全司法本部は、5月9日、諸要求貫徹闘争における一連の最高裁交渉の皮切りとなる春名人事局総務課長との第1回交渉を実施しました。交渉では、賃金や諸手当の改善、職員の健康管理、人事評価制度、人材育成、次世代育成支援対策、男女平等・母性保護などの要求を主張しました。追及に対する主な回答は、次のとおりです。
「要望は関係機関に伝える」
【賃金及び諸手当改善】
公務員の大幅賃上げを求めるとともに、今夏の人勧で見直しが狙われている扶養手当及び特地勤務手当について、改悪に反対する立場で関係機関への働きかけを求めました。また、交通網の発達で新幹線通勤者が増え、特急料金の一部自己負担を強いられている実態があることを踏まえ、通勤手当の改善を求めました。
総務課長は、「職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいる」としながらも、「最高裁として正式に意見を述べるべき立場にない」「要望は関係機関に伝わるようにしたい」と述べ、従前の回答の域にとどまりました。
「ストレスチェック制度の運用等を検討」
【職員の健康管理】
健康診断について、特に職場の要望が強い女性がん検診の充実・改善を求めました。総務課長は、「子宮がん検診及び乳がん検診の受診率を向上させ、がんを早期に発見することが重要」としたうえ、「厚労省指針に沿ったがん検診を着実に実施できるよう予算を確保し、検査対象となる全ての女性職員が等しく受検できる環境を整え、受診率の向上に努めていきたい」と回答しました。一方で、「健康診断経費の全体予算は今後より一層厳しくなる」との認識を示し、「子宮がん検診等についても、各庁予算の範囲内で厚労省指針が定める検査対象者以外の職員に対して拡大して実施できる現状の枠組みを早晩廃止せざるを得ないと考えている」と回答しました。
昨年12月の人規改正により公務への導入が義務付けられたストレスチェック制度については、「今年度からの実施に向け、具体的な運用等について現在検討しているところであり、近々意見聴取を行うことを予定している」と回答しました(その後、5月11日に本部対応が行われ、現在、各級機関に対し求意見中)。同制度では、安全衛生委員会(委員会)で制度の仕組みと集団分析結果に基づく職場環境改善の検討が努力義務とされていることから、全司法は裁判所にも委員会の設置を求めていますが、総務課長は、健康管理懇談会で職員の意見を聞いているとし、「これに代えて委員会を設置するまでの必要性はない」と回答するにとどまりました。
「十分理解されるよう努めていきたい」
【人事評価制度】
「人材育成や執務意欲の向上に資するものとなるよう努めていきたい」「評価結果の説明に当たっては、可能な限り各評価項目にも関連づけて、具体的な事実等も示しながら、今後の能力開発や人材育成にも資するような形で行われるよう配慮したい」との回答を維持した上、昨年10月の見直し後の運用状況について「新しい被評価者用ツールの起動エラー等ツールの初期トラブルはあったものの、評価そのものについては運用上の問題があったとは認識していない」と回答しました。
また、「目標管理」の手法をとらないことも含めて、評価の基本的な枠組みや考え方がこれまでとは変わるものではないことをあらためて確認するとともに、「引き続き、裁判所における人事評価制度が十分理解されるよう努めていきたい」と回答しました。
「休暇の取得促進などを実施」
【次世代育成支援対策】
第3期アクションプランの趣旨が「女性活躍推進法に基づく裁判所特定事業主行動計画」に盛り込まれ一体として策定されたことを踏まえ、従前の次世代育成支援のとりくみが後退しないよう求めました。総務課長は、「次世代育成に向けた項目については、別途「次世代育成支援ナビ」としてとりまとめ、改めて周知した」と回答した上、従前のアクションプラン推進月間や超勤縮減キャンペーン週間等に代わるとりくみとして「働き方改革を具体化し、超過勤務縮減のみならず、休暇の取得促進などを集中的に行う期間に相当するものを実施することを検討している」ことを明らかにしました。
「管理職業務の内容ややりがいを伝えていく」
【男女平等・母性保護】
女性職員が多い裁判所の組織実態を踏まえ、女性の登用拡大に向けての思い切った改善策の打ち出しを要求しました。総務課長は、「管理職業務に対する不安等が管理職になることをためらう理由になっている場合には、その解消に向けて、女性管理職員が実際に活躍している姿を身近に感じてもらうほか、管理職員が日常的な業務を通じて、管理職業務の内容ややりがいを伝えていくなど、より一層育成上の工夫や意識啓発を図っていきたい」と回答しました。 |