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全司法新聞
 
大幅賃上げ、組織強化・拡大の流れをつくろう
第75回中央委員会(1月25〜26日:熱海)
 
56名が参加。賃上げ、諸要求実現、組織強化拡大など意思統一

 1月25、26日の2日間にわたり、静岡県熱海市において、秋季年末闘争の中間総括および春闘方針の決定、中間決算および同決算に対する会計監査の承認等を議題として第75回中央委員会を開催しました。15春闘で問われる、大幅賃上げと雇用の安定の実現、貧困と格差の解消をめざして、官民一体の運動に全国で結集することを確認するとともに、職場諸要求実現をめざすとりくみと一体となった組織強化・拡大を図る決意を固めました。

 中央委員会には、中央委員、オブザーバー、本部役員及び国公労連からの来賓の合計81名が参加して始まり、議長には橋本浩孝中央委員(福岡)、吉田芳浩中央委員(愛知)が選出されました。
 中央執行委員会を代表しての門田委員長からのあいさつに続き、阿部書記長が14秋季年末闘争の中間総括をふまえた15春闘方針案、補足資料(国公労連2015年春闘統一要求案)、離職専従役員に関する規程の改正案を提案しました。
 次に、井上財政部長から、中間決算報告、日岡会計監査委員から中間会計監査報告が行われました。質疑では、未収金を回収する具体的な方策について発言がありました。
 議案に対する討論では、各課題について、のべ43名から発言がありました。
 討論を受けて、阿部書記長が総括答弁を行った後、各議案の採決が行われ、全ての議案が可決されました。
 その後、永年組合員表彰の後、佐藤秀彰中央委員(長野)が読み上げた2015年春闘アピールを満場の拍手により採択しました。
 最後に、15春闘勝利と組織拡大・強化を着実に前進させていくことを全体で確認し、最後は「団結ガンバロー」で締めくくりました。

中央執行委員長あいさつ
生活やいのちにかかわる課題に結集を


国民の危機意識が拡散している

情勢をふまえた労働組合の役割を語る門田委員長
 突然の解散・総選挙で、安倍政権は、引き続き自公で3分の2の議席を維持する結果となったが、自民党は、比例代表での絶対得票率が17%しか得られず、民意を正確・公正に反映したものとは言えない。国民の中に、諦めムードが広がっていたことが指摘されているが、一方、今の安倍政権による「戦争できる国つくり」や弱肉強食の日本経済・社会を変えたい、沖縄新基地建設は許されないなど、国民の危機意識の拡散もあった。国公労連が掲げている「国民のなかへ、国民とともに」の運動の方向にも合流していく大事な動きである。
 総選挙終了直後から、安倍首相は「国民に強く背中を押していただいた。信任という大きな力を得た」と胸を張り、「戦争できる国つくり」に向けた「特定秘密保護法」の施行、集団的自衛権行使容認の閣議決定に基づく法案作成に着手し、原発再稼働や残業代ゼロ、生涯派遣を盛り込んだ労働法制改悪、庶民増税と社会保障制度改悪など、国民の思いに反する政策の具体化を加速させている。しかし、世論調査等では、どの政策でも国民の反対が強く、年明けからも、国会前行動や辺野古新基地建設反対などの行動に、多くの人々が集まっている。私たちの生活やいのちにかかわる課題での国民的な運動に参加していくことが重要である。
 財界・経団連は、安倍首相の賃上げ要請もあって、各企業に「積極的な対応」を求め、「賃上げの前向きな検討を強く期待する」と訴えるなど、昨春闘と違った動きが出ている。ただ、トヨタをはじめ大企業は定昇込み2%・ベア程度に抑え込もうとしている。消費税増税分と物価上昇を上回る賃上げを勝ち取るには、なお壁が高く、これを打ち破る必要がある。そのためには厳しい経営状況にある中小零細企業も含めた大幅賃上げが求められ、そのことが、公務労働者の賃上げにもつながっていく。職場から地域に打って出て官民共同行動に結集することを呼びかける。

労組の大切さを伝えていこう

 次年度政府予算案が示されたが、概算要求を切り込まれ、裁判所の定員はトータルとしてマイナス4人という結果だった。ただ、政府の総人件費削減の動きがかつてなく強まり、他省庁で大きく切り込まれた実態に比べると、最高裁は一定踏ん張ったと評価できる。この背景に「全司法大運動」があり、そのことに確信をもってとりくみを強めていこう。
 阪神・淡路大震災から20年を迎えたが、未だに孤独死や住宅からの追い出しなど、深刻な状況が続き、東日本大震災と福島第一原発事故をはじめ、豪雨による災害、また、失業や介護難民など、非常に苦しい生活を強いられている人々が増え続けている。真に国民の命と暮らしを守るための政策が求められていると同時に、私たち公務員労働者の役割が重要になっている。
 「組織強化・拡大プロジェクト」を提起し、全体で確認、意思統一をしてきた。各機関が連携し、前進を勝ち取っていく必要があり、第2次組合員拡大強化月間のとりくみが重要である。労働組合の大切さなどを伝え、加入の呼びかけを強め、全司法の要求と運動の前進に向け、お互いに奮闘していこう。

情勢


賃上げに共感広がる春闘

 春闘情勢に関わって、「内部留保を活用して賃上げを実施することにへの共感がかってなく広がっている。トヨタは16兆円の圧倒的な内部留保を抱えており、社会的に大きな影響を及ぼすことから、愛知ではトヨタ総行動が実施される。全国で職場から一歩足を踏み出そう」(愛知)、「介護報酬の引下げによって、非正規が多く賃金が低い介護現場の労働者にさらなるしわ寄せがいく。アベノミクスは賃金や労働法制だけの問題ではなく、全般的な弱者切り捨て政策だととらえるべき」(東京家裁)、「橋下大阪市長は職員に対する思想調査アンケートなど、労働組合敵視の政策を次々に行ってきたが、裁判で全敗している。労働組合の権利に自信を持って活動していきたい」(大阪)、「集団的自衛権行使容認の閣議決定は法治国家として許されない。これを認めると、基本的人権さえ閣議決定で奪われかねない。自分と家族の命を守るために、閣議決定撤回を求めていく必要がある」(福岡)と、政治や社会の動きをふまえて、春闘での積極的なとりくみを呼びかける意見が出されました。
 また、「4月にNPT(核不拡散条約)の再検討会議が開かれ、アピール署名やニューヨークへの要請団派遣のとりくみが行われている。核兵器廃絶に向けた大切なとりくみなので、春闘方針にこの課題も加えてもらいたい」(神奈川)との発言がありました。

秋年総括


準備した交渉で手応え

 秋季年末闘争期の各支部での交渉については、「所長交渉で宿日直の負担軽減を求めたが平行線のままだった。現在は年1回しか交渉ができていないが、諸要求期にも交渉ができるよう要求し、引き続き主張していきたい」(宇都宮)、「年3回交渉を実施し、人員、異動、昇格を重点に主張している。県外から採用された人の異動を要求しているが、まだ実現していない人がいる。要求実現まで、引き続き主張していきたい」(青森)、「従来、年末近くになっていた所長交渉の日程を12月3日に早め、準備をきちんとすることで手応えのある交渉が実施できた。また、結果を早く職場に伝えようと、支部「情報」を作って職場で回覧した。職場から労いの声があり、やってよかったと思った」(宮崎)との経験が出されました。
 また、11月の中央行動について「集会やデモなど多くの人が一つの目的で行動しているのがわかった。賃下げ違憲訴訟の判決も代理人弁護士から解説してもらって、理解がすすんだ。たいへん意義のある行動なので、いろんな人に経験してほしい」(最高裁)との発言がありました。

違憲訴訟など


判決の中に足がかり

 11月に第一審の判決があった賃下げ違憲訴訟について、「請求棄却の判決が出されたが、必要性や合理性がなければ国会の裁量権が制約される、公務の労働組合にも団体交渉権がある等、今後の足がかりとなる内容も含まれている。控訴審での勝利にむけ、どう主張するか検討していく必要がある」(東京高裁)との意見が出されました。
 また、全司法大運動署名について、「現時点で去年の倍の1100筆を集約している。支部の労働学校の中で署名を推進するためのアイデアをみんなで出し合い、それにもとづいて計画を作った。課題を『こなす』運動ではなく、組合員自身が労働組合の活動を実感してとりくめるよう工夫している」(宮崎)との発言がありました。
 少年法については「弁護士会との実務的な意見交換等も含めた運動の強化を求める」(東京家裁)との発言がありました。

諸要求・職種


調査官異動見直しを

 職場諸要求の課題では、「現在の人事評価制度は、人のやる気を引き出す仕組みになっていない。客観性がなく、主観やイメージにもとづく制度になっているので、制度を改めるよう最高裁との交渉を強めて欲しい」(釧路)といった評価制度に関する発言(他に長野)、「超勤縮減にむけた『働き方の見直し』が行われているか、本来の趣旨に合ったものになるよう求めていきたい」(福岡)、「給与制度の総合的見直しが行われるが、地域格差、50歳台の賃金抑制などの問題点について、組合員が直接関わるような運動を提起してもらいたい。公務員宿舎については、入居基準の緩和や住居手当の大幅引き上げも重視していくべき」(長野)、「支部の当直のやりくりが難しくなっている」(愛知、鳥取)、「組合員からパワハラの相談を受け、速やかに動いて、当局から指導させて解決できた」(広島、宇都宮)などの発言があった他、2階建て庁舎へのエレベーター設置(山口)、独簡の2人庁化の動き(島根)、出納官吏代理の問題点(福島)等についての発言がありました。
 職種に関わっては、行(二)の後補充(青森)、書記官事務の整理(千葉)に関する発言の他、秋季年末闘争で重点の一つとしてとりくんだ電子速記タイプの官支給を求める全地連・支部からの総務局宛要請書へのお礼とともに、実現まで奮闘する決意が表明されました(東京地裁)。同じく、この秋の重点とした調査官の異動については、「異動で夫婦同居がかなわず、次の異動でも目途が立たないことから退職を余儀なくされた人がいる。家事事件を担当する調査官がこういう状態で有意義な仕事ができるのか、所長交渉でも、異動政策を何とかするよう要求した」(福岡。他に青森、東京家裁、岡山)といった発言が多く出されるとともに、小規模庁への配置の問題点(東京家裁)や調査官の増員(岡山)に関する発言が出されました。

組織強化・拡大


青年の力は大きい

 組織強化・拡大の課題では、「青年が中心になって新採用に対する働きかけを行っているが、加入をすすめるためには、職場の協力が不可欠。また、単に加入してもらうだけではなく、活動を知ってもらう場を提供し、加入した人が、次は勧誘する側になれるシステムを作っていきたい」(大阪)、「月に一度、昼食会を実施するなど、青年・若手の交流をはかっている。これまでは、せっかく全国から集まる職場なのに交流が持てなかったが、つながりができ、それが在京での新採用歓迎会につながった」(最高裁)、「10月の新採用について地連の青年対策が中心になってとりくみ、加入に結びついた。青年の力は大きいと思った。この成果をふまえ、4月にむけて計画を立てている。東京も組織拡大に向けてがんばっていきたい」(東京地裁)、「青年に対するフォローのとりくみとして学習会を行ったり、つながりを持っている。栃木県国公の青年の行事にも参加している。昨年、プランニングシートを作成して、とりくみを共有したことで新採用拡大の成果があったので、今年もとりくんでいきたい」(宇都宮)と、青年を中心にとりくみが広がっている状況と、これをさらに組織全体に広げる必要性が語られ、第2次月間に向けた決意が示されました。

青年協の活動報告
新歓で青年の意見を活かしたとりくみを


山本あゆみ青年協事務局長
 山本あゆみ事務局長が青年協の2014年度上半期の活動と今後のとりくみについて、報告しました。
 一点目は、要求実現をめざすとりくみとして、青年の暮らしむきアンケートや総研生との意見交換会について報告しました。青年の暮らしむきアンケートについては、とりくみが十分でない支部があることを指摘しつつ、アンケートによって集まった青年の切実な要求が、最高裁交渉を通じて、「事務官法律研修の対象者拡大」など、実現に結びついたことを報告し、その重要性を再認識してひとつでも多くの青年の声を集める必要があることを述べました。総研生との意見交換会については、参加者から「今後も意見を吸い上げてもらえる場を設けてほしい」「問題意識を高めることができた」などの声が寄せられたことを報告し、今後も総研生とのつながりを持ち続け、声を聴く機会をつくっていくことを述べました。
 二点目は、組織拡大に関して、新規採用者の早期加入をめざし、全国の青年部や青年対策部が主体となって、勧誘にむけた積極的なとりくみが実践されていることを報告しました。一方、青年から親機関との連携がうまく取れなかったという声があることを報告し、ガイダンスや懇親会の開催にあたっては、勧誘の主体となる青年との間で事前に十分な打ち合わせをし、その意見を活かすことを呼びかけました。
 三点目は、組織強化に関して、青年部長会議への講師派遣などを中心に学習活動の支援を行っていることを報告し、自身の体験から、時期に応じた適切な知識付与をするためには継続した学習の機会が必要であることを述べ、日常的な学習への協力を地連や支部に求めました。
 四点目は、昨年8月に開催した全国青年友好祭典について、全国から約170名もの参加があり、アンケートで「他地域の青年と交流を図ることができた」「また参加したい」などといったポジティブな意見が寄せられたことを紹介し、全国の青年の結びつきを強めることができたことを報告しました。最後に、この成果を全司法の組織強化・拡大の起爆剤とし、青年協が果たすべき役割を認識しつつ、これからも青年の要求実現と運動の発展に努めていく決意を述べました。

可決・承認された案件


1 第1号議案 2015年春闘方針(案)(賛成52、保留0、反対0。可決)
2 第2号議案 (賛成44、保留5、反対3。可決)
3 中間会計監査報告 (承認)

阿部書記長の総括答弁
増勢で大会を迎えよう

2014年秋季年末闘争の中間総括


秋の交渉配置の重要性を強調

総括答弁をする阿部書記長
 年末に向けて次年度裁判所予算の確定作業がすすめられるもと、秋の交渉時期を早めていくことは職場の要求を最大限反映させる上で非常に有用である。支部交渉を例年より前倒しで配置できたとの発言もあり、貴重な到達点と考える。また、交渉結果についても速やかに職場に還元しているとのことであったが、一方通行ではなく、機関と職場の双方に情報が行き交うとりくみは非常に重要である。地連・支部が主役となるべき秋年期において、職場の要求をしっかり受け止め交渉に臨むとりくみを引き続き強めること、また全ての地連・支部で秋の交渉配置をめざすことの重要性を再度確認しておきたい。

2015年春闘の情勢とたたかいの基本的な構え


新たな政治局面の下、国民本位の政策転換を

 中央委員からの発言では、アベノミクスが介護分野に与える悪影響を明らかにし、弱者にしわ寄せの政策であることが指摘された。昨年4月には社会保障を充実させるためとの口実で消費税増税も強行されたが、社会保障費に回された額はわずかであり、この間、医療・介護分野の改悪がすすめられているのが実態。昨年12月の解散総選挙を経て新たな政治局面が生まれ、安倍政権の暴走の加速が予想されるもと、今春闘でも国民犠牲のアベノミクスの問題点を広く訴えながら、国民本位の経済政策へと転換をはからせていくことが重要である。

主な課題とたたかいの具体化


東京高裁あて署名などに結集しよう

 今春闘では、昨年からの賃上げの流れを断ち切ることなく、すべての労働者の大幅賃上げ、安定した雇用と安心して働き続けられる労働環境を求めていくことが重要である。そのためには、一人ひとりが職場から足を踏み出し、労働者の大幅賃上げ等に向けて世論形成をはかっていくことが求められる。大企業の内部留保を活用し、労働者の賃上げを勝ち取っていくという流れを全体で大きく作っていきたい。
 4月からは「給与制度の総合的見直し」が導入されが、この「見直し」による賃金の目減り分を補うためには、今春闘で大幅賃上げを勝ち取る以外にはない。組合員が直接関われる運動の提起を求める発言もあったことを踏まえ、職場での学習をさらに深め、中央や地方でとりくまれる行動への結集を積極的に職場に呼びかけていこう。また、3月4日には大規模な中央行動が実施されるが、各地連・支部からの積極的な参加を求めたい。
 「賃下げ違憲訴訟」控訴審勝利に向けたとりくみでは、一審判決の問題点・矛盾点を指摘した上で、控訴審をたたかっていくことの意義や決意が述べられた。単に一時的な賃金カットの問題と捉えることなく、国家公務員全体の働くルールに関わる問題と捉え、今後とりくまれる東京高裁あて「公正な判決を求める要請署名」など様々な行動に最大限の結集をめざす決意を固め合いたい。

調査官の異動は引き続き重要課題

 定員をはじめとする裁判所予算の確保が年々厳しくなる中、全司法大運動の国会請願採択を勝ち取るとりくみは重要性を増している。5月までの長いとりくみとなるが、各支部でメリハリをつけ「数の追求」と「世論形成」に向け目的・意識的にとりくんでいくことが重要である。
 職場諸要求実現の課題では、調査官の異動問題について発言が集中した。引き続き重要な問題と位置づけとりくみを強めていくとともに、来る4月期の異動実態を注視し、改善がみられない場合は必要な対応を検討していきたい。その他、当直割当の運用や負担軽減、電子速記タイプライター官支給等の課題についての発言を踏まえ、引き続き前進をめざしとりくんでいきたい。

組織強化・拡大


日頃の対話を大事にしよう

 組合員拡大に向けて、青年層による主体的なとりくみがすすむなど明るい兆しが見える一方、本体機関とうまく連携できず苦慮している姿も浮き彫りになった。青年層の手の届かない部分を本体機関がカバーできる態勢を築いておくことが重要であり、そのためには双方のコミュニケーションを日頃からはかっておくことが求められる。
 なお、非常に厳しい組織実態にありながらも、青年同士のつながりを着実に広げながら新採への声かけを行い、加入に結びつけている支部もあることを受け止め、組合員拡大に向け奮闘していく決意を全体で固め合いたい。
 また、次の4月に入所する多くの新採用職員を全司法の仲間に迎え入れ、組織増勢の到達点を必ず勝ち取って7月の全国大会に臨もう。そのために、一人ひとりがそれぞれの役割を果たしながら、組合員拡大に向け奮闘していこう。

 
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2015年春闘がスタート 大幅賃上げと安定した雇用の確保が課題
 

厚労省、経団連へ要請行動

日本経団連を包囲(春闘宣言行動)
 15年春闘の幕開けとなる中央での行動として、厚労省前及び日本経団連前行動、東京・大手町のオフィス街デモ行進が実施されました。「春闘闘争宣言行動」と銘打って毎年行われている、春闘のスタートとなる行動です。今年は、澄み切った冬空の下1月14日に官民の労働者450人(全司法は本部、東京地連が参加)が参加して展開されました。
 皮切りは、労働法制改悪の法案作業や最低賃金引き上げの審議などを行う厚生労働省前で、「残業代ゼロ法は許さない」「生涯派遣となる派遣法改正反対」などの要求を掲げ、民間の労働組合から4人が厚労省に向かって決意表明等を行いました。その後、東京・大手町のオフィス街でデモ行進を行い、最後に日本経団連ビル前に集結して、官民の労働組合から3人が決意表明し、「月額2万円以上、時給150円以上の賃上げ」「長時間過密労働の解消」「不当な首切りをやめろ」など、大企業への要求を掲げ訴えました。

政府も財界に要請

 昨年は、7年ぶりの賃上げとなったものの、大手企業でも月2000〜3000円(1%未満)にとどまり、中小企業ではほぼゼロという賃上げ状況に終わりました。その結果、昨年4月の消費税増税と円安等による物価上昇に及ばず、実質賃金は、昨年11月まで17か月連続でマイナスを記録しています。
 安倍首相はアベノミクスの経済政策をすすめようとしていますが、そのためには、2四半期連続でマイナスとなっているGDP(国内総生産)の拡大が必要であり、なかでも6割を占める個人消費拡大が大きなカギをにぎっています。安倍首相はそのことを意識して、労働者の賃上げの必要性に言及し、昨年に続いて財界への要請を行いました。これを受けて、日本経団連は、昨年より前向きな動きを示しています。ただ、交渉前の現段階では、大手企業は定昇込みで2%程度の賃上げしか容認しておらず、トヨタ労組をはじめ大手各組合は、昨年を若干上回る6000円の要求案を提起している程度で、物価上昇分にも及ばない要求額となっています。

内部留保取崩して中小企業にも還元を

 一方、全労連は月額平均2万円以上(4・9%)を要求案として提起し、あわせて大企業の内部留保を取り崩し賃上げだけでなく、中小企業などに還元(下請け単価引き上げ等)することも要求し、経営に苦慮している中小企業の使用者にとっても賃上げが可能となる要求と政策を打ち出し、マスコミでも注目されています。
 この要求と政策の実現にむけたとりくみこそが、すべての労働者の賃上げを可能とし、あわせて最低賃金の引き上げにもつながっていきます。そのような賃上げのムード(運動)をこの春闘でどう作り上げるかが重要になっており、そのことが人事院の賃上げ勧告へも影響してきます。また、このことは、個人消費拡大へも大きなつながり、日本経済の好循環に寄与することが期待されています。
 ただ、財界の前向きな姿勢があるといっても、あくまでも各大企業がどこまで賃上げ、なかでも内部留保の取り崩しに応じるかにもかかっており、今後の運動なしに私たちに有利に情勢を切り開くことはできません。
 また、ブラック企業で常軌を逸した長時間過密労働や過労死などが大きな社会問題になっていますが、政府・厚労省は、残業代ゼロや生涯派遣につながる派遣法「改正」など労働法制をさらに改悪するために通常国会での法案提出を予定しています。不安定化している雇用に拍車をかけることは明らかで、全労連と全労協、連合も労働法制改悪反対の運動で歩調をあわせており、大きな運動となりつつあります。
 全司法も、生活改善となる賃上げを実現し、安定した雇用の確保、労働法制改悪を許さないために、職場から地域に出て官民共同のとりくみに結集することが重要になっています。

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事務官研修制度は「十分」24%、「不十分」30%
事務官アンケート集計結果
 

 全司法本部は秋季年末闘争期において事務官アンケートを実施し、1179名分の回答を集約しました。アンケートからは、事務官の研修の不十分さや、研修及びキャリアに対する事務官の意識が明らかになりました。集約結果は研修や人材育成等に関する要求をはじめ、今後の事務官運動に活用します。

「自信を持って遂行」は3割

 「職務を遂行する際に参考にしているもの」として根拠規定をあげている人が60%となっています。根拠規定を軸に、必要に応じてそれ以外の要素も考慮に入れ、上司・先輩・同僚などに相談しつつ、正確な事務処理に努めている姿勢が示されており、事務官の職務に対する基本的な意識の高さを示しています。なお、「同僚の意見」が17%にとどまっており、職場で議論したり、チームで意見交換しながら仕事をすることが少なくなっている可能性があります。
 職務を遂行するにあたって、もっとも留意していることは、正確性が圧倒的に多く、79・3%となりました。
 現在の職務について、自信を持って遂行「できている」という人が35%にとどまり、「どちらともいえない」と答えた人が48%と最も多く、「できていない」と答えた人が16%となっています。事務局勤務の方がそれ以外よりも「できている」が減って、「できていない」が増えており、とりわけ事務局での研修の充実等が課題になっている様子がうかがわれます。

年齢で分かれる研修の評価

 事務官の研修制度については、「十分だ」と答えた人が24%にとどまり、「わからない」と答えた人が45%、不十分と答えた人が30%となっていますが、35歳未満(十分35%、不十分19%)、35歳以上(十分18%、不十分36%)と評価が逆転しました。職務導入研修についても、35歳未満では「役立っている」が45%あるのに対して、35歳以上では34%に減少し、「役立っていない」「実施していない」も増加します。ベテランを対象にした、職務導入研修のあり方を検討することが課題となっています。また、個別の意見では、職務導入研修が研修する側に丸投げされており、経験の蓄積もされていないことが明らかになっています。
 OJTについては、53%が「実施されている」と答えたものの、14%が「実施されていない」と答え、「わからない」と答えた人も31%います。とりわけ、35歳未満では78%が「実施されている」と答えているのに対して、35歳以上では38%に半減しており、OJTが若手職員の育成としては行われているものの、中堅・ベテランはあまり対象とされていない(あるいは、そう受け止められている)状況が示されています。
 自由意見欄では、採用後数年間は研修がよく実施されるが、それ以降はぱったりとなくなってしまったという意見が多く見られました。

新採配置に事務局・裁判部の意識の差

 新採用の裁判部配置については、「2年」が45%と最も多くなっていますが、「3年以上」との答えも32%ありました。また、新採用事務官が事務局に異動するまでに経験すべき事件部の部署数は、「2、3か所」が49%と半数近くになっています。これらの設問に対しては、事務局勤務の方がそれ以外よりも、「2年」「1か所」が増え、「できるだけ多くの部署」が減ります。事件部にいる間は「長く、多くの部署を」との意識があるところ、一旦、事務局の仕事に就いて振り返ってみると、それほど長くいる必要はないという考え方に変わるのではないかと考えられます。
 「新採用事務官に対する主任書記官の指導、育成が十分」との回答は21%にとどまりました。35歳未満で見ると42%が「十分」と回答し、「不十分」はわずか6%ですが、35歳以上では「十分」が9%で、「不十分」が13%と評価が逆転します。また、事務局以外では「十分」が28%あるのに対して、事務局では12%に半減します。

強い書記官志向、管理職希望は少数

 書記官への任官希望は、62%が「任官したい」と回答し、若手の書記官志向の強さが示されています。書記官試験を受けるようにという上司のすすめは、35歳未満では、「強くある」「ある」の合計が55%で過半数。「少しある」27%を加えると、8割以上の人が書記官試験を受けるようにすすめられています。
 「管理職に昇任したいと思わない」との回答は60%にのぼり、「思う」が7%にとどまっています。とりわけ、35歳以上では70%が「思わない」と答えており、管理職に魅力を感じない意識を反映しています。管理職選考試験を受けるようにというすすめは「ない」が76%で、35歳以上についても、「ない」が68%となっています。書記官では、受験を相当すすめられているのではないかと思われることと比較して、かなり少ない数字となっています。管理職にならない場合の今後の働き方としては、「自分が担当している仕事を全う」が34%、「知識や専門性を高めたい」が32%などとなりました。

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「会計部門が著しく繁忙化 地連事務官担当者会議・上京団交渉
 

 12月7〜8日、各地連事務官担当者とオブザーバーが参加し、地連事務官担当者会議及び最高裁交渉を実施しました。

 一日目には、(1)事務局の繁忙状況、(2)その解消・軽減のために事務の簡素化・合理化のとりくみが行われているか、の2点について、各地連の担当者から報告してもらいました。
 事務局の繁忙状況については、全国的に耐震化のための庁舎新営・改修、会計事務処理の適正化の流れに伴う契約事務の複雑化などの影響で、会計部門が著しく繁忙化している実態が明らかになりました。また、人給システムへの移行や給与法改正への対応などが要因となり、人事課などの給与事務を担当する部署が繁忙という報告も多数なされました。
 事務の簡素化・合理化のとりくみについては、札幌高裁管内では、札幌高裁、札幌地裁、函館地家裁で事務の見直しなどにとりくんだ結果、超勤縮減等の一定の効果が上がったとの報告がなされました。名古屋高裁管内では、高裁主導でとりくみが行われているものの、各地家裁で実施状況がバラバラであるため、一部の庁の職員からは効果があったという声が聞かれる一方で、庁によっては職員の間で評価が分かれていたり、効果がなかったという報告がされている場合もあり、今後のとりくみの進展に注視する必要があります。福岡高裁管内では、福岡地家裁管内の各庁や長崎地裁などでとりくみが行われているものの、効果があったという報告は少数でした。東京高裁管内でも、複数の庁でとりくみが行われているものの、効果があったという報告はありませんでした。その他、高知地裁など高松高裁管内の一部の庁でとりくみが行われているものの、ほとんどの庁では管理職から「事務の簡素化・合理化」のかけ声がかかる程度で、何もとりくまれていないというのが実情のようです。事務官の予算定員が増えない状況下で事務局の繁忙を解消するためには、思い切った事務の簡素化・合理化が必要です。最高裁自身が私たちの増員要求に対して「事務局は事務処理の簡素化・合理化がはかりやすい部署」と回答していることを最大限に活用して、引き続き具体的な方策を要求していく必要があります。
 二日目には、本部担当者から事務官アンケートの中間集約について報告を行い、最高裁給与課長との交渉では、事務局の繁忙状況の解消、研修制度の充実、事務官の登用、退職時5級の枠組みの維持発展、法廷警備員の研修参加等について追及しました。

 
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