今年の秋季年末闘争で、全司法は「ただ働き(サービス)残業」の根絶を改めて職場で徹底することを重点課題の一つとしています。「サービス残業があってはならない」とした最高裁交渉の到達点を職場のすみずみまで「届け」「活かす」ことが重要です。
最高裁回答が活かされていない
「私の職場では、超勤をつけないことが普通になっている」…、秋季年末闘争に向けた報告で、ある支部からそんな職場実態が寄せられました。
超過勤務がなくなったのなら良いのですが、実態は、超過勤務自体はなくなっていないのに申請がされなくなって「サービス残業」になっているという報告です。
最高裁は全司法との交渉で「サービス残業があってはならない」と回答しており、これをもとに下級裁や管理職を指導することになっていますが、この回答が活かされていないことになります。
「特に若い人は出さない。仕事の仕方が悪いと言われることを恐れているのか、出すと評価にかかわると誤解しているのか。出さないの?と声をかけても、『仕事が遅い私が悪いので…』という返事が返ってくる」という指摘もありました。
昨年12月に青年協が実施した「青年の暮らしむきアンケート」でも「ただ働き残業をしたことがあるか」という質問に対して、「したことがある」と回答した青年が35・0%と3分の1を超えており、調査官では60・0%に上っています。これを受けて、青年協は最高裁との交渉で到達点を確認するとともに、「必要な超過勤務を申告したことを理由として、評価が下がることはない」ことを改めて確認しています。
超勤縮減と「サービス残業根絶」は一体で
超勤縮減のための方策として、事前申請を実施している庁もありますが、「申請がないまま、結果として残って仕事をしていても管理職が放置している」といった実態や「管理職が威圧的な質問をして申請をさせない」という報告までありました。
超勤縮減と「サービス残業」根絶は一体で進める必要があり、超勤縮減が「申請の縮減」になって、「サービス残業」化するようでは本末転倒です。最高裁も超勤縮減をすすめるにあたっては、「サービス残業」にならないよう合わせて指導すると回答しています。
「上司の側も超過勤務をさせないことがノルマになっている」との報告もありました。管理職の中にそういう思い込みが広がっているのではないかとの懸念もありますが、最高裁が回答しているとおり「超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握」し「事務の簡素化、合理化に向けた具体的な取組を実施」するのが管理職の役割であり、超勤時間数を形だけ減らすことが役割ではありません。
「1分でもつけよう」…職場での宣伝活動も重要
一方、職員の側も、「サービス残業」をなくす意識を改めて持つ必要があります。
福岡支部・福岡分会では諸要求期に「1分でもつけようキャンペーン」と銘打って、超過勤務をきちんと申告するよう職場に呼びかけるとりくみを行いました。これによって、組合員の中で超過勤務についての意識が広がるとともに、管理職が「やった分はつけるように」と職場で声かけをするようになったと報告されています。こうした職場での宣伝活動もあわせて重要になっています。
最高裁回答の到達点
各庁においては、それぞれの実情に応じて、早朝、昼休み、休日にあっても、超過勤務の必要性・緊急性への目配りと超過勤務の実態の正確な把握のため、事前・事後の報告を求めているものと認識している。これまでも説明しているとおり、サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならないし、そのようなことがないよう、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握するよう今後も管理職員に対する指導を徹底したい。
(2016.3.8 人事局長)
管理職員が部下職員の事務処理状況等をきめ細かく見て、職場実態に合った事務の簡素化、合理化に向けた具体的な指導を行うよう指導を徹底していきたい。
なお、一方で、超過勤務の縮減をすすめるに当たってサービス残業や持ち帰り仕事が生じることのないよう、より一層下級裁を指導していきたい。
(2016.5.31人事局総務課長)
(青年協)必要な超過勤務を申告したことを理由として、評価が下がるということはないということでよいか。
(最高裁)必要な超過勤務時間を申告したことによって不利益な取扱いをするものではないことは当然のことである。
(2016.6.6 青年協交渉)
|