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  トップページ > 全司法新聞 > 2017年5月 > 2264号
 
 
全司法新聞
 
退職手当は「賃金」 一方的な引き下げは許されない
人事院、「見直し」が適切と見解
 

 4月19日、人事院は「民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る本院の見解について」を公表し、退職一時金と企業年金(使用者拠出分)を合わせた退職給付額での官民比較について、78万1000円公務が上回るとし、官民均衡の観点から退職手当の見直しを行うよう、内閣に意見を提出しました。前回の見直しに引き続き、大幅な退職手当の引き下げを一方的に求めるものであり、到底容認できるものではありません。

「公務が民間を78万1千円上回る」と公表

 人事院が行った退職給付水準の官民比較調査では、1人当たりの平均退職給付額が公務は2537万7000円に対し、民間企業では2459万6000円と、公務が78万1000円(3・08%)上回る結果となっており、この結果に基づき、退職給付水準の見直しを行うことが適切としています。この比較は、いわゆる「退職手当」に加えて、民間の企業年金やそれに対応する公務の共済年金の合算額を比較したものとなっており、勤続年数や退職事由を同じくする民間企業の従業員への支給総額と、現に国家公務員の退職者に支給されている退職給付額の支給総額を比較したものとなっています。

「公務の特殊性」ふまえた検討が必要

 しかしながら、国家公務員には公務運営の公正・中立性の確保や生涯にわたる守秘義務が課せられるなど、民間にはない公務の特殊性を有しています。また、厳しい再就職規制があることや、民間では受給可能な雇用保険が受けられないことなどは、官民比較の対象として加味されていません。何よりも、退職手当は最高裁判例で「賃金」と位置付けられており、退職後の生活設計を支える重要な労働条件です。このことは人事院自らも認めており、労働組合との十分な交渉・協議を尽くさず、一方的な水準の引き下げを行うことは、到底容認できません。

前回は平均402万円の大幅引き下げ

 国家公務員の退職手当の支給水準は、概ね5年ごとに見直すこととされていますが、前回(2013年)の見直しでは、平均402万円もの引き下げが強行され、極めて大きな影響を及ぼしました。見直しにあたっての明確なルールはなく、単純な官民比較のみで大幅な引き下げが可能となっており、見直しのたびに水準が乱高下する制度では、将来の生活設計はもとより、安定した公務運営にも支障を来すことになります。過去の例では3%の官民格差では見直しを行わなかった経過もあることや、今回の見直しにあたっては経過措置(段階的引き下げ)を予定していないことを踏まえても、今回の退職手当の見直しは断じて行うべきではありません。

たたかいは対政府へ国公労連署名にとりくもう

 最高裁は諸要求貫徹闘争期における第1回人事局総務課長交渉において「職員にとって、生涯設計の面からも関心が高い事項であることは十分に認識している」としながらも「今後の状況を見守っていきたい」と回答しており、使用者責任を果たさない不十分な回答にとどまっています。
 退職手当の取扱いは内閣人事局が所管することから、今後のたたかいは対政府となります。したがって、国公労連に結集し、一方的な改悪阻止や安定的な制度の整備に向けた政府追及を強めることが重要となります。また、国公労連は政府あての「退職手当の引き下げに反対する署名」行動を提起しており、全司法としても積極的なとりくみを展開することが求められています。1人5筆を目標にとりくみをすすめますので、未加入者も含めた最大限の集約を要請します。

 
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人事評価は絶対評価で行うと明言
2017年諸要求貫徹闘争期第1回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は5月9日、諸要求貫徹闘争における一連の最高裁交渉の皮切りとなる和波人事局新総務課長との第1回交渉を実施しました。交渉では、賃金や諸手当の改善、職員の健康管理、人事評価制度、人材育成、次世代育成支援対策、男女平等・母性保護などの要求を主張しました。追及に対する主な回答は、次のとおりです。

「要望は関係機関に伝わるようにしたい」

 公務員の大幅賃上げや初任給の改善、高齢者層の給与減額措置の廃止等を求めました。総務課長は、「職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいる」と述べる一方、「国家公務員全体の問題であって、裁判所の独自性を主張できるようなものではない」としたうえ、「要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
 諸手当の改善では、職場から要望が強い住居手当や通勤手当の改善の他、現在見直しが検討されている退職手当について、改悪反対の立場で関係機関への働きかけを求めました。総務課長は、諸手当全般に対する姿勢として「今後も人事院の動向を見守っていきたい」「種々の機会を捉えて、人事院に職員及び職員団体の要望等を伝えるなど、必要な時期に必要な対応をしていきたい」と述べ、従前どおりの回答にとどまりました。

職員の健康管理

ストレスチェック「受験率向上のための工夫を検討」

 健康診断について、新通達に基づき実施されることになった女性がん検診の年齢基準緩和や、青年層から要望の強い血液検査の対象年齢引き下げを求めました。総務課長は、女性がん検診について「厚労省指針により検査対象となるすべての女性職員が等しく受検できる環境を整え、受診率の向上に努めていきたい」と述べる一方、「現時点では、厚労省指針の他に客観的なよりどころとなりうるものがない以上、同指針に沿って実施することが相当」と回答。また、血液検査についても「人事院通達で35歳及び40歳以上の職員と定められており、裁判所のみが独自に定めることは困難」と従前どおりの回答にとどまりました。
 ストレスチェック制度では、受検率の向上及び受検しやすい環境整備を求めました。総務課長は「できる限り多くの職員に受検してもらうことが望ましい」と述べ、「実施時期や具体的な実施方法について、受検率向上に資するような工夫ができないか検討している」姿勢を示し、育休中の職員の受検について「一定の配慮ができないか検討したい」と回答しました。
 パワハラ防止にかかわって、最高裁の苦情相談窓口の第三者性を担保するよう求めたことに対して、「事案の内容等に応じて、各裁判所における調査の結果を確認したり、庁の態勢に問題が見受けられる場合には、担当部署において指導を行う等の対応を行っている」「さらに必要があれば最高裁の担当部署により調査等をすることもあり得る」と述べ、職員から苦情相談があった場合には、当該職員の意向を十分に確認、尊重しながら対応に当たるように努めており、今後も同様に対応していきたい」と回答しました。

人事評価制度

「絶対評価で、他者との比較によるものではない」

 職場から「管理職の評価制度への理解が不十分」「絶対評価の意味を理解していないのではないか」との意見が寄せられていることを踏まえ、管理職への指導徹底を求めました。総務課長は「人事評価は、(中略)その職員に求められるレベルに照らして評価する絶対評価で行うものであり、プロジェクトへの参加など特定の業務への関与の事実等をもって他者との比較において評価されるものではない」と回答したうえ、「今後とも、管理職員を対象とした研修等の機会を通じて、理解を深めさせることとしたい」との姿勢を示しました。

男女平等・母性保護

「家庭事情に配慮した異動を実施していく」

 女性の登用拡大に向け、家庭生活との両立や異動負担の軽減について積極的な改善策の打ち出しを要求しました。総務課長は、「これまでも登用段階における転勤自体の必要性の見直しや縮減の可能性も含めて、登用の障害事由の解消にとりくんできている」と回答し、「女性管理職員へのサポート態勢の更なる充実や、仕事と家庭生活の両立に向けた支援のための一層の環境整備についても、引き続き努めていくことが肝要」との認識を示しました。

 
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「憲法守り・生かそう」と5万人 施行70周年の憲法集会
 
憲法を守れ、有明防災公園に5万5000人

 5月3日、東京・有明の東京臨海広域防災公園で「いいね!日本国憲法―平和といのちと人権を!5・3憲法集会」が開催されました。

一人一人の命、幸福のために国はある

 憲法を守る立場で運動している市民団体や労働組合が、従来は結集する組織ごとに別々に憲法集会を開いていたところ、戦争法(安保法制)や安倍政権の改憲に向けた動きが強まるもとで、2014年から一緒に集会を開催するようになり、「総がかり行動実行委員会」の結成や、幅広い市民の結集、野党共闘などにつながっています。
 憲法施行70周年の節目を迎える今年の集会には、5万5000人が集まり、改憲に反対するとともに、戦争法の廃案、共謀罪創設法案阻止、沖縄の米軍基地建設反対などをアピール。市民と野党が力を合わせて安倍政権を打倒しようと訴えました。
 集会にゲストスピーカーとして登壇したファッション評論家のピーコさんは「自民党の改憲草案には国防軍創設などが書かれていて、憲法を守らなくてはならない人たちが今の憲法を尊重しようとしておらず、許せない」と述べました。また、弁護士で伊藤塾塾長の伊藤真さんは「一人一人の命、幸福のために国はあるのだという考え方が大きく変えられようとしている。国民を国家の道具にするのは、もうやめてほしい」と主張しました。

変えなかったのは、変える必要がなかったから

 政党からも民進・共産、自由、社民の4野党と沖縄の風の代表が参加し、「総理の総理による総理のための改憲には反対」(民進・蓮舫代表)、「70年間、憲法を変えてこなかったのは変える必要がなかったことの証明。変えるべきは憲法ではなく、憲法をないがしろにする政治」(共産・志位委員長)、「今大事なのは憲法を変えることではなく、生かすこと」(社民・吉田党首)等と発言し、市民の声を受け止めて野党が共闘をすすめる決意を述べました。
 また、朴槿恵前大統領の退陣を求める大規模デモをリードした韓国の市民活動家・李泰鎬さんが特別ゲストとして参加し、「国は違っても、私たちが主人公だ、人が優先の政治を、の訴えは共通です。私たちは必ず勝利します」と日本の市民運動に対するエールを送りました。

 
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8時間働けば暮らせる、人間らしい働き方の実現を!
第88回メーデー
 
メーデー会場で全労連8時間プロジェクト

 5月1日、全労連などで作る実行委員会主催の第88回中央メーデーが東京の代々木公園で開かれ、約3万人が参加しました。

「働き方改革」のウソとごまかしは許さない

 メーデーは1日8時間労働を要求する労働者のたたかいが起源ですが、今年は、「働き方改革実現会議」で政府が3月28日に「実行計画」をとりまとめたもとでのメーデーとなりました。
 主催者を代表してあいさつした小田川義和代表委員(全労連議長)は「実行計画」について、繁忙期には1日100時間、年間720時間までの残業を認め、休日労働の時間を合わせれば、年に960時間まで働かせることが可能となっていることに触れ、「時代錯誤の逆流」だと厳しく批判しました。そのうえで、安倍流「働き方改革」のウソとごまかしを許さず、8時間働けば暮らせる人間らしい働き方の実現を強調し、憲法25条が求める健康で文化的な生活を維持できる雇用の最低ルールの実現を求めると述べました。
 また、「格差と貧困の広がりに歯止めをかけ、是正に真正面からとりくむ」として国民的な運動を呼びかけるとともに、共謀罪創設法反対や政治変革へ立憲野党の共闘を呼びかけました。

立場の違いをこえ、たたかいを広げよう

 集会の中では、労働法制をはじめとするさまざまな課題で共闘をすすめてきた全労協(全労連とは別のナショナルセンター)などが実施するメーデーとのエール交換があり、今年は「戦争法廃止!許すな共謀罪!憲法改悪を許さない!」を統一スローガンにしたことが紹介されました。
 来賓として、「安保法制の廃止と立件主義の回復を求める市民連合(市民連合)」の山口二郎法政大学教授が連帯あいさつを行い、「格差と貧困の拡大は自然災害ではありません。過去20年にわたる社会保障の抑制と労働法制の改悪、規正緩和がもたらした人災です。社会の矛盾、経済の問題を作り出した元凶に怒りを向けていかなくてはなりません」と述べ、「日本の平和と民主主義が『存立危機』に陥ろうとしています。私たちは立場の違いをこえ、大同結集して、平和と民主主義を取り戻すたたかいを広げていきましょう」と呼びかけました。
 全労連に加盟する労働組合のメーデーは同日、全国308か所で開催され、約16万人が参加しました。

 
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新採用職員のための裁判所の労働条件と労働組合入門 B休暇
 

 休暇には、年次休暇、病気休暇、特別休暇、介護休暇、介護時間の5つがあります。
 年次休暇は、希望する時期に、理由を問わず取得できる休暇です。裁判所では、1時間単位で取得できます。取得には、各省各庁の長の承認が必要ですが、「公務の運営に支障がある場合を除き、これを承認しなければならない」と定められています。
 1年ごとに20日が付与され、取得しきれなかった日数は、20日を限度に翌年に繰り越すことができます。その年の途中に採用された職員については、在職日数を考慮した日数が付与されます。4月1日に採用された職員は、15日です。
 病気休暇は、職員が負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる必要最小限度の期間、その療養に専念させる目的で、勤務することを免除する制度です。「負傷又は疾病」には、通常の風邪、腹痛、頭痛等も該当するとされています。また、生理により就業が著しく困難な症状等も含まれます(生理休暇)。
 特別休暇は、選挙権の行使、結婚、出産、交通機関の事故その他の特別の事由により職員が勤務しないことが相当である場合として人事院規則で定める場合における休暇です。
 産前・産後休暇、結婚休暇、配偶者出産休暇、介護休暇、子の看護休暇、夏季休暇などがあります。
 いずれの休暇も、休暇簿を使用し、事前申請・事前承認が原則となっています。ただし、年次休暇、病気休暇、特別休暇はやむを得ない事由があれば事後申請が可能です。わからないことがあれば、全司法の役員に相談してみてください。
 また、3歳に満たない子を養育する職員はその子が3歳に達する日までの期間について育児休業をすることができます。これらの休暇・休業制度については、「出産・育児・介護に関する休暇及び休業制度ハンドブック」が各部署に備え付けられ、庁内HP等で見ることができます。このハンドブックは、全司法と最高裁の交渉を受けて作成されたものです。

 
 
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