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全司法新聞
 
「全司法は大切だ」との思いを共有 第23回中央労働学校
 
5班に分かれて「学習会」を企画

 全司法は5月14日から15日に第23回全司法中央労働学校を開催し、青年組合員を中心に全国から24名が参加しました。
 1日目は、「全司法標準カリキュラム1はじめて読む『国家公務員法』」講師養成講座と銘打って、将来の全司法の中核を担う人材を育成するため、「学習」活動を行える技術・能力を身につける参加型の学習会を実施しました。2日目は、特定非営利活動法人ほっプラス代表理事である社会福祉士の藤田孝典さんをお招きし、「『貧困クライシス』に向き合う労働組合の役割〜若いみなさんのために〜」と題して講演を頂きました。

はじめて会った仲間と作る、参加型のとりくみ

 「裁判所の手当について、どの程度ご存知ですか。まずは『WithYou』の22ページを開いてください…」
 「講師」役の報告に、他の参加者が真剣にメモを取り、講評を書いていく…。今年度の労働学校は、学習会のチューターになれる人を育成する目的で開催されました。
 中矢委員長の講義のあと、5班に分かれて模擬学習会をプレゼンテーションしてもらう、例年とは異なる参加型のとりくみで、各班は、テーマ設定、発表スタイル、発表素材(レジュメなど)から話し合って決めていきます。ほぼ初めて会う仲間と試行錯誤しながら、1時間半という短い時間の中で準備をすすめていきました。

学習会を企画することで自らも学ぶ

 各班がプレゼンした模擬学習会は、短時間でまとめたとは思えないほど素晴らしい出来でした。新採用者を対象にして分かりやすくまとめた班、寸劇を取り入れて工夫した班、全司法の活動を熱く語った班など、各班の個性が出ているものでした。
 各班のプレゼンに対しては参加者全員が良かった点と改善が必要だった点を挙げ、順位を付けて評価しました。結果は、レジュメが充実しており、全司法の歴史と組合の存在意義について説得力のある説明がなされていた班が1位となりました。
 今回のとりくみは学習会を企画することで自らも学ぶことができ、他班を評価することで聞きながら学ぶこともできました。各班に共通していたのは、全司法は大切だという思いであり、そのことが再確認できる機会にもなりました。

「お金に換算できないメリットを伝え、楽しく活動すること」

 2日目の藤田孝典さんの講演では、日本の貧困や格差についての問題について話して頂きました。憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」を送ることができない人が増えており、日本の社会保障のレベルが低すぎると指摘した上で、それを改善するには市民運動の輪を広げてゆく必要があり、労働組合がその一役を担って欲しいという話もありました。
 参加者からの質問に対しては、労働組合の組織拡大に関わって、「お金に換算できないメリットを伝えること」「楽しそうに活動して魅力を伝えることが大切」等のアドバイスもありました。

参加者の感想

(講師養成講座について)

◇「標準カリキュラム」がわかりやすくまとめられていることや、有用性に気づけたので、改めてじっくり読んでみたいと思います。

◇1時間程度で講義の形になるか心配でしたが、何とか形になりました。自分たちで講義をやるという前提があれば、能動的に知識を吸収できると思いました。

(藤田さんの講演について)

◇組織的に厳しくなって内向的な活動にシフトするような話が出る中、労働組合が外向的に活動していくことで、社会を変える可能性を持っていることを伝え、仲間を増やしていきたいですね。

 
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「貧困クライシス」に向き合う労働組合の役割 NPO法人ほっとプラス代表 藤田孝典さん
 
労働組合への期待を述べる
藤田孝典さん

 第23回中央労働学校では、『下流老人』『貧困クライシス』等の著者でNPO法人ほっとプラス代表の藤田孝典さんをお招きして講演していただきました。
 ご本人の了解を得て、趣旨を要約したものを掲載します。

社会が貧困を生み出している

 私は日常的に生活に困窮している方々と向き合う活動をしています。経済団体等は、貧困の原因について「本人の努力が足りないから」などと言いますが、活動を通して感じることは「社会が貧困を生み出している」ということです。
 日本の貧困率(相対的貧困率)は16・1%、1人世帯で年収が122万円未満という水準で暮らしている人がこれだけの数おり、しかも毎年増えています。
 高齢者は4〜5人に1人が貧困で、特に単身女性は52・3%が貧困です。現段階で既に年金だけで生活できる水準にないのですが、年金はこれから30年かけて3割カットしていくことがすでに決められてしまっています。
 女性差別の問題もあり、特にシングルマザーの貧困が著しい。男女の賃金格差が大きく、離婚しただけで貧困に陥ってしまいます。育休・産休の制度はあっても長時間労働と育児が両立できず、働きたくても辞めざるを得ない、企業側がやんわりと辞めさせていくという職場は結構あります。子どもの貧困もすさまじく、生まれた家庭によって十代から貧困が宿命づけられてしまいます。
 企業が過重な負担を労働者に押しつけるもとで、うつ病・精神疾患で働けなくなり、貧困に陥る若い人が増えているのも特徴です。

社会が緩やかに壊れ始めている

 今日は私(34歳)と同世代の人が多いですが、私は15歳〜39歳までを「貧困世代」と呼んでいて、貧困であることを一生涯宿命づけられた世代だと言っています。
 貧困が広がるとともに、弱い人たちに向ける眼差しが厳しくなり、「そういう人たちに税金を使うなら、自分たちに返してくれ」という声が広がって社会が緩やかに壊れ始めています。若者の死因のトップは自殺で、結婚・出産・子育てといったバブル期以前は普通だった暮らしが、「貧困世代」にとって普通ではなくなっています。そういう社会は、いずれ戦争に向かっていきます。

「必要なもの」は社会が用意しよう

 私は、若者も含めていろんな人を社会保障の対象にすることを求めています。賃金だけでは暮らせないもとで、企業にもきちんと税金を出させて、みんなが必要なものは制度として準備しておこうということです。
 病気になっても、失業しても困らない、酷い会社を我慢せず安心して失業できて、職業訓練を受けて転職できる、家賃補助や公営住宅などで家を失うことがないようにする、給付型奨学金で社会を担う若者にはきちんと投資していく…、必要なものは社会で用意しようと呼びかけています。
 これほどまでに社会が役に立たないのは日本ぐらいですから、私たちは遠慮なく求めて良いし、日本にはそれだけのポテンシャルはあります。
 一言で言うと、社会の再分配機能を高め、「商品化」された社会を「脱商品化」させるということです。

労働組合は社会を良くする重要なツール

 今、市場原理に任せておくと、社会が持続可能でなくなっていくことに多くの人たちが気付き始めており、世界は「脱商品化」に向かっています。その動きは、アメリカやイギリスでも始まり、フランスでは1970年代に政策転換して貧困率や出生率が改善されてきています。日本でも2000年頃からそうした動きが出始めていますが、まだまだ部分的で、世界の動きとも足並みをそろえていくことが重要です。
 労働組合は社会を良くする重要なツールですが、残念なことにその力が弱くなっており、それに伴って暮らしにくい社会になっています。今こそ労働組合が組合員を増やし、復権していくことで、私がとりくんでいる貧困問題も解決していくと考えており、大きな期待を持っています。
 労働組合の活動にとりくんでいる同世代のみなさんともつながって、一緒に社会を良くする運動をすすめていきたいと思います。

 
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電速タイプ「できる限り速やかに整備することを視野に検討」
2017年諸要求貫徹闘争期第2回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は、5月22日に最高裁人事局和波総務課長と、「国民のための裁判所」実現、職員制度、昇格の課題で、諸要求貫徹闘争における第2回交渉を実施しました。追及に対する主な回答は次のとおりです。

「国民のための裁判所」実現

職種担当の中執を交えて交渉

成年後見「裁判所の運用にも影響がある」

 成年後見利用促進基本計画の具体化に向けた検討内容を明らかにするよう求めました。課長は「裁判所における制度の運用にも影響があるものと思われるので、今後も必要な情報提供をしていきたい」と述べる一方で、「裁判所は基本計画に基づいて施策を講じる立場になく、工程表を作成する予定はない」と回答するにとどまりました。
 刑訴法など法改正によって見直される全国統一の事務について、最高裁がイニシアチブを取って下級裁を指導するよう求めたのに対しては「刑訴法の一部改正に伴う手続きについても、必要に応じて提供したい」と、公布後2年以内に施行される予定の被疑者国選の対象事件拡大について「既存の執務資料の改訂・整
理を行うかどうかはともかく、対応について今後検討していきたい」と回答しました。
 なお、国会で審議中の民法改正にかかわっては、「裁判手続に影響がある部分については、職員に対して丁寧に説明していきたい」と回答しました。

職員制度

「看護師ブロック研修、仙台、札幌、高松で実施」

 家裁の充実・強化の要請が高まっていることを踏まえ、総研における家事・少年事件の研修の充実を求めたの対し、課長は「家事・少年についても必要に応じカリキュラムの設定や内容を見直している」と述べ、人訴事件の訴状審査や事前準備の演習を行ったり、単位を増設し、後見監督に関する事務について講義を行うなどの工夫を行ったことを明らかにしました。
 また、裁判文書等の旧姓使用については「これまでも継続的に検討してきているところであり、引き続き検討を続けていく」と回答しました。
 司法行政部門の担い手としての事務官の育成を求めたことに対しては「今後も引き続き、実務内容を意識した研修やOJTの充実等を通じて、職員の育成にとりくんでいきたい」とし、「集合研修の企画、実施、研修環境の充実等に努めていきたい」と回答しました。
 電子速記タイプの官支給に向けては、「できる限り速やかに官側で整備することを視野に入れて調達に向けて検討中」とし、「今後、速記官の意見を聴きながら仕様を検討していきたいと考えている。職員団体についても、要望があれば申し出てもらって差し支えない」と回答しました。
 家裁調査官の「育成新施策」にかかわっては、「特に任官後の小規模庁配置が昨年度末でちょうど3年が経過したことから、その育成等の状況を適切に把握したうえで、必要な検討を行っていきたい」との姿勢を示しました。また、実務修習中の超過勤務については「実務修習中の勤務時間や超過勤務の取扱いは、他の裁判所職員と同じ」としたうえ、「管理職員に対しても、的確かつ遅滞なく把握するよう今後も指導を徹底していきたい」と回答しました。
 看護師の高裁ブロック研修実施については、「本年度は仙台高裁、札幌高裁、高松高裁で実施される予定」であることを明らかにし、「最高裁においても、看護師に対するブロック研修が適時に行われるよう、引き続き実施状況の把握に努めていきたい」と回答しました。

昇格

「必要な定数の維持に向けて努力」

 級別定数の改定にかかわって「従来と同様に努力をしていきたいと考えているが、来年度予算における級別定数改定を巡る情勢は全く予断を許さない」としたうえ、「今後も財政当局から定数の回収を求められた場合には、考え得るあらゆる理由付けを持ち出して粘り強く折衝を行うなど、必要な定数の維持に向けて努力していきたい」との姿勢を示しました。
 その他の昇格にかかわる要求については、いずれも従前の回答にとどまりました。

 
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共謀罪法案、世論を広げ、廃案に追い込むたたかいを
 
「強行採決」に「必ず廃案!」コール

反対や不安の声を押切り強行採決

 犯罪の実行行為がなくても、その合意を処罰する「共謀罪」は、内心の自由を侵すものとして、多くの国民から批判の声が上がっており、法案成立に反対する声は日を追うごとに高まっています。世論調査では「今国会で成立させる必要はない」が64%にのぼり、政府の説明が「不十分」とする回答が78%になり圧倒的となっています。
 こうした国民の声を無視して、安倍政権は5月19日、衆議院法務委員会で強行採決を行い、同23日、衆議院本会議で可決させました。
 これまでの国会審議では「一般の人は対象にならない」との答弁に終始しましたが、どういった場合に組織的犯罪集団とされるのか、その判断基準さえも明確なものは示されず、国民の疑問や不安には全く答えていません。また、国際組織犯罪防止条約について「テロは対象とすべきでない」との国際的合意がなされた経過からも、安倍政権が持ち出す「テロ対策」のためとの口実も崩壊しています。金田法相自身が説明できない事態も少なくなく、法案の欠陥や矛盾は明白となっています。近代刑法の原則を根底から覆し、現代の治安維持法と揶揄される法案を「数の力」で押し通す安倍政権の強引な政治手法は、民主主義とは全く相容れないものと言わざるを得ず、到底容認できません。

労働組合も捜査対象?メールやLINEも監視

 国会審議でも明らかになったとおり、共謀罪が対象とする組織的犯罪集団は捜査機関の判断次第であり、労働組合や市民団体が捜査対象になる可能性はぬぐえません。現在でも野党統一候補の事務所が盗撮された事例や違法なGPS捜査が行われていたことも明らかとなっており、こうした捜査手法により民主的な活動を委縮させる効果は否定できません。また、実行行為のない「合意」を立件・立証するためには、立証手法として監視や盗撮が当然必要となり、メールやLINEも監視対象になる可能性が強く、国民の不安の高まりへとつながっています。
 法務委員会での強行採決後には9000人を超える市民が国会前に集まり抗議の声を上げました。また、元裁判官や国連特別報告者(人権専門家)からも「共謀罪」の成立を危ぶむ声が出されています。法案は参議院に送られますが、憲法違反の共謀罪を許さないために世論を広げ、廃案に追い込むたたかいが求められています。

 
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新採用職員のための裁判所の労働条件と労働組合入門 C評価制度
 

 裁判所における人事評価制度には、職員がその職務を遂行するに当たり、発揮した能力を把握した上で行う年間評価と、挙げた業績を把握した上で行われる半期評価があります。これらの評価結果は、勤勉手当、昇給(号俸を上位の号俸に変更すること)、昇格(職務の級を上位の級に変更すること)、昇任(上位の官職に任命すること)の決定に活用されます。
 評価は、期首面談で目標を設定した上で、業務遂行中の指導・助言、自己評価と期末面談における意見交換等を通じて行われ、一次評価者、二次評価者、最終評価者による多段階評価となっています。最高裁は、目標や課題について、「職員と面談者とのコミュニケーションを充実するためのものであって、実績評価のために目標管理的な手法を採り入れるものではない」と説明しています。
 裁判所の評価の手法は、「面談で設定した目標が達成できたか」「ノルマが達成できたか」で判断されるものではありません。半期ごとの目標にとらわれず、評価期間中全体の業務遂行の状況、能力の伸長によって評価されます。設定した目標が達成できなかったとしても、それ以外の職務で高く評価できる事実があった場合は、上位の評価がされる場合があります。
 また、評価は「相対評価」ではなく「絶対評価」で行われます。同じ実績を上げても、職務の級や経験などで評価が異なることはあり得ます。
 大型事件に関わったとか、プロジェクトに参加したなどの事実がないと上位の評価がされないということはありません。最高裁は、全司法との交渉において、「評価期間を通じた職務全般に関する客観的事実を、被評価者(中略)に求められるレベルに照らして評価する絶対評価で行うものであり、(中略)他者との比較において評価されるものではない」と回答しています。
 評価結果等は各自で記録しておくとともに、不明な点や納得できない点があれば、評価者に説明を求めましょう。開示された評価結果に関する苦情相談の申出は、開示日(面談日)の翌日から1週間以内となっていますので、期間には注意が必要です。

 
 
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