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全司法新聞
 
内部留保活用求め、全国から参加 トヨタ総行動
 
行動に参加した全司法の仲間
 2月11日、愛知県内各地において、トヨタ自動車に大企業の社会的責任を果たすことを求める第36回「トヨタ総行動」が開催され、過去最高益をあげたトヨタに「すべての労働者の賃上げ、中小・下請単価の引き上げに、内部留保をまわせ」と迫りました。全司法からは、本部の門田委員長をはじめ、中部地連及び愛知支部、静岡支部から10名が結集しました。

内部留保還元で賃上げは可能


 第36回「トヨタ総行動」は、愛知県労働組合連合会(愛労連)などでつくる実行委員会の主催で、早朝から県内各地で宣伝行動が行われたほか、豊田市で総決起集会、デモ行進を行い、全国から約1000人が参加しました。
 全司法の参加者は、午前中の、名古屋駅西口周辺で宣伝ビラ配布行動に参加し、「大企業は巨額の内部留保を労働者に還元して社会的責任を果たすべきだ」と訴えました。午後からは、トヨタ本社近くの山之手公園にて行われた総決起集会に参加した後、トヨタ本社前までデモ行進を行いました。
 アベノミクスによる円安や物価高で労働者の生活が厳しさを増す中、資本金10億円以上の大企業が保有する内部留保は285兆円にも達しています。中でもトヨタは営業利益が2年連続で2兆円を超えて過去最高益を見込み、内部留保の総額は15兆円を超えています。この1年間でも1兆4000億円が積み増しされていますが、この積み増し分を還元するだけで労働者の大幅賃上げは十分可能です。

大企業は社会的責任を果たせ


 榑松佐一実行委員長は主催者あいさつで、「トヨタは下請企業に単価の引下げを押しつけて利益を挙げてきた、今こそ下請単価の引き上げで社会的責任を果たすべきだ」と強調しました。その後、全労連の小田川義和議長からたたかいの前進に向けて激励のあいさつ、続いて3人からの決意表明では、下請業者の窮状などが紹介され、最後に集会決議が採択されました。
 総決起集会の後に行われたデモ行進では、各種団体の旗が林立する中、「トヨタは内部留保を活用して賃上げを行え」「中小下請の単価を引き上げろ」「労働法制改悪反対」等のシュプレヒコールが響き渡りました。
 今年のトヨタ総行動は、寒さも緩み天候に恵まれた1日でした。総決起集会では、様々な団体の色とりどりの旗が掲げられ、多くの参加者が連帯して活動していることを実感しました。
 今後、全国各地で、大企業の社会的責任を求めるとりくみが展開されます。2015年春闘勝利に向けて、こうした行動に積極的に参加しましょう。

参加者の感想

◇ 午前中の名古屋駅前宣伝行動では、若い女性が足を止めてくれるなど、関心を持たれていることを感じました。午後の決起集会では全国から大勢が結集し、トヨタ本社前までデモ行進を行いました。一人一人のできることは小さくても、力を合わせて声をあげることが大切だと実感した一日でした。(愛知・熊本絢子)

◇ 当日は、心地良い陽気に包まれ、屋外での活動には最高の一日でした。愛知国公を始め、様々な職場の方々と結集して行った集会とデモ行進で、少しは私たちの思いをアピールできたのではないでしょうか。このような活動の積み重ねで、多くの企業での大幅賃上げが実現することを願ってやみません。(愛知・木下宗弘)

◇ トヨタ総行動に静岡県国公代表として参加しました。
 集会で印象に残ったのは、コスト削減を強いられている中小零細企業が労働者の賃上げをするためには、部品等の単価引き上げが必要だということでした。そのためにも内部留保を活用させていくことが重要だと強く感じました。(静岡・里 秀夫)

 
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共済組合・骨子運審が開かれる
短期掛金維持、ジェネリック医薬品利用、福利厚生パック利用など討議
 

 2月10日、裁判所共済組合の次年度事業計画の骨格を審議する骨子運営審議会が開催されました。全司法からは5名の運審委員(東京高裁・田中、神戸・三木、岡山・落合、愛媛・宮本、本部・井上)と中矢監査員(本部)が出席しました。

高齢者医療の増加が今後の課題

 次年度事業計画において、短期掛金率については、前年の率(38・56‰)を維持する提案がなされました。今回は引き上げの提案はありませんでしたが、特に「高齢者医療制度」への拠出金が今後さらに右肩上がりで増加していくことが予想されることから、それに伴う掛金率の今後を注視していく必要があります。
 業務経理については、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進に向けた提案がありました。具体的には、現状の自己負担額とジェネリック医薬品を利用した場合の自己負担額の差額を通知する差額通知事業を実施するものです。

福利厚生パック利用促進、育児支援にも

 保健経理については、生活習慣病対策事業、人間ドック及び脳ドックへの補助等、24時間無料電話健康相談、福利厚生パッケージサービス事業並びに特定健康診査及び特定保健指導を引き続き実施する提案がありました。福利厚生パッケージサービス(次年度もベネフィットと契約)に関しては、利用促進とともに、今後も地域間格差をなくしていく努力が求められています。
 また、新たに育児支援事業を実施する(ベビーシッターサービスを提供する事業者との間における法人契約の締結等)提案がありました。
 貯金経理については、団体保険料の徴収方法を、給与控除から口座引き落としに改めるとともに、徴収事務の外注化を図ることが提案されました。
 貸付経理については、優遇金利提携住宅ローンについて、新たに財形住宅金融株式会社との間で業務提携を行う提案がありました。
 次年度事業計画の骨格は、質疑の後、了承されました。あわせて、運営審議会委員の支部視察を、次年度は5支部(長野、名古屋、鳥取、青森、

解説

労使同数で議論

 共済組合を運営する根拠となる国家公務員共済組合法によると、適正な運営に資するため省庁ごとに運営審議会を設置し(9条1項)、事業計画や予算決算は運営審議会の議を経る必要がある(10条)としています。「運営審議会」は、共済本部が作成した事業計画案を、使用者側(当局)と労働者側(職員)のそれぞれの視点で議論をして、計画を確立させる役割を担っています。
 省庁ごとに運営審議会が設置されていますが、労使同数の委員構成になっている省庁は少数です。しかし、裁判所共済組合は、諸先輩の努力によって1978年から労使5名ずつの同数となっています。昨年の附加給付見直しでは、3回にわたる運営審議会の開催や事業計画の認可を行う財務省への意見申し出を行えたのも、労使同数の委員を今でも確保できていることが要因といえます。

 
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全国医療職集会を開催 中央研修実施の要求強く
 
調査官との連携が必要

 2月7日・8日の両日、東京・全医労会館にて、全国医療職集会が11年ぶりに開催され、5地連9支部から10名の看護師及び医療職担当役員が参加しました。
 集会では、本部の門田委員長のあいさつに続き、阿部書記長から「医療職をとりまく情勢と課題」として、共済診療所の廃止の経過や医療職の業務内容及び配置の在り方、家裁医務室の医療法上の診療所としての取扱い、昇格や中央研修実施などの医療職の重点要求等について報告が行われました。また、その後の意見交換では参加者から各職場の実態報告が行われ、熱い意見交換が交わされました。
 医療職の事件関与については、家裁調査官のチームに看護師が加わり意見交換する中で、必要な助言や少年に対する保健指導をより良い形で行えている等の報告がされる一方、調査官の考え方次第で事件関与のあり方が変わるため、医療職の活用に向けた調査官との連携のあり方を協議していく必要があるとの問題意識も出されました。

働き甲斐の面で不安も

 健康管理業務への関わり方では、参加者からの報告により、地域によって大きな違いがあることが明らかになりました。また、看護師として得た職員の健康に関する情報の守秘義務がある一方、健康管理担当者から情報提供を求められ、そのせめぎ合いの中で苦慮している実態も浮き彫りになりました。健康管理担当者との情報共有や情報管理のあり方を協議していく必要があるとの指摘もなされ、今後の課題となりました。
 2014年度末で家裁医務室を医療法上の診療所としては廃止することが決定されました。これに伴い、全国で医務室の表示が外されていますが、室名表示のない部屋に当事者を案内することへの抵抗や、職員からも医務室の存在の認識が薄れつつあることなどが報告されました。また、最高裁は当初「職務内容に変更が生じるものではない」と説明しているものの、現場では、今まで行ってきた健康管理や応急対応を控えるよう指導がある庁もあり、医療職としての働きがいの面からの不満も高まっている状況もあります。当該職種の意見を聴きながら改善を図らせていく必要があります。

切実性増す研修の充実

 医療職の中央研修実施が引き続き強い要求となっています。これまで数年おきに高裁ブロック研修が実施されていますが、看護師が常勤から非常勤に置き換えられる庁もある中、研修実施が困難になりつつある高裁もあることから、中央研修を求める声はさらに切実性を増しています。引き続き、実施に向け全国で追及を強めていく必要があります。
 医療職は少数の職種ですが、全司法の大切な仲間として職場でしっかり寄り添い、その声に耳を傾け、一人ひとりがやりがいを持って働き続けられる環境整備に向け奮闘する決意を固め合って、集会を終わりました。

 
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「経験談」から見えた運動 門田委員長三重オルグ
 

 2月10日、三重支部では全司法本部の門田敏彦中央執行委員長をお迎えして学習会を開催しました。三重支部は普段から若手を中心とした組合活動を行っており、学習会当日も多くの若手組合員が参加してくれました。

署名の役割を実感

 学習会では本部から春闘情勢と、門田委員長の組合活動を通じての経験やその思いをお話しいただきました。若手中心の学習会でしたので、春闘情勢については「春闘」の説明から始まり、この時期の民間の春闘の結果が私たち公務員の賃金にどのように影響を与えるのかにも触れながら、春闘期の活動の重要性を分かりやすく説明していただきました。後半は本部委員長に就任された際のお話や、本部委員長ならではの経験談もざっくばらんにお話しいただきました。特に、全司法大運動における国会請願署名がどのように取扱われるか、国会議員に要請をする際に議員や秘書との間でどのようなやりとりがされているかを、経験談や苦労話とともに楽しくお話しいただけたことが印象的でした。「請願署名の束を持って行って紹介議員になってもらえるようにお願いしている。署名の束が多いほど、国会議員の理解や納得も得られやすい」というお話を聞き、請願署名が、このようにして自分たちの要求の実現に向けて役立つのだなと思い、全司法大運動が職場と国会を直接つなぐ、全司法にとって重要なとりくみであるということを改めて認識しました。

新採全員加入をめざす

 委員長には学習会後の懇親会にも引き続き参加いただき、管内分会の組合員も加わり楽しいひとときを過ごすことができました。
 今回、三重支部で学習会を開催することができ、非常に有意義な時間を持つことができました。また、今後の課題も見えてきました。多くの署名を集め、私たちの職場の声を一つでも多く国会に届けるためには、やはり多くの仲間が必要になります。これから新採用職員が入所してきますので、まずは新採用職員の全員加入を目指して頑張っていこうと思います。

 
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この春に退職を迎えられる組合員のみなさんへ
 
長い間支えていただき感謝します

全司法労働組合中央執行委員長 門田俊彦

 長い裁判所生活のなかで、全司法の要求と運動の前進、そして物心両面にわたって全司法の組織を支え、大きく貢献いただいたことに深く感謝申し上げます。
 みなさんが裁判所に在籍された時代を振り返りますと、バブル経済の崩壊による景気の低迷が続き、労働者の賃金は1997年をピークに減少を続け、「公務員賃下げ特例法」など、生活が楽になることはなかったことと思います。裁判所においては、司法制度改革による裁判員裁判の実施、民訴法や家事事件手続法などいくつもの法改正や規則改定により、新たな制度やシステムが職場に導入されるなど、仕事のやり方も大きく変容してきました。また、公務員バッシングが続く中で、国家公務員の総人件費削減によって裁判所予算も制約を受け、職場は恒常的な人員不足に見舞われてきました。
 一方、「公務員賃下げ違憲訴訟」のとりくみで「賃下げ特例法」の延長を阻止したことや、職場環境改善でも着実な前進を勝ち取っており、私たちの運動で貴重な成果、到達点を築くことができました。
 公務労働者にとって苦難な時代が続き、高齢層の昇給抑制や世代間の給与配分見直し、退職手当削減など、ともすると仕事へのモチベーションが低下しそうなときでも、様々な出来事に憤慨し挫けそうになる私たち後輩を叱咤激励し、裁判所職員としての範を示しながら全司法の運動へ結集することの大切さなど教えていただき、共に歩んでくださいました。これは、私たち後輩が受け継がなければならない大事な教訓であり財産でもあります。

裁判所退職者の会へ加入を
 安倍政権は、「特定秘密保護法」を施行し、集団的自衛権行使容認に基づき自衛隊が海外で武力行使が可能となる法整備に着手するなど、「戦争できる国づくり」へまい進しており、戦後70年の節目の年を迎え、日本社会の進路を決定づける大きな岐路を迎えています。みなさんは、退職によって全司法を離れていくことになるわけですが、だれもが安心して暮らせる平和な社会、「国民のための裁判所」実現をめざして、今後も共に力をあわせていきたいと思います。そのためにも、「裁判所退職者の会」へ加入していただき、これからも地域で全司法と協力共同をお願います。
 みなさんの新たな旅立ちにあたり、なによりも健康にご留意され、ご家族ともに充実した人生が送られますことを心より祈念して、贈る言葉といたします。
 本当にありがとうございました。

 
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賃金改善と定年延長に向けて 再任用の到達点
 
「希望者全員」の到達点を勝ち取る

 2013年度から年金支給開始年齢の段階的繰り延べが行われている中、全司法は雇用と年金の確実な接続にむけ、国公労連に結集して政府に定年延長を求めています。しかし政府は、定年の段階的延長を求める2011年の人事院の「意見の申出」を無視し、現行の再任用による雇用と年金の接続をはかることを2013年3月に決定しました。この制度の活用だけでは、(1)再任用を希望する全ての対象者の雇用と年金の接続が確実に行われる保障がなく、(2)フルタイム勤務希望者に対する短時間再任用の強要、早期退職募集制度に乗じた退職強要など、任命権者の恣意的運用が横行する危険性が高いなどの問題をはらんでいます。
 全司法では、これら危険面を排除し、配置部署にも十分配慮させながら、希望者全員がフルタイムで再任用(更新を含む)されるよう当局を追及しています。こうした追及により、最高裁当局に「職員の雇用と年金が確実に接続されるよう再任用を行っていく」との基本方針を示させ、運用開始からこれまで希望者全員のフルタイム再任用を実現しています。他の行政府省では希望者全員が再任用される枠組みとはなっておらず、短時間再任用も多い実態がある中、裁判所で希望者全員の再任用を実現させていることは画期的な到達点といえます。

賃金水準の引き上げを

 一方、再任用職員の賃金水準をはじめとした処遇の面では、依然不十分なままとなっています。全司法もこの間、国公労連に結集し政府や人事院に再任用職員の処遇改善を強く求めた結果、昨夏の人事院勧告では、新たに再任用職員に対する単身赴任手当支給を勝ち取り、一部要求が前進しました。しかし、肝心の賃金は未だ低い水準に据え置かれています。加えて、昨年4月からの再任用職員は無年金になっている実態を踏まえ、賃金水準は少なくとも退職前給与の7割を確保するよう求めています。
 安定した生活と労働を確保していくため、再任用後も引き続き大勢の方に全司法に結集いただくことを心から呼びかけます。

 
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評価されなければ長時間労働に 残業代ゼロ制度
 
意見の一致をみなかった建議
生涯ハケン、残業代ゼロに反対!

 日本の病理ともいえる労働者の長時間過密労働が改善されないまま、過労死・過労自殺やブラック企業が深刻な社会問題になっています。政府は、2001年から厚生労働省に労働政策審議会(政労使で構成)を立ち上げ、派遣法改正や最低賃金のあり方など、労働法制にかかわった審議を行い、政府に対して報告等を行っています。
 政府は、「生涯派遣」につながる派遣法「改正」や残業代ゼロ法案と言われる労働基準法「改正」などの導入を狙ってきましたが、いずれも労働組合などの強い反対を受けて実現できませんでした。しかし、安倍首相は今国会での提出にむけて、同審議会に労働基準法「改正」の検討を行わせ、2月13日に今後の労働時間制度のあり方に関する「建議」(報告)を取りまとめました。ただ、いくつもの問題があります。
 特に、労働政策審議会では、政労使の三者の意見の一致で建議をまとめることが基本原則ですが、使用者側委員の意向に沿って強権的に取りまとめられ、「高度プロフェッショナル制度」と「企画業務型裁量労働制の新たな枠組み」という建議の根幹部分には、「認められない」とする労働者側委員の意見が付されたのみで、意見の一致がみられなかったことは重大です。さらに8時間労働の労働者保護法制の根幹を崩す中身も含まれているなど、多くの問題点をはらんでいます。

「高度プロフェッショナル制度」とは?

 なかでも、「高度プロフェッショナル制度」は残業代ゼロ制度とも言われており、「時間でなく成果で賃金を決める」などと称して、あたかも働く者のための制度という触れ込みで提案されています。政府・厚労省は働き過ぎの是正になると言っていますが、そもそも成果が上がらなければ評価されないため、長時間労働を助長する制度です。
 また、年収1075万円以上の労働者を同制度の対象としていますが、そもそも高い賃金は、専門性や責任の度合いなど、労働の対価であって労働時間規制を除外する理由にはなりません。しかも、年収要件は省令で定めるとされており、一方的に引き下げられることが懸念されます。今後は公務労働者の働き方にも影響することも予想され、官民共同で反対していくべき重大な課題です。

 
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