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虎ノ門で新春宣伝行動(1月5日) |
内部留保を還元し貧困と格差解消へ
「アベノミクス」の失策は、国民生活に多大な負の影響をもたらし、貧困と格差や国民生活との矛盾は拡大し続けています。「世界で一番企業が活動しやすい国」をめざす安倍政権は、大企業の利益と株価の引き上げを最優先し、連年に渡る法人税減税や税の減免措置、年金積立金の株式投入による「株価の買い支え」を行っています。こうした優遇政策により、大企業は利益を大幅に伸ばし、主要大企業約5000社(資本金10億円以上、金融・保険を除く)の内部留保は前年度を13兆円上回る313兆円となるなど、内部留保のさらなる積み増しと株主配当を急激に増加させています。
一方で、労働者の賃金は依然として増加しておらず、実質賃金は5年連続のマイナスとなり、GDPの6割を占める個人消費も2年連続で減少しています。ワーキングプアや非正規労働者の増加も相まって、日本経済はさらに冷え込み、トリクルダウンを基調とした「アベノミクス」の破たんは、もはや明白となっています。景気回復と労働者・国民の生活改善を図り、深刻化する貧困と格差を解消していくためには、膨大な内部留保を労働者に還元し、大企業に社会的責任を果たさせていくことが重要です。
「働き方改革」に対峙し働くルールの確立を
こうした「アベノミクス」の失策から国民の目を逸らし、さらに加速させるために、安倍政権は「一億総活躍」とのスローガンを掲げ、「働き方改革」をすすめようとしています。同一労働同一賃金や長時間労働の是正など、聞こえのよい言葉が並びますが、その本質は、雇用の流動化や労働時間の概念を取り除いた長時間労働の合法化であり、労働法の適用を受けない「個人請負型」の労働者を生み出すことにあります。
これらは従来から狙われてきた労働法制の規制緩和であり、「使い勝手のよい多様な働かせ方」を狙う財界の要望に沿ったものです。こうした政府・財界の狙いを明らかにし、労働法制のさらなる改悪を許さず、働くルールの確立を求めるたたかいに、私たち全司法も固く結集していくことが求められています。
市民の運動とも手を携え「国民春闘」構築を
こうした安倍政権の悪政に対し、戦争法廃止や憲法改悪反対を起点とした国民的な運動は、貧困と格差の解消や労働法制の課題をはじめ様々な分野での運動の高まりへと成長・発展し、市民と野党の共闘によって安倍政権の暴走をストップさせる展望を切り拓いています。全ての労働者の賃上げと生活改善、国民本位の政治への転換をめざす「国民春闘」の構築は、こうした市民の運動とも手を携え、さらに発展させていくことが求められます。
全司法は、1月22〜23日の第77回中央委員会で2017年春闘方針を確立し、「総対話と学習、全員結集、地域共同」を合言葉に、一人ひとりが「一度は地域に足をふみ出す」ことを基本として、全組合員参加型の春闘をめざします。
定員削減・「賃下げ訴訟」など官民一体で世論形成を
公務の課題では、定員管理政策の抜本的見直しをめざして国公労連がとりくむ「国民の権利と安心・安全を守る運動」に、全司法も民主的行財政・司法の確立を求める立場から結集していきます。次年度の裁判所予算案においては前年を上回る純減となったことからも、その元凶である政府の定員削減計画の中止・撤回を求めるとりくみは、裁判所の人的物的充実を求める
「全司法大運動」とあわせて重要な課題と言えます。国公労連が提起する各種のとりくみに職場から積極的な結集をめざします。
国公労連は今春闘で月額平均2万円(4・9%)以上の賃上げ要求を掲げています。公務員賃金の社会的影響を広く世論に訴えながら、最低賃金の引き上げや全国一律最賃制度の実現など社会的賃金闘争とも結合させ、官民一体となったとりくみが求められます。また、「公務員賃下げ違憲訴訟」の上告審勝利に向けて、裁判闘争の到達点や成果を再度職場で確認し、国公労連が提起するとりくみに職場から最大限結集することをめざします。
秋の到達点を隅々まで活かし要求と組織を一体で前進
職場諸要求の課題では、超勤縮減やサービス残業の根絶、両立支援制度を気兼ねなく利用できる職場環境の整備など、秋年期における到達点を職場の隅々まで活かすことが重要です。
4月の人員配置や昇格、異動など、具体的な要求の実現に加え、職場で生じているパワハラの根絶、問題が多岐に渡るITの課題、ストレスチェック制度の運用改善や健康管理施策の改善など、課題が山積しています。
また、成年後見利用促進法や刑事訴訟法の一部改正など、新たな法整備に伴う業務量の増大も予想されます。こうした観点から、業務量に見合った人員の確保と実効性のある超勤縮減対策をさらにすすめていくことは、喫緊の重要課題です。
こうした課題の解決に向けて、各級機関が持てる力を職場で十分に発揮し、全司法の最重点課題である組織強化・拡大を、今春闘の要求実現をめざすとりくみと一体のものとして、着実に前進させていくことを重視します。
全司法の存在意義と役割を全体で改めて確認し、4月の異動・採用期に向けて、組合員一人ひとりが組織拡大の「担い手」となって実践していくことを、強く呼びかけるものです。

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