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 全司法新聞
 
要求を伝え、学習・交流を深めた貴重な経験
2016国公青年セミナー
 
学習と行動を結合させて
 国公労連は、6月17日〜18日、「2016国公青年セミナー」を東京都内で開催しました。青年の要求実現、学習、交流を目的として、1日目に国会議員要請、人事院交渉、財務省交渉を、2日目に学習会を行いました。全国から参加した43人(全司法は7人)は、切実な職場実態と要求を対応機関等に伝えるとともに、他単組の青年と交流を深めました。

国会議員要請、人事院・財務省交渉を実施

人事院に要求書を提出

 1日目は、3つのグループに分かれ、国会議員要請、人事院交渉、財務省交渉にとりくみました。
 国会議員要請では、議員会館内の議員事務室を訪問し、「国民の安全・安心を支える公務・公共サービスの体制・機能の充実を求める要請書」を手渡し、切実な職場実態を訴えました。
 人事院交渉では、賃金・諸手当のほか、休暇制度などの労働条件について、青年から切実な要求と職場実態を訴えました。全司法の参加者からは「子の看護休暇について、子が進学で対象から外れた場合には、その子にかかる分のみ合計日数から除くこと」「扶養手当は、家庭を持つ青年にとって、生活のために欠かせないものであり、職員に不利益になるような見直しは行わないこと」などを訴えました。
 財務省交渉では、宿舎の確保・改善に向けて、財務省を追及しました。青年からは、熊本地震による宿舎への被害や、東北被災地での宿舎不足、宿舎の老朽化など、切実な実態と要求を訴えました。当局は「みなさんからお聞きした要求と私たちの問題意識は概ね同じだと考えている」と回答し、一定の理解を示しました。

「運動を広げるなら活動するな」?

 2日目は、関西勤労者教育協会の中田進さんから「労働組合の必要性とその真価」と題した講義を受けました。労働組合誕生の経緯や、労働者が労働組合に団結してたたかうことの必要性、現在の情勢の中で、今こそ労働組合の真価が発揮されるといった内容を、親しみやすくユーモアを交えた語り口でお話しいただきました。
 続いて、岐阜県労連の平野竜也事務局長から「運動を広げるなら活動するな」と題した講義を受けました。衝撃的な題名ですが、内容は、運動を広げるとは何か、自分がやっていた運動をどれだけ仲間に任せられるか、というもので、新しい視点からの講義に参加者は聞き入っていました。

参加者の感想

 人事院・財務省交渉では、裁判所当局からは「関係機関に伝える」としか回答されない事項を直接伝えることができ、貴重な機会を得ることができました。
 また、他の公務職場の状況を聞けたことは、狭くなりがちな見識を広げる良い機会となりました。次回は全司法から更に多くの青年に参加してほしいです。

 
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賃金、休暇、健康課題などを要求
人事院勧告期の最高裁交渉
国公労連統一要求にもとづき交渉

 全司法本部は、7月5日、人事院勧告にむけた要求前進をめざし、最高裁人事局春名総務課長と交渉を実施しました。交渉では、賃金や各種手当の改善、休暇制度や健康診断の充実等について追及しました。

【賃金・諸手当の改善】

春闘で連続賃上げの認識示す

 賃上げ要求に対し、総務課長は「日本経団連の大手企業を対象とした調査によれば、今春闘における賃上げ率は第1回集計で2・19%と3年連続で2%を超え、また、今夏の一時金については第1回集計で前年同期比3・74%増であった」とした上で、「生計費の維持、確保という観点から、賃上げに向けた強い要望を持っていることは認識しており、職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
 また、各種手当の改善要求に対しては、「人事院の動向を見守っていきたい」と回答しました。これを受け、全司法からは、人事院が政府の要請に基づき今夏の勧告で「見直し」を表明している配偶者にかかる扶養手当、同じく「見直し」が検討されている特地勤務手当の改悪阻止のほか、住居手当、通勤手当の改善を求めました。

【休暇制度の改善】

両立支援制度、要望伝える

 各種休暇制度を取得しやすい職場環境整備の要求に対して、「引き続き、職場環境の維持・充実に努めるよう下級裁を指導していきたい」と回答しました。
 また、来年1月を施行予定として検討がすすめられている「国家公務員の仕事と家庭の両立支援制度」改正の課題では、実効性ある充実した制度となるよう関係機関への意見反映を求めました。これに対し、「報道等を通じて承知しているが、制度的な問題であり、最高裁として公式に意見を述べる立場にない。職員団体の要望は、機会を捉えて人事院に伝わるようにしたい」との回答に止まりました。

【職員の健康管理】

健診予算の厳しさを強調

 個々の職員の状況に応じた女性がん検診の実施や青年層の血液検査の実施など、健康診断の充実・改善を求めました。これに対し総務課長は、「子宮がん検診及び乳がん検診の受診率を向上させ、がんを早期に発見することが重要」との認識を示し、「厚労省指針に沿ったがん検診を着実に実施できるよう環境を整え、受診率の向上に努めていきたい」と回答しました。一方で、「健康診断経費の全体予算は今後より一層厳しくなる」とした上、「子宮がん検診等についても、各庁予算の範囲内で厚労省指針が定める検査対象者以外の職員に対して拡大して実施できる現状の枠組みを早晩廃止せざるを得ない」「その時期については、引き続き健康診断等経費の全体予算の推移等を注視しつつ、適切に判断したい」とも回答しています。健康診断の充実を求める声が高まっていることを踏まえ、職場から追及を強めることが必要です。
 ストレスチェック制度の運用については「職員及び職員団体から提出された意見等に対する検討結果については近日中に説明できる予定である」とした上、「ストレス要因の把握に努め、適切に対処していきたい」と回答しました。


 
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2016年人事院勧告 ここが課題!
 

 今年も8月上旬には、人事院勧告が出される予定です。現在、勧告に向けた交渉・行動が展開されていますが、今年の勧告での主な課題を整理してみました。

生活改善につながる賃金引き上げを

 安倍内閣も「消費拡大を通じた景気回復」や「同一労働同一賃金」など、賃金格差の是正にまで言及するなど、国をあげてデフレ経済からの脱却を目指しているにもかかわらず、春闘期の人事院回答は、「情勢適応の原則に基づき、必要な勧告を行う」という、私たちの要求に正面から向き合わない従前どおりの建前回答にとどまっています。
 今年の春闘の民間賃金改定の回答状況を見ると、非正規雇用をはじめ中小企業では幅広く賃金引き上げが行われているものの、全体では、昨年を若干下回る状況であり、厳しい状況です。実質賃金のマイナス傾向に歯止めがかからない状況からすれば、物価上昇を上回る大幅な賃金引き上げなしには、生活改善につながりません。懸命に公務サービスを支えている職員の努力に報い、その職務に相応しい賃金改善を行うことこそ、人事院の責務です。
 一時金については、各種集計で民間では前年を上回る結果が報道されています。職場では賃上げに対する期待感が高まっており、一時金についても少なくとも民間の支給実態を反映した支給月数の改善と勤勉手当の割合を縮小することを求めます。

「給与制度の総合的見直し」を中止せよ

 ところで、昨年の賃金改定では、プラス勧告にもかかわらず、多くの職員が「給与制度の総合的見直し」による現給保障を超えず、月例賃金が据え置かれる結果となりました。これは、「総合的見直し」がもたらした矛盾であることから、改めて地域間・世代間の賃金格差の是正・適正化をはかるとともに、誰もが生活改善を実感できるだけの月例賃金の大幅な引き上げを求めます。
 加えて、昨年の勧告では、官民較差の約8割が、地域手当に配分されました。このままでは、現給保障の経過措置終了時点(2018年4月1日)で、賃金引き下げとなる職員が相当数出ることになりかねません。
 人事院は、総合的見直しを配分の問題と説明していますが、そうだとすれば、1人も賃金引き下げとなる職員が出ないように本俸に厚く配分するとともに、経過措置の延長を含めた対応をはかるべきです。

定年延長、再任用職員の賃金改善を

 政府が雇用と年金の接続について、当面は再任用で対応するとしている以上、政府の責任において、再任用職員が安心して生活できる賃金水準を確保すべきです。少なくとも、人事院においては、自ら行った「意見の申出」に沿った賃金水準等の改善を行うべきであり、再任用職員の賃金引き上げや生活関連手当の支給を、早急に実現することを強く求めます。
 また、人事院による定年延長の「意見の申出」を政府は放置したままであり、改めて政府の検討を促す措置を講じるべきです。

民間準拠からも認められない扶養手当「見直し」

 人事院は今勧告に向け、配偶者にかかる扶養手当の見直しを検討しています。
 これは、安倍政権の「経済財政運営と改革の基本方針」に基づく、配偶者にかかる扶養手当の廃止・引き下げに向けた、政府からの検討要請に応えたものといわざるを得ず、政府・使用者の意向に沿った一方的な労働条件引き下げの検討に他なりません。
 人事院が昨年行った民間給与実態調査の結果でも、民間企業の76・5%が家族手当を支給し、そのうち90・3%が配偶者に対する手当を支給しており、民間でも支給率の高い手当です。
 人事院の見直し表明は、国家公務員の勤務や生活の実態を無視したうえ、人事院が情勢適応の原則の柱としてきた民間準拠さえも曖昧にするものであり、断じて容認できません。
 人事院に対して、国家公務員労働者の利益擁護の責務を負う、公正中立な第三者機関として、誠実かつ責任ある対応を求めます。

 
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各機関大会に向けて 夏こそ、組織拡大に全力を!
 
 4月の採用・異動から約4か月が経過しようとしています。職場では一定の落ち着きを見せ、新採用職員も仕事に慣れてきた頃でしょう。こうした時期だからこそ、あらためて、全ての職場で組織拡大を旺盛にすすめていきましょう。

問題解決する姿を見せ、加入の働きかけを

 4月の人員配置を踏まえ、職場の繁忙状況や問題点も明らかとなってくる時期でもあり、新採用職員も働き方や職場のルールに対して「なぜこうなっているの?」という疑問も出始めているのではないでしょうか。8月上旬には人事院勧告が出される予定ですが、3年連続の賃上げを確実なものとすることが求められています。制度面においては、「フレックスタイム制」の導入から2か月が経過し、運用の検証段階となっていますし、7月29日には職員端末からインターネットが完全分離されることから、職場の混乱も予想されます。こうした状況だからこそ、労働組合が職場の問題に機敏に対応し、その解決に力を尽くすと同時に、未加入者との対話をすすめることで、組織拡大のチャンスは広がっていきます。

職場の先輩からの働きかけが大きな力に

 とりわけ、新採用職員の更なる加入拡大は急務の課題であり、これまで行ってきた歓迎行事や呼びかけの経過を踏まえ、一人ひとり丁寧に働きかけを行い、着実に加入に結びつけていくことが重要です。同時に、職場の先輩からの働きかけは大きな力となります。全ての組合員が組織拡大の「担い手」となるよう、心から呼びかけます。
 加えて、7月下旬からは、総研生や家裁調査官補が実務修習に入り、職場に配置されます。研修生活の様子や困っていることはないか、研修終了後の配置先の要求など、この機会に対話を通じて全司法との結びつきを強め、積極的に加入を呼びかることが大切です。

役員選考を組織強化のチャンスに

 本部は、各支部の定期大会を9月中に実施するよう提起しています。役員選考も本格化していますが、民主的かつ職場から見える選考手続を行い、「職場から役員を送り出す」仕組みを作ることで、役員選考を組織強化に結びつけていくことも重要な課題です。各支部の定期大会に向けて、全ての職場で組織強化拡大にとりくみ、一人でも多くの組合員を増やしましょう。

 
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「職務に対する誇りを傷つけた」(岡部委員長)
「賃下げ違憲訴訟」第3回口頭弁論
 
東京高裁前で要請行動
 政府が2012年4月から2年間、人事院勧告によらずに国家公務員の賃金を平均7・8%引き下げたことに対する「公務員賃下げ違憲訴訟」の控訴審第3回口頭弁論が6月20日に開かれました。

公務員の労働基本権、ILOが10度目の勧告

 弁論に先立って国公労連は東京高裁前で要求行動を実施し、その中で国公労連鎌田書記長は「公正な判決を求める要請署名」について、個人10万6065筆、団体3122筆を、「すべての証人採用を求める要請書」1万9259筆を、それぞれ東京高裁に提出したことを報告しました。また、国際労働機関(ILO)が6月11日に、全労連が提訴している公務員制度案件(労働基本権回復など)について10度目の勧告を採択したことを報告し、「この訴訟を含む、これまでのたたかいの貴重な到達点である。これをバネに、職場・地域で運動を強めよう」と述べました。

裁判所、控訴人の証人申請(片山氏ら)を却下

 口頭弁論で、国公労連岡部委員長は「経済的な被害の賠償はもとより、公務・公共サービスを担う職務に対する誇りを傷つけ、士気に否定的な影響を及ぼした」と賃下げの不当性を主張し、裁判所に対して公正な判断を求める旨の意見陳述を行いました。また、代理人の佐渡島弁護士は、経済対策では国が多額の財源を支出する一方で、「なぜ東日本大震災の復旧・復興財源の確保の場合にだけ、原則を放棄してまで国家公務員の給与削減をおこなう必要性があるのか」と政策の矛盾を批判しました。
 一方、国公労連などが求めていた片山善博氏(当時の総務大臣)をはじめとする証人申請について、裁判所は「客観的な事実関係についてはすでに原審も含めて確認されている」として、これを却下しました。

年度内判決か?高裁はどう踏み込むのか

 弁論後に実施された報告集会において、代理人の加藤弁護士は「年度内判決が見えてきた」と述べたうえで、「国の主張に沿ってあっさり書いてしまった地裁判決に対して、憲法28条による労働基本権保障を求める裁判として、高裁がどう内容に踏み込むかが問われている」と指摘しました。
 第4回口頭弁論は9月12日14時から東京高裁101号法廷で開かれます。

 
 
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