懸念している」と指摘しました。そして、「これらの措置では、家裁が行っている調査・調整機能の代替策になり得ないことを主張していくことが必要だ」と述べました。

「少年の健全育成」との乖離を懸念

 神戸学院大の佐々木光明教授は、少年法の厳罰化が主張され、度重なる少年法改正が行われてきた背景に「世界一の安心安全」「守られる市民」という政府のメッセージがあり、それを脅かす存在として少年と外国人が挙げられたことを指摘しました。そのうえで、少年司法が「少年の健全育成」という本来のあり方を離れて、社会防衛的な方向にすすむことに懸念を示しました。これらの講演等をふまえ、18・19歳が少年法の対象から外れることで予想される問題点や、家裁と家裁調査官の役割を伝えるとりくみを各地で広げていくことが意思統一されました。

こどもの権利条約カウンター・レポを確認

 また、子どもの権利条約に対するカウンターレポート作成について、本部少年法対策委員会が報告し、これを全国に伝えていくことが確認されました。

 
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増員、ITシステム、事務の簡素化・効率化などで要求を確認
地連事務官担当者会議・上京団交渉
 
職場実態にもとづき事務官の要求を主張
 全司法は、10月29〜30日に地連事務官担当者会議を開催するとともに、上京団交渉を実施しました。

旅費等システムで研修・マニュアル整備を要求

 会議では情報セキュリティ(総務)、給与・任用(人事)、用度・営繕(会計)などを担当する部署を中心に繁忙状況が続いており、事務局の増員が必要であることが報告され、早朝、昼休み及び休日について超勤申請が行われていない場合が多く、依然としてサービス残業が存在している実態が明らかになりました。
 また、SEABISの旅費等システムが職場の繁忙に拍車をかけていることが指摘され、事務の簡素化・効率化に結びついていない実態が報告されました。とりわけ、この10月から裁判官等の職員も対象とされ、研修旅費・赴任旅費にも運用が拡大される中、入力のためには旅費法や予算科目の知識が必要になることから、研修の要望が出されているほか、誰でも簡単に入力できるマニュアルを早急に整備させる必要性が強く指摘されました。
 また、J・NETポータルの活用に関わって、事件情報データベースと同様の通達・通知・事務連絡等の職務の根拠が検索できるコンテンツの作成を求めるとともに、職員端末のインターネットからの完全分離による事務の支障を解消するために「仮想デスクトップ構想」の早期導入に向けて
引き続き追及を強めていくことを確認しました。

「手荷物検査」の負担・不安も

 事務の簡素化・効率化に関わっては、下級裁でのとりくみには限界があり、通達改正等も含む具体的な方策を行うよう要求することを意思統一しました。
 研修制度については、実務に即した知識付与型の研修の充実を求める声が強いことが明らかになるとともに、職務導入研修が内容面で実務に即した内容になっておらず、研修全般の拡充に向けて追及を強化することを確認しました。
 なお、仙台で起きた事件を発端として始まった法廷前の所持品検査が事務官にとっても負担になっている実態や専門的な研修もないまま所持品検査を行うことへの不安の声も報告されるとともに、要警備事件の増加により法廷警備員が繁忙になっている実態等についても報告がありました。
 これらの議論をふまえ、上京団交渉では、事務局の繁忙状況の解消、事務の簡素化・効率化、サービス残業の根絶、研修制度の充実、事務官の登用、退職時5級の枠組みの維持と占有期間延長、法廷警備員の研修参加等について追及しました。

 
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9条改憲許さない決意新たに 11・3国会包囲大行動
 

4万人が参加。全国各地でも集会!

全司法も本部・東京地連から行動に参加

 憲法公布記念日である11月3日、市民連合の呼びかけによる国会包囲大行動が行われました。鮮やかな青空の下、「立憲主義を壊すな」「憲法を生かそう」「9条を守ろう」という思いを持つ市民4万人が集まりました。国会周辺の歩道は参加者で埋め尽くされ、全司法からの参加者は国会正門からは裏手に近い国会図書館前に場所を取りましたが、その辺りでも人々で身動きが取れないほどでした。
 正門前のステージでの様子が、スピーカーを通して伝えられます。立憲民主党の枝野代表や共産党の志位委員長をはじめとする野党議員、大学教授や学者・作家・医師といった著名人、市民団体の代表、そして元最高裁判事など、いろいろな立場の方が、「立憲主義と憲法を生かす政治を実現
しよう」「平和を私たちの手で守ろう」という思いを込めた素晴らしいスピーチを行い、参加者は拍手やコールで応えました。同様の集会や様々な行動が北海道から沖縄まで全国各地で開催されていると報告がされ、大きな歓声も上がりました。

「私たちはあきらめない」との熱気と手応え

 総選挙では与党が3分の2を超える議席を獲得し、第4次安倍内閣が発足しました。しかし、小選挙区での自民党候補者の得票率は約48%(有権者全体に占める割合は約25%)、比例代表での自民党の得票率は約33%(有権者全体に占める割合は約17%)でしかないことが明らかになっていますし、立憲民主党が支持を集めて野党第一党になり、野党共闘を掲げた勢力(立憲民主党、共産党、社民党など)は全体として議席を倍近くに伸ばしています。その中で、安倍政権が野党質問時間を短縮するという方針を打ち出したことには国民からも多くの批判が出されています。また、首相官邸の関与や行政の手続をめぐって不透明さを残したまま加計学園獣医学部が認可される見通しとなったことから、国民の視線は依然として厳しいものがあり、首相のための政治にNO!を突きつけ、「国民のための政治」を求める声はますます大きくなっています。
 そのような情勢の中での国会包囲行動は「私たちはあきらめない」という熱気がありました。加速するであろう改憲の議論を阻止するたたかいのスタートとして手応えを感じさせる行動になりました。

 
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UR都市機構と協定、家賃1か月無料など
 

 全司法はUR都市機構と協定を締結しています。これを利用して賃貸住宅契約を行うと、敷金1か月分と入居日からの家賃1か月分が無料になります。詳しくはお近くの組合役員までお問い合わせください。

 
 
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