全司法は、7月20日から22日まで、新潟県越後湯沢において第72回定期大会を開催し、向こう1年間の運動方針と財政方針等を決定します。私たち国家公務員を取り巻く情勢は依然厳しいものがありますが、公務員の賃金引き上げを実現するとともに、人事院が検討している「フレックスタイム制」導入の阻止などに向けたとりくみが重要となっています。裁判所においても、提起される紛争が複雑化、困難化の度合いを深めている中、人的態勢を整備するとともに、働き方の見直しによる超勤縮減や健康管理等が重要な課題となっています。職場諸要求実現と組織の強化・拡大をはかるため、大会にむけて、職場・機関からの運動方針案の積極的な討議を呼びかけます。
一方的な労働条件切り下げは許さない
2012年4月から2年間、人事院勧告によらずに国家公務員の賃金を平均7・8%引き下げた賃下げ特例法は違憲・無効だとして提訴した「賃下げ違憲訴訟」は、2014年10月30日に東京地裁で判決言渡しが行われました。
判決は、人事院勧告制度を「国家公務員の労働基本権制約の代償措置として中心的かつ重要なもの」とし、平均7・8%もの賃下げが「国家公務員に予想外に打撃を与え、個々の国家公務員においては著しい打撃を与える場合もあり得る」としながら、「賃下げ特例法」を合憲とするものになりました。
この判断は、被告・国側の主張に基づいて「賃下げ特例法」を追認するため、無理やり理由付けしたものと言わざるを得ません。控訴審勝利に向けて国公労連が提起するとりくみに結集するとともに、一方的な労働条件切り下げを許さないとりくみを強化していく必要があります。
人勧に向け、とりくみを強めよう
人事院は夏の勧告に向け、公務への「フレックスタイム制」導入を検討しています。もともとフレックスタイム制は、労使協定によって出退勤時間を労働者が決める制度であるのに対し、人事院が検討している「フレックスタイム制」は、国家公務員の場合は労使協定が締結できない上に、所属長の権限で勤務時間を割り振るとなっていることから、本来のフレックスタイム制とは似て非なるものです。公務職場の多くがチームで業務遂行している状況下での労働時間の弾力化は、労働強化と司法・行政サービスの低下をもたらすものです。また、勤務時間管理や過重労働対策が困難となり、健康破壊がすすむ要因ともなりかねません。
公務の「フレックスタイム制」導入阻止に向け、夏季闘争のとりくみが重要となっています。
職場実態の把握と対話が重要
諸要求貫徹闘争でとりくんだ職場実態調査では、多くの支部から多岐にわたる報告が寄せられました。
全国の多くの家裁職場に対しては、この間、地裁からのシフトも含めた人的手当がなされ、一定の改善がはかられている一方で、全体として依然、繁忙な状況が続いており、これ以上の内部シフト等による手当ても限界であるとの声が挙がっています。また、庁舎新営・耐震改修案件の急増などにより、会計担当部署をはじめとした事務局においても繁忙度はいっそう高まっており、職場からは人的手当を求める声が多く挙がっています。
司法需要に的確に対処し、いっそう適正迅速な裁判を実現するためにも、職員の休暇等の取得や健康管理の面にもきめ細かく配慮する職場環境の整備が重要です。来年度概算要求に向けた最高裁の動きを注視するとともに、引き続き職場実態の把握と職場での対話を深めるなど、要求実現に向けたとりくみの強化が求められます。
一貫性、継続性を持った育成の仕組みを
人材育成については、組織全体で育成のイメージを共有するとともに、担当者任せにするのではなく、組織的な方針のもとに職員が等しく能力を伸長させる機会が与えられる仕組みを作ることが重要です。年齢や経験に応じた異動や配置のあり方と結びついたOJTを効果的なものにしていくことが重要な意味をもっています。
引き続き、中長期的な視点で、個々の職員の経験や資質に応じた一貫性・継続性を持った育成の仕組みを作ること、あわせて、人事評価制度も含めたこれらのとりくみについて、職員の理解がすすむよう、職場に対する丁寧な説明を行うよう求めていくことも重要です。
絆を強め仲間を増やそう
私たちの要求を実現させていくには、組合員の拡大が極めて重要となります。各地連・支部が職場での対話を通じて組合員個々の要求と誠実に向き合い、実現に向けて真摯にとりくむ中で、職場のつながりを広め、絆を強め、仲間を増やす不断のとりくみが重要となります。
全国大会では、大量退職・採用期を見据えて「全司法組織強化・拡大プロジェクト」にもとづき、組織強化・拡大に向けた意思統一をはかります。
職場・機関での討議を大会に
次年度運動方針案は、6月下旬に各分会に直送しています。実り多い定期大会となるよう、全ての機関・職場で運動方針案の積極的な討議をお願いします。 |