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少年法の年齢引き下げは、問題あり!
少年法対策緊急集会を開催 |
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少年法をめぐる情勢ととりくみを議論 |
10月31日〜11月1日の2日間、全司法は少年法対策緊急集会を開催しました。
この集会は、政府や自民党などが少年法の適用年齢を「18歳未満」に引き下げる動きを見せているもとで、少年法の現場で働く職員を組織している労働組合として、その問題点を明らかにし、「適用年齢引き下げ反対」のとりくみを意思統一する目的で開催したものです。とりわけ、初日の31日は外部からも参加可能な集会として開催し、研究者やOB、記者や議員秘書等を含め50名を超える参加がありました。
全ての弁護士会が反対を表明
山崎健一弁護士(日弁連子どもの権利委員会幹事・少年法・裁判員対策チーム座長)の基調講演では、これまでの経過に加えて、与党の動きや日弁連としてのとりくみが報告されました。
「日弁連は2月20日付けで「少年法の『成人』年齢引下げに関する意見書」で反対を表明し、全国52のすべての弁護士会から少年法の適用年齢引下げに反対する会長声明が発出されている」との紹介があり、「少年法適用年齢引下げ反対は、全国の弁護士会の総意である」との報告がありました。また、11月2日から始まる法務省の勉強会でのヒアリングにあたっては、日弁連は「年齢引き下げ反対」で臨むとの立場が示されました。
これにひきつづく討論の中で、集会に参加した岡田行雄熊本大学教授は、ドイツの法制度との比較から「日本と全く違った制度を持っており、そもそも、前提が違う」と述べ、自民党等が検討している、少年法の適用年齢を引き下げたうえで、若年者について保護処分に相当する措置ができる新たな仕組みを作ろうとする動きを批判。
また、「少年法適用対象年齢の引下げに反対する刑事法研究者の声明研究者の意見」をとりまとめる中心となった佐々木光明神戸学院大学教授からは「少年の『未熟さ』を社会的なリスクととらえて、『要保護性』の判断をこれまでとは全く別のものにしてしまおうという考え方があるのではないか」等の懸念が表明されました。
現場の実感を発信することが重要
集会では、全司法・少年法対策委員会から「少年法適用年齢の上限引き下げに関する家裁現場アンケート」の中間結果にもとづいて、「家裁調査官の圧倒的多数から、対象年齢の上限を18歳未満に引き下げることについて反対や懸念を表明する意見等が示された」こと等を紹介し、あわせて、これまでのとりくみや今後の運動の方向性について報告を行いました。
翌11月1日は今後のとりくみについて討議・意思統一を行い、全司法が「国民のための裁判所」実現を目的としていることをふまえ、少年事件を担当する職員が持っている「少年法の適用年齢を引き下げることには、問題がある」という現場の実感を組織の内外に発信していくことを重視することを確認しました。
そのうえで、(1)「アンケート」のとりくみ期限延長と集約数の追い上げ、(2)裁判所内での学習・教宣活動の強化、(3)弁護士会との意見交換や外部へのアピール等を全国ですすめていくことを意思統一しました。
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国民のための裁判所、職員制度、昇格要求を主張
〜秋年期第2回給与課長交渉 |
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職種担当中執も交えて交渉実施 |
全司法本部は、10月27日、職種担当の中央執行委員も参加して、最高裁春名給与課長との間で交渉を実施しました。今秋2回目となる今回の給与課長渉では、国民のための裁判所実現に向けた要求、職員制度に関する要求、昇格要求を主張し、当局の認識を確認しました。
【国民のための裁判所】
家事事件手続法 新たな資料作成を検討
労働審判事件に関する来年4月に向けた態勢整備について、「昨今の事件動向及び事件処理状況等を踏まえて検討した結果、来年4月には労働審判員の増員を行わない」ことを明らかにしました。
家事部への支援態勢の強化について、「成年後見関係事件が引き続き増加している」との認識を示した上で、「事件数のみならず、当該部署の事務処理状況等の種々の要素を総合的に考慮し、適正な人員配置に努めていきたい」と回答しました。また、「特に家事事件手続法に対応した『書記官事務の手引き(改訂版)』のような執務資料の作成は検討できないのか」との要求に対しては、「同法施行後の実務の運用状況等を踏まえた新たな資料の作成について、今後の検討課題としたい」との回答がありました。
少年法にかかわって、全司法は、現場の家裁調査官等の意見を踏まえ、適用年齢引き下げ反対の立場で意思統一しており、「適用年齢引き下げについての最高裁の現時点での考え方を示すこと」を求めましたが、給与課長は「立法論についての回答は差し控えたい」と回答するにとどまりました。
検察審査会については、「2015年には、検察審査会事務局における各種事務の実務経験の蓄積やノウハウを共有する場として、検察審査会事務局長研究会を実施することとしたところである」「この場において、起訴議決等の制度についても、これまでの運用状況等を踏まえて、事務改善等に関する協議が行われているものと認識している。また、研究会資料として、検察審査会事務局職員の事務処理の指針となるようなものとして、『検察審査会事務局職員の事務について』を配布することとしたところであり、これについても、各検察審査会において、今後の執務の参考になるものと考えている」と回答しました。
【職員制度】
家裁調査官の異動 生活環境に十分配慮
出納管理及び代理官の任命について、「少なくとも、出納官吏は代理官も含めて管理職が任命されている状況を作るとともに、その職責の重さから、1級や2級の係員が任命される実態は全国的になくすこと」を要求しました。給与課長は「出納官吏等の適任者は、課長や課長補佐等の管理職に限られるものではないと考えており、仮に出納官吏等に1・2級の係員が任命されているとしても、特に不相当な任命であるとは考えていない」と回答しました。
速記官中央研修の継続を求める要求に対しては、「2016年度以降も、引き続き速記官の中央研修を実施する方向で検討しているところである」との回答がありました。
また、来年度更新予定の職員貸与パソコンの仕様(OS)について、「Windows8.1Proは、64ビット版を利用する予定である」ことを明らかにしました。
「家裁調査官の広域かつ機械的な異動政策を改めること」との要求に対しては、「家裁調査官については、国民に対する司法サービスの均質化、各家裁調査官の間の負担の公平等の見地から、ある程度広域異動をしてもらう必要性が高いところであるが、異動が本人の生活関係に大きな影響を及ぼすこともあり得るので、本人の意向、経歴、異動歴、育児や介護といった家族の事情等の諸事情も勘案して異動計画を検討しているところである。今後とも、公平性を損なうことのない範囲で、本人の生活環境にも十分配慮した異動が行えるよう、更に検討を重ねていきたいと思っている」と回答しました。
【昇格】
定数改定巡る情勢 予断許さない
昇格要求については、従前回答を維持しつつも、「級別定数改定を巡る情勢はこれまでと比較にならないほど厳しい」との回答があり、予断を許さない状況です。
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22時45分調査後も明かりが消えない最高裁 |
全司法本部と最高裁支部は10月21日(水)、最高裁における超勤実態調査を共同で行いました。これは、「不夜城」と揶揄される中央省庁における超過勤務の実態を明らかにし、大幅増員の実現や実効ある超過勤務縮減、事務の簡素化・効率化など、働きやすい職場の実現をめざして国公労連が提起したものです。
調査は人事局、経理局、事件部など9室を調査対象として抽出し、午後7時、9時及び10時の各時点におけるそれぞれの在室者を、職場を見回ってカウントする方法で行いました。
折しも当日は定時退庁日でしたが、午後7時、中庭から見える範囲で消灯している部屋はありませんでした。調査結果では36・1%の職員が残業しており、9室中2室は約60%の職員が残業していました。
午後9時、数えるほどの部屋が消灯しているものの、依然として多数の部屋で執務が続いていました。調査では17%の職員が未だ在室しており、前述の在室者率の高い部屋では、それぞれ約40%の職員が残業していました。対象とした部屋のうち、在室者ゼロは1室のみとなっていました。
午後10時、庁舎内を見回ると各フロアで必ず人とすれ違いました。比較的若い職員も見受けられます。調査結果では7・2%の職員が在室しており、対象の9室中7室が未だ在室していました。この時点で調査は終了しましたが、その後も残業は続いていただろうことは想像に難くありません。定時退庁日においても高い在室率となっている実態から、いかに最高裁が繁忙な職場実態であるかが明らかとなりました。
調査に参加した最高裁支部坂本委員長と小島書記長は、「『最高裁は激務』と言われるが、あらためて繁忙実態が明らかとなった」(坂本)、「調査結果は支部の最高裁交渉においても活用し、繁忙解消に向けた追及を強めていきたい」(小島)と感想を述べています。
ワークライフバランスや「働き方の見直し」が推進される中、中央・地方を問わず繁忙な実態を抱えており、あらためて当局の主体的な事務の簡素化・効率化や実効性のある超勤縮減策を講じることが求められます。なによりも、こうした実態を解消していくためには、全司法大運動を軸に裁判所内外での世論形成によって、裁判所全体の人員を確保していくことが極めて重要な課題であると言えます。
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事務局の繁忙状況の解消など重点的に追及
地連事務官担当者会議・上京団交渉 |
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事務官上京団交渉の様子 |
事務の簡素化・効率化
とりくみの推進が必要
10月18〜19日、地連事務官担当者会議と、引き続く上京団交渉を実施しました。
事務局の業務実態として、耐震化のための庁舎新営・改修や公共調達の適正化に伴う契約事務の煩雑化などの影響により、特に会計部門において、全国的に繁忙度が高まっている実態が各地連から報告されました。また、人事課などの給与事務担当部署でも、人給システムへの移行に関わる事務や給与法改正への対応などにより、繁忙状況が続いていることが報告されました。
こうした職場の繁忙解消に向け、事務の簡素化・効率化が重要になっています。会議の中では、口頭説明による決裁などが実施され、簡素化・効率化にむけたとりくみが推進されている庁がある一方、全国的に見ると、組織的なとりくみが十分すすんでいない実態が明らかになりました。この間、最高裁の主体的なとりくみにより事務の簡素化・効率化が一定はかられてきたことを踏まえ、引き続きとりくみの推進を要求していく必要があります。
主管省庁作成のマニュアル
通達との整合性保てず
府省共通システム(SEABISや一元的な文書管理システム等)の運用上の不具合の頻発が事務処理に支障を来し、事務改善に逆行している実態があることも明らかになりました。不具合を未然に防止する策を求める意見が多く出されるとともに、特にSEABISの物品管理システムについて、主管省庁作成のマニュアル・資料がそのまま職場に配布されたため、裁判所の通達に基づく事務処理との整合性が保てないなど使い勝手が悪いものとなっていることから、裁判所の業務実態に即したマニュアル等の整備を求める声が強く出されました。
インターネットの一部接続制限の問題では、執務に必要な情報の検索ができないなど業務に支障が生じている事例が多数報告されました。職場端末からの接続制限の早期解除を要求するとともに、当面、接続制限の代替方策として、別回線でのインターネット接続を可能とする端末の増設と、業務に必要なサイトのホワイトリストへの追加を要求していくことをあわせて確認しました。
出納官吏の任命
管理職への発令を要求
出納官吏の任命等については、全国調査の結果、管内支部等では係員が任命されている事例が多数あることが明らかになりました。この実態を踏まえ、出納官吏及び代理官については、その職責の重さから、課長・課長補佐など管理職への発令を引き続き要求していくことを意思統一しました。また、「出納官吏代理に関する運用要領」に基づく本官と代理官の引継ぎについて、相当の時間と負担を要し自由な年休取得さえも阻害される要因となっているとの意見もあることから、各庁の実情に合わせた柔軟な運用を要求していくことを確認しました。
引き続き実施した最高裁給与課長との交渉では、事務局の繁忙状況の解消、研修制度の充実、事務官の積極登用、退職時5級の枠組みの維持発展、法廷警備員の研修参加等について重点的に追及しました。
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つながり、集まることを大切に
裁退連第34回定期総会 |
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議論のあとは、和やかに交流 |
「再任用の組織化」で連携を
10月22日、東京都内で、裁判所退職者の会全国連合会(裁退連)の第34回総会が開催されました。
開会のあいさつで、石山会長は「戦争法」等をめぐる情勢に加え、全国の会員が自らのつながりの中で多様な活動にとりくんでいることに触れつつ、退職者の会の役割の重要性を強調しました。
来賓として参加した全司法本部の中矢委員長は挨拶の中で、現役と連携する課題として「歴史を伝え、全司法や労働組合への自信や誇りを伝えていただくこと、再任用の組織化と、再任用終了後も組合員から退職者の会へと継続してもらえる仕組みをつくるため、協力していただくことを特にお願いしたい」と述べました。再任用職員の組織化は、全司法と退職者の会のそれぞれにとって、重要な課題となっています。
「財政自立」の方針を承認
今回の総会では、裁退連が1年間かけて議論をしてきた財政自立(全司法からの援助を受けず、会費だけで運営していくこと)の方針を確立することが最大の課題でした。
基本的な方向性としては全体で一致するものの、この提案は一方で会費の値上げにつながることから、総会では賛否の意見がそれぞれ出されました。時に厳しい、熱のこもった議論の末、最終的には、執行部が提案した財政自立の方針が承認されました。あわせて、財政的に厳しい状況はありつつ、「全国から集まること」の重要性を指摘する発言も多く、総会は毎年開催する方向が確認されました。
総会後の懇親会では一転して、和やかな雰囲気に包まれ、中島副会長の落語で盛り上がり、地域を越えた交流や昔話に花が咲きました。
2015年度の三役体制
会長 | | 石山 光信 |
副会長 | | 中島 邦雄 |
事務局長 | | 大塚 豊子 |
| | (敬称略) |
※ 本総会で規約が改正され、今年度から東京以外からの副会長は選出しないこととなりました。
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