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全司法新聞
 
増員、昇格、庁舎で前進、多くの課題で足がかり
2016年諸要求貫徹闘争・最高裁交渉結果
 
事務総長交渉に臨む中央執行委員

 全司法本部は6月13日〜16日、諸要求貫徹闘争期における最高裁とのまとめの交渉を実施しました。増員・昇格・庁舎設備で「最大限の努力」姿勢を示させるとともに、職場実態を踏まえた追及により、女性登用と次世代育成支援、ITシステムなど、多くの課題で前進または足がかりとなる回答を勝ち取りました。

次年度の概算要求に向け「最大限の努力」

 最高裁は2017年度の増員について、増員をめぐる情勢が一層厳しくなるとの認識を示す一方で、「各職場の実態並びに職員及び職員団体の要望等を十分に踏まえ」、「必要な人員の確保に向けて、最大限の努力をしていきたい」と回答しました。また、昇格についても、国家公務員の人件費をめぐる厳しい情勢を踏まえ、「級別定数改定をめぐる情勢は全く予断を許さない」との認識を示しつつ、「職員の勤務条件にも配慮しながら、最大限の努力をしていきたい」と回答しました。
 これらは、次年度概算要求に向けた最高裁の姿勢として評価できますが、同時に情勢の厳しさにも言及していることから、地連・支部における増員、昇格実現を求めるとりくみを、一層強めていくことが重要です。

超勤縮減、庁舎設備、ITなどで前進・足がかり

 超勤縮減では、「職場実態に合った事務の簡素化、合理化に向けた具体的なとりくみを実施」、「日々の効率的、合理的な事務処理に向けた意識改革を更に徹底していくよう、より一層下級裁を指導するとともに、そのとりくみを後押ししたい」とし、改めて「サービス残業や持ち帰り仕事が生じることのないよう、より一層下級裁を指導していきたい」と回答しました。
 また、女性活躍推進法に基づく裁判所特定事業主行動計画が策定されたことも踏まえ、女性の登用拡大については、「そのとりくみをすすめることにより、女性職員の活躍の推進を図っていきたい」と回答し、次世代育成支援では「管理職員が率先して事務処理の効率化、合理化等の事務の在り方等の見直しをすすめるなど、実効性のある具体的なとりくみをすすめられるよう下級裁を指導していきたい」と回答しました。
 庁舎設備では、2012年度補正予算で庁舎の耐震改修が執行未了となった案件について、予算確保に向けた最大限の努力姿勢を示しました。
 この他、「ゆう活」の実施を見送ったことや、速記官が求める「はやとくん」システム関連ソフトのインストール、フット式スイッチの継続使用、MINTASをはじめとするITシステムの改善など、多くの課題で前進や足がかりとなる回答を引き出しました。

熊本地震の支援に向け積極的な姿勢

 職場諸要求の課題に加えて、熊本地震で職員及び庁舎が罹災したことを受け、復旧・復興に向けた応援態勢の確保や健康保持を含めた現地職員のニーズの把握など、被災地支援として適時適切な対応を求めました。最高裁は熊本地家裁管内の全職員を対象に要望聴取を行うことを明らかにし、「出された要望等については可能な限り対応したい」と回答したほか、報告期限の緩和や諸手当の申告手続の柔軟運用など、被災地支援に向けた積極的な姿勢を明らかにしました。

最高裁回答の地連・支部での活用を!

 これらの回答を受けて、本部は7月8日の早朝時間外職場大会とプレート行動を中止し、昼休みの報告集会に切り替える旨の原案を提起しました。
 地連、支部等では、最高裁回答を対応当局への追及に活用し、職場での要求実現を形にしていくことが重要です。
 また、本部は職場実態調査を実施し、各支部からの報告を活用しながら交渉をすすめ、要求の前進を勝ち取りました。今後とも職場実態の把握や、本部と地連・支部等との連携が重要です。

 
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人員の確保、耐震改修の予算確保、級別定数改定
「最大限の努力」姿勢示す 最高裁人事局長交渉
全支部から集約した「要請書」を提出

 全司法本部は、6月14日、最高裁堀田人事局長との間で、交渉を実施しました。人員の確保、2012(平成24)年度補正予算で庁舎の耐震改修が執行未了となった案件の予算確保、来年度予算における級別定数改定に対し、それぞれ「最大限の努力」の姿勢が示されました。

人員

引き続き最大限の努力

 人事局長は、「社会状況をも見極めながら多種多様な要因を総合的に考慮し、司法需要に的確に対処し、適正迅速な裁判を実現するために必要な人員の確保について引き続き最大限の努力をしていきたい」と回答しました。
 また、書記官の増員については「必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」、家裁調査官の増員については「家庭事件全体の動向や事件処理状況等を踏まえながら、これから検討していくことになるが、必要な人的態勢の整備に向けて、引き続き努力していきたい」とそれぞれ回答しました。
 事務局への人的手当については「事務処理の簡素化、効率化が図りやすい部門であるところから、第一次的にはこうした事務の簡素化、効率化という観点も踏まえて事務処理態勢を検討していく必要があると考えている」と回答するにとどまりました。

ストレスチェック制度

制度趣旨に則った運用行う

 「裁判所におけるストレスチェック制度の実施に関する基本方針」で示されている基本的な考え方の中で、「検査の結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、当該集団の職員の心理的な負担を軽減するための適切な措置を講ずるよう努めることにより、ストレス要因そのものの低減を図る」ことがストレスチェックの目的とされていることを踏まえ、集団分析結果に基づく職場環境の改善を実効性のあるものとすることを要求しました。これに対し、人事局長は「制度の趣旨に則った運用をしていきたい」と回答しました。また、「人事院や行政府省等の状況や各庁の実情等を踏まえ、ストレスチェックの実施に必要な予算は確保することができた」と回答しました。

IT情報システム化

システムの安定稼働に努力

 MINTASを含む各業務系システムについて、「迅速かつ必要な対応を行うことで、職員の裁判業務に影響を与えることなく安定的に稼働できるよう、引き続き努力していきたい」と回答しました。
 MINTASのログオフまでの時間が短いこと等を指摘し改善を求めたところ、「セッションの時間が60分間であることは、MINTASの「お知らせ」や「よくある質問と回答」(FAQ)に掲載するなどの方法により、利用する職員に対してお知らせすることとしたい」、「情報システムにおける適正なアクセス権の制御・管理やセキュリティの観点を踏まえつつ、サーバに与える影響、利用する職員の利用しやすさ等を総合的に考慮し、引き続き検討していくこととしたい」と回答しました。

職員制度

「はやと」日本語ソフトインストール許可を検討

 「電子速記タイプライターを官支給するつもりはない」との回答があった一方で、「はやとくん」システム関連ソフト(バージョンアップされたOSで稼働する日本語ソフト)の新たなインストール許可及びフット式スイッチを継続して利用できる環境整備については、いずれも「使用できる方向で検討したい」と回答しました。
 家裁調査官の異動については「本人の生活環境にも十分配慮した異動が行えるよう、更に検討を重ねていきたい」と回答しました。
 看護師の高裁ブロック研修については「各高裁の判断に基づいて行われるものであるが、最高裁においても、看護師に対するブロック研修が適時に行われるよう実施状況の把握に努めていきたい」と回答しました。

庁舎

補正予算の未執行案件
予算確保に最大限努力

 老朽・狭あい庁舎の新営・増築・修繕については、「必要性・緊急性の度合いや当事者の利便を考慮しながら必要な予算を確保していきたいと考えている」と回答した上で、「特に、2012(平成24)年度補正予算で庁舎の耐震改修が執行未了となった案件については、必要な予算の確保に向けて最大限努力していきたい」と回答しました。

昇格

定数改定に最大限の努力

 「来年度予算における級別定数改定をめぐる情勢は全く予断を許さないと言わざるを得ないが、各職種の職責や役割等を念頭において、職員の勤務条件にも配慮しながら、最大限の努力をしていきたいと考えている」と回答しました。

 
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事務総長交渉回答要旨
 

「国民のための裁判所」実現に向けた人的態勢

 「事件の適正迅速な処理や法改正等に伴う新たな制度への対応を含め各種制度の適切な運用等を通じて、裁判所が、国民の期待に応え、信頼を得られるよう、職員及び職員団体の意見も踏まえながら、引き続き、人的・物的な面を含めた態勢の充実強化に向けて努力していきたい」とし、2017年度の増員要求について「必要な人員の確保に向けて、最大限の努力をしていきたい」と回答しました。

労働時間短縮、超過勤務の縮減

 「フレックスタイム制の導入後も、引き続き、働き方改革の意義や必要性等について意識啓発を図り、管理職員において部下職員の事務処理状況等をきめ細かく見て、職場実態に合った事務の簡素化、合理化に向けた具体的な取組を実施し、個々の職員に対しても日々の効率的、合理的な事務処理に向けた意識改革を更に徹底していくよう、より一層下級裁を指導するとともに、その取組を後押ししていきたい」と回答しました。

人材育成、女性の登用拡大

 人材育成について、「職員一人一人の士気を高め、その能力を伸長させる人材育成が重要であることから、育成に関する基本的な考え方を組織的に共有し、育成課題の設定や育成課題を踏まえた指導・助言等をより適切に行うことにより、その一層の充実に努めたい」と回答しました、
 また、女性の登用について、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく裁判所特定事業主行動計画を策定したことから、その取組を進めることにより、引き続き、女性職員の活躍の推進を図っていきたい。また、行動計画を実効性のある取組とするため、その趣旨や内容について十分に周知し、意識啓発に努めていきたい」と回答しました。

職員の健康管理

 ストレスチェック制度について言及して「平成28年度からの実施に向け、意見聴取を行った上、同制度を適切かつ有効に実施できるよう検討している」とし、「今後とも、職員団体の問題意識、社会一般の取組状況等を踏まえて、引き続き、メンタルヘルスへの対応をはじめとする職員の健康管理について、懇談会等の機会を利用した職員の意見把握を含め、きめ細かな配慮をするとともに、職員が健康で働きやすい職場環境の向上により一層努めていきたい」と回答しました。

労働組合活動の権利

 全司法に対して「相互の信頼関係の下、勤務条件やこれに関連する事項についてはその意見を聴取するなど誠実に対応してきており、今後もそのような方針に変わりはない」との姿勢を改めて確認するとともに、下級裁当局に対する指導を「一層徹底していきたい」と回答しました。

 
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最高裁3局(総務・人事・経理)、1課(情報政策課)と交渉
 

人事局交渉

「ゆう活」予定していない

 「国民のための裁判所」実現の要求に対して、「成年後見関係事件をはじめとした家事事件が増加傾向にある」との認識を示した上で、「事件数の動向のみならず、民法及び家事事件手続法の改正や成年後見制度利用促進法の施行後の事務処理状況等を踏まえながら、適正な人員配置に努めていきたい」との姿勢を示しました。
 少年法の適用年齢引き下げについては、「具体的な改正案が示された場合には、制度を運用する立場から意見を提出することはあり得るが、具体的な改正案が示されているわけではない現状において、立法論について、意見を申し上げることは差し控えたい」との回答にとどまりました。
 いわゆる「ゆう活」については、「朝型勤務やフレックスタイム制等を活用して退庁時間を早めるとりくみを行うことは予定していない」と回答しました。
 検審局長ポストに再任用職員が任用される一部の庁の実態を指摘し、現職を任用するよう要求したところ、「能力主義、成績主義及び適材適所の任用原則に則って検討するものであり、当該ポストに再任用する場合においては、意欲と能力のある人材の有効活用の観点のほか、組織の新陳代謝の観点を踏まえて、適材適所の原則に基づき任用している」との認識を示しました。
 「採用試験申込者数が減少している原因や、昨年度から試験地の拡大も行われているにもかかわらず効果が現れていない原因について、最高裁はどのように分析しているのか」との追及に対し、「受験申込者数が大幅に減少した原因については、現在、分析中である」と回答しました。
 宿日直における連絡係職員態勢について、「連絡係職員に待機義務が生じるものではなく、待機義務がない以上、外出はもとより、食事、入浴、休息又は睡眠等についても制約されているわけでもない」、「これまでも、連絡係職員態勢の導入や運用等に当たっては、必要に応じて意見を聴取するなどの対応をしてきており、今後も引き続き誠実に対応していきたい」と回答しました。
 裁判官の泊まり込み令状処理態勢については、「各庁で工夫されている方策の一つである。令状請求から発付までの時間が短縮されるので、警察等関係機関の理解も得られていると認識している」と回答しました。
 なお、昇格に関する要求については、従前回答のとおりでした。

経理局交渉

2012年度補正予算執行未了案件の再予算化に努力

 概算要求については、「各種の事件数の動向、各庁の予算支出状況や要望等を踏まえ、国民の理解が得られるよう配慮しつつ、適正迅速な裁判の運営に必要な予算を要求してきたところであるが、予算の必要性、効率性の観点から徹底的な見直しを求める財政当局との折衝はかつてないほど厳しくなるものと考えている」とした上で、多種多様な要因を総合的に考慮し、裁判所の人的・物的充実、労働条件関連予算を含め、予算の確保に向けた努力姿勢を示しました。あわせて、増員や必要な情報化関連予算の確保についても「努力していきたい」と回答しました。
 施設の整備に関わっては、「事件関係者のみならず職員の働きやすさにも配慮した上で、必要な整備を計画的に行っていきたい」と回答し、老朽・狭あい庁舎の新営・増築については、「職員の勤務条件に関わる問題として、常に関心を持って努力しているところであり、今後も必要性・緊急性の度合いや当事者の利便を考慮しながら必要な予算を確保していきたい」との姿勢を示しました。また、耐震化については、「今後も、早期に庁舎の耐震化を図るべく検討をすすめたい」との姿勢を示し、とりわけ、2012年度補正予算で執行未了となり、再度の予算化がされていない改修案件については、「再度の予算化に努力していきたい」と回答しました。この他、全司法からは熊本地震で罹災した庁舎の早期修繕や熊本地裁玉名支部をはじめとする老朽庁舎の新営について主張しました。
 宿舎に関しては、「退去要請を行うに当たっては、公的要請に応じて勤務している職員のように、類型に関する個別事情により、柔軟な運用を検討する余地もある」と回答しました。また、耐震診断において耐震性に「疑問あり」とされた宿舎については「予算事情を踏まえつつ、可能な限り速やかに耐震改修のための実施設計を行うことを検討している」ことを明らかにしました。
 出張時におけるタクシー利用については、「公務上の必要性がある場合に実費を支給することが可能だが、柔軟な運用について最高裁において一律の指針を設けることは難しく、個別に判断することになる」との回答に対して、最高裁としての具体的な指針や基準の提示と申請手続の簡素化を求めました。

総務局交渉

必要な人的態勢の整備に努める

 人員要求については、「裁判所全体及び各庁の事件数や事件処理状況等をきめ細かく把握した上、事件数が著しく減少している等の場合には、各庁各部署の個別具体的な状況に応じて人員配置の見直しを検討するとともに、社会情勢をも見極めながら多種多様な要因を総合的に考慮し、必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」と回答しました。一方で、「国家公務員の定員をめぐる厳しい情勢や事件数の動向を踏まえると、今後はますます、これまでのような増員が見込めなくなる」「次年度の増員をめぐる財政当局との折衝はこれまで以上に厳しくなる」との認識が示されました。
 全司法からは、書記官や家裁調査官の増員とともに、家裁家事係や会計課をはじめとする事務局などの繁忙部署、支部・簡裁などへの人的手当等を求めました。
 「国民のための裁判所」実現にかかわっては、裁判員裁判に関し、裁判員経験者との意見交換会の結果について、職場への効果的な還元方法の検討や、労働審判事件の取扱庁の拡大及び広報の充実、労働審判員の研鑽や交流の機会拡充を求めました。
 職員制度では、書記官の職務評価の向上とポスト拡充のほか、「書記官事務の整理」に関わって、事務の簡素化・効率化の視点での検討を、最高裁がイニシアチブをとってすすめることを求めました。
 また、速記官の課題に関わっては、速記官中央研修を2016年度以降も実施することを改めて回答するとともに、周辺機器の整備等について「整備の必要性に加え、速記官の仕事のやりがいにも配慮しつつ、その整備を図ってきた」とした上、「今後も同様の姿勢で臨んでいきたい」と回答しました。一方で、電子速記タイプライターを官支給については、「官支給するつもりはない」、「はやとくん」をはじめとする速記システムの研究・開発ならびに研修実施を求める要求については、「研究開発や研修を最高裁として行うことは考えていない」と、従前の回答にとどまりました。

情報政策課交渉

パソコン一斉更新
計画的な整備に努める

 全体最適化計画をはじめとした情報化戦略計画の具体化に関しては、「今後も、裁判所における情報化投資がシステムの利用者の意見を反映し、裁判所全体にとって有益なものとなるように努めていきたい」との姿勢を引き続き示しました。
 情報化関連予算の確保については、「現在の厳しい財政状況にあっては、予算の拡充は大変困難な状況であるが、引き続き必要な情報関連予算の確保に向けて努力していきたい」と回答しました。
 MINTASをはじめとした業務系システムについては、「迅速かつ必要な対応を行うことで、職員の裁判業務に影響を与えることなく安定的に稼働できるよう、引き続き努力していきたい」と回答しました。また、MINTASのセッション切断により当事者対応等に支障が生じている実態を主張したことを受け、セッション時間を延長できないか検討する姿勢を示しました。
 また、家事事件処理においてMINTASが安定的に稼働しているとの認識が示されましたが、職場からは統計処理等にうまく活用できないなど、細部に渡って不満の声が数多く挙がっていることを指摘し、家事事件処理のための新たなシステム開発を求めました。
 参事官は、「現時点では見通しを説明することはできないが、事務の合理化、効率化、情報セキュリティ対策の充実強化や国民に対する利便性の向上などの観点から、現在存在する情報システムのセキュリティレベル、更新時期や費用対効果を見つつ、中長期的に検討していくことになるものと考えている」と回答しました。
 職員貸与パソコンについては、「今年度には、職員貸与パソコン及び共用パソコン等を一斉に更新する予定であるが、これまでにない大規模な整備になるため、各庁への納入に当たっては、相当程度の整備期間を設け、特定の部署の職員に過度の負担が生じないよう、計画的な整備に努めていきたい」と回答した上で、「本年9月頃から来年1月頃までの間に順次計画的に行うことを予定しているが、現在、各庁への納入手順や時期、更新済みの旧パソコンの撤去方法等を検討しており、詳細が決まり次第、改めてお知らせする」と述べました。
 旅費等システムに搭載されている駅すぱあと機能について、その使い勝手の悪さが多数報告されており、改めて駅すぱあと(ライセンス版)の追加整備を強く求めましたが、「各庁における旅費計算事務等に必要なライセンス数は既に整備済みであると認識しており、追加整備は困難であると考えている」との従前回答にとどまりました。

 
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要求と誠実に向き合い、仲間を増やす方針に 第73回定期大会
 

 全司法は、7月24日から26日まで、静岡県伊東市で第73回定期大会を開催し、向こう1年間の運動方針と財政方針等を決定します。裁判所では、一部事件が増加し、紛争が複雑化、困難化する中、人的態勢整備と、働き方の見直しによる超勤縮減や健康管理等が重要な課題となっています。また、公務員の賃金引き上げを実現するとともに、人事院が検討している扶養手当及び特地勤務手当の見直しを許さないとりくみが重要となっています。私たちを取り巻く情勢は依然厳しいものがありますが、職場諸要求実現と組織強化・拡大を図るため、大会に向け、職場・機関からの運動方針案の積極的な討議を呼びかけます。

労働組合の立場から意見反映していこう

 諸要求貫徹闘争でとりくんだ職場実態調査では、多くの支部から多岐にわたる報告が寄せられました。
 家裁職場に対しては、この間、地簡裁や支部等からのシフトも含めた人的手当がなされ、一定の繁忙解消に向けた改善が図られてきましたが、庁によっては抜本的な繁忙解消につながらず、一方ではこれ以上の内部シフトによる手当は限界との声も挙がっています。また、事務局についても、ピークは越えたとはいえ庁舎新営や耐震改修案件の増加等で、会計担当部署をはじめとして繁忙度は一層高まっています。事務官の増員が行われない中で、どのように手当していくかが課題となっています。
 司法需要に的確に対処し、一層適正迅速な裁判を実現するためにも、職員の休暇等の取得や健康管理の面にもきめ細かく配慮する職場環境の整備が重要です。この間、「女性活躍推進法に基づく裁判所特定事業主行動計画」が策定され、「ストレスチェック制度」が導入されようとしていますが、これらを職場環境の改善に有効に活用させていくため、その運用等に関して労働組合の立場から意見反映していく必要があります。来年度概算要求に向けた最高裁の動きを注視するとともに、引き続き職場実態の把握と職場での対話を重視し、要求実現に向けたとりくみの強化が求められます。

IT関連の新たな要求組織が必要

 昨今、新たに浮上してきた重要な課題として、IT関連の様々な問題があります。業務システムでは、MINTASの機能や操作性の問題、また、家事事件では使いづらいなどの問題が指摘され、改善を求める声が全国の職場から挙がっています。また、職員貸与PCのインターネットからの分離を受け、業務に支障を来さないための代替策としてJ・NETポータルの充実を求める意見や、駅すぱあと(ライセンス版)の追加整備を求める声が多いのも実態です。各庁にインターネットが閲覧できるPCが配布され、ネット環境も新たに整備されましたが、職場で有効活用されていない実態もあり、今後、同PCの適正台数の検証や配置場所等も含めた検討をすすめ、要求組織していく必要があります。

「組織強化・拡大」のとりくみに奮闘しよう

 私たちの要求を実現させていくためには、組合員の拡大が極めて重要です。地連・支部が職場での対話を通じて組合員一人ひとりの要求と誠実に向き合い、実現に向けて真摯にとりくむ中で職場のつながりを広め、仲間を増やす不断のとりくみが重要となります。
 全国大会では、「全司法組織強化・拡大プロジェクト」に基づく各支部のとりくみや経験を共有し、組織強化・拡大により一層奮闘していく意思統一を図ります。

職場・機関で積極的な討議を

 次年度運動方針案は、6月下旬に各支部に送付しています。実り多い定期大会となるよう、全ての機関・職場で運動方針案の積極的な討議をお願いします。

 
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一人一言要求「願い星」を手交
青年協第4回常任委員会・最高裁交渉
 
一人一言要求「願い星」

次年度運動方針案

友好祭典2018年開催で提案

 青年協は、6月4日から6日にかけて第4回常任委員会と引き続く最高裁交渉を実施しました。
 常任委員会では、次年度の運動方針案について討議し、各地区における活動状況などを報告し合うとともに、諸要求期における青年協統一要求及び統一異動要求を確立しました。
 次年度の運動方針案については、「青年の職場諸要求実現」と「組織の強化・拡大」を二本柱とする青年協のこれまでの運動をさらに推進し、青年が組合と職場の中心的役割を担えるよう学習を深めることをめざします。また、全国の青年のつながりを強め、青年運動のさらなる活性化と組織強化・拡大を図るため、「全国青年友好祭典」を2018年に開催することを8月の定期総会で提案します。

必要な超過勤務の申請
「当然」評価下がらない

 常任委員会後は、最高裁人事局春名総務課長と交渉を実施し、全国の青年から寄せられた一人一言要求「願い星」を手交しました。
 交渉では初任給をはじめとする賃金や諸手当の改善、異動要求の実現、CE・CA試験の改善、J・NETポータルの充実整備、ただ働き残業の根絶、血液検査や女性ガン検診を含む健康診断項目の拡充などについて追及しました。
 とりわけ、青年協の「J・NET内に裁判所ウェブサイトと同様のデータを置くことはできないか」という主張に対しては、「J・NET内で稼動する等のインターネットを経由しない構成を確保することは技術的に困難であり、インターネットを閲覧できるパソコンを利用して閲覧することになる」と回答していることから、職員端末でウェブサイト等が閲覧できなくなる7月以降の職場実態を注視し、追及を強めていく必要があります。
 また、ただ働き残業の根絶について、青年協が実施した暮らしむきアンケートにおいて、ただ働き残業をした理由として「評価に影響を及ぼすから」と回答した青年が昨年よりも大幅に増加していることを指摘し、必要な超過勤務を申請したことを理由として評価が下がらないことをあらためて確認したところ、「下がらないのは当然のことである」と回答しました。最高裁が従前より「サービス残業はあってはならない」と回答していることと合わせ、職場に浸透させていく必要があります。

 
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中矢委員長が被災地熊本支部、大分支部を訪問
 
アンケートで要望を伝える松下委員長

 中矢委員長は、6月7日に大分支部、8日に熊本支部を訪問して、大地震のお見舞いをし、被害状況や職場の要望等を聞きました。

 裁判所に行く途中、応急危険度判定の「危険」「要注意」の貼紙がされた家屋があちこちに見られました。裁判所近くの熊本城も大きな被害を受けており、地震の規模を改めて実感しました。
 熊本支部では、松下委員長や工藤書記長から状況をお聞きし、庁舎を見てまわったり、職場大会で組合員のみなさんとお話ししてきました。
 地震発生から約2か月が経過し、徐々に通常の生活が戻りつつあるものの、まだまだ「元どおりになる」には時間がかかる状況のようです。
 大きな揺れが続いたこともあって、怪我や住宅損壊の被害がなかった人でも、多くの人が家財道具などの被害を受けており、今後、相当な出費になりそうだという話も聞きました。子どもさんを持っておられる方は、お子さんが不安がって泣いたり、一人で寝られない等の状況もあるようです。
 松下委員長からは、「震災以降、みんなが気を張りつめてやってきて、疲れも溜まってきていることから、今後体調を崩す人が出ないか心配している」との話がありました。
 前日に訪問した大分支部でも、支部執行部等から状況や要望をお聞きしました。
 引き続き、全司法としても支援を続けていきたいと考えていますので、全国のみなさんのご協力をお願いします。

中央執行委員長 中矢正晴

 
 
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