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全司法新聞
 
平和といのちと人権を! 有明防災公園に5万人 5・3憲法集会
 
 5月3日の憲法記念日、全国各地で憲法をめぐる集会が開かれました。
 東京(有明防災公園)では、昨年に続いて2年目の「統一集会」が5万人を集めて開催され、「戦争法」の廃止、改憲阻止、安倍政権退陣などを大きくアピールし、今後の運動につながる集会となりました。全司法からも本部、東京地連、在京支部等から参加しました。

2年目の「総がかり」、昨年を大きく上回る参加

 安倍政権が憲法違反の「戦争法」を強行成立させ、夏の参議院選挙で3分の2以上の議席を獲得して改憲をめざすとしているもとで、今年は大きな節目となる憲法記念日となりました。
 昨年の憲法記念日には、憲法を守る立場でこれまで別々に活動していた団体が横浜で3万5000人参加の統一集会を開きました。これを契機として様々な団体・個人が参加する「総がかり行動実行委員会」が作られ、その後の「戦争法案反対」の運動のうねりを作り出しました。今年もそれを引き継いで「総がかり」の枠組みで実行委員会が作られ、昨年を上回る5万人の参加で集会を大きく成功させました。
 主催者を代表して開会あいさつをした高田健さん(解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会)が「野党と市民がしっかり共闘してたたかえば、与党を追い詰めることができる」と指摘、続いて、むのたけじさん(101歳の現役ジャーナリスト)らゲストスピーカーがそれぞれに憲法を守る思いを語りました。
 政党あいさつでは、野党4党の党首(民進党岡田克也代表、共産党志位和夫委員長、社民党吉田忠智党首、生活の党小沢一郎代表)が勢揃いして登壇し、市民の期待に応え、協力してたたかう決意を示しました。

「立憲主義」「個人の尊厳」守る運動に

 続くリレー・トークではSEALDsの奥田愛基さんらが発言し、運動が「立憲主義」や「個人の尊厳」を守るものとなり、格差と貧困、労働法制改悪、教育、福祉、ヘイトスピーチ、TPP、沖縄辺野古の基地問題、脱原発などの課題ともつながっていることを示すものとなりました。
 集会後は2コースに分かれてデモ行進を行いました。デモの送り出しにあたっては、「the LOW‐ATUS」が登場し、クロージング・コンサートを行いました。若い世代からカリスマ的な支持を受けている細美武士とTOSHI‐LOWの2人が、THE BLUE HEARTSの「青空」を歌い上げたり、日本国憲法の前文を読み上げたりするなど、パフォーマンスを披露し、日本国憲法に対する想いを語りました。
 また、集会の中では、2000万人を目標にとりくんでいる戦争法廃止を求める署名が1200万人を突破したことが報告されるとともに、19日に国会に対して署名提出行動を行い、6月いっぱいは署名を続けるとの提起がありました。また、6月5日には再度、国会包囲の総がかり行動を行うことが明らかにされました。

健康管理、人事評価制度、次世代育成支援対策などで要求を主張
2016年諸要求貫徹闘争 第1回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は、5月9日、諸要求貫徹闘争における一連の最高裁交渉の皮切りとなる春名人事局総務課長との第1回交渉を実施しました。交渉では、賃金や諸手当の改善、職員の健康管理、人事評価制度、人材育成、次世代育成支援対策、男女平等・母性保護などの要求を主張しました。追及に対する主な回答は、次のとおりです。

「要望は関係機関に伝える」

【賃金及び諸手当改善】
 公務員の大幅賃上げを求めるとともに、今夏の人勧で見直しが狙われている扶養手当及び特地勤務手当について、改悪に反対する立場で関係機関への働きかけを求めました。また、交通網の発達で新幹線通勤者が増え、特急料金の一部自己負担を強いられている実態があることを踏まえ、通勤手当の改善を求めました。
 総務課長は、「職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいる」としながらも、「最高裁として正式に意見を述べるべき立場にない」「要望は関係機関に伝わるようにしたい」と述べ、従前の回答の域にとどまりました。

「ストレスチェック制度の運用等を検討」

【職員の健康管理】
 健康診断について、特に職場の要望が強い女性がん検診の充実・改善を求めました。総務課長は、「子宮がん検診及び乳がん検診の受診率を向上させ、がんを早期に発見することが重要」としたうえ、「厚労省指針に沿ったがん検診を着実に実施できるよう予算を確保し、検査対象となる全ての女性職員が等しく受検できる環境を整え、受診率の向上に努めていきたい」と回答しました。一方で、「健康診断経費の全体予算は今後より一層厳しくなる」との認識を示し、「子宮がん検診等についても、各庁予算の範囲内で厚労省指針が定める検査対象者以外の職員に対して拡大して実施できる現状の枠組みを早晩廃止せざるを得ないと考えている」と回答しました。
 昨年12月の人規改正により公務への導入が義務付けられたストレスチェック制度については、「今年度からの実施に向け、具体的な運用等について現在検討しているところであり、近々意見聴取を行うことを予定している」と回答しました(その後、5月11日に本部対応が行われ、現在、各級機関に対し求意見中)。同制度では、安全衛生委員会(委員会)で制度の仕組みと集団分析結果に基づく職場環境改善の検討が努力義務とされていることから、全司法は裁判所にも委員会の設置を求めていますが、総務課長は、健康管理懇談会で職員の意見を聞いているとし、「これに代えて委員会を設置するまでの必要性はない」と回答するにとどまりました。

「十分理解されるよう努めていきたい」

【人事評価制度】
 「人材育成や執務意欲の向上に資するものとなるよう努めていきたい」「評価結果の説明に当たっては、可能な限り各評価項目にも関連づけて、具体的な事実等も示しながら、今後の能力開発や人材育成にも資するような形で行われるよう配慮したい」との回答を維持した上、昨年10月の見直し後の運用状況について「新しい被評価者用ツールの起動エラー等ツールの初期トラブルはあったものの、評価そのものについては運用上の問題があったとは認識していない」と回答しました。
 また、「目標管理」の手法をとらないことも含めて、評価の基本的な枠組みや考え方がこれまでとは変わるものではないことをあらためて確認するとともに、「引き続き、裁判所における人事評価制度が十分理解されるよう努めていきたい」と回答しました。

「休暇の取得促進などを実施」

【次世代育成支援対策】
 第3期アクションプランの趣旨が「女性活躍推進法に基づく裁判所特定事業主行動計画」に盛り込まれ一体として策定されたことを踏まえ、従前の次世代育成支援のとりくみが後退しないよう求めました。総務課長は、「次世代育成に向けた項目については、別途「次世代育成支援ナビ」としてとりまとめ、改めて周知した」と回答した上、従前のアクションプラン推進月間や超勤縮減キャンペーン週間等に代わるとりくみとして「働き方改革を具体化し、超過勤務縮減のみならず、休暇の取得促進などを集中的に行う期間に相当するものを実施することを検討している」ことを明らかにしました。

「管理職業務の内容ややりがいを伝えていく」

【男女平等・母性保護】
 女性職員が多い裁判所の組織実態を踏まえ、女性の登用拡大に向けての思い切った改善策の打ち出しを要求しました。総務課長は、「管理職業務に対する不安等が管理職になることをためらう理由になっている場合には、その解消に向けて、女性管理職員が実際に活躍している姿を身近に感じてもらうほか、管理職員が日常的な業務を通じて、管理職業務の内容ややりがいを伝えていくなど、より一層育成上の工夫や意識啓発を図っていきたい」と回答しました。

 
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第40回司法制度研究集会
「国民のための裁判所」実現めざし、少年法・労働審判を議論
 

 4月24日・25日、熱海市において第40回全国司法制度研究集会を開催しました。初日は、講演とパネルディスカッションを通じて少年法の適用年齢引き下げをめぐる動きと問題点を確認し、2日目は、労働審判の意義と課題について、労働審判員経験者の講演を聞きました。集会には全国書記長会議の出席者を中心に66名が参加し、「国民のための裁判所」を考える有益な議論の場となりました。

少年審判手続は再評価
弁護士との連携が必要

山崎健一弁護士

 少年法の適用年齢引き下げに関しては、はじめに本部少年法対策委員の伊藤由紀夫さんから「少年法の基礎知識」について報告がありました。
 伊藤さんは報告の中で、少年非行は総数も凶悪な非行も確実に減っている事実を示し、少年法の歴史的な意味を強調されました。そして、教育的措置の充実拡大や社会適応訓練の保障こそが必要であり、厳罰化等によって凶悪非行は防げず、少年の改善向上はないと指摘しました。
 続いて日弁連・子どもの権利委員会幹事である山崎健一弁護士から「少年法の適用年齢引き下げをめぐる動きと日弁連のとりくみ」と題して講演をいただきました。山崎弁護士は「これまで家裁が少年審判の手続でやってきたことが、現在は刑事裁判の中で高齢者などに適用されている。政府として再犯の防止、犯罪の減少を進める中で、家裁の少年審判の手続は再評価されており、是非、今後も守ってもらいたい」と述べるとともに、全ての都道府県別の単位弁護士会において少年法適用年齢引き下げに反対する声明が発表されたことをふまえ、「各単位弁護士会と全司法各支部とが連携し、社会の宝である家裁のシステムを大切にすることを発信していこう」と呼びかけました。
 その後、山崎弁護士も参加してのパネルディスカッションでは、「適用年齢引き下げによって外される18歳、19歳はどういう人なのか。そして外されるとどうなるのか」、「最高裁当局は適用年齢引き下げについてどう考えているのか」、「神戸支部と兵庫県弁護士会が連携して街頭宣伝行動を行っているが、全国で家裁の中にいるからこそ見えることを発信する必要があるのではないか」など、熱心な意見交換が行われました。

審判員から見えた
労働審判員の課題を提起

伊藤圭一さん

 2日目は、本間健吾中執(書記官対策)が「労働審判の基礎知識」について報告した後、労働審判員としての経験がある全労連常任幹事である伊藤圭一さんから「労働審判の意義と課題」について講演いただきました。
 伊藤さんは、「労働審判の事件の傾向として、多くは複数の請求や争点を含んでおり、メンタルヘルス問題が絡んでいるものも少なくないが、短期での解決を求められる」と述べた上で、「審判員として双方の事情を聴き、紛争を解きほぐすなど納得性を高めるよう意識している」と経験を語りました。
 労働審判制度に関する課題としては、(1)申立人当事者のサポートの充実(弁護士費用、通訳、手話、付添等)、(2)申立人本人か弁護士しか手続に関与できず、労働組合は代理人として認められない、(3)審判員の資質と技術向上のための研鑽・交流の機会の拡充、(4)労働審判制度の有効性についての広報の充実、(5)取扱支部の拡充を挙げるとともに、紛争の未然防止等に向けた労働法等の理解促進と、労働審判を金銭解決の相場づくりの材料にしないことを重要な課題として挙げられました。
 最後に、「労働と紛争の解決とともに、労働者の心身の健康も解決することが必要なのだが、ここは労働審判では救えないので、全労連としてとりくむべき課題である」と呼びかけられました。

 
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新採用応援記事B 人事評価制度
 

 裁判所における人事評価は、職員がその職務を遂行するにあたり、発揮した能力を把握した上で行う評価(年間評価)と、挙げた業績を把握した上で行う評価(半期評価)で構成されており、これらの評価結果は、昇任(上位の官職に任命すること)、昇格(職務の級を上位の級に変更すること)、昇給(号俸を上位の号俸に変更すること)、勤勉手当の決定に活用されます(最下図)。
 なお、人事評価に活用される「年間評価シート(能力)」と「半期評価シート(業績)」による評価はいずれも「絶対評価」になっています。一方で、昇給や勤勉手当などは予算の枠組みがあるために、各評価シートで上位の評価がされたからといって必ずしも昇給や勤勉手当の成績区分が上位に決定されるとは限りません。また、「年間評価シート(能力)」は、中長期的な視点に立った人材育成や将来の任用にも活用されます。
 評価は、期首面談において目標を設定したうえで、自己評価及び期末面談における意見交換や指導・助言等のプロセスを通じて行われ(下図)、1次評価者、2次評価者及び最終評価者による多段階評価となっています。
 最高裁は、目標や課題について「職員と面談者とのコミュニケーションを充実するためのものであって、実績評価のために目標管理的な手法を採り入れるものではない」と説明しています。「目標が達成できたかどうか」で評価されるのではなく、「働きぶり」全体が評価の対象となっており、目標や課題は民間の「ノルマ」などとは全く違うものです。
 「働きぶり」全体が評価の対象なので、「自己評価」の際は、期間中に発揮・伸張したと考えられる能力や取り組んだ執務に関する成果や努力の状況等について、しっかりアピールする必要があります。
 また、評価結果は期末面談の際に開示されます。その際には、具体的な事実等も示しながら、今後の能力開発や人材育成にも資するような形で行われるとされています。
 評価結果等は各自で記録しておくとともに、不明な点や納得できない点があれば、評価者に説明を求めましょう。開示された評価結果に関する苦情相談の申出は、開示日(面談の日)の翌日から1週間以内となっているので注意が必要です。

 

 
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熊本・大分に心を寄せる 第87回福岡メーデー

被災者支援、義援金募金活動にとりくむ


運動署名にもとりくみました

 5月1日、第87回福岡県中央統一メーデーが福岡市中央区の冷泉公園で開催され、福岡支部から20名の組合員が参加しました。今年の福岡メーデーは、熊本地震の発生を受け、同じ九州の地で生活する労働者として、熊本・大分の震災に心を寄せ、1日も早い復旧・復興を願う集会となりました。集会参加者全員で黙祷を捧げるとともに、集会後は、例年行っていたパレードに代えて、天神地区において、被災者を支援する義援金募金活動がとりくまれました。
 集会の冒頭、江口謙二福岡県労連議長は、「熊本地震では、未だ多くの住民が避難生活を余儀なくされ、健康破壊や将来への不安を強いられたままだ。こうした状況のもと、安部政権は川内原発の運転を続けるとともに、『戦争する国』への道をさらに加速させており、佐賀空港へのオスプレイ配備計画や震災を口実とした『緊急事態条項』の制定など、断じて容認できない。安部政権の『暴走』に対し、国民諸階層との共同したたたかいを進めよう」と呼びかけました。また、来賓の田村貴昭衆議院議員は、「市民の声によって野党共闘は後押しされている。熊本での野党統一候補の実現をはじめ、全国で参院選勝利に向けた野党共闘をすすめ、戦争法廃止と安部政権を退陣に追い込もう」と訴えました。

地方で働く労働者の要求実現を

 この他、集会では大幅賃上げやリビングウェッジ(生活できる賃金)など格差是正、8時間労働をはじめ安定した雇用と仕事の確保など、地方で働く労働者の要求実現に向けてたたかいを強めていくことが確認されました。また、福岡メーデーでは毎年「デコ・プラ展」が開催され、今年も多くの団体が参加し、工夫を凝らしたデコレーションやプラカードで、それぞれの要求や主張をアピールしました。
 福岡支部ではメーデー会場において全司法大運動の署名活動にとりくみ、開会前1時間で約100筆の署名を集約することができました。署名をしてくれた男性は「右肩上がりの軍事費や思いやり予算を三権の一つである司法に回すべきだ」と語ってくれました。
(福岡支部)

 
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