おいでやす全司法
プライバシーポリシー  
CONTENTS 全司法紹介 司法制度改革 少年法関連 全司法大運動 全司法新聞 声明・決議・資料 リンク サイトマップ
  トップページ > 全司法新聞 > 2015年6月 > 2219号
 
 
全司法新聞
 
情勢を学び運動に活かそう
第21回中央労働学校を開催
 
熱心に講演を聞く参加
 5月10日〜11日、第21回全司法中央労働学校を熱海で開催しました。機関役員対象にリニューアルして2年目。全国から62名が参加し、3人の講師による情勢や運動に関する講演を受けてグループ討議などで理解を深め、充実した学習の機会となりました。

平和国家のイメージ失われる


五十嵐仁さん

 五十嵐仁さん(元法政大学教授)の講演では、憲法をめぐる情勢について「戦後70年を迎え、核や戦争のない世界、不信や対立のないアジア、米軍や基地のない日本をどう実現するかなどが問われている中、安倍政権は、戦争法制と日米防衛協力の指針(ガイドライン)再々改定による実質改憲を行い、いつでも、どこでも、どのような戦争にでも関与できるようにしようとしている」と指摘し、「海外で戦争する国になった場合、平和国家としてのイメージが失われ、武力に頼らない平和構築の可能性を狭めるほか、自衛隊員の戦死リスクの増大や国費負担の増大など、様々な観点から不利益を生じることになる」と批判しました。
 また、政治をめぐる情勢については「派遣法改悪による生涯ハケンや労基法改悪による残業代ゼロ制度の導入などがすすめられており、国民の不安が高まっている中、国民的共同の可能性が広がっている」と指摘し、「何が問題なのかをわかりやすく伝えるための学習が重要であり、他人事ではなく我が事であることを自覚してもらうよう世論に働きかけることが重要である」と述べました。
 労働組合に対する期待として「雇用の安定や賃金の引き上げ、労働時間の短縮、社会福祉の充実など、労働組合固有の課題にとりくむことが求められており、とりわけ、全司法については、国民のための司法を実現するため、裁判所職員の大幅な増員をはかるとともに、裁判所の仕組みや自分たちのあり方について、職員の視点から発言し、提案してもらいたい」と呼びかけました。

代償機能の役割を果たしていない

盛永雅則さん

 盛永雅則さん(国公労連顧問、元人事院職員)の講演では、人事院の役割について、「人事行政の公正の確保と職員の利益の保護が人事院本来の役割であり、労働基本権制約の代償機能は国公法が改正された際に後から付加された役割である」と述べ、「職員の利益の保護については、超勤手当不払い請求を救済するなどの役割を果たす一方で、民間給与実態調査における調査対象企業規模の見直しや給与制度の総合的見直しなど、政府方針に従順な姿勢から、労働基本権制約の代償機能としての役割は十分に果たしてきたとはいえない」と指摘しました。
 講演の最後には、「裁判所職員は、裁判所職員臨時措置法によって、救済を求める先が最高裁になっている」ことを指摘し、「第三者機関による救済を求めることができない状況について問題意識を持ってもらいたい」と呼びかけました。
 中矢副委員長の講演では、全司法の歴史について、節目節目の出来事がどういう時代背景のもとで起きたのか、また、それに対して全司法が何を考え、どう運動を作ってきたのかについて解説し、第71回定期大会で確認した「大量退職・採用の時期に多数派を勝ち取るために、全司法の組織の再生・継承と運動の発展にむけて、計画的なとりくみを始めること」をあらためて確認し、活動の中核を担えるよう参加者に対し学習を深めることを呼びかけました。

第21回中央労働学校参加者の感想

政治に無関心ではいられない

五十嵐氏の講演

○安倍政権による問題点を講演いただき、自分の考え方に幅を広げていただいた気がする。世の中が変わっていく中で、全司法を含む労働者の権利が守られていくためにはどうすればよいのかをこれからの活動に生かしていきたいと思う。(大阪・Mさん)
○「知ること」の重要性を再認識することができた。知らなければ問題としての認識もできないため、知ることは活動する上での大前提であるのだと改めて感じた。(宮城・Hさん)
○集団的自衛権行使に関する安倍首相の解説をはじめ、こじつけやごまかしがあることを理解した上でどのような運動が有用なのかを考える必要があると思った。(鹿児島・Yさん)
○「政治は無関心でいることができるけど、無関係ではいられない」という言葉が印象的だった。やはり関心を持つべきだろうと改めて思った。(愛知・Nさん)

盛永氏の講演

○人事院の本来の役割について、根拠となる国公法を押さえながらわかりやすく説明していただいた。裁判所と人事院の関係についても初めて知り、問題点を認識することができた。(鳥取・Hさん)
○人事院について一から知ることができたのは良かった。人事院の設立から大きな視点でみていくことも必要と思った。分限免職の話はとてもびっくりした。(札幌・Yさん)
○人事院の役割や人事院勧告の仕組み等について、わかりやすかったし、理解が深まった。裁判所臨時措置法と人事院の関係はあまり深く考えたことがなかったので、よいきっかけとなった。(石川・Kさん)

中央副委員長の講演

○現在の職場は概ね満足しているが、それが多くの先輩方が勝ち取ってきたものだとわかり、全司法の意義を再確認できた。(秋田・Wさん)
○自分たちの要求の確立のために、今の時代の情勢を理解することの大切さを学んだ。ただ、情勢と要求を結びつけるのは難しいと感じた。(長野・S藤さん)
○歴史を詳しく教えていただき、諸先輩方のすばらしい活動で今の全司法があると思った。これからも継承して自分たちの権利実現や国民の要求が得られる活動が必要と思った。(山形・Kさん)

 
ページの先頭へ
 
独簡2人庁、出納官吏の責任、異動、昇格などで交渉
2015諸要求貫徹闘争第2回給与課長交渉
 
 全司法本部は、5月19日に最高裁春名給与課長と、「国民のための裁判所」実現、職員制度、採用・異動、昇格などの課題で、諸要求貫徹闘争における第2回交渉を実施しました。追及に対する主な回答は次のとおりです。
職種担当非常勤中執を含めて交渉

「適正な人員配置に努める」

「国民のための裁判所」実現

 小規模家裁本庁、地家裁支部及び簡裁の機能充実を求める要求に対して、「各庁各部署の実情等を踏まえた適正な人員配置に努めていきたい」との姿勢を示しました。
 司法サービス低下防止の観点から、支部や簡裁の定員削減、特に2人庁化となる安易な定員削減は行うなとの追及に対しては「各庁において、業務態勢の観点を踏まえ、また、当該庁における職員の任用配置の実情等も考慮して、個別具体的に検討」されているとした上で、「2人庁となる場合には、転送電話サービス契約、電話のコードレス受話器の整備、職員の一時不在時の来庁者向け案内表示といった少人数での執務にも対応できる設備の整備のほか、出張や休暇で職員が欠ける場合に必要に応じて近隣庁から職員を派遣できる態勢の検討を各庁で事前に行っている」と回答しました。また、本年4月現在で2人庁の独立簡裁が全国で28庁あることを明らかにしました。

管理職の出納官吏任命を要求

職員制度

 出納官吏の任命に関わって、その職責の重さから管理職で任命するよう求めたのに対し、「職責の重さはもとより、職務の内容や期待される役割等も踏まえ、当該部署の実情に応じて適切に任命されている」「辞令交付の機会等を利用して、会計官史及び同代理の職務と責任について十分な説明がされている」との認識を示した上で「出納官吏等の適任者は、課長や課長補佐等の管理職に限られるものではない」と回答しました。
 また、「出納官吏代理に関する運用要領」の柔軟運用を求める追及に対しては「(現金等の)保管責任の明確化をはかる観点からも、同要領に記載されたとおりの事務処理を行う必要性が高いものと考えている」との回答にとどまりました。
 その他、各職種の重点要求について、現場の実情を踏まえ追及しましたが、従前の枠内の回答にとどまりました。

「子育てに関して、配慮を行う」

採用・異動

 「裁判所における女性職員の採用・登用拡大計画」や裁判所特定事業主行動計画を踏まえ、「子育てに関して異動についての配慮を求めている職員に対して、可能な範囲で異動についての配慮を行うことにしている」とした上で、「今後も、仕事と家庭の両立に向けて、下級裁への指導を徹底していきたい」と回答しました。

「定数改定は予断を許さない」

昇格

 給与問題、とりわけ級別定数改定の問題が職員の処遇改善に直接関連する特に重要な課題であるとの認識を示す一方、「来年度予算における級別定数改定を巡る情勢は全く予断を許さないと言わざるを得ない」と回答しました。
 一時流用の運用については、「今後、現在の昇格運用が維持できるか予断を許さない」としながらも、「可能な限り現在の昇格運用が維持できるよう努力したい」との姿勢を示しました。
 また、職種ごとに昇格発令基準の緩和を求め、急激に定数が〓迫している書記官4・5級の級別定数の切り上げに向けた努力姿勢を示す一方、その他は従前の回答にとどまりました。

 
ページの先頭へ
 
「かけ声」だけではない具体的な施策を!
シリーズ重点要求・「働き方の見直し」
 
「労使一致した認識」

 超勤縮減をすすめることは当局にとっても、労働組合にとっても、重要な課題となっています。また、当局は超勤縮減をすすめるにあたって「男女を問わず、育児や介護等の家庭事情を有する職員がよりいっそう増加することが見込まれる中、個々の職員がワーク・ライフ・バランスを実現し…、職場全体における働き方を見直していくことが重要」(全司法との交渉での回答)だとしていますが、この点についても、健康で働き続けることができる職場、仕事と個人の生活を両立させることができる職場をめざしていくうえで、労働組合としても同様の認識を持っています。いわば、労使一致した認識となっているのです。
 そのために、具体的に、誰が何をするのかということが、今の課題です。
昨年の諸要求期の交渉で最高裁は、「事務総局内において、勤務終了時刻に近接した時間帯に不急の調査依頼等は控える等、下級裁に対する連絡の在り方などについて認識を共有した」と回答しました。その効果として、この間、下級裁でも午後4時以降の不急の調査依頼等が減少しています。それで、問題が解決したわけではありませんが、「働き方の見直し」にそれなりにインパクトを与える契機となっており、当局が具体的な施策を示すことが、大きな効果があることを示す結果となりました。

当局の積極的なとりくみがあってこそ

 このことからもわかるとおり、「働き方の見直し」をすすめる上で最も重要なことは、各庁当局が「見直し」をすすめるというしっかりした意思を示し、具体的な施策をすすめる姿勢を持つことです。「働き方の見直し」というと、ともすれば職員個人の意識の問題や現場の工夫任せになる可能性をはらんでいますが、当局の明確な姿勢と積極的なとりくみがあってはじめて、現場の工夫が生かされ、職員の意識も変わっていくのです。今年の諸要求貫徹闘争では、各地連・支部等が交渉等において、各庁当局にそうした姿勢を示させ、単なる「かけ声」ではなく、具体的な方策を検討するよう追及することが必要です。
 また、本部も最高裁交渉において、引き続き、「働き方の見直し」を積極的にすすめる姿勢と、具体的な施策を示すよう求めています。
 5月8日に実施した第1回給与課長交渉ではとりわけ、繁忙状況が続いている事務局及び家裁の職場と、職種としては家裁調査官について問題点を指摘し、具体的な方策を示すよう求めました。

 
ページの先頭へ
 
新採応援・労働条件を学ぶA
勤務時間と休暇制度
 

 国家公務員の勤務時間は1週間につき38時間45分となっています。月曜日から金曜日までは1日7時間45分、土曜日と日曜日は休み(勤務時間が割り振られていない)です。祝日法による休日および年末年始(12月29日から1月3日まで)は、休日です。
裁判所では、勤務時間帯は午前8時30分から午後5時までが基本ですが、大都市圏では通勤混雑緩和のための時差通勤が行われています。休憩時間は午前12時15分から午後1時までの45分間です。
 年次休暇は希望する時期に、利用目的は自由でとれる休暇です。申請があれば、当局は公務の運営に支障のない限り、承認しなければなりません。最高裁は全司法との交渉で「年次休暇を取得しやすい環境づくりをする」と回答しています。必要な場合はもちろん、リフレッシュ等の目的でも遠慮なく取得しましょう。
 年次休暇は、年に20日ありますが、4月に採用された新採用職員の最初の年は15日です。なお、昨今は国家公務員の年休取得促進が言われており、裁判所の目標は年16日、昨年度は平均17・25日取得しています。取得は1日、1時間を単位にとることができ、20日を限度として、翌年に繰り越すことができます。
 病気休暇は「負傷又は疾病のために療養する必要があり、そのために勤務しないことがやむを得ないと認められる場合」に必要最小限の期間、取得することができます。
夏季休暇は3日、その他の主な特別休暇は別表のとおりです。わからないことがあれば、全司法の役員に相談してみてください。
 また、3歳に満たない子を養育する職員はその子が3歳に達する日までの期間について育児休業をすることができ、配偶者、父母、子等の介護をするための介護休暇もあります。これらの休暇・休業制度については「出産・育児・介護に関する休暇及び休業制度ハンドブック」が各部署に備え付けられ、庁内HP等で見ることができますので、確認してください。なお、このハンドブックも全司法と最高裁の交渉を受けて作成されたものです。
 「労働力を、時間を決めて提供する」ことが労働契約の本質であり、労働時間は賃金と表裏の関係にある重要な労働条件です。今、政府が「残業代ゼロ」制度の導入に向けて労働基準法を変えようとしていることについて、労働組合が厳しく反対しているのも、お金の問題以上に、この労働時間の考え方を壊してしまうからなのです。


 
ページの先頭へ
 
「殺し殺される」戦争法制が国会上程

日本の進路と政治のあり方にかかわる

 政府は、5月14日、米軍の後方支援のための新たな恒久法である「国際平和支援法案」と、自衛隊法など10本の法律の改定を一括して一つにまとめた「平和安全法整備案」を閣議決定し、翌15日、国会に提出しました。これに対し野党は、国対委員長会議を開き、「日本の進路と政治のあり方にかかわる重大な安保法制を一度の国会で通過させることは許されず国民的議論が必要」との立場で一致しています。
 これは、4月27日に日米両政府が合意した日米同盟の世界規模の機能化、米軍と自衛隊の共同軍事行動化をねらった「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」を実行に移すためですが、その内容は、日本が直接攻撃を受けてなくても海外で他国軍と武力行使(戦争)することを可能にするものです。明らかに自衛隊が海外において「殺し殺される」(武力行使)戦争法制となるものです。
 これまで歴代政府は、憲法の平和主義原則とその下での専守防衛の基本姿勢や「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」との公式見解を表明しています。今回の法制はそれを180度転換するもので、今回のように拙速に、国民の意思も確認しないまま進めることは、民主国家の政府としてあるまじき暴挙です。

平和でなければ、組合活動の保障もない

 これに対して、多くの憲法学者や作家などの著名人、弁護士会や主婦連合会をはじめ様々な団体が批判し、反対などを表明しています。横浜市臨港パークで実施された5・3憲法記念集会には3万人以上が集まり、全国100か所のとりくみと連帯して、安倍政権の戦争する国づくり反対を宣言しました。その後も連日、連夜にわたって官邸前行動や署名などのとりくみが広がっています。また、各種世論調査でも過半数が反対しています。
 全司法は、戦争が最大の人権侵害であり、平和な社会でなければ組合活動も人権や民主主義も保障されないという立場から、今回の法制には反対し、廃案を求めています。法制の廃案を求める各地の活動に積極的な参加を呼びかけます。

 
ページの先頭へ