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  トップページ > 全司法新聞 > 2016年10月 > 2249号
 
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要求実現に力を尽くし、全司法の求心力を高めよう!
〜2016年秋季年末闘争のポイント〜

要求実現に向けて、すべての機関で交渉を

 秋季年末闘争では、来年4月の人員配置、異動、昇任・昇格等の発令など、職場の切実な要求を実現に結びつけるためにも、地連・支部・分会をはじめ、青年部・女性部など全ての機関が主体的に、職場に根ざしたとりくみを行うことが不可欠です。諸要求貫徹闘争期にとりくんだ「職場総点検・要求組織運動」で出された職場の意見・要求をもとに独自要求書を確立し、その実現や解決に向けた創意工夫あるとりくみを職場ぐるみで展開すること、とりわけ、全ての機関で交渉を実施し、当局を追及して要求の前進をめざすことが重要です。
 本部では、最高裁交渉や職種(事務官、調査官、書記官、速記官)上京団交渉を行い、2017年度裁判所予算案の確定期に向けたとりくみを強化します。

「国民のための裁判所」実現に人的態勢が必要

 事件の一層の複雑・困難化と事務処理の質的・量的な高まりに伴い職場の繁忙度が増しています。成年後見事件をはじめとする家事事件が依然増加傾向にあり、頻発する後見人による不正事案への対応も相まって、繁忙状況が続いています。この間一定の人的手当が行われているものの、抜本的な繁忙解消には至っておらず、成年後見制度利用促進法の施行に伴う事件増が予想されることからも、家裁職場からは更なる人的手当を求められています。
 地簡裁では、社会経済情勢の変化等を背景に、民事事件が一層複雑・困難化し、より高い専門性を求められています。地裁刑事事件や医療観察事件が増加傾向となっているほか、社会的に注目を集める訴訟が相次ぎ、事件処理に当たっての適正・迅速化の要請も強まっています。この間、家裁への人員シフト元となった職場も多く、「これ以上の減員は限界」との声が強まっており、事件部の充実に向けた大幅増員が求められています。また、全国的に独立簡裁の2人庁化が広がっており、大規模庁への人員シフトがすすめられる中で地方の中小規模庁が受け皿となっている実態も明らかとなっています。「国民のための裁判所」実現の観点からも、小規模庁や独簡の人的態勢整備を求めていくことが必要です。
 事務局においても、改修工事等を担う会計課をはじめ、総務課、人事課においても、依然高い繁忙状況にあり、当局の責任により、事務処理の簡素化・効率化を図らせることは喫緊の課題となっています。

サービス残業根絶、異動、昇格など実現に力尽くす

 職場の繁忙状況が続くもと、長時間過密労働が恒常化し、サービス残業が依然として存在しています。各級機関において、超過勤務やサービス残業の実態を把握し、超勤縮減とサービス残業の根絶に向けて各庁当局を追及していく必要があります。
 また、家庭事情やライフサイクルに配慮した異動計画の策定や切実な異動要求の実現を求めるとともに、昇格に関わっては各地連・支部が昇格要求者名簿を作成し、個別具体的な発令を当局に求めていくことが大切です。こうした一人ひとりの要求を大切にし、その実現に向けて力を尽くすことが、全司法に対する職場からの求心力の高まりへと繋がっていきます。
 この他、「フレックスタイム制」や「ストレスチェック制度」など新たな制度の運用の検証・改善が求められるとともに、様々な問題を抱えるITの課題など、職場実態や職場で生じた問題をつぶさにとらえ、各級機関がその解決に向けて下級裁当局を追及していくことが重要です。

憲法を守り活かす運動とともに

 安倍政権は衆参両院で3分の2の議席を獲得したことを受けて、改憲に一層の意欲を示し、秋の臨時国会から憲法審査会での改憲議論をすすめる意向を示しています。南スーダンへの自衛隊派遣や「駆けつけ警護」など、昨年成立した戦争法が本格的な運用段階に入ろうとしているもと、憲法を守り活かし、戦争法廃止を求める国民的な運動に強く結集していくことが求められています。また、「公務員賃下げ違憲訴訟」の控訴審は、12月5日に判決を迎えます。判決日には原告団会議を開催し、今後のたたかいの方向性について意思統一します。同時に、訴訟提起により給与減額を2年で終わらせたことなど、本件訴訟の意義や運動の到達点を、改めて職場で共有していくことが大切です。

 
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「公務員賃下げ違憲訴訟」控訴審が結審 判決言渡しは12月5日

 
 9月12日、「公務員賃下げ違憲訴訟」控訴審の第4回口頭弁論が開かれ、同日、結審しました。判決は12月5日に言い渡されます。逆転勝利に向けたとりくみの強化が求められるとともに、「賃下げを2年間でやめさせ、その後の人事院勧告に基づかない賃下げに歯止めをかけた」到達点を職場に伝え、組織強化・拡大につなげることが重要になっています。

「高度の必要性に基づいた合理的なもの」とは言えない


東京高裁前で要求行動
 口頭弁論に先立って、12時15分からの東京高裁前要求行動が行われ、国公労連の秋山副委員長は「私たちのとりくみが憲法違反の賃下げを2年でやめさせ、その後の人勧で3年連続の引き上げ勧告につながっていることに確信を持って引き続き奮闘しよう」と主催者を代表してあいさつをしました。
 14時から開かれた口頭弁論では、これまでの控訴人の主張をまとめた最終の準備書面を提出し、控訴人2名と代理人が意見陳述を行いました。
 震災当時、羽田空港で勤務していた国土交通省の若手職員が「東日本大震災で業務量が増大し、みんなが踏ん張って仕事をしている中、2年間で40万円もの給与が削減された」と述べ、東日本大震災で母親と家を失った厚生労働省の職員が「被災地で働く国家公務員を考慮することもなく、国が大幅な賃下げを強行した」と述べて、それぞれに一審判決の不当さを指摘し、公正な判決を求めました。
 代理人の岡村弁護士は、「人事院勧告に基づかない特例法は、不利益を国家公務員に法的に受忍させることを許容するだけの『高度の必要性に基づいた合理的なもの』とは認められず、国会の立法裁量権の濫用であり、憲法に違反し、違憲・無効というべき」と強く主張しました。
 その後、裁判長が弁論の終結を宣言し、判決言渡期日を12月5日の午後3時と告げて口頭弁論を終えました。

不当な賃下げの継続や新たな賃下げを阻止した


決意表明する青柳さん
(東京地裁)
 口頭弁論後の報告集会では、あいさつに立った国公労連の鎌田書記長が「この裁判闘争は、公務員労働者の権利を守るたたかいであると同時に、すべての労働者の賃上げと権利を確立するたたかいだ。6月11日にILO結社の自由委員会が10度目の勧告を日本政府に行ったが、政府は、『人事院勧告制度を尊重する姿勢は明確であり、給与減額支給措置が終了した後は、勧告通り実施している』と答弁している。裏を返せば、私たちの裁判闘争が、不当な賃下げの継続や新たな賃下げを阻止していることの証左といえる。控訴審では、なんとしても逆転勝訴を勝ち取とろう」と呼びかけました。
 集会では、控訴人を代表して、全司法東京地裁支部の青蛹ウ康さんが「不当な賃下げをうけ、一人でも提訴したかったくらい怒りをおぼえたが、国公労連の原告として裁判に参加できて本当によかった。本日の意見陳述を聞いて、決意を新たにした。判決に向け、引き続きがんばりたい」と決意表明しました。
 国公労連は、判決までのとりくみとして、引き続き、毎月1回の街頭宣伝行動を中央・地方で実施すること、「公正な裁判を求める要請署名」のとりくみの追い上げを図ることを提起しています。
 同時に「賃下げ違憲訴訟」の意義と到達点を職場に伝え、国公労連や全司法が公務員の働く権利を守るために果たしている役割を明らかにして、組織強化・拡大につなげることが重要です。

控訴人準備書面のポイント(9月12日付け)

第1 違憲立法審査権の適切な行使を求める
 従来の判例で、人事院勧告制度は合憲性を基礎づける「代償措置」の中心的な意義を有するものとして位置づけられてきた。本件の給与減額は、政府が憲法解釈を変更して、人事院勧告によらない国家公務員の給与減額を実行しようとしたことに端を発している。
 憲法違反の立法に対して、裁判所が違憲立法審査権を正しく行使することを期待する。

第2  「我が国の厳しい財政事情及び東日本大震災の復興財源」は給与減額支給措置の必要性の根拠にはなり得ない
 国家公務員の賃下げをしても財政事情は好転していない。また、給与減額支給措置は東日本大震災の復興財源としても機能しておらず、給与減額支給措置を行わなければならない必要性は何もなかった。

第3  給与減額立法は判例違反−原判決の「政府は人事院勧告を尊重する姿勢を示していた」との判示は事実誤認−
 政府は「自律的労使関係制度」への移行を前提に考えていたものであり、「人事院勧告を尊重するという基本方針を堅持し、将来もこの方針を変更する考えはなかったものである」とは到底言えるものではない。

第4  団体交渉権侵害に基づく給与改定・臨時特例法の違憲・無効
 「極めて異例の措置」である人事院勧告に基づかない給与減額交渉において政府に求められる交渉義務に違反しており、控訴人らの団結権を侵害したと言える。
 特例法は違憲無効であり、国公労連およびその組合員に対する国賠法上の損害賠償責任は免れない。

 
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国会前に2万3千人 戦争法廃止へたたかいは続く
 
雨の中、23000人が参加
 安全保障関連法(「戦争法」)の強行成立から1年を迎えた9月19日、総がかり行動実行委員会が呼び掛けた戦争法廃止を求める国会正門前の行動に2万3千人が参加しました。市民の代表、国会議員、弁護士らが、「戦争法を廃止に」「改憲を許さない」と訴え、「戦争法廃止に向けて行動を続けていこう」と呼びかけました。

「うやむや」のまま、運用・改憲狙う

 2015年9月19日未明、参議院本会議で戦争法が強行採決で可決されました。成立した戦争法は、2016年3月29日に施行され、南スーダンでの自衛隊への駆け付け警護任務付与の検討など、実際の運用が進みつつあります。
 このような情勢の中、9月19日、全国各地で戦争法廃止を求める行動が行われました。成立後1年を経過しても、戦争法廃止を求める声は依然強いものです。
 安倍首相は戦争法成立直後、「これから粘り強く説明を行っていきたい」と語りましたが、1年経ってもこの言葉は実行されていません。それどころか、参議院選挙で改憲勢力が3分の2を超えると、自民党の改憲草案を軸に早期改憲を目指すと述べています。
 つまり、現政権は、国民への説明をなおざりに、憲法を法律に合致するように改正して、戦争法が「違憲法制である」ことをうやむやにしようとしています。

裁判所職員の労組として看過できない

 国会前に集まった2万3千人は、戦争法の危険性はもちろん、立憲主義を否定する現政権の姿勢に危機感を感じているからこそ、戦争法廃止にむけた行動を続けているのだと感じます。
 戦争法は憲法違反の法律であり、憲法尊重擁護義務を負い、司法の職場で働く裁判所職員の労働組合として、これを看過することはできません。
 成立から今日までに、自衛隊だけでなく、関連する企業や公務員が巻き込まれるおそれや、国内でのテロのリスクなどが現実味を増しています。私たちと家族の命と生活を守るため、今後の情勢を注視し、戦争法廃止に向けて結集していくことが必要です。

(全司法本部 古田愛実)

 
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