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全司法新聞
 
超勤縮減、事務の簡素化・効率化に向けて強い姿勢
2017年諸要求貫徹闘争・最高裁交渉結果
 
事務総長交渉に臨む中央執行委員

 全司法本部は6月12日〜15日、諸要求貫徹闘争期における最高裁とのまとめの交渉を実施しました。増員・昇格で「最大限の努力」姿勢を示させたほか、超勤縮減のための事務の簡素化・効率化に強い姿勢を示すなど、多くの課題で前進または足がかりとなる回答を勝ち取りました。

人員・昇格で「最大限努力」の姿勢示す

 最高裁は、2018年度の増員について、国家公務員の定員削減をめぐる情勢の厳しさや事件動向を強調しつつも、「必要な人員の確保に向けて、最大限の努力をしていきたい」と回答しました。この中で「ワーク・ライフ・バランス推進」のための定員に言及したことも注目されます。
 昇格についても、国家公務員の人件費削減をめぐる厳しさに触れつつ、「職員の勤務条件にも配慮しながら、最大限の努力をしていきたい」と回答しました。
 これらはいずれも、次年度予算の概算要求に向けた努力姿勢を示したものと受け止めることができます。

長時間勤務は「社会的に大きな問題となっている」

 長時間勤務について「社会的に大きな問題となっている」との認識を示したうえで、これまで以上に「事務の簡素化・合理化等を推進して」「超過勤務の削減に取り組む」と、最高裁としての強い姿勢を示しました。
 業務の「適正さ」やコンプライアンス等が強調されるもとで、簡素化・効率化のためには当局のイニシアチブが必要だと指摘したのに対しては、「法令に則った適正な事務を遂行していくことと併せて」「ワーク・ライフ・バランスを実現し、活力ある生産性の高い職場とすることで、組織全体としてのパフォーマンスを向上させていく」としたうえで、「職場全体における働き方を見直していくことが重要である」と回答しました。
 あわせて、「超過勤務を的確かつ遅滞なく把握」することや「サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならない」との回答も改めて確認し、「下級裁を指導するとともに、その取組を後押ししていきたい」と回答しました。

ハラスメント対策、職場環境維持・向上に不可欠

 育休中の職員の健康診断について「希望する職員については受診できるよう配慮していきたい」と回答しました。
 ストレスチェック制度では「できる限り多くの職員に受検してもらうことが望ましいと考えている」とし、「受検率向上に資するような工夫を行った上で、適切かつ有効に実施できるよう努めていきたい」との姿勢を示しました。
 パワハラ防止対策の強化を求めたのに対しては、事務総長交渉で、ハラスメントは「その種類を問わず、これを防止することが、職員が働きやすい職場環境を維持・向上させるために不可欠」との認識を示し、「各種ハラスメントの防止に関する意識啓発を図っていきたい」等と回答しました。また、人事局長交渉では苦情相談があった場合について、事案に応じて最高裁が「調査等することもあり得る」とし、「当該職員の意向を十分に確認、尊重しながら対応に当たるよう努めており、今後も同様に対応していきたい」と回答しました。
 人材育成については、「若手から中堅層以上に至るまで職員一人一人の士気を高め、それぞれの経験も踏まえた上で、その能力を伸長させるための計画的かつ継続的な人材育成が重要」とし、「特に年齢を重ね経験を積んだ職員に対しては、その経験等を活かした能力発揮が図られるような育成が意識的に行われるよう、引き続き、とりくみたい」との姿勢を示しました。

要求前進受け、7月7日プレート中止を提起

 電子速記タイプライターの官支給については、「できる限り速やかに」官支給に向けて検討する姿勢を示した上で「仕様については、速記官の意見を聴きながら検討していく」と回答しました。
 家裁調査官の育成新施策については「本年4月の任官者の配置後の状況も踏まえ、引き続き必要な検討を行っていきたい」と回答しました。
 裁判所における宿舎貸与に関する運用基準について「緩和する方向で見直せないか検討中である」、第2類型該当職員について、家裁調査官や営繕技官が「該当する余地がないか前向きに検討中である」ことを明らかにしました。
 これらをはじめ、様々な要求について前進または足がかりとなる回答があったことを受けて、本部は7月7日のプレート行動を中止し、昼休みの報告集会に切り替える旨の原案を提起しました。

 
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人員・昇格「最大限の努力」 最高裁人事局長交渉
 

 全司法本部は、6月13日、諸要求貫徹闘争ヤマ場における最高裁堀田人事局長との交渉を実施しました。人員の確保、昇格の級別定数改定について、それぞれ「最大限の努力」姿勢が示されたほか、他の重点要求についても一定の到達点を築くことができました。

人員

全支部から集約した「要請書」を提出

引き続き最大限の努力

 次年度の増員に向けては、「国民の理解を得ていくためには、これまでどおり事務の合理化、効率化等による内部努力が不可欠」「次年度の増員を巡る財政当局との折衝はこれまで以上に厳しくなる」との認識を示しながらも、「司法需要に的確に対処し、適正迅速な裁判を実現するために必要な人員の確保について引き続き最大限の努力をしていきたい」との姿勢を示しました。
 その上で、書記官については「必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」、家裁調査官については「家庭事件全体の動向や事件処理状況等を踏まえながら、これから検討していくことになるが、必要な人的態勢の整備に向けて、引き続き努力していきたい」と回答しました。その一方、事務局への人的手当については「事務処理の簡素化、効率化が図りやすい部門であることから、こうした事務処理の簡素化、効率化という観点も踏まえて事務処理態勢を検討していく必要がある」との従前回答にとどまりました。
 なお、「国家公務員の女性活躍とワーク・ライフ・バランス推進」のための定員に関わっては、「書記官及び調査官についても、育児等の事情を持つ職員が一定存在することは認識しており、(中略)、書記官及び調査官の増員についても検討している」と回答しました。

超勤縮減

事務の簡素化、効率化をこれまで以上にすすめる

 「裁判所においても超過勤務の削減はますます重要な課題となっている」との認識を示し、「組織全体として超勤削減に向けて事務の簡素化、効率化に向けたとりくみをこれまで以上にすすめていきたい」と回答しました。その上で「サービス残業や持ち帰り仕事はあってはならない」「超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握するよう今後も管理職員に対する指導を徹底するとともに、報告に対する職員の負担感への配慮の要望があったことは下級裁に伝えたい」との従前回答を維持しました。

ストレスチェック制度

受検率向上に向け工夫

 ストレスチェック制度については、昨年度の運用状況を踏まえた受検率向上に向けた工夫として、「本年度は、一般的にストレスが強まると考えられている4月の異動時期にできるだけ近接した時期に受験できるように、実施期間を7月3日から同月31日までとしたほか、事務の効率化や情報セキュリティ強化の観点から、ID・初期パスワードを封書で交付する方法に変更し」たことを明らかにしました。

ハラスメント防止

当該職員の意向を十分に確認、尊重しながら対応に当たる

 パワハラの苦情相談手続きに関わり「事案の内容等に応じて、最高裁が各裁判所における調査結果を確認したり、各裁判所を指導する等の対応を行っているほか、さらに必要があれば、調査等をすることもあり得る」「パワハラに限らず、職員から苦情相談があった場合には、当該職員の意向を十分に確認、尊重しながら対応に当たるよう努めて
おり、今後も同様に対応していきたい」と回答しました。

職員制度

電子速記タイプライター、できる限り速やかに官側で整備

 電子速記タイプライターの官支給について「できる限り速やかに官側で整備することを視野に入れて調達に向けて検討中」とした上、「仕様については、速記官の意見を聴きながら検討していく予定である。職員団体についても、要望があれば申し出てもらって差し支えない」と回答しました。
 家裁調査官の育成新施策に関わっては、「特に任官後の小規模庁配置が昨年度末でちょうど3年が経過したことから、その育成等の状況を適切に把握した上で、本年4月の任官者の配置後の状況も踏まえ、引き続き必要な検討を行っていきたい」と回答しました。

宿舎

運用基準、緩和する方向で検討

 「転居を伴う異動に当たっては、必要な戸数を確保するよう努める」とした上で、宿舎貸与に関する運用基準について「緩和する方向で見直せないか検討中」と回答しました。また、類型該当者の宿舎確保に関わって「家裁調査官や営繕技官については、常に第2類型(頻度高く転居を伴う転勤等をしなくてはならない職員)に該当する余地がな
いか前向きに検討中である」と回答しました。

昇格

定数改定に最大限努力

 「来年度予算における級別定数改定を巡る情勢は全く予断を許さない」との認識を示す一方、「各職種の職責や役割等を念頭において、職員の勤務条件にも配慮しながら、最大限の努力をしていきたい」と回答しました。

 
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事務総長交渉回答要旨

人的態勢の整備について

 「成年後見制度の利用促進を図るための法改正等に伴う新たな制度への対応」にも言及して「引き続き、人的・物的な面を含めた態勢の充実強化に向けて努力していきたい」と回答しました。
 2018年度の増員要求については、国家公務員の増員をめぐる情勢や事件動向にも触れて「極めて厳しい」との認識を示しつつ、「裁判部門の充実強化を目的とする人的態勢の整備の必要性」とともに「『国家公務員の女性活躍とワーク・ライフ・バランスの推進』の観点を踏まえ」、「必要な人員の確保に向けて、最大限の努力をしていきたい」との姿勢を示しました。

超勤縮減、事務の簡素化・効率化について

 長時間勤務について「社会的に大きな問題となっている」との認識を示し、「最高裁としても、これまで以上に事務の簡素化・合理化、業務プロセスの見直し等を推進して」「超過勤務の削減に取り組む必要がある」と、より強い姿勢を示しました。
 また、現場はミスを許さない雰囲気に傾いており、むしろ事務が増大していると指摘したことを受けて、「法令に則った適正な事務を遂行していくことと併せて、男女を問わず、個々の職員がワーク・ライフ・バランスを実現し、活力ある生産性の高い職場とすることで、組織全体としてのパフォーマンスを向上させていくためには、超過勤務削減に止まらず、職場全体における働き方を見直していくことが重要である」と回答しました。
 また、「超過勤務を的確かつ遅滞なく把握した上」でとりくみをすすめるよう、「より一層下級裁を指導するとともに、その取組を後押ししていきたい」と回答しました。

人材育成、女性の登用拡大について

 人材育成については、「若手から中堅層以上に至るまで職員一人一人の士気を高め、それぞれの経験も踏まえた上で、能力を伸長させるための計画的かつ継続的な人材育成の取組が重要である」との認識を示しました。
 女性の登用拡大については「職場全体における働き方改革を進めていくなど、女性職員の活躍の推進に向けた取組を進めていきたい」との姿勢を示しました。

職員の健康、ハラスメント対策について

 ストレスチェック制度について、「受検率向上に資するような工夫を行った上で、適切かつ有効に実施できるよう努めていきたい」と回答しました。
 また、パワハラ防止対策の強化を求めたのに対して、「ハラスメントについては、その種類を問わず、これを防止することが、職員が働きやすい職場環境を維持・向上するために不可欠であり、これまでにも様々な措置を講じてきているが、今後も引き続き、管理職員を始めとする職員に対する研修等の機会を通じ、各種ハラスメントの防止に関する意識啓発を図っていきたい」と回答しました。

権利について

 引き続き、「相互の信頼関係の下、勤務条件やこれに関連する事項についてはその意見を聴取するなど誠実に対応してきており、今後もそのような方針に変わりはない」ことを確認しました。

 
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最高裁3局(総務・人事・経理)、1課(情報政策課)と交渉
 

人事局交渉

組織全体として事務の簡素化、効率化にとりくむ

 労働時間短縮、超過勤務縮減の課題では、「裁判所においても超過勤務の削減はますます重要な課題となっている」との認識を示し、「組織全体として超勤削減に向けて事務の簡素化、効率化のとりくみをこれまで以上にすすめていきたい」と回答しました。職場ではサービス残業が実態として存在し、引き続き、管理職への指導が必要であると追及したことに対しては、「しっかりと受け止める」と回答しました。
 また、パワハラの課題では、ハラスメント総合窓口の設置をはじめ、具体的な方策を講じるよう求めたところ、「当該職員の意向を十分に尊重し、適切に対処している」と回答したことから、ハラスメントの防止をはじめとする執務環境の整備が裁判所の責務の問題であることを踏まえ、その根絶に向けて、より一層管理職に対して指導・啓発を行うよう求めました。
 人事評価制度の課題では適切な制度運用の徹底を重点として追及し、改めて、管理職の評価能力や人材育成のスキルの向上を求めました。
 再任用制度の改善については、年齢による身体的負担や遠距離通勤が負担で年度途中で退職する人がいるという実態を挙げて追及し、「再任用を希望する職員の意向も十分にふまえ、配置先を決定している」と回答させました。
 職員制度の課題では、事務官、家裁調査官、行(二)職を重点に追及しました。事務官では、退職までに誰でも5級の枠組みが完成しているものの、職員数が多い中堅・高齢層の職員は、ポスト不足により昇任が遅れたり、昇任されないことに不公平感や不満を有しており、モチベーションの低下にもつながっていると追及しました。また、家裁調査官では、主に調査官の専門性への評価について、行(二)職では、希望者の転官を実現するよう求めました。
 宿日直の課題では、各地の宿日直の負担の実態を主張しました。主張に対しては、「承る」と回答しており各地の実態把握を的確にさせたうえで、「令状センター構想」などの検討スピードをあげさせることが今後の課題です。
 採用・異動・休暇・男女平等母性保護等の回答は従前回答どおりでした。

経理局交渉

宿舎貸与、裁判官以外の第2類型該当を検討

 概算要求に向けては、「各種の事件数の動向、各庁の予算支出状況や要望等を踏まえ、また、国民の理解が得られるよう配慮しつつ、適正迅速な裁判の運営に必要な予算を要求してきているが、国の財政状況が逼迫しており、予算の必要性、効率性の観点から徹底的な見直しを求める財政当局との折衝はかつてないほど厳しくなる」としつつ、裁判所の人的・物的充実、労働条件関連予算を含め、適正迅速な裁判の運営に必要な予算の確保に向けた努力姿勢を示しました。あわせて、増員要求、情報化関連予算の確保についても、「努力していきたい」と回答しました。
 庁舎新営等に向けた予算確保に関して、「老朽・狭あい庁舎の新営・増築・修繕については、職員の勤務条件に関わる問題として、常に関心を持って努力しているところであり、今後も必要性・緊急性の度合いや当事者の利便を考慮しながら必要な予算を確保していきたい」と回答しました。
 災害時の備蓄基準の策定については、「各庁の地域性もあり、統一的な基準は策定していない」としつつも、東日本大震災等の経験等を参考にしながら、「必要性を勘案し、できる限りの整備に努めている」との認識を示しました。
 宿舎の改善に関わって、貸与に関する運用基準の見直しを追及したところ、「裁判官以外の職種の職員についても、職種全体として、全国各地での勤務が求められ、比較的短期間のサイクルで転居を伴う転勤を続けるという実態などがある場合には、常に第2類型の『頻度高く転居を伴う転勤等をしなくてはならない職員』に該当する余地がないか前向きに検討中である」と回答しました。また、必要戸数の確保については、「『公務員宿舎削減計画』の結果を踏まえると、新たな宿舎の設置は非常に厳しい状況であるが、要望については承る」と回答しました。
 タクシー利用基準の緩和に関しては、「公務上の必要性がある場合に実費を支給することが可能だが、最高裁において一律の具体的な指針を設けることは難しく、公務上の必要性の有無等を個別に判断することになる」と従前の回答にとどまりました。

総務局交渉

必要な人員の確保について引き続き努力

 人員要求については、「事件数が著しく減少している等の場合には、各庁各部署の個別具体的な状況に応じて人員配置の見直しを検討するとともに、社会状況をも見極めながら多種多様な要因を総合的に考慮し、必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」と回答しました。一方で、「国家公務員の定員を巡る厳しい情勢や事件数の動向等を踏まえると、今後はますます、これまでのような増員が見込めなくなる」「次年度の増員を巡る財政当局との折衝はこれまで以上に厳しくなる」との認識が示され、内部努力の必要性も改めて示されました。
 全司法からは、書記官の増員のほかに、家事・少年事件全体の新受件数が近年のピークであった1984年を1万件上回っているにもかかわらず増員の姿勢を示さない家裁調査官について改めて増員を強く求めるとともに、繁忙度が増している事務局や支部・簡裁などへの人的手当についても強く求めました。
 「国民のための裁判所」実現にかかわっては、裁判員候補者の選任期日への出席率の減少を踏まえ、必要な調査・分析を行うとともに、引き続き広報活動の充実を図ることを求めました。あわせて、刑訴法改正や民法改正にかかわって、事務に必要な資料や手引き等の整備を求めました。
 職員制度に関する要求では、書記官の職務評価の向上とポスト拡充のほか、郵券管理や秘匿情報の取扱い、データ管理等のセキュリティ対策などで、この間、事務処理の適正化やコンプライアンスの確保が過度に強調されることが書記官事務の硬直化と量の増大を招き、職場で過誤を許さない雰囲気を生じさせている状況を指摘した上、厳格化の追求だけでなく、法的根拠を踏まえた合理性を追求すべきであり、そのための方策を最高裁が主体的に打ち出すことを求めました。
 また、速記官の課題に関わって、電子速記タイプライターについて「できる限り速やかに官側で整備することを視野に入れて調達に向けて検討中である」と回答するとともに、「今後、速記官の意見を聴きながら仕様を検討していきたい」と回答しました。

情報政策課交渉

次期システム、使用する職員の意見・要望を把握する

 「次期裁判所事件処理システム(仮称)」(以下「次期システム」という)の開発を含めたIT情報システム全般については、「実際にシステムを使用する職員の意見や要望等を的確に把握することが重要である」との認識を示し、「今後も、裁判所における情報化投資がシステムの利用者の意見を踏まえつつ、『裁判所のシステム最適化計画』の考えに沿った合理的かつ有益なものとなるよう努めていきたい」と回答しました。
 次期システムに関し、職員及び全司法の意見を踏まえて開発を行うことという要求に対しては、「最高裁判所の職員が各庁へ赴いて実情調査を行ったり、通常業務の中で各庁から寄せられる改修等要望を管理したりするなどして」いるとした上で、今後、改めて職員及び全司法に説明し、意見等を聴取する予定であることを明らかにしました。また、レスポンスの低下を招かないシステム設計とすることという要求に対しては、「シンプルな構造にすることでレスポンスの向上もめざしている」「レスポンスに及ぼす影響も考慮しつつシステム化すべき業務の範囲の検討も行っていく」「ハードウェアについても、ユーザ数や事件数を考慮し、必要となるデータ量やアクセス数に見合うだけのサーバリソースを確保できるようにする」との全司法の問題意識を受け止めた回答がなされました。
 その他、OA専門部課の設置、IT情報基盤の強化、仮想デスクトップ技術の導入、J・NETポータルの充実、駅すぱあと(ライセンス版)の追加整備についても要求しましたが、従前回答にとどまりました。
 仮想デスクトップ技術の導入については、地方自治体や法務省等で導入されていること、職場では当事者からの問い合わせに支障をきたしている実態をふまえ、裁判所の信頼問題にも関わる問題であることを追及したのに対して「強い要望があることは承りたい」と回答しました。
 なお、情報セキュリティを過度に強調し、SDカード等の取扱いが厳格になった問題についても、交渉の中で主張しました。

 
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主体的な支部活動で職場の信頼を高め、仲間を増やす運動を! 第74回定期大会
 

 全司法は、7月23日から25日まで、滋賀県長浜市において第74回定期大会を開催し、激動する情勢の下、向こう1年間の運動方針と財政方針等を決定します。裁判所の人的態勢整備や超過勤務の縮減、健康管理の課題をはじめ、種々の課題が山積する中、職場環境改善に力を尽くす労働組合の役割は、これまで以上に大きくなっています。要求の前進を勝ち取り、全司法の組織を守り発展させていく観点から、運動方針案の積極的な討議を呼びかけます。

人的・物的態勢の更なる充実が不可欠

 安倍政権の際限のない暴走とそれに対する国民的な運動の中で、この国の在り方に関わる事件が裁判所に多数持ち込まれています。司法に対する関心と期待がこれまで以上に高まっている下、「国民のための裁判所」を実現していくためには、その礎となる人的・物的態勢の更なる充実が必要不可欠です。
 職場では、家裁職場や事務局を中心に依然として繁忙状況が続くとともに、事件の複雑・困難化や各種法改正も背景に、民事部・刑事部の繁忙状況も高まっています。また、地方の職場からは「これ以上の人員削減は困難」との声が強く挙げられており、職場実態に見合った人員手当は一層重要な課題となっています。

次期システム開発 職員の
意見を反映させ真に有用なものに

 司法需要に的確に対処し、適正迅速な裁判を実現するためにも、職員が健康で働き続けられる職場環境の整備が必要であり、事務の簡素化・効率化を図りながら長時間労働を解消するとともに、仕事と家庭生活の両立を図ることがますます重要となっています。近年、過度に「適正化」が求められる下、事務処理が煩雑化、硬直化しており、当局の責任で、具体的な事務改善の方策を示させることも重要な課題となっています。
 また、職場ではIT関連の様々な課題が生じ、利用しやすいシステムの構築や改善、安定稼働を求める声が高まっています。今後行われる「次期裁判所事務処理システム(仮称)」の開発にあたっては、今後の裁判所の基幹システムとして位置付けられることを踏まえると、既存システムの問題点を整理・分析するとともに、利用する職員の意見を十分に反映させることで、事務処理に有用かつ真に事務の簡素化に結びつくものにさせていく必要があります。

宿日直制度の抜本的な体制見直しが必要

 職員構成の変化も相まって、連絡員体制も含めた宿日直の負担と矛盾が多くの職場で広がっています。令状審査に対する国民の関心が高まることが予想される下、令状処理態勢を裁判所組織として高めていくことは喫緊の課題と言えます。実効性のある負担軽減策が十分図られない下で、もはや既存の体制での令状処理は限界との声も出されており、「宿日直制度の見直しを求める提言」に基づく令状センター構想をはじめ、抜本的な体制見直しが求められます。

支部が自ら考え、日常活動を発展させる自立した運動を

 山積する課題について、全司法が職場の代表として職場の要求を当局の政策に反映させていくためには、職場実態をつぶさに捉えた要求組織と、何よりも組織の強化・拡大が必要不可欠です。各機関が職場での対話を通じて一人ひとりの要求に誠実に向き合い、その実現に向けて真摯にとりくむ中で、全司法の信頼を高めるとともに、一人でも多くの仲間を増やすための不断の努力が、ますます重要となります。厳しい組織と財政状況の下、今般、全国的な執行体制の在り方を見直すとともに、自立した支部活動を行うための組織づくりについて、新たに方針提起を行いました。これは、本部が提起するとりくみを整理することで各支部の負担軽減を図ると同時に、対話に基づく要求組織や人材育成、組織拡大など、支部が果たすべき役割を明確にした上で、それぞれの支部が自ら考え、日常活動を維持・発展させるとともに、主体的かつ自立した運動を構築していくことを目的としています。

全ての職場で積極的な討議を

 第74回定期大会は、全司法の運動と組織の維持・発展に向けた重要な大会となります。実り多い大会となるよう、全ての機関、職場において運動方針案の積極的な討議をお願いします。

 
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青年の要求実現、組織強化・拡大 二本柱をさらに推進 青年協第4回常任委員会・最高裁交渉
 
青年の一言を集め、いざ交渉へ

友好祭典開催候補地を次期総会で提案

 青年協は、6月3日から5日まで、第4回常任委員会と引き続く最高裁交渉を実施しました。
 常任委員会では、次年度の運動方針案について討議し、各地区における活動状況などを報告し合うとともに、諸要求期における青年協統一要求及び統一異動要求を確立しました。
 次年度の運動方針案については「青年の職場諸要求実現」と「組織の強化・拡大」を二本柱とする青年協のこれまでの運動をさらに推進し、青年が組合と職場の中心的役割を担えるよう、学習を深めることをめざします。また、各支部における青年活動の援助のため、青年協からの情報提供の充実や役員の派遣を含めた組織オルグの配置をめざします。今年度は2018年の「全国青年友好祭典」開催に向けて、その内容や開催候補地を検討してきました。8月の定期総会では、開催候補地を提案します。

「地元に帰りたい」という要望に配慮

 常任委員会後は、最高裁人事局和波総務課長と交渉を実施し、全国の青年から寄せられた一人一言要求を手交しました。
 交渉では、初任給をはじめとする賃金や諸手当の改善、異動要求の実現、CE・CA試験の改善、裁判所職員総合研修所の運営改善、ただ働き残業の根絶、血液検査や女性がん検診を含む健康診断項目の拡充などについて追及しました。
 異動要求の実現及び採用地の希望尊重については、「地元から離れた庁に採用された職員の地元に帰りたいという要望に対しても、これまで配慮してきている」と回答しました。
 異動は、賃金と並んで青年の要求が強い課題です。異動についての最高裁回答を職場に広げるとともに、意向打診や内示の方法、異動に当たっての動機付けなど最高裁回答と異なる実態については、情報を集め追及を強めていく必要があります。
 また、総研での休暇の取扱いについては、「必要な休暇は適切に取得できるように努めていきたい」と回答しました。こうした回答を総研内にも広げ、今後も総研生対策のとりくみを続けていきます。

 
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「共謀罪」強行採決 「違憲立法」廃止をめざすとりくみに
 
交渉のあい間をぬって非常任中執も国会前へ

委員会をとばし、異例の暴挙

 政府・与党は6月15日、憲法が保障する思想・良心の自由を脅かす「共謀罪」法案について、参院法務委員会での採決をせずに審議を一方的に打ち切り、本会議採決に持ち込む「中間報告」という異常な強行採決を行いました。
 同法案は、審議を行えば行うほど疑問点や新たな論点が出てきたほか、森友・加計学園疑惑という安倍政権による国政私物化の問題が持ち上がり、これに対してまともに答えようとしない首相に対して、国民の不信感や怒りがわき起こるなか、追い詰められ、最後は審議途中にもかかわらず、なりふり構わない暴挙で押し切ったものです。

「テロ対策」は嘘国連からも批判が

 政府は当初、「テロ対策」「国際条約批准のために必要」としてきましたが、その説明が嘘であることや、「組織的犯罪集団」や「準備行為」といった規定が何の限定にもなっておらず、何をしたら犯罪になり処罰されるのかも不明確なままで、刑事法としては明らかな欠陥法であることが政府の答弁からも明らかになりました。
 さらに、当初は「組織的犯罪集団が対象で、一般人には関わりない」と答弁していたものが、参議院の審議では「環境保護団体、人権保護団体を隠れ蓑にした団体は組織的犯罪集団に当たることがある」と言いはじめ、一般人も捜査対象だと認めました。
 また、国連の担当者からは、国際組織犯罪防止条約の目的が「テロ対策」ではないことを明言され、国連の特別報告者からも「共謀罪」法案は、プライバシー権や表現の自由を不当に制限する恐れがあるとの懸念が表明されました。このことからも、参議院段階での充実した審議が求められるもとでの強行採決は許されません。

秘密保護法、戦争法あわせて廃止を

 「共謀罪」法案が強行採決された6月15日の昼、国会前には900人を超える人が押し寄せて「共謀罪」法成立に対する抗議の意思を示し、廃止に向けたたたかいの意思統一が行われました。
 その後も、秘密保護法、戦争法、共謀罪の3つの違憲立法を廃止させるためのとりくみが全国で展開されています。
 憲法尊重擁護義務を負う公務員、法律の仕事に直接携わる裁判所職員の労働組合として、引き続き、国民的な運動に結集していくことが重要です。

 
 
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