全司法は、10月2日、最高裁戸倉事務総長と2014年人事院勧告の取扱い等に関する要求について交渉を実施しました。
「見直し」が職員の処遇に与える影響は大きい
7年ぶりの賃金改善勧告となったものの、消費税増税や日用品・光熱費をはじめ諸物価の高騰で、私たちの生活は依然厳しい実態にあるなか、少なくとも改善部分が早期に実施されるよう求めました。また、私たちが強く反対していた「給与制度の総合的見直し」については、使用者である政府の要請も受けた「見直し」であり、人事院の労働基本権制約の代償機能を無視した、公務員労働者への権利侵害とも受け取れる行為であると主張し、「見直し」は中止するよう求めました。
総長は、「職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいるところであり、これまでと同様、職員団体と誠実に対応していきたい」と述べ、「給与制度の総合的見直しが実施された場合には、職員の処遇に与える影響は大きいものがあると認識している」とし、「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
適切に再任用が行われるよう努力
本年3月末で退職した職員から、年金支給開始年齢の段階的繰り延べにより公的年金が一定期間支給されなくなることから、雇用と年金の接続をはかる制度を作ることは欠かせません。支給開始年齢の62歳への繰り延べが再来年に迫っているもとで、定年延長に向けた協議を早急に開始するよう求めました。
総長は、「裁判所職員の雇用と年金が確実に接続されるよう、再任用を行っているところであり、引き続き、適切に再任用が行われるよう努力していきたい」とし、定年延長に向けた問題については、「国家公務員全体の問題として検討すべき事柄であることから、引き続きその検討状況を注視し、情報収集に努めたい」と回答しました。
非常勤の処遇では「人事院の動向を見守る」
非常勤職員は賃金をはじめ、劣悪な処遇におかれているなか、今回の勧告で年次休暇の取扱いの一部改善が盛り込まれましたが、私たちの要求からはほど遠いものになっています。良質で安定した司法サービス提供の観点からも、非常勤職員の処遇改善と雇用の安定がはかられるよう求めました。
総長は、「今後とも、人事院の動向を見守り、人事院において何らかの見直しが行われる場合には、必要な見直しを検討していきたい」と回答しました。
政府の動向等を注視し、誠実に対応
内閣人事局の発足で、公務員の労働基本権がさらに制約された一方、その回復をはじめとした国家公務員制度改革に関する議論が置き去りにとなっています。また、ILO理事会が9度目となる勧告を日本政府に行ったことなども踏まえ、労働基本権回復など、民主的な公務員制度の抜本的見直しを求めました。
総長は、今後も政府の動向等を注視するとして、「裁判所において具体的な措置を検討するに当たっては、これまで同様、職員及び職員団体の意見を聴くなど、適切かつ誠実に対応していきたい」と回答しました。
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