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  トップページ > 全司法新聞 > 2017年5月 > 2263号
 
 
全司法新聞
 
今年はチャンスの諸要求貫徹闘争
全国書記長会議で運動と組織拡大を意思統一
 
職場実態を出し合い、とりくみを意思統一

 4月23日〜24日、静岡県熱海市で全国書記長会議を開催し、地連・支部の書記長など全国から74名が参加し、諸要求貫徹闘争期のとりくみについて意思統一を行うとともに、1月の中央委員会決定にもとづく組織と財政に関する予備討議について、現時点での討議状況を出し合いました。

人員・勤務時間の他、パワハラ対策なども重点に

 長岡書記長は運動方針に関する報告の中で、中矢委員長の国会参考人招致の意義、宿舎入退去の運用や調査官の育成施策、電子速記タイプなどでの最高裁回答の変化、勤務時間把握・サービス残業根絶の課題をめぐる社会情勢と秋闘期交渉での最高裁回答の到達点などをあげて、「今年の諸要求貫徹闘争は大きなチャンスだ」と訴えました。
 人員や勤務時間をはじめ、各課題のとりくみについて触れるとともに、裁判所のパワハラ対策の不十分さや最高裁苦情相談窓口の脆弱さを追及していくことや、宿日直負担の抜本的な解決に向けて「令状センター構想」を柱とした全司法の提言を実現させる機運を作っていくことを提案しました。また、この間、当局がコンプライアンス等を過度に強調したことで事務量が増大するとともに、職場で「ミスが許されない雰囲気」を生じさせていることを指摘し、法的根拠をふまえた合理的・効率的な事務処理を求めていくことを提起しました。
 続いて報告を行った阿部組織部長は「4月期新採用加入のとりくみは、例年よりも遅いペース」と問題点を指摘し、全国大会に向けて、各支部が年度当初に設定した目標の達成に全力をあげるとともに、職場・組合員の信頼を得ながら拡大が図られるよう、要求実現に向けた各種とりくみに確実にとりくむことを呼びかけました。また、組織・財政に関する職場討議については、「知らなかった」という組合員がないよう、一人ひとりが自分の問題として、全司法の組織を守り、将来に引き継ぐための建設的な議論をすすめることを改めて強調しました。

「働きやすい職場」維持に 全司法の役割が重要

 全体討論では、4月期の人員配置の問題点、事務局の繁忙状況などの他、事前申告などで引き続き「超勤申請がしにくい職場実態がある」との発言や、パワハラなどの実態が報告され、「働きやすい」と言われてきた裁判所の職場が次第に働きにくくなってきているもとで、全司法の役割が改めて求められており、今年の諸要求貫徹闘争を、職場の状況と全司法の組織状況を大きく逆転させていく契機としていく必要があることが明らかにされました。
 また、多くの支部から宿日直の負担、連絡員体制の問題点など、宿日直制度の抜本的改善を求める意見が出されました。
 組織強化・拡大では、組合員が同じ職場でのパワハラ問題について執行部に相談し、これを解決する中で組合員を拡大したとの報告や、組合主催で仕事に関する勉強会をやったことが拡大に結びついた例などが報告されるとともに、採用歓迎行事について「良い雰囲気だと実感している。これを加入につなげたい」との決意も示されました。

 
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宿日直制度の見直し
〜負担軽減とともに、全司法「提言」で抜本的な検討を

一睡もできないままの勤務も

 「深夜に令状処理を行ったことによる睡眠不足のため、執務への影響を考慮して年次休暇を取得するよう促されますが、仕事の都合で休暇を取得できない場合は、睡魔に耐えて執務を行っているのが実情です」
 これは、昨年実施した職場実態調査に対する、ある支部からの回答です。
 捜査機関から令状の請求があると、たとえ深夜であっても、請求から発付までの間及びそれに付随ずる時間、当直員は拘束されます。裁判官の泊まり込み態勢が取られていない庁では、職員が裁判官宅まで往復する時間もあいまって、大きな負担となっています。件数の多い大規模庁では、平均して一晩に複数件の令状請求があり、一睡もできないまま、翌日の勤務に就くことも珍しくありません。
 国家公務員の宿日直は「拘束時間に比し勤務の密度がきわめて薄い断続的勤務」とされており、裁判所の令状当直の実態とは大きく異なるものがあります。また、行政府省全体では、庁舎管理などの宿日直は廃止が基本になっています。

「待機義務はない」と言いつつ…

 全司法の運動もあって、全国的には宿日直は廃止・縮小されてきていますが、廃止された場合も、多くの庁で「連絡員体制」がとられています。しかし、当局が苦肉の策として導入したこの体制は、職場で様々な矛盾を生み出しています。
 最高裁の回答は「連絡係職員に待機義務が生じるものではなく、待機義務がない以上、外出はもとより、食事、入浴、休息又は睡眠等についても制約されているわけでもない」というものですが、現に連絡係に割り当てられた職員の多くが「超過勤務手当も支給されないのに、事実上の拘束時間になっている」と受け止めています。また、下級裁当局や管理職も「待機義務がない」との趣旨を正確に理解せず、「必ず連絡が取れるように」と言われたり、連絡に出なかった職員を「指導」するなど、最高裁回答に反する事例も発生しています。深夜の交通手段や除雪の必要など、各庁で様々な負担が問題となっており、一部の庁では警察機関に職員個人の連絡先を提出するなど、個人情報保護の観点から問題だと考えられる事例も生じています。

令状処理態勢の充実の観点から

 全司法は、裁判官泊まり込み・登庁態勢の拡大や睡眠時間を確保するための方策、連絡員に「待機義務がないこと」の徹底などを要求し、少しずつ改善を勝ち取っています。今年の諸要求貫徹闘争でも、こうした負担軽減策を拡大させていくことが重要です。
 同時に、根本的な解決には、遠距離に所在する捜査機関の令状請求に対応する方策を検討し、令状事務の思い切った集約を図るしかありません。全司法はそうした問題意識にもとづいて、全国的な職場討議を経て、2005年に「宿日直制度の見直しを求める提言」を確立し、当局に提出しています(上の囲みのとおり)。
 提言の骨格は「電子請求・電子発付によって令状事務を集約化し、全国数か所に専門の令状センターを設置する」ことにあります。
 これは、職員の負担軽減だけではなく、「令状部の態勢の充実をはかり、夜間・休日を含めた24時間体制で専門部署での事務処理を可能にする」ことを前提にしたもので、「国民のための裁判所」を目指すものでもあります。
 提言を提出した当時は、情報通信技術の発達と普及が進んでおらず、直ちに実現が困難でしたが、現在は技術的には可能な水準に達していると考えられます。
 今後、社会情勢の動きにあわせて、刑事事件も複雑困難化することが予想されます。国民の人権に直結する令状事務について、経験が少ない職員を含め、宿日直や連絡員として交代で処理をする体制は脆弱だと言わざるを得ません。今年の最高裁交渉でも、重点要求として追及します。

宿日直制度の見直しを求める提言(抜粋)
(第62回定期大会決定)

 令状処理業務は通常業務であり、態勢を整備して、昼間・夜間にかかわらず、事務処理をしていくことが必要である。現在のように宿日直により処理をしている態勢自体に問題があると言わざるを得ない。また、職場からは、連続勤務による健康上の問題が指摘されている。
 以上のような考えを前提とし、
@ 将来的には、進歩の著しい通信機器の発達(ファクシミリ・IPテレビ電話、TV会議システム、電子メールなどの利用)をふまえ、全国一か所ないし数か所の「令状センター」を設置し、24時間の事務処理を行う態勢を整え、その場合には、交代制勤務により対応することも検討すべきである。
A 当面(@の24時間態勢の事務処理までの過渡的措置として)、事件の動向や高速道路網の整備など地理的交通条件を考慮し、高裁所在地及び高裁支部所在地への集約化をはかる。
B そこでは、裁判官の宿直により事務処理を行う。書記官等の当直職員については、翌日の代休や勤務時間の割り振り変更を行うことなどで対処する。
 以上の態勢の整備にあたっては、裁判所の人的・物的充実をはかること。
 
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「共謀罪」法案を廃案に 学習を深め、声を上げよう
 

 犯罪行為がなくても、その合意を処罰する「共謀罪」法案が4月6日に衆議院本会議で審議入りし、19日からは衆院法務委員会で実質審議に入りました。こうした動きを受けて、「共謀罪」に反対する団体・個人が結集して集会や抗議行動を配置するとともに、法案に反対する野党とも連携して廃案を求める運動をすすめています。

近代刑法の原則を無視する違憲立法

 「共謀罪」法案は過去3回、国会に提出されたものの、いずれも廃案に追い込まれました。
 近代刑法は実行行為(犯罪実現の現実的な危険性を含む行為)を処罰の対象としていますが、「共謀罪」は「合意」という、事前の まだ内心に留まる段階で処罰するものです。政府は「準備行為」という概念を持ち出していますが、それ自体は日常行為との差がないことから、結局、「どういうつもりでやったのか」が共謀罪の成否を決めることになります。これは、近代刑法の原則を無視し、憲法が保障する思想・良心の自由、表現の自由などを侵害することになる違憲立法です。

近代刑法の原則を無視する違憲立法

 「共謀罪」法案は過去3回、国会に提出されたものの、いずれも廃案に追い込まれました。
 近代刑法は実行行為(犯罪実現の現実的な危険性を含む行為)を処罰の対象としていますが、「共謀罪」は「合意」という、事前の
まだ内心に留まる段階で処罰するものです。政府は「準備行為」という概念を持ち出していますが、それ自体は日常行為との差がないことから、結局、「どういうつもりでやったのか」が共謀罪の成否を決めることになります。これは、近代刑法の原則を無視し、憲法が保障する思想・良心の自由、表現の自由などを侵害することになる違憲立法です。

「テロ対策」は口実、誰もが対象に

 安倍政権は、「共謀罪」を「テロ等準備罪」と言い変え、国民を欺くために、東京五輪・パラリンピックを開催するには国際組織犯罪防止条約(TOC条約) の締結が必要で、そのための「テロ等準備罪」だと説明しています。しかし、TOC条約の主眼は、マフィア等による国際的な経済犯罪の処罰化であり、テロ行為を対象にしたものではありません。また、テロ犯罪を未然に防ぐ法律は、日本の場合、刑法等で既に整備されています。
 また、「組織的犯罪集団が対象なので、一般の人には無関係」との説明もありますが、政府の答弁でも、普通の団体が「組織的犯罪集団に変わることがある」としており、政府等に反対する市民運動や労働組合活動を抑え込むために使われるのではないかとの懸念が強く出されています。テロ「等」という用語や、テロを定義づける条文がないことに端的に示されているところです。
 金田法相も、テロ組織、薬物密売組織、暴力団以外の団体も対象となりうると認めており、誰もが対象になりうるものです。

「戦争できる国」への流れの中で

 安倍政権は「戦争できる国」を目指して、特定秘密保護法、盗聴法の拡大、安保法制=戦争法をこれまで強行してきており、「共謀
罪」もその流れの中でとらえる必要があります。
 「共謀罪」法案については、日弁連をはじめ、さまざまな団体や市民が反対の声を上げています。19日の日比谷野外音楽堂での集会
には、約2500人が集まり、廃案にむけて声を上げていくことを確認しました。法案の内容を分析し、一人ひとりが学習を深め、廃案に向けてとりくみを強めていく必要があります。

「共謀罪」不安だらけ

 4月19日、「共謀罪」法案が審議入りしました。全司法本部は同日、総がかり行動実行委員会の提起で行われた国会前の抗議集会に参加しましたが、その際、古田青年協議長が東京新聞のインタビューを受け、20日付けの同紙に掲載されました。東京新聞の許可を得て、転載します。

問題点 国会ではっきりと

 働く上で困ったことがあった場合に必要だと思い労働組合に入った。集会への参加などに最初は戸惑いもあったが、平穏に暮らすため、権利主張していくことは大切だと感じている。
 今はどんな立場でどんな意見を言おうとも処罰されることはない。一人一人が考えることを保障されるのが民主主義の基礎だ。
 「治安上、危険なことを考える人が処罰されるのなら良いのでは」という人もいるが、法案が通れば、人々は組合や市民活動を自粛するようになるのではないか。国会審議で問題点を浮き彫りにしてほしい。

 
 
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