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全司法新聞
 
全司法大運動 請願採択に向け、上京団で議員要請
 

 5月12日、全司法は「裁判所の人的・物的充実を求める請願署名」(全司法大運動署名)の採択に向けた国会議員要請行動を実施しました。全国各地からの上京団参加者を含め、28名が衆参両法務委員を中心に、請願署名の紹介議員になってもらうよう、また、請願採択にむけて尽力してもらうよう要請しました。

全員で共産党議員団(中央左が畑野議員、その右が清水議員)へ要請

国会議員に直接職場実態を伝える

 国会議員要請行動に先立ち、参議院議員会館内の会議室において、「全司法大運動の意義と国会議員要請のポイント」をテーマに学習会を行いました。講師の中矢委員長からは、国会請願の法的根拠や採択を勝ち取るための道筋、採択された場合の意義や効果について説明がありました。
 また、この間の裁判所の定員や予算の推移をふまえ、「国会議員は司法予算の拡充で国民への司法サービスが向上することを求めている。『国民のための裁判所』実現のために人的・物的充実が必要という観点が重要」「数多い国会請願の中で採択に至るものは非常に少ない。その中で全司法が毎年採択を勝ち取っていることは極めて大きな意味を持つ」ことなどが述べられました。
 学習会後には、政党要請として日本共産党に全司法大運動への協力要請を行いました。日本共産党からは衆議院法務委員の畑野君枝議員と清水忠史議員が駆けつけ、裁判所の人的・物的充実の必要性や全司法の要求をふまえたこの間の国会論戦の経過などについての報告とともに、清水議員から「ぜひ各地の裁判所の職場実態について聞かせてほしい」との要望があり、参加者から成年後見事件をはじめとした家裁の繁忙状況などを報告しました。

横路議員(民進)に要請する北海道の参加者

地元事務所への要請 重要性を改めて確認

 その後、8班に分かれて、60人の国会議員に要請を行いました。今年度も事前に各支部で18人の地元議員事務所訪問を実施しており、議員本人と懇談することができた班も複数ありました。地元要請のとりくみが請願採択に向けた大きな力になることが改めて確認されました。
 今年度の全司法大運動署名は、5月12日現在で3万4682筆を集約しました。これは昨年度を上回る集約数です。また、この日の要請行動を行った結果、新たに紹介議員を引き受ける約束をしてくれた国会議員もあり、運動は着実に前進しています。
 参加者からは「国会議員と直接会話して要請を行えたことは貴重な経験だった」「国会請願署名が議員に託され、要求実現に繋がる『根っこ』になることを実感した」「署名がどう使われているか分からなかったが、きちんと国会で活かされていることに感動した」「今回の経験を支部で広げ、今後の全司法大運動のとりくみを更に前進させたい」などの積極的な感想が寄せられ、次年度以降の更なる奮闘を確認しあいました。

裁判所の体制整備、職員制度、異動、昇格など追及 2016年諸要求貫徹闘争 第2回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は、5月17日に最高裁春名人事局総務課長と、「国民のための裁判所」実現、職員制度、採用・異動、昇格の課題で、諸要求貫徹闘争における第2回交渉を実施しました。追及に対する主な回答は次のとおりです。

職種担当非常任も参加して交渉実施

『利用促進法』等を踏まえ、人員配置に努める

【「国民のための裁判所」実現】

 労働審判事件の態勢整備を求める要求では、「繁忙庁に対して書記官の増配置を検討するに当たっては、労働審判事件の事件動向及び事件処理状況についても考慮している」とした上で、「人的態勢についても整備されていると認識しているが、今後も事件数の動向や事務処理状況等を注視していきたい」との姿勢を示しました。その上で、来年4月から労働審判事件の取り扱いが開始される浜松、松本、福山の各支部について、「準備をすすめている」と回答しました。全司法からは、先に実施した全国司研集会で労働審判員経験者から出された要望等を伝えるとともに、取扱庁のさらなる拡大を求めました。
 家事事件担当部署への人的態勢整備については、4月に(1)民法及び家事事件手続法の改正及び(2)成年後見制度利用促進法が成立し、とりわけ(2)では家裁の充実を求める附帯決議がついたことを踏まえ追及を強めました。これに対し総務課長は「事件数の動向のみならず、民法及び家事事件手続法の改正や成年後見制度利用促進法の施行後の事務処理状況等を踏まえながら、適正な人員配置に努めていきたい」との姿勢を示しました。また、利用促進法の国会審議で「障害者の権利に関する条約」との関連性が議論され、附帯決議もついたことから、今後、「被後見人の自己決定権」が焦点の一つとなることが予想され、現在の裁判所の運用が適正かどうかも課題となるのではないかと指摘しましたが、「意見は承っておく」との回答にとどまりました。
 小規模家裁本庁や地家裁支部及び簡裁の機能充実を求める要求に対しては、従前回答を維持したうえ、本年4月現在で2人庁の独立簡裁が全国で31庁(昨年度比+3庁)あることを明らかにしました。

調査官補の超過勤務「他の職員と同じ」

【職員制度】

 書記官事務の整理に関わって、「マイナンバーや予納郵券の適切な管理といった新たな問題については、規範を明確にしたり、事務フローにおける留意点や検討の視点を提供している」「引き続き各庁における日常的で主体的な検討と実践(地道なとりくみ)を後押しするために議論の素材を提供していくほか、各種研究会における意見交換やその結果の還元等を通じて支援していく」と回答しました。
 家裁調査官補の実務修習中の超過勤務に関わっては、「実務修習中の勤務時間や超過勤務の取扱いは、他の裁判所職員と同じ」と回答した上、「上司による日常の指導の際に、超過勤務の申告について必要な説明等をしていると認識しているし、今後も、下級裁に対し、適切な対応をしていくよう指導していきたい」との姿勢を示しました。

家庭事情に配慮した異動実施に努める

【採用・異動】

 本年3月に「女性活躍推進法に基づく裁判所特定事業主行動計画」が策定されたことを踏まえ、「官署を異にする異動を命ずる場合には、引き続き、公平性や適材適所の任用配置という観点を踏まえつつ、職員の家庭事情に配慮した異動を実施するよう努めることとしている」「今後とも、仕事と家庭の両立に向けて、下級裁への指導を徹底していきたい」と回答しました。

現在の運用が維持できるよう努力

【昇格】

 「給与問題、とりわけ級別定数改定が職員の処遇改善に直接関連する特に重要な課題である」との認識を示す一方、「来年度予算における級別定数改定を巡る情勢は全く予断を許さない」と回答しました。
 一時流用の運用では、「今後、現在の昇格運用が維持できるか予断を許さない」としながらも、「可能な限り現在の昇格運用が維持できるよう努力したい」との姿勢を示しました。
 一方、これまで占有期間1年で発令されていた家裁調査官6級については、財政当局の厳しい姿勢から「今後、かつての運用による昇格を実施することはできない」と回答し、本年4月には首席補助ポストに対する発令を除き、昇格を実施していないことを明らかにしました。
 その他は、いずれも従前の回答にとどまりました。

 
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「憲法をめぐるたたかい」「賃金とは何か」「全司法の歴史」を学ぶ 第22回中央労働学校
 

 5月15〜16日、第22回全司法中央労働学校を熱海で開催しました。全国から51名が参加し、情勢、理論、運動の三つの分野での講演を聞き、グループ討議で理解を深めるとともに、地連・支部を越えた交流の機会となりました。

青年若手が数多く参加
講師の石川康宏さん
講師の中田進さん
講師の中矢委員長

国民がようやく、憲法の意義にたどり着いた

 石川康宏さん(神戸女学院大学教授)の情勢の講演では、安倍政権が改憲をめざすもとで、2012年に自民党が発表している「日本国憲法改正草案」が、「日本を国民が権力を制御する立憲主義の国から、権力が国民を従属させる抑圧の国へ変えること」を目的とし、(1)天皇中心の復古主義の国へ、(2)アメリカとの共同戦争ができる国へ、(3)国民が自己・家族責任で生きる国へ、(4)「おこぼれ」経済運営を国是に、(5)権力への批判を許さぬ国へ、という特徴を持っていることを解説して「内容を知れば多くの人は賛成しがたい、よく学び、広く知らせることが必要」だと強調しました。
 一方、日本国憲法が、不戦や社会権の保障といった世界史の流れの中で作られた「世界史の先端をいく憲法」であることを明らかにし、「日本国民の憲法の理解が十分でなく、これに追いつく努力が必要だ」としたうえで、昨年以来の戦争法廃止の動きとともに広がっている「2015安保」市民運動について、「日本の国民・市民は、世界政治の近現代的発展をようやく自らの力で達成するところまでたどりついた」として、その歴史的意義を評価しました。
 また、市民運動の中でのSEALDsのとりくみに触れて、「自分の言葉で話すこと」「『見え方』に徹底的に気を配ること」という特徴をあげ、「労働組合運動も彼らから学ぶべきところが多い」と指摘しました。

賃金は「労働力の対価」、生活費で決まる

 中田進さん(関西勤労協講師)は、軽妙な語り口と参加者とのキャッチボールを通じて理解を深めていくスタイルの講義で参加者の笑いを誘いながら、「賃金は労働(成果)ではなく、『労働力』(働くことができる力)に対して、その使用料として支払われている」「『労働力』の価値は生活費であり、賃金は本人の生活費、家族の生活費、仕事をする力を身につけるための費用を基本に、労使の力関係で決まる」「労働者には賃金を受け取る権利がある」といった、労働組合の基礎理論となる賃金についての考え方を、わかりやすく解明しました。

全司法は一つ

 中矢正晴中央執行委員長は昨年に引き続いて全司法の歴史について講演。「1980年代以降の全司法の歴史と運動について」と題して、労働戦線の統一(全労連・連合の結成に至る経過)、3・18事務総長見解、司法制度改革、公務員制度改革などに触れ、様々な問題に直面した時に、「全司法は一つ」を合言葉に全司法がどのように意思統一し、合意形成の努力をしてきたのかという話を軸にしながら、今の裁判所の仕事や全司法の運動につながるとりくみの経過を説明しました。

参加者の感想

講演(1)

「安倍改憲の道か、日本国憲法の道か」

 最近話題になっていることの問題点や、なぜ問題になるのかということを分かりやすく解説していただけたので素直に入ってきました。今の憲法と(自民党の)改正案との比較をここまで見やすい形で教えていただいたのは初めてだったため、自分でも勉強してみようという意欲がわきました。(東北地連)

 今まで、憲法改正について問題があることは分かっていたつもりだったのですが、講義をお聞きしたことで、確信に変わりました。正直なところ、勉強不足だったところもあり、自民党とは何か?など政治背景を知ることで、自分たちの都合のよいことばかりを憲法に入れて(都合の悪いことは消す)国民の為に考えているわけではないなと今回知ることが出来ました。権力をしばる為にあるものを権力者がつかいやすいように都合良く変えちゃダメですね。(近畿地連)

講演(2)

「経済のしくみと賃金の基礎理論」

 「賃金=生活費」という考え方は初めてきいたもので大変勉強になった。成果主義の問題点を考える上で重要だと思った。講演の内容も大変おもしろかった。(北海道地連)

 「労働力」という発想がなかったので、仕組みを聞いても最初は、なぜ利益が出るのか不思議な気分だった。こういった仕組みの理解が広がれば、賃金に対する関心が高まり、意見交換、主張ができると思う。(中国地連)

講演(3)

「1980年代以降の全司法の歴史と運動について」

 自分が生まれた頃からの社会情勢と裁判所、組合の活動を見直すことで、職員制度など、根幹となっている部分を知ることができ、有意義な講演でした。(東京地連)

 全司法は裁判所に一つしかないとの言葉がすごく印象に残りました。今後、裁判所は、山あり谷ありを歩むとしても、何がおきても全司法が前に立って、たたかい、道を切り開いていく必要があるので、自分がその道を作っていく側になれればと思いました。(中部地連)

 今日の職場環境があるのは、これまでの先輩方の活動の結果だということをあらためて実感しました。そのことを知らない若手職員が多いので、もっと伝えていく必要があると思いました。(九州地連)

 
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新採用応援記事C 共済組合制度
 

 民間の企業、特に大企業では健康保険組合(健保組合)と称する組織がありますが、裁判所共済組合はそれと同じ活動をしており、裁判所職員の社会保険を担当する組織です。
 共済組合の事業には、大きく分けて長期事業と短期事業の2つの事業があります。
 長期事業は、会計処理が長期にわたって継続する事業です。例えば、裁判所を退職しても付き合っていく「年金」がそうであり、その事務は国家公務員共済組合連合会が担当しております。いわゆる長期掛金は裁判所共済組合を通じて連合会に納付され、みなさんの年金資金として積み立てられています。長期事業は、その全てを連合会が運営していますので、裁判所共済組合としては、皆さんから掛金を徴収して、連合会へ納めるだけの役割です。40歳から保険料を納めることとなる介護保険制度もこれに近いものになっています。
 年金に関しては、被用者年金制度の一元化により、昨年10月1日(以下、「施行日」という。)から国家公務員も厚生年金の被保険者となり、今後数年の間で、共済組合長期掛金率が段階的に引き上げられます。そしてこれまで共済年金に上乗せされていた職域部分が廃止され、その代わりに退職給付の一環としての職域年金(「退職等年金給付(年金払い退職給付)」)が創設されました。
 一方、短期事業は単年度会計で処理される経理であり、裁判所共済組合が運営する事業となっています。
 短期事業の一例として、病院に行って診療を受けた際に診察費の一部を共済組合が負担したり(現在は本人が3割、共済組合が7割)、組合員が病気で職場を休んだり育児休業を取得したことで、給与の全部もしくは一部が支給されなかった場合に手当を給付したりします。また、人間ドック等補助やベネフィットワンなどの福利厚生パッケージサービスにも支払われます。
 裁判所共済組合の運営は、組合の事務を主管する側(最高裁の事務総局の局長や高裁次長など)と組合員側(全司法労働組合が推薦する組合員)からそれぞれ5名同数の委員が選出され、運営審議会において企画する側と掛金を支払う側、双方の意見を反映させた形で決定しています。
 運営審議会では、毎年秋に各支部共済組合係で取りまとめた要望事項や全司法労働組合から提出した要望等を踏まえて、次年度の事業計画を審議するわけですが、その審議の参考とするために、組合員代表の運審委員が毎年6月から7月にかけて各支部を訪問して、裁判所共済組合支部の共済組合係担当者から直接、状況の説明を受けたり、組合員のみなさんから、直接、要望をお聞きしたりしています。

 
 
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