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  トップページ > 全司法新聞 > 2017年2月 > 2258号
 
 
全司法新聞
 
職場から、社会から、長時間勤務・サービス残業をなくそう!
 
労働時間は17春闘の重点課題
 秋季年末闘争期の最高裁交渉で、全司法本部は、職場で「超勤縮減」の掛け声だけが先行しているために「超勤申請の縮減」になって、むしろサービス残業が増えているのではないかという問題意識から、サービス残業の根絶に力点を置いて主張し、最高裁から「改めて徹底する」旨の回答を引き出しました。
 折しも、超過勤務の規制・縮減は社会的な問題となり、2017春闘では重点課題の一つになっています。

交渉の到達点を活用し、サービス残業をなくそう

 昨年秋、全司法本部の主張を受けて、最高裁は人事局長交渉で「サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならないし、そのようなことがないよう、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握するよう今後も管理職員に対する指導を徹底する」との姿勢を改めて確認するとともに、「報告に対する職員の負担感への配慮の要望があったことは下級裁に伝えたい」と付加したうえで、「超過勤務の削減をすすめるに当たってサービス残業や持ち帰り仕事が生じることのないよう、より一層下級裁を指導していきたい」と回答しました。
 この最高裁回答を活用し、サービス残業根絶にむけて各支部、各職場でとりくみをすすめることが重要です。

労働時間の把握、記録は使用者の責任

 電通で若い社員が過労自殺した痛ましい事件をきっかけに、長時間労働に対する社会的な関心が高まるもとで、17春闘では、労働時間の上限規制や超勤縮減が賃上げと並ぶ重要課題となっています。超過勤務の規制・縮減の出発点は、勤務時間の把握です。
 労働基準法では、使用者は労働時間を適切に管理する責務を有しており、厚生労働省は「使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること」との通達を出しています。
 国家公務員は労働基準法の適用はありませんが、その基本的な考え方はふまえなければなりません。

裁判所の職場には把握、記録の仕組みがない

 裁判所の職場には、超過勤務手当支給の前提となる「整理票」等はあるものの、全職員を対象に、勤務時間そのものを把握、記録するための措置がとられていません。特に管理職はもっぱら勤務時間を把握する側に位置づけられていますが、手当の支給対象とならない管理職についても、当局は使用者責任として、勤務時間を把握するための措置をとる必要があるはずです。
 勤務時間を把握する措置がとられていないもとで、体調を崩す管理職が少なくないことについては、働きやすい職場を作るという観点から、全司法としても問題意識を持たざるを得ません。
 管理職も含むすべての職員について、勤務時間を把握し、記録する措置を取ることは、最高裁回答からしても必要不可欠なはずです。全司法は当局の責任で、すべての職員の勤務時間を把握し、記録することを要求します。

17春闘で、労働法制の課題とも結びつけて

 私たちの労働条件は、裁判所の中だけではなく、働く人たち全体の労働条件を反映する中で決まってきます。
 今、安倍政権が「働き方改革」と称してすすめようとしている政策は、労働者にとっては権利の後退につながる多くの問題が含まれていますが、超過勤務についても、「高度プロフェッショナル制」の導入や裁量労働制の拡大で残業代をゼロにする労働基準法の改悪を狙うとともに、超過勤務の規制についても、月80時間と言われる「過労死ライン」をはるかに超える月100時間の超過勤務を「繁忙時」には認めることを検討しています。これらの「改悪」は労働時間の法的規制を破壊し、ますます長時間勤務、過労死をまん延させる結果につながります。今、必要なことは8時間労働の原則を守り、青天井の超過勤務を法的に規制することです。
 2017年春闘のとりくみに結集し、労働者全体の権利を守るたたかいとも結びつけて、裁判所の労働条件も改善していきましょう。


 
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賃上げ、「働き方改革」、公務員定員など、官民一体のたたかいを地域から 国公労連第148回拡大中央委員会

全司法の参加者
(前列左から3人目が岩崎さん、4人目が花岡さん)

 1月27日、国公労連第148回拡大中央委員会が東京の全労連会館で開催され、全司法からは本部3名、全国の県国公等から8名の合計11名が参加しました。
 拡大中央委員会では、17春闘の情勢や提起された運動に関わって熱心な討論が繰り広げられ、国公労連17春闘方針や統一要求など全ての議案が可決されました。

労働法制を経済に従属させる「働かせ方改革」

 拡大中央委員会の冒頭、岡部委員長は挨拶で、安倍政権の暴走のもと、憲法改悪の危険性が高まるとともに、「アベ働き方改革」は使用者に使い勝手の良い「働かせ方改革である」ことを明らかにし、「労働法制を経済に従属させる狙いが透けて見える」ことを指摘しました。また、貧困と格差が広がるもとで、大幅賃上げと労働条件の底上げで生活改善と地域経済の再生を図っていくことが求められていると強調されました。

あらためて公務員賃金・労働条件の底上げを

 2017年春闘方針案に関わって、鎌田書記長はこれまでの春闘の歴史的な経過にも触れ、「労働者の大幅賃上げを勝ち取るとともに、税制や社会保障など国民共通の要求の実現」を求めて労働者が春闘をたたかう意義を強調し、その上で、17春闘においては、すべての労働者の大幅賃上げと良質な雇用の確保で内需を拡大し、貧困と格差の解消をすすめていくことが重要であることを提案しました。また、公務員の労働条件に関わっては、この間の賃上げにおいても中高年層や地方勤務職員には配分されず、「給与制度の総合的見直し」の現給保障の終了に伴い多くの公務労働者が賃下げになることを踏まえ、改めて全ての国家公務員の賃金・労働条件の底上げをめざすこと、退職手当の引き下げを許さず、政府・人事院に対し公務の特殊性や退職手当の労働条件性を厳しく追及していくこと、非常勤職員の労働条件の改善と一律3年雇止めを許さないたたかいを強化していくことなどを提起しました。これらの様々な課題においても、地域との共同を重視し、国公労働者が国民春闘の一翼を担って、官民一体のたたかいを地域から広げることを重ねて強調しました。

定員管理の2大アクションを提起

 また、定員課題に焦点をあて国公労連がすすめる「国民の権利と安心・安全をまもる運動」について、定員削減により疲弊した国公職場の実態を社会にアピールするとともに、定員管理2大アクションとして「増員国会請願署名」や「定員管理要求書」提出行動を提起し、全ての職場での運動の押し上げを呼びかけました。
 なお、国公共済会門田常務理事からは、東京・大阪で開催された「国公労連加入拡大学習・交流集会」で得られた教訓を活かし、機関役員を第一に、引き続き国公共済会の加入拡大にとりくむよう呼びかけがありました。

共謀罪、増員国会請願署名、青年の各課題で発言

 討論では、提案された各課題に関わって、中央委員から数多くの発言がありました。全司法からは、政府が国会提出と成立を狙う「共謀罪」の問題点や違憲性、法案を出させないとりくみの重要性について長岡書記長が、国公労連提起の「増員国会請願署名」と「全司法大運動」を結合させてとりくむ決意と、野党統一候補として当選した議員に対する要請やアプローチについて関口中央執行委員が発言しました。また、古田青年協議長は、全司法新聞新年号に掲載した在京青年座談会の企画を紹介しながら、青年層の結びつきを大切にし、新採用職員の全員加入をはじめ組織強化拡大に向けた決意と次世代育成の重要性について発言しました。
 採決では全ての議案(国公労連統一要求や関連議案を含む)が全会一致で可決され、17春闘をたたかう方針が確立しました。確立した春闘方針に基づき、各単組ならびに各ブロック・各県国公における奮闘が求められています。

宮城支部岩崎さんが国公労連中執に

 今回の拡大中央委員会において、全司法では中部ブロック選出の花岡利至中央執行委員(愛知支部出身)が退任し、新たに東北ブロック選出の岩崎仁次さん(宮城支部出身)が中央執行委員に選任されました。


 
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昇格実現のとりくみを強化しよう

昇格実現=賃上げ

 ここ数年、人事院の給与勧告はプラス勧告が続いていますが、給与構造の見直し、55歳以上昇給延伸、給与制度の総合的な見直しなどで中高年層の賃金情勢が厳しさを増しており、第二の賃金闘争と呼ばれる昇格改善のとりくみは大変重要です。
 「給与を上げる=賃金を上げる」ことは、組合員の生活を守るために重要な目的として位置付けられるものであり、組合員が労働組合に期待するもののうちでも、大きな比重を占めます。昇格実現のとりくみは「賃上げ」そのものであり、組合員の要求や期待に応える重要な活動だということを、改めて確認することが必要です。
 これまで全司法は「昇格をきちんと把握して、遅れることがないように要求してくれている」という組合員の信頼を勝ち取ってきました。しかし、近年、各地連・支部における昇格実現のとりくみが弱くなっています。昇格要件に人事評価の結果が求められるなど厳しい情勢になっていますが、これまでの到達点をできる限り維持させるとともに、組合員の期待や信頼に応えるために、あらためて昇格実現のとりくみを再構築することが必要となっています。
 人事評価の結果が昇格の要件となっていることを踏まえると、昇格期の2年前からの勤務ぶりを「きめ細かく見て」評価させることが必要になります。従前実績を踏まえた発令を実現させるため、発令結果を正確に把握・分析することが、これまで以上に重要な意味を持ってきます。

昇格発令があったら、ぜひ支部にご報告を!

 そのためにも、昇格発令があった組合員は、支部に対して発令結果の報告を行うことが重要になります。その報告を踏まえて、直近の発令状況の分析をすることによって、新たな要求基準を作ることに結びついてきます。
 また、昇格要求の重要性は認識しながらも、組合員からは、自分が該当者となるのか分からないと言う声が聞こえるため、全司法では、「2017年4月昇格に向けた要求基準案」を作成し、昇格該当者名簿を容易に作成可能な枠組みを提案しています。これを活用し、昇格の実現をめざしていきましょう。

 
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(解説)共謀罪 過去3度廃案、今国会に提出・成立狙う

「話し合う」ことが罪に

 政府は、今国会において「共謀罪」創設法案の提出を狙っています。その内容は、「複数の者が犯罪を行おうと合意・計画しただけで成立する犯罪」であり、「話し合う」こと自体を罪とするものです。また、その対象となる犯罪は幅広く、政府の検討では600を超えるとされています。「話し合う」ことを処罰対象とし、思想や表現、内心の自由に踏み込む「共謀罪」は、憲法が保障する基本的人権を踏みにじるうえ、近代刑法の「実行行為を処罰する」との原則さえも無視した極めて大きな問題があるものです。そのため、過去3度に渡り国会に提出されたものの、思想信条の自由を侵害するとの国民的な反対によりいずれも廃案となった、いわくつきの法案です。

安倍首相「テロ対策として必要」
→現行法で対応可能

 安倍首相は、「東京オリンピック・パラリンピックに向けてのテロ対策として必要である」と、同法案を説明していますが、テロ対策のための国際条約の締結に必要な立法措置は既に完成するとともに、現行の重大犯罪を対象とした予備罪や準備罪で十分対応可能なものです。首相がオリンピック誘致の際に「世界一安全な都市」と宣言していたこととも矛盾します。
 その本質は、安倍政権がこの間すすめてきた「戦争する国」に向けた体制整備の一環であり、盗聴や密告、自白偏重による捜査手段を通じて監視型社会へと変貌させるとともに、「戦争法」反対や「格差と貧困」の是正、米軍基地問題、原発問題など様々な分野で成長・発展してきた市民運動・労働運動を抑え込むための武器として悪用されるおそれがあるものです。

現代版「治安維持法」!?

 「共謀罪」創設法案は現代版「治安維持法」とも呼ばれ、既に日弁連をはじめとした多くの団体・個人から批判が上がるとともに、国会内でも超党派の議員による反対運動が大きく湧き起こっています。戦時中の裁判所は、治安維持法のもと国民の人権を抑圧し、戦争に駆り立てる役割を担った暗い歴史があります。この歴史を二度と繰り返さず、国民全体の奉仕者として誇りとやりがいを持って働くことができるよう、裁判所職員で組織する労働組合として関心を持って運動に参加していくことが求められます。

 
 
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