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一人ひとりが担い手となり、要求の前進、運動の継承、組織の発展を! 全司法第72回定期大会
 
全議案全会一致で可決
 全司法は、7月20日から22日の3日間、新潟県越後湯沢において、「一人ひとりが担い手となり、要求の前進、運動の継承、組織の発展を」をメインスローガンに、103名参加のもとで第72回定期大会を開催し、向こう1年間の運動方針と財政方針を決定するとともに、中長期的な視点に立って組織強化をめざす立場から離職専従役員を含む執行体制を確立しました。大会での議論を通じて、困った人を見過ごさず手を差し伸べること、裁判所内部にいる立場から「国民のための裁判所」実現のためにとりくみをすすめること、組織の継承・発展のために「やるべきことはすべてやる」努力を行うことについて、それぞれの持ち場で、お互いに力を尽くす決意を固めた大会となりました。

激動する情勢の中で、全司法の役割を確認

 大会は、冒頭、札幌支部作田武志代議員と沖縄支部山城光成代議員を議長に選出して始まりました。
 門田中央執行委員長のあいさつの後、来賓として参加された四名の方から激励と連帯のご挨拶を受け、続いて本部から議案等の報告提案を行いました。
 2015年度運動方針の提案の中で阿部書記長は、激動する情勢の中で、私たち公務労働者に求められていることとして、(1)格差と貧困をなくし、働くルールを確立する、(2)公務・公共サービスを担う労働者・労働組合として、社会的責任を果たし、民間労働者や国民の生活を守る、(3)新自由主義や「構造改革」の問題点を改めて確認し、公務労働者が先頭に立って、国民とともに転換の扉を切り開く、(4)組合員とその家族の生活と権利を守る、の4点を強調しました。
 「フレックスタイム制」の導入については、具体的な超勤縮減対策や総労働時間の上限規制など、実効ある措置を講じることが先決であり、人勧まで、国公労連等への結集を強め、一方的な導入を許さないたたかいを集中して強化することが求められていると呼びかけました。
 少年法の適用年齢の引き下げについては、少年法の「成人」年齢引き下げに反対するとりくみを広げていくとともに、少年の健全育成の基本理念を形骸化させない運動をさらに幅広く形作っていく観点から、今年度は司法制度研究集会の中で、少年法「改正」問題をテーマとして取り上げ、全地連・支部からの幅広い参加のもとで、議論を深めていくことを提案しました。
 出納官吏の弁償責任訴訟については、困難な状況にある組合員を組織全体で支援する立場から、引き続き全司法として訴訟を支援することを提案しました。
 組織の強化・拡大については、新採用職員の加入が伸びてきているこの流れを、一過性のもので終わらせることなく次年度以降も引き継いでいく好循環を生み出すため、各支部のとりくみの経験や教訓など、本大会で大いに意見交換することを呼びかけました。

日常活動を強化し、「互いを思いやる職場」に

 質疑・討論は、1日目から3日目の午前中まで続けられ、代議員・オブザーバーからのべ99の発言がありました。運動方針に対する意見や要望のほか、各機関のとりくみ報告や、次年度に向けた決意など、積極的な発言により本部方針は補強されました。
 組織強化・拡大の課題については、「一度の失敗で消極的になることなく、その失敗から打開策を見出し、前向きな気持ちでとりくみの手を緩めなかったことが、今年、大きな成果として花開いた」との発言があり、継続した勧誘のとりくみが重要であることを改めて確認しました。また、教宣紙の重要性についても複数の代議員から発言があり、「組合員に対するフォローアップの観点で教宣を発行している」といった工夫例が紹介されました。
 討論終了後、阿部書記長が総括答弁を行い、「労働組合として、やるべきことはすべてやる努力を行うこと、要求実現と組織の強化・拡大の課題を一体のものとしてとりくむこと、互いが互いを思いやり、困った人を見過ごさず手を差し伸べること、職場に全司法の風を吹かせ、要求の前進、組織の拡大に向けて、それぞれの持ち場で、お互いに力を尽くす決意を固め合うこと」を呼びかけました。
 なお、徳島支部からは、出納官吏の弁償責任訴訟の原告・木村惠一さんに対し、全司法から貸付を行う旨の3号議案に対する修正案が提出されましたが、同提案趣旨を踏まえ、貸付を行う方向で検討する旨の本部の総括答弁があったことから、徳島支部は修正案を撤回しました。

委員長に中矢氏、副委員長に門田氏を選出

 引き続いて行われた採決では、全ての議案が満場一致で可決されました。
 また、本大会では「中長期的な視点に立って、安定した執行体制を確保する」こと等を目的に離職専従役員として、中矢正晴さん(大阪)を中央執行委員長に、門田敏彦さん(福岡)を国公労連派遣の副委員長に選出しました。

 
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門田委員長あいさつ(要旨)
働く者の権利の守り手として
 
門田委員長
 この1年間、様々な厳しい情勢のもと、全国の職場と地域で要求の前進のために奮闘してこられた仲間のみなさんに敬意を表します。
 安倍政権は安全保障関連法案(戦争法案)を国民多数の反対を押し切って、数の力で衆議院を強行採決しました。これは、許しがたい暴挙です。この法案は、いつでもどこでも、「切れ目なく」米軍の行う戦争に自衛隊を参戦させることができる内容で、国会審議の中で憲法違反であることが明確になっています。にもかかわらず、安倍首相は、国会審議の答弁で「これは合憲」であると詭弁を弄しています。
 「もう二度と戦争はしない」、それが戦後の出発点であり、その上に立って平和憲法を制定し、世界に向かって発した約束です。戦争は最大の人権侵害です。戦争法案の成立を許すか許さないかは、今後の私たちの運動と世論動向にかかっています。戦争法案の廃案にむけて、引き続き中央、各地での行動への参加を呼びかけます。
 安倍政権が今国会に提出した労働者派遣法改悪法案は、企業がいつまでも労働者を派遣で使い続けることができるもので、正規から派遣への置き換えがさらに拡大し、日本を低賃金の使い捨て労働が当たり前の社会としてしまうものです。また、政府は、残業代を払わなくてもよい仕組みをつくろうとしています。これが許されれば、企業は働く人々にいっそうのノルマを課し、長時間・過密労働を強いることとなり、過労死やメンタル不全がさらに横行する社会になってしまいます。この法律は私たち公務で働く労働者にとっても大きく影響してきますので、官民共同の運動を引き続き強めることが重要となっています。
 そのほか、原発再稼働反対の運動、辺野古新基地建設阻止の運動、TPP交渉をめぐる運動など、日本の行く末を左右するいくつもの重要な課題が、大きな山場を迎えています。これら国民的な課題は、私たち一人一人が向き合わなければならない課題でもあります。
 「全司法大運動」については、これまで衆参あわせて33回の請願採択を勝ち取り、今年度も45人もの紹介議員を得、私たちの主張への理解が確実に広がっています。全司法にとっては、この到達点も踏まえ、職場諸要求実現のとりくみを職場から実践することが重要課題となっています。予算定員については3年連続して前年を下回っていますが、他省庁と比し一定踏みとどまっている側面を押さえておく必要があります。最高裁が定員削減に協力している姿勢を改めさせるため、各級機関が要求組織をしっかり行い、交渉をはじめ、職場からの運動の積み上げが大変に重要です。
 組織に関わっては、各地で特徴的なとりくみの状況が生まれています。新採用職員については全国的に昨年を上回る加入を得ており、青年を中心にしながら支部や地連、分会などの奮闘によって貴重な成果をあげています。また、若い人たちが、全司法の運動を担ってきている状況も生まれています。次世代を担う人材を育て、早ければ5年後、平均的には7、8年後に迎える大量退職期を見据えて、今後も運動構築をはかりながら、組織を強化していかなければなりません。
 全司法は、1947年の結成以来、労働条件改善と働く者の権利の守り手として、裁判所における唯一の労働組合として、様々な困難を乗り越え要求の前進を勝ち取り、運動を積み重ねてきました。そのことに確信と誇りをもち、今後も要求実現のため、運動を継承し、組織の発展にむけてとりくみをすすめていこうではありませんか。
 
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総括答弁(要旨)
困った人を見過ごさず、「やるべきことはすべてやる」努力で要求と組織の前進を!

情勢

総括答弁する阿部書記長

情勢の変化に確信を

 安倍政権は、国民の反対の声を無視して戦争法案の衆議院での強行採決を行った。戦後70年を迎えた今、日本の平和と立憲主義はかつてない危機に瀕している。一方で、国民的な反対の運動も大きな高まりを見せている。安倍政権の支持率も急落しており、私たちの平和を求める運動は着実に安倍政権を追い詰めている。国民的な運動が大きく広がりを見せる中で、情勢は確実に変化していることに確信を持ち、各地で展開される様々な集会や行動に私たちも積極的に足を運び、憲法の平和原則を守るたたかいに全力を挙げる決意を固め合いたい。
 労働者派遣法改悪など、労働法制の改悪の動きに対しても、国民的な運動が大きな盛り上がりを見せている。現在の深刻な労働実態を招いてきたのは、財界・大企業が唱える新自由主義と「構造改革」路線である。企業の社会的責任を果たさせ、誰もが安心して働き続けられる社会の実現こそが今求められている。民間の労働破壊は、いずれ公務に持ち込まれる可能性もある無視できない問題であることから、民間の仲間と手を取り合い、ともに反対の運動を盛り上げていく必要がある。

全司法大運動会

長年のとりくみで理解と共感、広がる

 これまでの運動の枠にとどまることなく、職場内の署名集約をはじめ、外部団体や地域にも足を運び、国会議員への要請も積極的に行いながら、署名数の向上と国民世論の形成をめざし、全ての支部でとりくんでいくことを確認したい。長年のとりくみが法務委員を中心とした国会議員の理解と共感につながり、多くの紹介議員を得ることにつながっている。今後も、地元や中央での議員要請を継続するとともに、とりくみの広がりを作っていこう。

賃金引き上げ

賃上げの好循環を作ろう

 625万人もの労働者に影響する人事院勧告で、大幅賃上げと諸手当改善が勝ち取れるよう、国公労連等に最大限結集し、最後まで追及を強めることが重要である。公務員の賃上げが民間賃金の引き上げにつながり、さらに翌年の公務員賃金の改善につながる好循環を作っていくため、最後までとりくみを強化していきたい。

少年法

適用年齢引き下げに反対

 全司法は、少年法の理念を守ることを「国民のための裁判所」実現の課題としてとりくんできており、これまでの「厳罰化」の動きに対しては「少年の健全育成」という法の理念を守る立場からとりくみをすすめてきた。少年法の適用年齢引き下げについては、社会的・経済的に自立しているとは言えない18歳、19歳を「健全育成」の対象から外し、未だ可塑性に富む若年層を社会的に更生させる機会を奪うものであり、到底容認できるものではない。今年度開催の司研集会では、少年法「改正」問題をテーマとして取り上げ、全地連・支部からの職種を超えた幅広い参加のもと、議論を深めていきたい。また、この秋の動きを注視しながら、必要な時期に、必要な行動を配置することを前向きに検討していきたい。適用年齢引き下げが決定される前にアクションを起こさなければならないことから、会議や集会の形だけにこだわらず、議員要請行動等のとりくみも視野に入れ検討していきたい。

職場諸要求

最高裁回答を活用し、地連・支部の奮闘を

 必要な人員を勝ち取っていけるかどうかは、これからの秋のとりくみでの地連・支部の奮闘にかかっている。諸要求貫徹闘争期の「最大限の努力姿勢」をはじめとする最高裁回答を活用するとともに、職場実態を丁寧に訴えながら、必要な人員配置や増員を求めていってもらいたい。
 労働時間・超勤縮減の課題に関し、全司法の強い反対にもかかわらず、朝型勤務が一部の庁・職場に導入された。当局の検証結果については全司法にも開示させるとともに、労働組合の視点でも検証を行っていくことが必要である。問題点の洗い出しをすすめ、次年度以降、一方的な導入を許さないとりくみを強めていきたい。「フレックスタイム制」についても、人事院は8月の人勧に向けて検討をすすめている。問題の多い制度であることから、国公労連等への結集を強め、一方的な導入を許さないとりくみを最後まで強めていきたい。
 昇格改善に向けては、昇格闘争の再構築をはかる観点から、昇格データの整備に努めるとともに、現場からの個別具体的な追及の強化を要請しておきたい。また、昇任・昇格への評価結果の活用を踏まえ、該当者の昇格時期を意識した評価の運用を求めていくことも重要である。

職種

出納官使訴訟を全体で支援

 出納官吏の任命等の問題について、引き続き職場での運用の実態等の報告も得ながらとりくみを強めていきたい。また、「出納官吏の弁償責任訴訟」についても、裁判勝利に向け、全司法全体で支援していくことを確認しているが、支援カンパについても最大限の協力を職場に呼びかけてもらいたい。

女性の運動

女性が集まる場を作ろう

 真に女性が働きやすく、力を発揮できる社会の構築が叫ばれ、裁判所職員の女性の比率も高まる中、機関会議や要求、組織方針の中への女性の意見の積極的な反映と、女性の視点に立った運動の構築が求められている。女性の主体的な力の発揮も必要だが、まずは女性同士が集まれる場を作り、気軽に話し、相談できる受け皿を作っていくことが大切である。

組織

日常活動の充実・強化が不可欠

 新採勧誘をはじめとした組合員拡大、そのとりくみでの青年の役割の重要性、教宣紙の活用の重要性、日常活動の充実・強化に向けたとりくみについて、多くの前向きな発言をいただいた。その上で、「全司法組織強化・拡大プロジェクト」で提起した日常活動の充実・強化のとりくみの実践なくして、組合員拡大に結びつくことはないことを改めて指摘しておきたい。労働組合として当たり前の活動を当たり前に行っていくこと、職場に全司法の存在をしっかりアピールし、職場に根ざした活動を続けていくことが重要である。組織強化・拡大に向けては、「これを行ったら一気に組合員が倍増する」というような方策はあり得ない。日々の地道なとりくみをコツコツと真面目に続けていくことが大事である。明るく、楽しく、元気よく、日々の活動をがんばっていこう。

最後に

「担い手」を作ることが重要

 私たちと同じ思いで様々なとりくみに協力してくれる仲間を職場に増やし、要求実現と組合員拡大の「担い手」を作っていくことが、来る大量退職・大量採用期を展望する上で、決定的に重要である。労働組合として「やるべきことはすべてやる」努力と、要求実現と組織強化・拡大を一体の課題としてとりくむこと、互いが互いを思いやり、困った人を見過ごさず手を差し伸べること、職場に全司法の風を吹かし、要求前進、組織拡大に向けて、それぞれの持ち場でお互いに力を尽くす決意を固め合い、ともにがんばっていこう。

 
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全司法第34回機関紙コンクール審査結果
 

 定期大会にあわせて、第34回機関紙コンクールが開催されました。
 応募紙は全体で25紙と昨年を下回りました。次年度以降、積極的な応募を期待しています。
 審査結果は、記事の内容、レイアウト、発行態勢など、いずれをとっても静岡支部が群を抜いていました。「全司法静岡」(第1部門)、「するが」「あしたか」(第2部門)、「ちゃっきり娘」(第3部門)、いずれの部門に応募されたものも全て高い水準にあり、文句なしで最優秀賞に決定しました。審査にあたった本部役員からも「これが、配布される静岡支部の組合員は幸せ。それだけで、加入しているメリットは十分にある」といった声が出されていました。まさに、全国のお手本になる機関紙活動です。
 教宣紙は労働組合の活動を組合員に伝えるための重要なツールです。編集・発行には、一定の時間と労力を必要としますが、それだけの意義や効果がある活動です。ぜひ、すべての機関で教宣紙の発行を目指しましょう。

 
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門田さんから中矢さんへ
次の時代を視野に、委員長バトンタッチ
 

ガッチリと握手する新旧委員長

 本大会では、様々な課題を抱えるもとで4年間、奮闘された門田敏彦さんが委員長を退任され、全司法が組織の決定に基づいて選出する初めての離職専従委員長として中矢正晴さんが選出されました。

全国の仲間の奮闘で前進を感じた
前委員長 門田敏彦

 今大会をもって委員長を退くことになりました。「光陰矢のごとし」、改めて振り返りますと、あっという間の4年間だったように感じています。
 私が委員長に就任した2011年は、東日本大震災と福島第一原発事故が起こり、その被害が深刻な状況にありました。また、それを奇貨として「公務員賃下げ特例法」を強行成立させた経過などについては、今でも脳裏に焼き付いています。世間では、公務員バッシングが吹き荒れ、賃下げされても当然といった風潮がありましたが、こんな無権利状態を許すわけにはいかないと、全司法から40名もの組合員が原告として訴訟に参加していただいたことは、今でも私の大きな誇りです。
 また、要求を前進させることが大きな役割である労働組合の運動の力というものを実感した4年間でもありました。それは、職場に根ざした要求組織が、各庁当局を動かし、最高裁に前進的な回答をさせてきたことを何度となく直接見聞きすることができましたし、「全司法大運動」の請願署名が衆参両院で再び採択を勝ち取る運動の到達点を実際に見ることができたからです。その意味では、全国の仲間のみなさんのご奮闘なしにはあり得ない前進であったと感じています。
 公務員バッシングは、まだ衰えることを知りませんが、そもそもバッシングは、利益を得ようとするものが相対する勢力を分断することで力を削ぎ落すことが大きな狙いです。「百年清河を俟つ」ことは愚者の姿勢であり、何も生み出すものはありません。この間、「公務員賃下げ違憲訴訟」や社会保険庁解体に伴う分限免職に、国公労連に結集して果敢にたたかってきました。その成果は、今の情勢に照らせば大きなものがあったと思います。
 全国の仲間のみなさんに支えられてここまでくることができました。特に九州、福岡のみなさんには物心ともに大きなエネルギーをいただいたことに感謝をしています。
 今後、私も全司法を支えていく所存ですが、中矢新委員長を先頭に、全国の仲間のみなさんからの引き続くあたたかいご支援と運動への結集をお願いしまして、お礼の言葉といたします。

次世代に組織と運動を継承するために
新委員長 中矢正晴

 今大会で中央執行委員長に選出されました。吉田博徳元委員長が1980年に退任されて以来、35年ぶりの離職専従の委員長となります。
 1986年に採用されてから約30年間勤務した裁判所を退職し、自分なりにやりがいを感じてとりくんでいた裁判所書記官の職を辞して、全司法の仕事に専念することを決意したわけですが、それは、この仕事が、裁判所での仕事に負けず劣らず大事な仕事だと思うからです。
 雇用されて働く者が、自分たちの職場のあり様について、発言することができる仕組みを持っていることは、どれだけ貴重で、大切で、何に代えても守らなければならないものかということを、私は全司法の活動や他の労働組合と一緒にとりくんだ経験からはもちろんのこと、職場で起きる様々な出来事を見る中で学び、感じてきました。
 それだけではなく、少し大げさな言い方になりますが、裁判所に全司法という労働組合が存在することは、日本の司法制度や労働運動にとっても必要なことだと思っています。
 今、全司法は「組織強化・拡大プロジェクト」の方針のもと、大量退職・大量採用の時期を目途に、組織を再生させ、運動の継承・発展をめざすとりくみに全力をあげています。これが、これからの私の仕事になります。
 私自身、先の大量退職・採用期の入り口で採用され、1992年の「3・18見解」が出された時期に26歳で最初の本部専従を務め、全司法青年協を結成したこと、職員制度が課題となり、公務員制度改革・司法制度改革が始まる直前の時期に30歳台前半で本部書記長であったこと、そして今、50歳を超えて後進を育てる立場で本部役員になっていることに鑑 みると、この仕事は自分が担わなければという決意を持ちました。
 私たちは、先輩から全司法を引き継ぎ、全司法に守られて裁判所で働いてくることができました。この組織をきちんとした形で渡すことが、次の世代のためにできる、最大のプレゼントだと考えています。
 そうは言っても、私一人でやる仕事ではありません。
 全国の組合員、各級機関の役員のみなさんと一緒に、裁判所の内外のみなさんのご支援もいただきながら、一歩ずつ前進していきたいと思います。
 よろしくお願いします。

 
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夏季闘争7・24中央行動
賃上げ・「戦争法案」反対等で1日行動

賛同学者が1万2千人に

猛暑の日比谷野音で総決起集会

 7月24日、全労連・国民春闘共闘・公務労組連絡会などが主催して、労働法制改悪・戦争法制阻止、最賃1000円への引き上げ、公務員賃金改善などを求めて、中央行動が実施され、全国各地から1800人の仲間が結集しました。全司法は東京・中部地連から合計7名、岡山支部の1名を含め、在京、本部から15名が参加。午前11時から参加者全員で出発集会を行い、本部の中矢新委員長から中央行動の課題や要求について説明を行ったうえで意思統一し、行動に参加しました。
 12時15分、強い日差しが照りつける猛暑のなか、日比谷野外音楽堂で労働者総決起集会が開催され、7・24中央行動がスタートしました。集会では、安保法制法案(戦争法案)が衆議院を通過した直後ということで、「戦争法案に反対する学者の会」の呼びかけ人である専修大学教授が登壇し、賛同する学者が1万2千人にのぼり、反対の声と運動が大きく広がっていることが報告され、ともに粘り強く行動していこうと連帯あいさつを行いました。また、主催者からの報告で、労働者派遣法「改正」法案が、これまでの私たちのたたかいで、参議院での審議がすすんでいない状況の報告があり、廃案にむけてさらにとりくみを強めることを全体で確認しました。

フレックスタイム制阻止を求めて

 その後、最低賃金引き上げと労働法制改悪反対を求めて厚生労働省前要求行動が実施されたのに続いて、公務員賃金改善と「フレックスタイム」制導入中止が求めて人事院前要求行動が実施されました。両行動とも官民共同で行われ、民間と公務が力をあわせて、雇用を守り、すべての労働者の大幅賃上げを勝ち取ろうと確認し合いました。また、職場でとりくんだ「公務員の賃金改善署名」13万筆を公務労組連絡会の代表が人事院に直接提出しました。
 途中、急な雷雨に見舞れましたが、負けることなく、参加者全員で「戦争する国」づくりを許すな、労働法制改悪反対などをシュプレヒコールしながら、国会請願デモを行って中央行動を締めくくりました。

 
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「戦争法案」反対・「アベ政治を許さない」が共通の思いに

「どこから見ても憲法違反」が明白に

連日、大勢が詰めかける国会前

 政府・与党は7月15日に衆議院特別委員会で、16日に同本会議で安全保障関連法案(「戦争法案」)の強行採決を行いました。採決日には約10万人が国会前に集まって抗議し、衆議院通過後も反対の運動がさらに広がるもとで、今、法案は参議院で審議されています。
 国民の批判が高まる中で安倍首相は採決直前に「国民の理解が進んでいる状況ではない」と述べました。しかし、実際には「理解が進めば進むほど、反対の声が広がっている」のが今の情勢です。
 国会審議などを通して、この法案が日本の防衛とは関係なく、アメリカの戦争に日本が積極的に荷担していくものであり、派遣された自衛隊員が戦闘行為に加わって戦死するリスク、日本国内もテロの標的にされるリスクが高まることが明らかになりました。また、政府があれこれ説明する「歯止め」も実際には意味がなく、どこから見ても憲法違反であることが明白になっています。
 しかも、前代未聞の長期の会期延長、強行採決、あいまいな答弁、マスコミに対する与党議員の恫喝なども含めて、どれほど国民の反対が広がっても押し切ろうとする姿勢は、もはや憲法や平和の問題というよりは法治国家の否定、独裁政治の様子を見せています。

追い詰められたことの現れ

 一方で、こうした暴走は、安倍政権が追い詰められていることの現れでもあります。
追い詰めているのは、運動の広がりです。「戦争法案」だけでなく、労働法制、社会保障、TPP、原発、沖縄の基地問題など、多くの課題で「STOP!暴走政治」「アベ政治を許さない」といった言葉が多くの人たちの共通の思いに広がってきました。最近の世論調査では、安倍内閣に対する不支持が支持を上回る結果が出ています。
 これからの日本のあり方をめぐって大きな岐路に立っています。組合員とその家族を守る労働組合として、安倍政権の暴走はけっして認めることはできません。全国各地で展開されている行動に積極的に参加し、「戦争法案」の廃案をめざすとりくみをすすめることが重要です。

 
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公務員の「働く権利」の一つとしてたたかう
出納官吏の弁償責任訴訟・第1回口頭弁論

「注意義務違反」はあったのか

経過説明と決意表明をする木村さん

 群馬支部木村惠一さんを原告とし、国を被告とした「出納官吏の弁償責任訴訟」の第1回口頭弁論が7月15日に開かれ、全司法本部、東京地連、在京・近県支部等から31名が傍聴しました。
 弁論では、最初に原告代理人から訴状等が、被告(国)の指定代理人から答弁書がそれぞれ陳述され、書証が提出されました。また、原告代理人から、今回の保管金横領事件を起こした元事務官の刑事記録について送付嘱託の申立てが行われました。
 その後、木村さん本人が意見陳述を行い、本件が、定員減少等があった職場で起こった事件であること、「善管注意義務違反」がないことについて述べた後、「会計法と会計検査院法の規定に従った処分ということですが、国家賠償が職員に求償される場合には職員に故意・重過失がある場合に限定されています。本件は第三者である元事務官の故意による犯罪の結果による亡失であり、会計法の制定趣旨もこのような場合まで想定されていないはずです。本件のような事案で適用されるのは、過酷すぎるものと考えます。私にそれ程の責任があるのかどうか、本裁判でぜひ公正に審理していただきたいと考えています」と陳述しました。

検閲から外していたことを認める

 弁論終了後に開催した意思統一集会では、代理人弁護士から「国家賠償が故意または重過失の場合に職員に求償することになっているのに、出納官吏だけが軽過失でも弁償させられる、あるいは、民間の金融機関で従業員が弁償させられるのも故意または重過失の場合であることから考えると、会計法の規程は憲法が定める『法の下の平等』に反する」「国は答弁書の中で、『元事務官から直接課長補佐へ閲覧を回すという取扱いを行っていた時期がある』として、木村さんを検閲から外していたことを認めている。『最終検閲者(所長)の検閲後に、日計表を確認することができていた』としているが、事務処理の実態としてあり得ない」と指摘し、「木村さん一人の問題ではなく、公務員が安心して仕事をするための『働く権利』の一つととらえて裁判に臨みたい。みなさんもぜひ、そうした立場で運動をすすめていただきたい」と述べられました。
 次回の口頭弁論は9月16日午後1時30分です。

 
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