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  トップページ > 全司法新聞 > 2016年9月 > 2247号
 
 全司法新聞
 
月例給708円(0.17%)、一時金0.1月改善。
扶養手当「見直し」、労働組合軽視の一方的な不利益変更
 

 8月8日、人事院は、国家公務員の給与に関する勧告及び職員の両立支援制度にかかる勤務時間の改定に関する勧告、意見の申出ならびにそれらに関連する報告を行いました。
 賃金については、月例給708円(0・17%)の官民較差を埋める改定、一時金の0・1月増の改善勧告となり、3年連続でプラス勧告になったとはいえ、物価上昇にも追いつかず、生活改善にはほど遠い額にとどまりました。また、職場の要求が強い通勤手当や住居手当の改善には手を付けず、地域間格差の一層の拡大となる本府省業務調整手当の段階的引上げに踏み切ったことは、大変不満と言わざるをえません。
 また、今勧告の最大の争点となっていた扶養手当「見直し」については、配偶者にかかる手当を現行の1万3千円から6500円とし、子にかかる手当を現行の6500円から1万円とする勧告を行いました。直前まで労働組合に対し具体的な説明がなく、少なくとも6万人に影響する一方的な不利益変更であり、決して許されるものではありません。
 今後は政府との交渉へと舞台が移りますが、生活を一刻も早く改善する立場から改善部分の早期実施を求めるとともに、配偶者にかかる扶養手当改悪の中止・撤回等を求め、国公労連に結集してとりくみを強めることが重要です。

3年連続の賃上げも、実質改善にならず
月例給・一時金の引上げ

 人事院は、月例給を引き上げる(官民較差は平均708円、0・17%)とともに、一時金を0・10月分改善し、年間4・30月に引き上げる勧告を行いました。3年連続の改善ではありますが、生活改善にはほど遠い僅かな改善額にとどまり、この間の物価上昇等による生活への影響を考えると、5年連続で実質賃金の低下となる超低額勧告です。なお、俸給表改定に当たっては、初任給1500円引き上げ、若年層も同程度の改定を行うなど、昨年同様に若年層に重点を置いたものとなりました。
 また、すべての号俸で改善が図られましたが、高齢層への配分は400円という微々たる引上げ額にとどまっています。「給与制度の総合的見直し」により、現在も多くの中高年層が現給保障の対象となっていますが、僅か400円の引上げではその埋め戻しになるだけであり、実質的賃上げにはつながりません。現給保障の措置は2018年3月末に終了するため、現給保障額を上回る大幅賃上げが図られなければ、賃下げとなる職員が出ることになります。賃下げ回避のため、引き続き大幅賃上げ実現をめざしてとりくむことが求められます。

配偶者6500円に、段階的引き下げ
扶扶養手当「見直し」

 扶養手当の「見直し」については、人事院は勧告の僅か1週間前に国公労連に具体案
を示すのみで、十分な協議や明確かつ納得できる理由も示さないまま、一方的に改悪を強行しました。配偶者にかかる手当を他の扶養親族への手当額に合わせ、現行の1万3千円から6500円に減額したうえ、その原資を用いて子にかかる手当を現行の6500円から1万円にする内容となっています。3年間の経過措置が設けられていますが、少なくとも6万人という扶養手当受給者の半数を超える職員が労働条件の引下げとなります。
 人事院は、「見直し」の理由を「民間では配偶者に家族手当を支給する事業所の割合が減少傾向にある」としていますが、昨年は家族手当制度のある民間事業所のうち約9割が配偶者に家族手当を支給していることから「見直し」を見送っています。また、昨年と今年の民調結果を比較してもほぼ変化はなく、こうした経過から、今回の一方的な「見直し」は到底認められるものではありません。配偶者にかかる扶養手当の「見直し」を求める政府の要請に応じた勧告であることは明白であり、人事院は労働基本権制約の「代償措置」たる第三者機関の役割を放棄したものと言わざるをえません。

総合的見直し継続、地域間格差を拡大
本本府省業務調整手当の引上げ

 本府省業務調整手当の段階的引上げについても勧告しました。同手当の引上げは、政府が総人件費抑制の手段と位置付けている「給与制度の総合的見直し」に盛り込まれていたもので、今勧告においても人事院が政府の要請に忠実に応えたものと言わざるをえません。本省を優遇し、地方との格差を一層拡大したことは許されるものではなく、引き続き、「給与制度の総合的見直し」を含め、総人件費削減方針の中止・撤回を求めていく必要があります。

介護休暇などを一定改善
両立支援制度の拡充

 人事院は今勧告にあわせ、職員の両立支援制度の拡充に
向けた意見の申出と勧告を行いました。その概要は、(1)介護休暇の3回までの分割取得を可能にする、(2)介護時間(無給)の新設、(3)育児休業等に
かかる子の範囲の拡大などとなっています。その他、介護休暇等の同居要件の撤廃や介護を行う職員の超勤免除、マタハラ等の防止策整備等が人規改正により措置されます。一定の改善が図られますが、さらに利用しやすい制度への拡充と職場環境の整備を図らせることが必要です。

 
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地連大会の特徴 Part1
今後に向けた足がかりの大会に(東京、近畿、九州)

 

 8月には各地連大会が順次開かれています。まずは前半に開催した東京(8/6〜7)、近畿(8/6)、九州(8/6〜7)地連大会の様子を出席した本部役員が報告し合いました。

活発な活動や青年の参加が目立つ大会

長岡 九州地連では発言数も多く、活発な討論が行われました。自民党憲法改正草案の危険性やアベノミクスの問題指摘、人事院勧告の動きなど、情勢に関わって多くの発言があったのが特徴です。その中で、熊本支部からは「熊本地震発生から3か月半が経過し、期日変更した事件や、延期された学校行事がこの時期に集中するなど、職場や家庭生活で新たな負担も生じ、疲れも出ている」との報告がありました。

田中 東京地連は、昔から活動に携わっている人のみが活動報告をして終わる大会ではなく、多くの若手が参加し、青年の視点での発言もありました。日常活動や目に見える活動の重要性が再確認され、今後の組織拡大に向けた大きな足がかりとなる大会になったのではないかと思います。

中矢 近畿でもベテランに混じって若い参加者がみられました。地連書記長も交替し、世代交代のきっかけを掴むことができたのではないでしょうか。

最高裁回答を活かすとりくみが重要

長岡 沖縄の独自の超勤実態調査では休日出勤の超勤申請を行っていない職員が7割にのぼることが明らかになりました。福岡からは「1分でもつけようキャンペーン」を展開し、超勤申請を促すとりくみを行っていることが報告されました。

田中 超勤縮減策の一環として「事前申請」を取り入れた東京家裁で、それが原因サービス残業になっているとの指摘がありました。「サービス残業があってはならない」という最高裁の回答を職場で活かしていく、各支部でのとりくみが重要だと思います。

中矢 近畿の大会で、最高裁回答を活かす必要性を感じたのは、連絡係職員についての「待機義務がない」という回答です。大阪家裁の連絡係職員について、「出かけるにしても、1時間以内に電話に出られる範囲で」とか「たまたま電話に出られないことがあって、事後に管理職から注意された」など、待機義務になってしまっている実態が報告されました。

組織強化・拡大の決意が語られた

長岡 組織課題で、宮崎では一人ひとりの組合員の協力を得る工夫が示されました。福岡の「職場会や教宣活動など原点に立ち返り、やるべきことをやろう」という発言が印象的でした。

中矢 近畿では、神戸支部から支部でのとりくみの報告とともに、全国大会で議論になった全司法の厳しい組織・財政状況にも言及して、「組合員を増やして、この状況を乗り切ろう」と他支部にも呼び掛ける発言がありました。組織的に厳しい支部が頑張っている姿を見せることが、組織率の高い支部も含めた全体の団結の上で必要だという指摘もありました。

田中 東京における組織拡大のとりくみは非常に厳しいのですが、最高裁支部が青年部を再結成させたことや、新採用職員を対象とした在京の青年のとりくみで、今までにない加入の成果があったことが報告されました。在京支部からはレクリエーション活動の充実や、みんなが集まる機会を増やすとりくみをすすめ、さらなる組織拡大への足掛かりにしたいとの決意表明があり、青年を中心とした運動の高揚を感じられるものとなりました。

 
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核のない世界へ扉を開こう 原水爆禁止2016年世界大会・広島
 
核兵器廃絶の世論づくりを確認

 8月4日から6日にかけて、広島市で原水爆禁止2016年世界大会(日本原水協などの実行委員会主催)が開かれ、全司法からは、中国地連・広島支部を中心として、宮城支部、愛知支部を含めた10名近い参加がありました。オバマ米大統領の訪問で被爆地広島への注目が集ま
る中、参加者は核兵器をなくすための世論を作り、核のない世界への扉を開こうと確認し合う大会となりました。

核兵器禁止・廃絶を求める世論の形成を

 4日の開会総会には、海外からの参加者を含め約4500名が参加しました。開会総会では、5月に日本各地から広島をめざしてスタートした平和行進の到着セレモニーが行われました。
 主催者を代表して、冨田宏治関西大学教授があいさつをし、昨年の国連総会で核兵器禁止条約の締結に向けた交渉開始を求める決議が採択されたことを「大きな前進」と評価したうえで、「国連では核なき世界を実現させるための具体的な議論を行う作業部会が見解をまとめた。今秋の国連総会に向け、核兵器禁止・廃絶を求める世論を作ろう」と呼びかけました。
 元国連軍縮問題担当上級代表のセルジオ・ドゥアルテさんは「国際社会において核兵器保有国と(軍事)同盟国は、今、守勢に立っている。核兵器廃絶のために活動する皆さんに心から敬意を表する。その信念と心意気を高く持ち続けてほしい」と励ましました。
 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員の岩佐幹三さんらが、草の根から核兵器禁止・廃絶条約締結の交渉開始を後押しする「ヒバクシャ国際署名」のとりくみを訴え、広島県被団協の佐久間邦彦理事長は「国際署名が核兵器廃絶のための確かな一歩となること」を願い、署名推進を呼びかけました。

核兵器廃絶へ 被爆体験を語り継ごう

 5日は、広島市内各地で分散会が開催され、午後には、この間の職場・地域における運動など、世界大会参加者の交流を深めるために開催された「国公労働者平和のつどい」に結集しました。現在87歳の元国家公務員の被爆者の方から、原爆に翻弄された被爆者の人生について語っていただきました。
 6日は、平和公園で行われた平和記念式典の後、閉会総会が開催され、大会は成功裏に終わりました。
 原水爆禁止世界大会は、毎年、被爆地広島と長崎で開催されます。核兵器廃絶を願う人なら、どなたでも参加できますので、全国の組合員のみなさんも、是非、ご参加下さい。

 
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