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全司法新聞
 
2016年 新年、おめでとうございます
「立脚点」を見つめて、新しい年に!

 あなたの「立脚点」はどこにありますか?
 立脚点とは「よりどころとする地点。考えたり行動したりするときの立場」、不安定な時代だからこそ立脚点をみつめながら進むことが大切です。
 全司法は、職場・組合員の要求や権利を立脚点に活動し、そして、全司法自身が裁判所の中でしっかりした立脚点になっていきたいと思います。

 
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「憲法を守る」がキーワードになる年
 全司法労働組合中央執行委員長 中矢正晴
 

 中学生の時、学校の社会科の授業で日本国憲法前文を暗唱する宿題が出ました。この国のあり方を高らかに謳いあげる文書を暗記しながら、「カッコイイ」と思ったのを今も覚えています。いわば「一目ぼれ」でした。その思いは、今、改めて憲法を読んでも変わりませんし、そう思うのは前文だけではありません。
 13条は、国家は国民が幸せになるためにあるのだと述べています。しかも、25条で「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことができるよう国が積極的に行動すると表明しています。今、社会問題になっている「格差と貧困」など、本当は、憲法はけっして許さないのです。
 28条は、働く者が自らの権利を守るためには、労働組合を作って、使用者と対等の立場で交渉し、行動することが必要だという、私たちの運動の基礎を定めてくれています。そして、99条は、憲法を実行するのが公務員の仕事だと、私たちの日々の仕事のあり方を指し示しています。裁判所にとっては76条がその権限を定める重要な規定です。憲法は私たちの運動や仕事の立脚点でもあるのです。
 そして、9条は日本が「戦争をしない」「軍隊を持たない」ことを定め、前文とあいまって、国際的紛争は外交や国際協力の中で解決する平和国家の道を明確にしています。
その憲法が今、壊されようとしています。それも、本来なら憲法を守る立場にある「政府の行為によって」です。
 「今の憲法は理想的すぎて現実に合わない」と言う人がいますが、私はそうは思いません。憲法を実行する責任のある人たちに長年にわたってサボタージュされて「現実」の方が歪められ、憲法によって守られている国民にもその姿が見えなくされてきたのです。
 だからこそ、安保法制(戦争法)をめぐって、憲法が改めてクローズアップされてきたことの意味は非常に重要です。今年は、私たちが関わっている様々な運動で「憲法を守る」ことがキーワードになると思いますし、憲法を守ることによってこそ、私たちの要求実現の展望も本当の意味で見えてくるのだと思います。そのことを指摘して、2016年の新年のあいさつに代えたいと思います。

 
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青年協25周年 情勢と運動を振り返る
 

 2016年は、全司法青年協が結成されて25周年。1991年の結成以来、全司法の青年の運動を作る中心になり、次世代の活動の担い手を育ててきました。
 今の本部メンバーを見ても、中矢委員長(初代)、長岡書記次長(6代)という青年協議長経験者が…。というわけで、昨年、再結成した最高裁支部青年部の役員を交え、それぞれの活動や時代背景を語ってもらいました。

出席者


全司法本部
中矢正晴
長岡文生
山本一樹
最高裁支部
小島光太
新井亜弥
(敬称略)

「箱」ができることが、実は大切

中矢委員長

山本 例年と違って、今年の座談会は「いつも本部や最高裁の書記局に集まっているメンバーやないかっ!」と言われそうですね(笑)でも、こうして、いつも書記局に集まれるというのはいいですね。
新井 休み時間に書記局に来ると誰かがいて、話ができたり、きちんとした情報が聞けるのが良いと思っています。
山本 書記局に人が集まっていれば、労働組合へのアクセス先にもなるし、職場の中に「仕事とは違う空間」を感じることができるのがいいんでしょうね。
長岡 福岡でも、書記局にお菓子を置いたりして、みんなが集まれるように工夫をしていました。
山本 そうやって書記局に集まっている中で、最高裁支部に青年部を作ろうという話になっていったわけですが。青年部を結成しようと思ったきっかけは何ですか?
新井 新潟から東京に異動してきて青年の活動をしている中で、やっぱり活動の核になる組織があった方がいいと思ったからです。
中矢 加入を呼びかける時はもちろんのこと、加入してからのフォローで青年部が果たす役割は大きいですね。労働組合が交渉をして、様々な要求を前進させても、新しく職場に入ってきた青年にはなかなか伝わりにくい。青年部が活動することで、若い人たちに労働組合のことを身近に感じてもらえるのだと思います。
小島 とにかく、「箱」ができることが大事だと思います。
中矢 そうですね。青年協結成の時に「形だけ作っても中身がなければ意味がない」といった意見もあったのですが、私は「器を作ったら、必ずそこに何かが入ってくる」と答えました。そうして様々な物が入った結果、この25年間の青年協が充実した活動をしてきましたね。青年協に限らず、実は労働組合そのものが、職場の様々な思いを入れる箱なのかもしれないと思います。
山本青年協議長

山本 青年協が結成された時には、全支部に青年部が揃ったんですよね。
中矢 かつて全司法の各支部にあった青年部は一旦すべてなくなり、1963年に大阪支部青年部が再結成されたところから、再び全国に青年部が作られていきます。いくつかの支部が競争して青年部を作ったという動きもありました。その後、大量退職・採用期に入って、全国にたくさんの青年が採用される中で、全支部に青年部が揃い、それを束ねる組織として青年協ができました。
長岡 僕が議長になった時は、既に14支部で青年部が休止したり、なくなったりしていました。青年の運動自体は活発で要求も前進していたのですが、大都市の組織率などの問題もあって、だんだん厳しくなっていった時代です。ただ、青年部活動を通して、自分たちの労働組合活動をやっていこうという青年たちの気持ちは強かったと思います。
山本 近い将来、大量退職・採用期がまた来ると言われています。今は青年部がない支部がたくさんありますが、今後また青年部が結成される歴史が繰り返されていけばいいと思います。
中矢 そういう時代になって、最高裁支部青年部の結成がきっかけだったと言われればいいですね。

いつの時代も、青年の要求は賃金改善


月1回、書記局でランチ会( 最高裁支部青年部)
山本 今の青年協が重点にしている要求は賃金、異動、人事評価などですが、お二方の頃はどうでしたか?
長岡 僕が議長だった頃も青年の中心的な要求は、賃金と異動でした。青年協が最高裁を相手に異動の実現を求めるとりくみを強めたのも、この時期です。賃金では、マイナスの人事院勧告が出されるようになってきた中で、青年の賃金も下がっていきました。一方で、初任給は民間と2万円ぐらいの差があり、生活保護費よりも低い実態になっていて、その改善を強く要求していました。今、人事院勧告は若年層の重視という考え方を打ち出していて、全体の賃金が上がらなかったり下がったりする中でも、青年の賃金には配慮した配分をさせていますが、そうした流れにつながったと思っています。その上で、賃金改善をはじめとする青年のとりくみの中で、国公労連青年協が大きな役割を果たしてきたと思います。
中矢 私の頃は「バブル経済」と言われた時期だったので、民間賃金が改善され、公務との差が広がっていく中で、初任給格付けを改善させたりしました。青年協結成時の目玉要求だった「ワンルーム型独身宿舎」もこうした社会情勢の中で実現したのです。
長岡 私の頃はワンルーム型独身宿舎を全国に広げることが課題でした。
中矢 最初に最高裁交渉で宿舎の話をした時、「数は足りている」という回答でバッサリ切
新井亜弥さん
られてしまったんですよね。これが悔しくて運動を重ねている中で、最高裁の回答が徐々に変わってきました。最後は国公労連青年協で運動をして、宿舎法を改正させて、ワンルーム型が作れるようにしたんです。
小島 当局の主張が変わっていくというのは、私も青年協の活動の中で実感したことがあります。結婚休暇の扱いを全国統一で柔軟にさせていく時、最初はバッサリだったのが、暮らしむきアンケートなども使って主張していくうちに回答が変化をしてきて、実現しました。
新井 私は今、支部書記次長も兼ねているんですが、交渉や折衝で、バッサリ切られた後、どうやって次につなげるか悩むことがあります。相手は年齢も経験も、ポストも上ですし…。
山本 粘り強く主張を続けることが大切ですよね。
長岡 そして、その主張が職場実態をきちんと反映していることが大切です。職場のホンネの意見や要求を掴むことができるのは、やっぱり労働組合です。それが背景にあってこそ、私たちの主張が力を持つと思います。「職場実態を掴んでいるのは労働組合の方だ」という自信があったら、年齢も経験もポストも関係なく、堂々と主張できますよ。

20数年前に青写真、一貫した流れが見える


長岡書記次長
山本 せっかくそうして出来た公務員宿舎ですが、公務員バッシングのもとで、福利厚生目的での宿舎を貸与しないという話になってしまいましたね。僕も大阪で世帯用宿舎に入っていましたが、出て行かなければならなくなりました。
長岡 小泉内閣のもとで公務員バッシングが本格的になったのが僕らの頃でした。公務員宿舎も非効率という議論がされ始め、「公務員制度改革」で「成果主義賃金」などの最初の案が出されました。
中矢 公務員バッシングは、1981年に政府が作った第二次臨時行政調査会(第二臨調)という組織が「財政再建」を旗印に「民間活力の活用」とか「公務は非効率」と言い始めたのが最初です。私が青年部をやっていた頃に、国鉄が分割民営化されてJRになったりしたあたりが最初で、この頃に公務員バッシングの青写真が描かれていたんです。
山本 中矢さんの頃に種がまかれ、長岡さんの頃に花が開き、僕たちの時代に実がなった感じですか……。
中矢 公務員バッシングと抱き合わせで第二臨調の頃に青写真が描かれたのが、日本の外交・防衛政策です。当時は、自衛隊の存在自体が憲法違反だという主張はありつつ、全体として「日本に部隊があって、日本を守るためならいいんじゃないか」というあたりにコンセンサスがあったのですが、アメリカの要請でそれが変わっていきます。自衛隊派遣の実績を作るために当時出てきたのが、PKO(国連平和維持活動)に協力して自衛隊が海外に出て行くという法案でした。
長岡 僕の頃になると、湾岸戦争やアメリカで9・11のテロがあったりして、アメリカの政府高官に「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」とか言われて、日本ももっと積極的に関われという話になってきた。そうして、イラクに自衛隊が派遣されるわけですが、それでも「戦闘地域には行かない」とか、いくつもの歯止めがかけられていました。ところが、今回の安保法では、それがすべて外されてしまった。
小島光太郎さん
山本 安保法は「戦争法」だと批判されていますよね。しかも、憲法違反だという問題もあって、大切な課題になっています。ただ、職場の青年には、全司法が平和などの課題で活動することについて、まだまだ理解が得られていない感じもしています。
中矢 この25年を見ても、歴史は一貫した流れがあり、しかも繰り返しているのがわかります。七十数年前、戦争に向かう中で労働組合はすべて解散させられ、戦争で多くの日本人やアジアの人たちが亡くなり、財産も失った。労働組合は、組合員とその家族の命と暮らしを守る立場から、そういう歴史を繰り返させない立場で活動することが大切だと思っています。
山本 主に議長経験者二人にお話をお聞きする形になりましたが、この座談会の締めくくりに、最高裁支部のお二人に質問します。お二人はどういう思いで、全司法の活動にとりくんでいますか?
新井 自分にとって、良い経験になるからですね。それに楽しいから。
小島 先輩たちがやってきて、これまで続いてきたことを途絶えさせないようにと思っています。
山本 小島君……。僕がまとめに言う言葉がなくなりました(笑)

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どんなことがあったの? 「申年」の全司法
 
 「申」は「草木が十分に伸びきった時期で、実が成熟して香りと味がそなわり固く殻におおわれていく時期」。「それまでに運動を積み重ねた結果が出た」出来事が目立つ気がします。

1956年

 官民一体による春闘が始まる。裁判所・裁判官に対する批判が高まる中、「司法権の独立を守るたたかい」が打ち出され、「国民のための裁判所」が運動のスローガンに。沖縄に「全司法組合員の真心を送ろう」と寄せ書き・カンパ等にとりくみ、福岡高裁支部作「沖縄を返せ」が九州のうたごえで一位入選。

1968年

 公務員賃金改善の運動が大きく前進、全司法では長官・所長会同にむけて、職場から交渉を積み上げ、岸事務総長と交渉(諸要求期事務総長交渉の始まり)。
 最高裁が庁舎管理規定を制定し、法廷や庁舎の警備を強化するとともに、全司法の活動への会場使用制限に使う。第24回大会で「全司法労働組合」と改称。

1980年

 公務員攻撃が厳しくなり、退職手当改悪、定年制導入などの国家公務員全体に関わる労働条件の維持・改善が重要な課題に。青年の結婚休暇の制度化を求める運動が注目を集めた。「20年のとりくみの集大成」として第19回司法制度研究集会を開催。

1992年

 3月18日に最高裁千種事務総長が全司法本部四役と会見をして誠実対応を表明、その後の全司法と裁判所当局との労使関係を決定づけた。労働条件では、5月から完全週休二日が実施され、長年の要求が実現して4月から育児休業制度がスタート。

2004年

 4月に裁判所職員総合研修所が開所、施設やカリキュラム等について全司法から出していた様々な要求が反映された。司法制度改革の「目玉」であった裁判員法が成立し、全司法は「万全の態勢づくり」を要求。
 国連子どもの権利委員会に代表団を派遣。政府が当初狙った「大綱」にもとづく公務員制度改革は頓挫。

2016年

 これまでの運動の成果を実らせる年にしていきたいですね。

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新春 イラスト・コンテスト結果
 
 3年目となった新年号の「イラスト・コンテスト」、今年も力作が集まりました。応募いただいた作品はこれまでも、全司法のパンフやビラなどで活用させていただいていますが、今年も様々な運動のシーンで全国の組合員に見ていただきたいと思っています。

 ※それぞれのイラストをクリックすると、画像データが見られます。
 
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