おいでやす全司法
プライバシーポリシー  
CONTENTS 全司法紹介 司法制度改革 少年法関連 全司法大運動 全司法新聞 声明・決議・資料 リンク サイトマップ
  トップページ > 全司法新聞 > 2016年2月 > 2234号
 
 
全司法新聞
 
全司法第76回中央委員会
「職場に全司法があることの意義や役割」があらためて明確に
要求前進、組織強化・拡大を意思統一

 1月24、25日の2日間、静岡県熱海市において、秋季年末闘争の中間総括および春闘方針の決定、中間決算および中間会計監査の承認を議題とする第76回中央委員会を開催しました。
 日本列島が記録的な大雪と寒波に見舞われる中、交通機関の不通により1支部が参加できませんでしたが、残る53支部が参加して、憲法改悪阻止、官民一体の運動による大幅賃上げの実現にむけてとりくむとともに、職場諸要求実現をめざし組織強化・拡大に全力を尽くすことを確認しました。

 中央委員会には、各支部から選出された中央委員、オブザーバー、本部役員及び来賓の合計89名が参加し、議長には、吉田芳浩中央委員(愛知)、浜本直紀中央委員(大阪)が選出されました。
 中央執行委員会を代表して中矢委員長が開会あいさつを行った後、阿部書記長が秋季年末闘争の中間総括をふまえた2016春闘方針案を提案しました。
 次に、井上財政部長が中間決算報告、藤田会計監査委員が中間会計監査報告を行い、いずれも承認されました。
 春闘方針案に対する討論では、のべ46名から発言があり、討論を受けて阿部書記長が総括答弁を行った後、採決が行われ、春闘方針案は満場一致で可決されました。
 「憲法を守り、活かす春闘にしよう」との方針提起に応えて、「2000万人統一署名」など国民的な運動の広がりに全司法も結集していくことが意思統一されました。
 また、昇格をはじめ、賃金、増員、「フレックスタイム制」、ITシステム、出納官吏の責任と任命のあり方、マイナンバー、健康管理、少年法など、各支部が職場に根を張って奮闘している様子が報告され、「裁判所の職場に全司法があることの意義や役割」があらためて明確になった中央委員会となりました。

可決・承認された案件

1 第1号議案 2016年春闘方針(案) (賛成54、保留0、反対0。可決)
2 中間会計監査報告 (承認)

中央執行委員長あいさつ

「憲法を守り、活かす春闘」に!

この国を変える大きな「岐路」

「憲法が私たちの立脚点」
中矢正晴委員長
 2016年春闘は、この国のあり方を大きく変える「岐路」の情勢のもとでたたかわれます。
 安倍政権は昨年9月19日、安保関連法(戦争法)を強行しました。これが実施されれば、70年間戦争をしないことを貫いてきた日本が戦争に参加し、「殺し、殺される」危険性が決定的に高まります。
 また、この法律はそもそも明確な憲法違反です。「国会や政府は憲法の範囲内で政治を行わなければならない」(立憲主義)ことが近代国家の大原則ですから、この法律を「可決」したこと自体、日本を近代以前に逆戻りさせてしまう行為です。
 安倍政権は今年夏の参議院選挙で改憲発議に必要な3分の2の議席をめざすことを公言し、「緊急事態条項」の新設を主張しています。これは日本有事の際に「基本的人権の制限ができる」というもので、これを認めれば、憲法上も「独裁国家」が完成してしまいます。
 一方で、これに反対する運動が大きく盛り上がり、法案成立後も広がりを見せながら続いていることも、また、この国を大きく変える可能性を持つ「岐路」の情勢の一つです。

「個人が大切にされる社会」へ

 この運動が重要な意味を持つのは「民主主義をまもる」「立憲主義をまもる」ことが全体の一致点になっていることです。「憲法を守り、活かす」立場で今の政治や社会を見ていくと、「個人の尊厳」に目が向きます。最初は「戦争法廃止」のための運動でしたが、「格差と貧困」の解消、労働法制改悪反対、TPP反対、脱原発など、国家や大企業よりも個人が大切にされる社会をめざす方向で、様々な要求課題が運動の中でとりあげられるようになっています。
 こうした大きな国民的運動に結集していくことが、労働組合が持つ要求を大きく前進させる可能性につながってくるということです。
 今の憲法になって、公務員は「国民全体の奉仕者」となり、三権分立も定められ、人権を守ることが裁判所の仕事になりました。公務員自身も基本的人権が認められ、労働組合を作り、これに加入し、自らの労働条件について国と交渉し、労働組合の活動を行う権利を手にしました。ここが私たちの「立脚点」です。
 16春闘を「憲法を守り、活かす春闘」と位置づけ、私たちの要求を前進させ、組織を強化・拡大しましょう。

発言の主な内容

秋年闘争総括

「事務官5級」あきらめず要求

 「ゆう活」について、最高裁支部から「独自アンケートを行い、勤務に影響があった、超勤縮減の効果はあまりなかった、管理職からの伝達がきちんと行われなかった等の問題が明らかになった」(最高裁)との報告がありました。
 昇格では「3月に退職を控えた管内の事務官に5級昇格が発令されなかった事例があり、退職まであきらめず発令を要求していく」(静岡・愛媛)と決意が語られました。

春闘情勢・賃上げ等

戦争法、賃金で官民一体のとりくみを

 情勢では、「戦争する国」、「世界一企業が活躍しやすい国」づくりを進める安倍政権の暴走について、「職場に危機感が伝わっておらず、もっと情勢を分析して理解を広げていくことが重要」(新潟)との発言がありました。また、「戦争法廃止にむけてがんばりたい」(東京地裁)との決意が語られるとともに、「戦争法の廃止を求めて、公務労働者の果たすべき役割は大きい。世論によって最高裁に政治に負けない判決を出させるためにもしっかりしたとりくみが重要」(東京高裁)との指摘もありました。
 賃上げについては、「過去最高の収益を上げているトヨタが17兆円もの内部留保を溜め込んでおり、そのうちの0・77%を取り崩すだけで2万円の賃上げが可能。トヨタ総行動に近隣支部からも参加を」(愛知)と、春闘の官民一体の行動への結集が呼びかけられました。
 「全司法大運動」については、「5年間10%以上の定員削減が進められている中、今まで以上に全司法大運動のとりくみの重要性が増しており、しっかりとりくんできたい」(立川)との発言がありました。
 少年法適用年齢引下げでは、「秋の少年法緊急集会が貴重な学習の機会になった」(東京家裁)、「少年法対策委員会を設置した」(神戸)、「少年に対する誤解を解くため社会に訴えていく必要がある」(神奈川)などの発言がありました。

職場諸要求実現

「職場を考えた対応」求める

 職場諸要求実現のとりくみについては、「独立簡裁の2人庁化の動きについて、司法サービスの低下や職員の勤務条件に関する問題について組合員の意見を集約し当局を追及している。」(徳島、広島)との発言がありました。
 また、「後見事件の監督モデルの変更やマイナンバー制度への対応の遅さに職場が振り回されている」(徳島)との発言もありました。
 「MINTASのレスポンスの低下の問題について、職場からは早期解消を求める声が大きい」(最高裁、神奈川、福岡)との発言があり、インターネットの接続制限についても「全ての部署において影響が出ている。セキュリティの問題はあるにしても、これまでの当局の対応方法は職場の事を考えたものになっていない」(広島)との発言がありました。
 行(二)職について「退職後不補充の政策により、少数職種となっているが、要望をしっかり当局に伝えて、働きやすい職場をめざしたい」(富山)、「処遇や人事評価のあり方について改善にむけたとりくみが重要」(東京高裁)との発言がありました。また、「調査官の異動政策やサービス残業の問題について引き続き改善にむけたとりくみが必要である」(東京家裁)との発言がありました。

組織強化・拡大

日常活動の充実が不可欠

 組織強化・拡大の課題では「昨年の11月に青年部が再結成された。最高裁の特殊な職場環境のもとで、全国から集まった青年たちの連携をめざし、これまでに2回のランチ会を開いた」(最高裁)、「青年部のクリスマスパーティが加入拡大のきっかけになった。早期加入の呼びかけは重要であるが、同時に、粘り強くとりくみを継続することが大切」(福岡)、「若手組合員が役員に入っていることで、組織強化・拡大の兆しが出てきている」(神戸)など、青年の果たす役割の大きさが指摘されました。
 また、「中高年の脱退が増加しており、対策として、中高年を対象とした意見交流の場を持っている」(石川)、「職場を基礎とした日常活動の充実が不可欠。まずは執行部の充実、活性化が必要である。どうせやるなら『楽しく』やれる雰囲気作りが重要」(宮崎)、「組合費や役員負担などデメリットだと捉えられやすい点については、労働組合のメリットも併せて伝えるようにしている」(福井)、「日常活動が重要。一歩ずつ、半歩ずつでも進めていく。組合の存在を職場に伝えるための教宣の発行や職場会の開催等が脱退防止の策にもつながる」(福岡)など、とりくみを進める上での課題や対策について多くの経験や意見が述べられ、第2次月間に向けた意思統一がなされました。

青年協活動報告

青年の要求実現と組織強化・拡大の役割果たす

報告する山下裕也
青年協事務局長
 山下裕也事務局長が青年協の2015年度上半期の活動と今後のとりくみについて報告しました。

 一点目は、要求実現をめざすとりくみとして、「青年の暮らしむきアンケート」や「総研生に対するアンケート」など、青年協が実施している調査活動について報告しました。
 「暮らしむきアンケート」については、青年の切実な要求を把握するだけでなく、実際に職場で発生している問題を発見することができた事例を紹介し、今後もひとつでも多くの青年の声を集めるため、その重要性をさらに広く認識してもらう必要があると述べました。
 また、初めて実施した「総研生に対するアンケート」については、総研生と総研との間で率直な意見交換ができていないなど、総研生が抱える不満の声を集めることができたと報告し、今後も総研生とのつながりを持ち続け、声を聴く機会をつくっていきたいと述べました。
 二点目は、組織拡大に関わって、青年部が主体的に歓迎会を実施したり、直接加入を呼びかけたりしたことが、ここ数年に比べて全国的に高い加入率となっていることに結びついていると指摘し、継続した加入呼びかけや加入後のフォローを充実させることが今後の課題になっていると報告しました。
 三点目は、組織強化に関して、昨年11月18日に、最高裁支部において青年部が再結成されたことを報告し、この流れが全国で休部状態となっている青年部に波及することを期待していると述べました。
 また、青年の学習を効果的に深める方法として、教宣紙を渡す際にその内容について解説をするなど、先輩からの積極的な声かけを呼びかけました。
 四点目は、一昨年8月に開催した全国青年友好祭典の成果を途切れさせないため、次回の開催にむけた検討を始めたことを報告しました。
 最後に、青年協は今年で25周年を迎えることから、今後も引き続き、青年の要求実現と全司法の組織強化・拡大に関して役割を果たしていきたいと決意を述べました。

節目の70年目を全ての組織の増勢で職場諸要求、「国民のための裁判所」実現を前進させる年に!

阿部書記長の総括答弁

2015年秋季年末闘争の中間総括

昇格闘争の再構築を

答弁する阿部賢太郎書記長

 昨年7〜8月に裁判所の一部の職場で実施・試行された朝型勤務について、アンケートの結果からは様々な問題点が明らかになった。2年目のとりくみを許さない立場で、最高裁への追及を強めていきたい。
 昇格に関して、「退職までに誰でも5級」の枠組みがあるにもかかわらず、事務官の退職前5級発令がなかった事例が複数報告された。評価者の理解不足や意識の欠如により、退職時期を意識した人事評価を行っていなかったことが原因と推測されるが、今後同様の事例を出すことのないよう、当該支部では職場の怒りを背景に、最後まで粘り強く、必要なとりくみを続けてもらいたい。また、これを機会に各地連・支部の昇格闘争を再構築し、公平・民主的な昇格運用がなされるよう、追及を強めてもらいたい。本部としても、最高裁に対し下級裁への指導徹底を強く求めていきたい。

2016年春闘の情勢とたたかいの構え

情報を分析し、理解し、それを行動に!

 16春闘は、この国のあり方を大きく変える「岐路」の情勢のもとでたたかわれる。戦争法を強行成立させ、労働法制の大改悪をすすめる安倍政権の政策は、私たち国民が願う戦争のない平和な社会、安定した生活、安心して働き続けられる職場環境からはかけ離れたものである。中央委員の発言では、情勢を分析し、理解することの重要性と、それを行動につなげていくことの大切さが強調された。職場で情勢学習を深め、あらゆるバッシングに反撃できる力を養うとともに、行動への結集につなげていくことの重要性を全体で確認したい。

主な課題とたたかいの具体化

官民一体で、賃上げの流れを

 大幅賃上げを実現するためには、大企業の内部留保の一部を取り崩し、労働者の賃金へと還元させていく必要性が指摘された。民間労働者の賃上げが公務員の賃上げ等にも直結することから、大企業に、内部留保を取り崩し賃上げに回す社会的役割を果たすことを求めながら、官民一体で賃上げを勝ち取っていく流れを全体で大きく作っていきたい。
 裁判所への「フレックスタイム制」の導入を見据え、「『フレックスタイム制』の導入及び運用に関する要求書」に基づく追及を強めていきたい。とりわけ、(1)法廷業務や受付事務との関係、小規模庁での対応、勤務時間管理の複雑さ等を踏まえ、現行の勤務時間から大きく逸脱しないものとすること、(2)時差出勤庁の拡大や育児・介護等の個別事情を抱えた職員に対する柔軟な勤務時間上の措置、(3)ワークライフバランスの推進や実効性ある超勤規制、ただ働き残業根絶、業務量に見合う増員や適正配置を求め、各級機関でも交渉配置の追及と職場の意見反映のとりくみを強めよう。
 裁判所定員や予算の確保が年々厳しくなる中、全司法大運動の国会請願を勝ち取るとりくみは一層重要性を増している。一人ひとりが活動を実感できる運動として位置づけ、メリハリをつけたとりくみで「数の追求」と「世論形成」に向け、目的・意識的にとりくんでいくことが重要である。
 少年法に関し、適用年齢の引き下げの動きに問題意識を持ち、少年の健全育成の立場からのとりくみが各地に広がってきている。4月の第40回司法制度研究集会が全司法の学習・意思統一の結節点となることをめざし、「少年法リーフレット」等を活用した職場での学習・教宣活動をすすめよう。
 戦争法の成立後、全国で違憲訴訟提起の準備がすすめられている中、司法に憲法判断を放棄させないとりくみの重要性を指摘する発言がなされた。戦争法廃止に向けた国民的世論を形成し、運動を大きく盛り上げていくことが、司法判断に対するプレッシャーにもつながる。私たちも、いろいろな場面で市民と手を取り合い、運動に参加していくことが求められる。
 MINTASの不具合が頻発する中、当面、レスポンス向上など安定稼働に向けた追及を強めていきたい。また、家裁への導入がすすめられているが、使い勝手が悪いという意見が多いことから、事件処理に耐え得るシステムへの抜本的な見直しを求める追及を開始したい。
 職員貸与PCのインターネットからの分離に関して、閲覧用PCが4月を目途に配布されるが、適正台数が配布されているかなど職場の実態・意見をとりまとめ、業務に支障を来さない台数の整備を求めていきたい。

組織強化・拡大

職場に存在意義をアピールしていくこと

 日常活動の充実・強化に向けては、教宣紙の発行態勢の工夫と充実や、地道なとりくみの積み重ねを次につなげていくことなどにより、職場に組合の存在意義をアピールしていくことが大切であることが、討論で強調された。
 また、執行部に若手役員が入って元気になったなどの発言の他、最高裁支部からは、青年部の再結成について報告があった。最高裁に異動してくる青年組合員の受け皿ができたことは大きな意義があるとともに、全国の青年を元気づける出来事である。これを機に、各地の青年運動の活性化をめざしていこう。
 依然厳しい組織状況が続くが、各支部でさらに1人でも2人でも多く加入させることができれば、全司法の組織を増勢に転じさせることは不可能な課題ではない。そのためには、青年と機関役員、職場の組合員がしっかり手を取り合って、様々な場面でそれぞれの役割をしっかり果たしていかなければならないことを、あらためて確認しておきたい。4月には多くの新採用職員が入所するが、彼らを全司法の仲間に迎え入れるため、力を尽くしていこう。
 来年は、全司法結成70年に当たる。結成当時から全司法は「職員の経済的・社会的地位の改善・向上」「司法の民主化」を高らかに掲げ、今も変わらず私たちに受け継がれている。節目の70年目を全ての地連・支部で必ず組織の増勢で迎え、職場の要求と「国民のための裁判所」実現の課題を、さらに前進させる年とすることをめざして、努力していこう。

全司法労働組合中央執行委員会
すべての機関と職場で組織強化・拡大に奮闘しよう!

組織強化・拡大に向けて春は大きなチャンス

 第76回中央委員会では、第1次組合員拡大強化月間の総括を確認するとともに、新採用職員の早期全員加入や4月異動対策を柱とする第2次組合員拡大強化月間のとりくみについて意思統一を行いました。
 各級機関や職場におけるこの時期の奮闘によって「組織拡大の大きなチャンス」が生まれることから、機関と職場の連携したとりくみの展開が求められます。

機関運営の改善・日常活動の充実が組織の拡大に

 第1次月間の総括においては、新採用職員の加入で一定の前進面を築くものの、組織減少に未だ歯止めがかかっていない実態について指摘しています。
 一方で、いくつかの支部で機関運営の改善や日常活動の充実を図りながら着実に組合員を増やしていることや、職場での粘り強い働きかけや青年部の奮闘が新採用職員の加入に結びついており、これらも教訓にしながら、引き続き要求実現と組織強化拡大を一体のものとして、全力を挙げてとりくむことを確認しました。

「加入は権利」自信を持って働きかけを

 第2次組合員拡大強化月間における最大の課題は「新採用職員の早期全員加入」です。組織の減少を防ぎ、次世代へ運動と組織の継承を図っていくためには、新採用職員を毎年確実に全司法へ迎え入れていくことが必須であり、このことが来る大量退職期に新採用職員が「加入して当然」という状況を作ることにもつながっていきます。
 新採用職員の早期全員加入を勝ち取るためには、「入所後、間髪入れない働きかけ」と、支部や青年部をはじめ各級機関の継続的な働きかけが重要です。
 「労働組合の加入は権利」であり、加入の呼びかけは新採用職員に権利行使の機会を与えることです。漏らさず、継続的に「入ろう!」と伝えていくことが重要です。同時に、職場の先輩からの声かけも加入を決断する大きな要因の一つです。全ての組合員が組織拡大に確信を持ち、自信を持って働きかけができるよう、機関と職場の意思統一も大切です。
 また、4月は異動や昇任発令などがあり、それぞれの職場環境にも大きな変化が生じる時期です。
 4月異動期の対策として、異動者や総研入所生、再任用予定者との懇談や歓送迎会など、組合員との結びつきを大切にするとりくみもすすめましょう。
 とりわけ総研入所生に対しては、職場や全司法との関係性を途切れさせないためにも、教宣紙の配布体制や日頃から相談できる仕組みを作りましょう。

早い時期に計画チームとしてとりくむ

 同時に、4月異動期は特に繁忙度も高まり、加えて、「フレックスタイム制の導入」をはじめ、「MINTASの障害」や「インターネット接続の分離」など、仕事や労働条件に直結する課題も山積しています。こうした状況のもと、労働組合が職場の問題解決に努力し、組合員の悩みに寄り添うことで、全司法が職場の信頼を勝ち取り、組合員の加入につなげていくことも求められます。
 これらのとりくみを実践し、組織の増勢を勝ち取っていくためには、早い時期にとりくみの計画を立てることが重要です。新採用職員の歓迎会やガイダンスなど、それぞれのとりくみが一過性のものとなれば、加入には結びつきません。第2次月間のとりくみでは「プランニングシート」の作成を提起していますが、昨年度のとりくみの良かった点、不十分だった点などを総括し、青年や女性ならではの視点も加えていきながら、綿密な計画を立て、機関と職場で共有することが重要です。
 これらの計画を実践していくにあたっては、支部と職場、青年部・女性部などが、持ち場と役割に応じてとりくむとともに、「チーム」としてのとりくみの展開が求められます。
「全司法組織強化拡大プロジェクト」における「すべての支部で毎定期大会時に組織の増勢をはかり、多数組織の回復を目指す」とした基本目標に基づき、すべての機関と職場で組織強化拡大に奮闘しましょう。

 
ページの先頭へ
 
ITシステムをめぐる問題ととりくみ
 

家事事件で使うシステム「MINTAS」でいいのか

 最高裁は、2011年に「情報化戦略計画」を改定し、「情報化推進体制の整備」と「情報システムおよびその技術基盤の整備」を基本方針として掲げ、「情報システムの全体最適化」、「情報セキュリティ水準の向上」および「災害等に強い情報システムの構築」等を重点的課題としました。
 そのうち、「全体最適化計画」については、情報システムに係る所要額や保守コストが想定を上回ったことから、開発の内容やスケジュール等について見直されることになりました。
 年明けから不具合が頻発している「MINTAS」については、この「全体最適化計画」の見直しにより、家事事件用のシステムを開発するという当初の予定を変更し、家裁への導入がすすめられることとなりました。
 家裁の職場からは、使い勝手が非常に悪いと報告がされています。
 また、レスポンスが遅いことで裁判所の利用者に対しても迷惑をかけているという報告もされています。
 全司法本部との交渉において、最高裁が、「実際にシステムを使用する職員の意見や要望等を的確に把握することが重要」であり、「今後も裁判所における情報化投資がシステムの利用者の意見を反映し、裁判所全体にとって有益なものとなるよう努めていきたい」と回答していることから、家事事件で使うシステムとして「MINTAS」でいいのか、抜本的な見直しにより、事件処理に耐え得るようなシステムが必要ではないのかという観点も含め、職場の意見をふまえた追及を強めていくことが重要となっています。

インターネット分離

職場実態にあった整備と運用を

 最高裁は、今年4月を目途に、職員端末をインターネットから分離すると説明しています。
 これは、政府が9月に閣議決定した「サイバーセキュリティ戦略」などをふまえたものです。
 これに伴い、新たにインターネット閲覧専用パソコンが整備されるものの、全国で2500台と少数であり、庁によっては1台しか整備されず、また、プリンタの整備もされません。
 電子メールについては、これまでどおり職員端末で利用できるものの、インターネットを経由したウェブサイトの閲覧が完全に制限されることになるため、裁判所が公開しているウェブサイトですら閲覧することができなくなります。
 窓口や電話での応対に支障を来すことや情報検索が著しく不便になることは明らかです。
 今後、職場の実情にあった整備・運用をさせていくことが重要となっています。

 
ページの先頭へ
 
調査官の研修制度 改編にむけて意見書提出
 

 最高裁は、全司法本部に対し、11月30日、家庭裁判所調査官任官後の研修の改編を検討していることを明らかにしました。改編の主な概要は、これまで行っていた実務研修や専門研修、心理テスト特別研修、面接技法特別研修、ケースワーク研究会を見直し、応用研修と特別研修を実施するというものです。
 研修の改編は、調査官の勤務条件に影響するものであることから、本部調査官対策委員会が中心となり、家裁調査官への周知を行うとともに、質問・意見の集約を行い、とりまとめの上、当局に意見反映をはかっていくこととしました。
 短期間のとりくみではありましたが、全国の調査官から多くの質問・意見が寄せられ、12月18日に「家庭裁判所調査官の任官後の研修に対する全司法の意見及び質問事項」として最高裁当局に提出し、意見及び質問事項に誠実に対応すること及び全司法との意見交換を継続し、家庭裁判所調査官の研修制度を充実したものにするよう要求しました。
 なお、最高裁当局からの回答は、対応があり次第、全司法情報等で発出する予定です。

主な意見及び質問事項

研修見直しの必要性について、現在の研修の問題点がどこにあるのかという点を含めて説明すること。
各研修のカリキュラムについて、具体的なイメージを示すこと。
全国で均質な司法サービスを提供するという調査官の職務の特性を踏まえ、すべての調査官に対して研修を受ける機会、能力を伸長させる機会を均等に保障し、調査官全体を底上げする研修制度を確立すること。
任官後の研修の見直しにあたっては、「家庭裁判所調査官の育成のための新たな施策」の問題点を解消することとあわせて検討すること。
ページの先頭へ
 
16春闘の重点課題ととりくみ 3つの課題
 
春闘勝利1.26総決起集会(東京・中野)
 16春闘は3つの大きな課題を軸に展開されます。
 1つは戦争法廃止を中心とした「憲法」と「立憲主義・民主主義」を守るたたかいの更なる発展、2つ目は地域を基礎に暮らしをまもる共同のとりくみ、3つ目はすべての労働者の賃上げ・底上げを実現するたたかいです。
 いずれの課題においても、憲法の基本原則と民意を無視した安倍政権の暴走をストップさせるたたかいであり、私たちの暮らしとこの国の未来という点で大きな岐路に立つ歴史的な春闘と言えます。

「戦争法廃止を求める統一署名」

1人あたり10筆の集約を

 戦争法が成立した情勢のもと、戦争法廃止に向けた国民的な運動は、依然として高まり続けています。
私たちは憲法遵守義務を負う国家公務員として、また法律に携わる裁判所の労働組合として、憲法を守り活かす運動に積極的に結集していくことが求められています。国公労連が提起する「まもろう憲法・国公大運動」における当面の重点課題である「戦争法廃止を求める統一署名」について、1人あたり10筆を目標に、圧倒的多数の集約を追求しましょう。

地域に足を出すとりくみ

春闘討論会や地域総行動に結集を

 安倍政権の「大企業優遇・国民負担増」の政治により貧困と格差が広がる中、今通常国会ではさらなる消費税増税や社会保障の切り捨て、労働法制の改悪が狙われています。
 また、経団連は「年収ベースでの賃上げの努力」を表明していますが、生活改善には、賃金を底上げする月例給でのベースアップが必要であり、最低賃金引上げや均等待遇の実現など、すべての労働者の賃上げを勝ち取っていくことが重要となっています。
 こうした情勢のもと、16春闘は特に地域に足を出すことを重視し、春闘地域討論集会や地域総行動をはじめ、大企業の内部留保を賃上げに還流させる「大企業包囲行動」や「トヨタ総行動」に結集するなど、官民一体となったとりくみを展開します。
 その上で、3月9日には春闘期上京団行動も配置されており、次世代育成の観点からも、青年層の積極的な参加を求めます。

職場の要求を前進させ、組織の強化と拡大を

 賃金課題に関わっては、給与法が改正され、改善部分に応じた差額が支給されることになります。これまで国公労連や全司法が果たした役割や労働組合の意義などを職場や青年層に広げていき、組織の強化・拡大にも結びつけましょう。
 職場諸要求に関わって、「フレックスタイム制の導入」が確実視される情勢のもと、職場からは開廷時間や受付業務との関係、小規模庁での対応や勤務時間管理の問題など、様々な不安や疑問が示されています。
 こうした中、全司法は「『フレックスタイム制』の導入及び運用に関する要求書」を最高裁に提出し、現行の勤務時間から大きく逸脱しないことや拙速な導入は行わないこと、超勤縮減やワークライフバランスの一層の推進などを要求しています。今後当局の検討がすすめられるにあたり、各級機関での交渉配置など、組合員の疑問や要求に積極的に応えるとりくみが求められます。
 その他、ITの課題やマイナンバー制度の運用など、職場の実情をきめ細かく捉え、問題解決に向けた労働組合としての役割の発揮が求められます。加えて、国民のための裁判所実現の課題においても、引き続き全司法大運動署名の「数の追求」と「国民世論の形成」をすすめるとともに、少年法適用年齢の引下げの課題についても、学習を深め、「少年事件に関わる現場の意見」を職場内外に発信していくとりくみをすすめます。
 これから異動期を迎えるとともに、多くの新採用職員が裁判所に入所します。新採用職員の早期全員加入をはじめ、4月異動期の組織対策について、機関と職場で旺盛にとりくみを展開し、要求と組織の前進を勝ち取る春闘期にしていきましょう。

 
ページの先頭へ