 |
阿部書記長 |
2016年諸要求貫徹闘争が始まりました。全司法は、4月23日〜24日に全国書記長会議を開催し、2016年諸要求貫徹闘争方針と具体的なとりくみ及び要求実現に向けた意思統一を行います。全司法が毎年とりくむこの運動の意義や目的、今年の課題を、阿部書記長が解説します。
各職場の要求をビルドアップ
諸要求貫徹闘争の意義や目的は?
一言でいうと、次年度(平成29年度)裁判所予算の概算要求や執行計画に私たちの要求を反映させるとりくみです。
私たちの要求実現には、例えば1人増員するためには1名分の人件費の増額が必要となるなど、予算の裏付けが必要になる訳ですが、全司法はこの時期を、年末に確定する次年度概算要求に職場の要求を最大限盛り込ませ、予算総枠を大きくするとりくみのスタート地点と位置付け、運動を展開しています。最高裁は、6月に全国長官所長会同を開催し、次年度概算要求や執行計画の策定を開始します。全司法はこの時期から全国一丸となった統一行動を展開するとともに、各職場の要求を支部から地連、本部へとビルドアップし、対応当局に対しても上級庁への上申を求めています。
職場実態もとに、具体的に要求
今年の重点課題は?
家裁や事務局を中心に職場が非常に繁忙となっている中で、業務量に見合った人員の確保が早急に求められます。一方、政府がすすめる定員合理化への協力を最高裁が依然としてあらためず、国会内でも公務員の総人件費抑制を主張する勢力が多数を占めている中、増員は今後さらに厳しくなることが予想されます。こうした情勢を踏まえれば、繁忙を理由に漠然と増員要求するだけでは、その切実性は伝わりません。手当てが必要な職場を具体的に挙げ、詳細な職場実態、事務処理の改善策を訴えながら追及することが重要です。
あわせて、十分な増員が図られない中、地方部の庁や小規模支部・独簡が定員削減の対象とされている実態も浮き彫りとなっています。当該職場に勤務する職員の労働環境の確保はもちろん、利用者に良質な司法サービスを提供できているかという観点からも問題点を洗い出し、改善を求めていくことが必要です。
職員の健康保持や家庭生活と仕事の両立に向けて引き続き大幅な超勤縮減を求めていくことも重要な課題です。折しも、5月16日からは裁判所においても「フレックスタイム制」が始まります。運用状況を注視するとともに、同制度がワーク・ライフ・バランス推進のため出されたものであることを踏まえれば、あらためて「働き方の見直し」に基づく事務の簡素化・効率化のとりくみをすすめ、組織的かつ実効性ある超勤縮減対策を求めることが大切です。
IT関連はじめ、課題が山積み
IT関連でも、今年は課題が山積しています。職員貸与PCがインターネットから分離され、閲覧専用PCが各庁に配布されていますが、事務に支障のない適正台数の配布になっているか検証し、不足する場合は追加整備を要求していく必要があります。
なお、インターネットからの分離を機に、情報基盤としてのJ・NETポータルのさらなる充実と、裁判所HPなど日常的に利用するウェブサイトについてはJ・NET環境下でも閲覧できるよう、最高裁に改善を求めます。
IT関連ではこの他、駅すぱあと(イントラネット版)の契約終了に伴う同ライセンス版の追加配布や、府省共通システム及びMINTASをはじめとする業務系システムの安定稼働なども重要な課題です。加えて、現在、家事事件処理でMINTASが導入されていますが、現場の「使い勝手が悪い」との意見を踏まえ、中長期的な視点で、家事事件処理に特化したシステム開発を求めていきます。
この他にも、健康管理に関わって、公務に導入が義務付けられたストレスチェック制度をどのように運用していくのか、また、裁判所で従前認められてきた昇格運用が職種によっては後退する中で、今後どう改善し発令させていくのかなど切実な課題が山積していますが、職場の声を丁寧に拾い上げながら当局追及を強めるとともに、秋季年末闘争に確実に引継ぎ、各級機関の主体的なとりくみへとつなげていくことが重要です。
全司法大運動を大きな力に
国の財政状況が厳しいと言われていますが…。
2014年7月に閣議決定された毎年2%(5年で10%)以上を合理化するとの新たな定員削減計画により、裁判所でも人員確保を巡る情勢は非常に厳しいものとなっています。また、昇格に関しても、財政規律の確保の要請が強くなっているもと、現在の運用の到達点を維持できるか予断を許さない状況です。
こうした厳しさを跳ね返し、私たちの要求実現を後押しする大きな力となるのが「全司法大運動」です。昨年は4年連続となる「裁判所の人的・物的充実を求める請願署名」の衆参両院での採択を勝ち取りました。この到達点が、今年度の定員査定において行政機関全体で917名もの純減が強行される中、裁判所においては何とか4名の減員に押しとどめたと言えるのではないでしょうか。今年度の「全司法大運動」も終盤ですが、裁判所の充実をめざすとりくみが私たちの労働環境の改善と国民への司法サービス拡充につながることに確信を持って、最後まで全力を尽くしましょう。
7月8日の全国統一プレート行動とは?
プレート行動は、「要求の前進をめざし、当局から最大限の交渉回答を引き出す」ことを目的に配置する戦術です。国家公務員に争議権が制約されているもとで、全司法にとって、プレート行動は最大の戦術です。当局の側からしても、勤務時間中のプレート行動は回避したいため、私たちの要求前進に向けた最大限の努力姿勢や交渉回答を引き出す効果が期待できます。
7月8日に配置している全国統一プレート行動は、国の深刻な財政事情から公務関連予算の確保が年々厳しくなる中、人員や昇格等をはじめとした全国統一要求の前進に向け、最高裁の最大限の努力姿勢を引き出すために配置しているものです。諸要求貫徹闘争では、3回の人事局総務課長交渉、三局一課交渉(総務局・人事局・経理局・情報政策課)、人事局長交渉、事務総長交渉を実施しますが、これら交渉回答に対する本部の「評価と見解」を示し、各級機関にも求意見した上、最終的にプレート行動の実施の可否を決定します。
組合員の結集が要求を前進させる力
支部や分会、職場でやるべきことは?
各職場でとりくまれる全国統一行動に、最大限の結集をお願いします。前述の全国統一プレート行動のほか、2回の「昼休み職場大会」や「組合員一人ひとりの上申を求める要請書」提出行動、職種によっては署名や寄せ書きにとりくみますが、いずれも、要求前進をめざす大切なとりくみです。多くの組合員の結集で各行動を成功させることが、当局を動かし、要求を前進させていく力になります。支部や分会でも、独自の署名や寄せ書き等、組合員一人ひとりが活動を実感できる行動を積極的に提起することを要請します。
なお、4月下旬に地連・支部に送付する「全国統一要求書」は、必ず当局に提出しましょう。同時に交渉配置を求め、少なくとも、職場の重点要求実現に向けた上申を行うよう、追及を強めましょう。
|