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全司法新聞
 
公務員の「無権利状態」は認めない!
「賃下げ違憲訴訟」控訴審スタート
 
控訴審勝利にむけ決意を固めあった報告集会
 「公務員賃下げ違憲訴訟」第一審判決から約8か月が経った7月8日、東京高等裁判所101号法廷で控訴審の第1回口頭弁論が開かれました。この日の昼休み、国公労連は、東京高裁前で宣伝行動を行い、その後、裁判傍聴行動と報告集会を実施しました。行動には公務の仲間や民間の仲間も駆け付け、130人が結集しました。全司法からも3人の控訴人のほか、本部、在京支部から15名が参加しました。

「賃下げ」追認の一審判決

 2012年4月から2年間、労働基本権制約の代償措置とされる人事院勧告に基づかず平均7・8%もの賃下げを国家公務員に押しつけた「賃下げ特例法」について、東京地裁民事第19部は昨年10月30日、合憲であると判示し、国公労連との団体交渉における誠実交渉の義務も認めず、原告の請求をすべて棄却する判決を言い渡しました。
 それは、被告である国の言い分を鵜呑みにし、「厳しい財政事情」や東日本大震災の「復興予算確保の必要性」という一般論のみを根拠に、賃下げを追認する判決でした。
 政府は人事院勧告制度そのものを廃止する方向を打ち出していたにもかかわらず、政府や国会議員が人事院勧告制度を尊重する姿勢を示していたという事実と異なる認定さえ行っています。
 こうした不当な第一審判決に対して、国公労連及び原告団、弁護団はただちに控訴し、この日の控訴審第1回口頭弁論を迎えました。

8000億円の法人税減を決める一方で

 口頭弁論では、控訴人を代表して国公労連宮垣委員長が、弁護団を代表して加藤健次弁護士がそれぞれ意見陳述を行いました。宮垣委員長は、第一審の裁判の中で明らかとなった、給与減額によって国家公務員の被害の実態を述べ、そのことを無視した原判決を批判。また、2年間に及ぶ国家公務員の給与減額が総額約5800億円なのに対し、復興特別法人税の廃止による税収減が約8000億円にのぼっている事実を示し、何のための賃下げだったのかと大きな疑問を呈しました。続いて、加藤弁護士からは、(1)従来の最高裁判決(1973年の全農林警職法事件等)との整合性を無視しないこと、(2)前代未聞の減額措置に対する政府の説明責任が果たされていないことを認定すること、(3)労働基本権制約で対抗手段を奪われ代償措置も無視された上、民間労働者に適用される法理すら適用されなかったことは、公務労働者を無権利状態に置くものであるなど主張しました。
 今後は、控訴人側が請求している4人の証人と9人の控訴人調べの採否、国側の意見書への反論などを予定しています。次回は、10月14日午前10時30分からです。

署名とハガキ行動に全力を

 口頭弁論終了後、日弁連会館において報告集会を開催。弁護団の小部弁護士から今回の控訴審の内容やポイント等について説明が行われ、続いて2名の控訴人(全労働、全通信各1名)から決意表明がなされました。
 閉会にあたり、国公労連岡部副委員長が行動提起を行い、8月末が第1次集約となっている公正な判決を求める署名のとりくみ(目標:個人30万、団体1万)をすすめることとあわせ、証人の採用を求める要請ハガキ行動が新たに提起され、全力でとりくむことを、参加者全員で確認しました。最後に、団結ガンバローで1日の行動を締めくくりました。

 
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大幅賃上げ、「フレックスタイム制」導入中止を要求 人事院勧告期の最高裁交渉
 
国公労連統一要求で春名給与課長と交渉

賃金・手当

民間は2年連続の賃上げ
 全司法本部は7月3日、人事院勧告にむけた重点要求の前進をめざし、最高裁春名給与課長と交渉を実施しました。
 賃上げ要求に対し、「経団連の大手企業を対象とした調査によれば、今春闘における賃上げ率は最終集計で2・52%と2年連続で2%を超え、また、今夏の一時金については第1回集計で前年同期比2・43%増であった」とした上で、「生計費の維持、確保という観点から、賃上げに向けた強い要望を持っていることは認識しており、職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
 また、各種手当の改善要求に対しては、「人事院の動向を見守っていきたい」と回答しました。

再任用・高齢層の賃金改善

生活に大きな影響を与えると認識
 再任用職員の賃金水準引き上げの要求に対し、最高裁は、「昨年の人事院勧告では、各府省における今後の再任用制度の運用状況を踏まえ、諸手当の取扱いを含め、再任用職員の給与の在り方について必要な検討を行っていくこととすると報告されたところであり、引き続き人事院における検討の動向を注視してきたい」と回答しました。
 高齢層の賃金抑制の是正要求に対しては、「勤務成績が標準(昇給区分C)の場合には昇給しないこととされたところであるが、更に、本年4月1日から、行政職(一)3級以上の高位号俸について、50歳台後半層における官民の給与差を考慮して最大4パーセント程度俸給月額が引き下げられた。これらが職員の生活に大きな影響を与える問題であることは十分認識しているところであるが、国家公務員全体の問題であって、裁判所の独自性を主張できるようなものではないことは理解してもらいたい。要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。

フレックスタイム制

裁判所の特性を踏まえ、検討
 最高裁は、「人事院における検討状況について情報の入手に努めるとともに、裁判所における職務の特性や組織の特殊性を踏まえ、裁判所における対応についての検討をすすめる必要があると考えており、引き続き人事院の動向等を注視している」と回答しました。
 この回答を受けて、現在、人事院が検討している「新たなフレックスタイム制」は労働基準法に定めるフレックスタイム制とはあまりに異なった単なる変形労働時間制であり、公務の実態からはデメリットが大きいことから、導入に向けた検討を中止するよう人事院に働きかけることを要求しました。これに対し最高裁は「職員団体の要望は承る」と回答しました。

 
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15人勧でフレックスタイム制 一方的な導入は認められない
 

 人事院は、8月上旬に予定される人事院勧告に向け、公務のすべての職員を対象とした「フレックスタイム制」導入の検討をすすめています。しかし、「フレックスタイム制」の導入は、職場にさらなる長時間・過密労働やただ働き残業の増加をもたらし、職員の健康破壊につながることが懸念されています。

民間なら労使協定で決める

 政府は、昨年10月に「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス(WLB)推進のための取組指針」を決定し、「女性の活躍とWLBの推進」に向けた「働き方改革」をすすめようとしています。同指針では、「柔軟な働き方」を実現するためとして、すべての職員を対象とした「フレックスタイム制」導入の検討が人事院に要請されていますが、これを受けて人事院は、2015年勧告に盛り込む狙いで、検討をすすめています。
 一部民間企業では既に、労働基準法に定めるフレックスタイム制が導入されていますが、その導入や運用は労使協定に委ねられ、出退勤時間等を労働者が決められる制度となっています。片や、公務に導入されようとしている「フレックスタイム制」は、国家公務員の場合は労使協定が締結できない上に、勤務時間は所属長の権限で割り振るとなっていることから、使用者の都合による一方的な押し付けで職員を働かせることも可能な制度です。私たちの労働条件の柱をなす「勤務時間」にかかわる重要な課題であることから、一方的な制度導入は認められるものではありません。

ただ働き蔓延の恐れ

 実際の運用を想定した場合でも、様々な問題点が浮き彫りになります。4週間で155時間、コアタイムとフレキシブルタイムに分けられた勤務時間が提案されていますが、一人ひとり異なる勤務時間や超勤時間の管理・把握が困難となり、ただ働き残業が蔓延するおそれがあります。また、特定の時間帯で人員が手薄になることから、チームでの業務実施体制の脆弱化につながり、労働強化と司法・行政サービスの低下が懸念されます。加えて、官庁執務時間は変わらない中で、裁判所では開閉廷時間との関係から「フレックスタイム制」は馴染むものではなく、さらに、2人庁を含め小規模庁が全国に点在する中で、すべての職場を対象とすることは事実上困難です。この他、労働時間の弾力化で不規則となる生活がもたらす職員の健康破壊、在庁時間延長にともなう光熱水量の経費増や庁舎管理体制の新たな構築等、多くの問題点が指摘できます。
 女性活躍やWLBの推進を目的とするのであれば、「フレックスタイム制」導入よりも、実効ある超勤縮減対策や総労働時間の上限規制などの措置を講じることが先決です。8月の人勧まで、国公労連等への結集を強め、一方的な導入を許さないたたかいを集中することが求められます。

 
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実践から学び、交渉・行動 国公青年セミナー

自分たちの労働条件を学ぶ

全国の国公職場から、青年組合員集まる

 6月19日〜20日、国公労連青年運動推進委員会が主催する「2015国公青年セミナー」が東京都内で開催され、全国から40人(全司法は5人)が参加しました。
 1日目は、国会議員会館の会議室に集合し、賃下げ違憲訴訟弁護団の山添拓弁護士から「国家公務員の労働条件はどのように決まるのか」というテーマで講義を受けました。
 続いて、労働基準監督官でもある全労働の中玉利さんから「労働法制の改悪と私たちの労働条件」というテーマで講義を受けました。

切実な職場実態を訴える

 その後、3つのグループに分かれ、国会議員要請、人事院交渉、内閣人事局交渉にとりくみました。全司法からは、人事院交渉と内閣人事局交渉に参加し、青年をとりまく職場実態を自らの言葉で直接訴えました。
 人事院交渉では、「寒冷地手当や通勤手当について、地域の実情が反映されていない。地域の特性に応じた柔軟な対応を行うこと」「非常勤職員について、一律3年ルールを撤廃し、休暇制度や諸手当の改善を行い雇用の安定と均等待遇に努めること」「初任給について、若手職員のモチベーション低下に繋がらないよう見直しを行うこと」など、青年の切実な要求を訴え、「青年層の現状を真摯に受け止めたい」との回答を引き出しました。
 内閣人事局交渉では、切実な職場実態を訴え、「職場は圧倒的に人が足りていない」との発言が相次ぎました。当局の回答は、合理化の数値目標を挙げつつ、政府の言う人件費削減の一点張りで、現実の労働環境に踏み込まない不十分なものでした。

参加者全員でブログを掲載

 2日目は、「伝えよう!ブログで!自分たちの言葉で!」をテーマに、グループワークにとりくみました。
 6グループに分かれ、各講義や行動の内容を振り返ってブログ記事としてまとめ、発表しました。各記事は国公労連の公式ブログ「くろすろーど」に掲載されています。
(http://ameblo.jp/kokkororen/)

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参加者の感想

 全司法の参加者からは、「人事院や内閣人事局との交渉は貴重な機会であり、今後とも続けてほしい」「講義やグループワークについては、時間が短く感じるほど充実していた」「他単組との交流を通じて、他の行政庁の実態等を知れてよかった」「次回も参加したいし、全司法からの参加者が増えた方がいいと思う」などの感想が寄せられました。

 
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憲法無視を許すな 「戦争法案」は廃案に!

国民を危険にさらす法案

戦争法案に反対して国会周辺に集まった人々(6・24)

 安全保障関連法案の今国会での成立に向けて、安倍政権の暴走ぶりが際立っています。
 この法案は日本の防衛とは関係なく、「関係国が戦争をしている際に、日本が戦地での兵站活動を行い、自国だけでなく関係国の軍隊が攻撃されれば反撃する」ことを可能とする内容です。「戦争法案」そのものであり、憲法の平和原則に違反することは明らかです。
 6月4日の衆議院憲法審査会では、参考人になった3人の憲法学者全員が「違憲」と指摘し、その後も学者や弁護士など、法律の専門家の圧倒的多数が「違憲」との表明を行っています。
 また、民主党や共産党、社民党などの野党が反対するだけでなく、元自衛官や、自民党の元幹部を含めた多くの人たちから批判の声が出ているのも、日本を戦争に巻き込む恐れが強いという、この法案の危険性をふまえれば当然のことです。
 元内閣法制局長官の阪田雅裕氏は6月22日の衆議院特別委員会で「国民を守るというよりは、進んで国民を危険にさらすという結果しかもたらさない」と指摘しています。
 武力行使の「新3要件」を満たしているかどうかの判断は政府に委ねられており、ベトナム戦争やイラク戦争のように米国が違法な戦争をしかけた場合でも、日本が参加する危険性が国会審議を通して示されました。

日本のあり方をめぐる岐路

 安倍政権が強行採決に向けて突きすすむ一方で、これに反対する運動も従来にない広がりを見せています。これまで別々に活動してきた団体が、安保法制反対の一点で共同のとりくみを展開し、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)などの若者の行動も注目されています。また、最近の世論調査では、安倍内閣に対する不支持が支持を上回る結果が出ています。
 憲法98条は「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」と定めています。また、政治権力は憲法によって拘束されるという立憲主義は、近代憲法の基本原理です。憲法尊重擁護義務を負った国家公務員の、しかも、法律の仕事をしている裁判所職員の労働組合として、「憲法など関係ない」との姿勢で法案を成立させようとする暴走を認めることはできません。
 今まさに、これからの日本のあり方をめぐって大きな岐路に立っている時です。各地で展開されている「戦争法案」の廃案をめざすとりくみに、積極的に参加していきましょう。

 
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