おいでやす全司法
プライバシーポリシー  
CONTENTS 全司法紹介 司法制度改革 少年法関連 全司法大運動 全司法新聞 声明・決議・資料 リンク サイトマップ
  トップページ > 全司法新聞 > 2014年6月 > 2197号
 
 
全司法新聞
 
「給与制度見直し」はね返し、働きがいある処遇を
− 行(二)の集会・会議・交渉を実施 −
 

全国からの署名を提出する松島文博さん(富山支部)
 5月30日に国公労連第48回行(二)労働者全国集会が開催され、全司法からも4名の組合員および担当役員が参加しました。また、翌6月1〜2日には全司法の地連行(二)担当者会議を開催し、行(二)職の要求や課題について討議を行い、2日目の最高裁交渉では処遇等の改善をめざし当局を追及しました。

行(二)にはトリプルパンチ


 行(二)労働者全国集会では、冒頭に行(二)労働者の賃金や労働条件をめぐる情勢および今後のとりくみ等について、国公労連から基調報告がなされました。折しも、行(二)職の処遇や働き方に大きな悪影響が懸念される「給与制度の総合的見直し」が検討されている最中、処遇改善に向けて引き続き政府・人事院に対するとりくみを強化する必要があることが強調されました。その後は、単組報告に引き続き(1)自動車運転手、(2)船舶乗務員および労務職の2グループに分かれ分散会を実施し、それぞれの国公職場の現状と課題について意見交換を行いました。
 翌日からの地連行(二)担当者会議は、各地連の担当役員および本部対策委員など17名の参加のもと開催しました。冒頭、本部から裁判所や行(二)職をとりまく情勢およびこれまでの経過と到達点等についての基調報告と、「給与制度の総合的見直し」の問題点や今後のとりくみ課題を中心とした学習会を実施しました。学習会では、「総合的見直し」が強行された場合、特に行(二)職にとっては行(二)俸給表の見直し(引下げ)に加え、地域間および世代間の給与配分見直しとあわせトリプルパンチとなる可能性もあることから、危機感を持って反対の運動を作っていく必要があることが強調され、今後のとりくみについて意思統一を行いました。
 全体討論では、行(一)事務官への転官方策をふまえた転官希望の把握や転官後の職務導入の状況、退職不補充により業務委託がすすむ職場実態、付加業務や超過勤務の実態、OAに関する要求、人事評価制度の運用状況、昇格改善と処遇維持など、労働条件全般に関わる課題について意見交換しました。なかでも、人事評価制度に議論が集中し、依然として不十分な実態は残っているものの、この間の全司法の要求により、評価者とのコミュニケーションについては一定の改善が見られることなどが報告されました。一方、行(二)職として目標設定に苦慮している実態や、部下数制限の縛りにより以前のような昇格が望めない中、評価を受ける意義が見出せないなどの意見も出されました。引き続き、各現場において運用改善を求めていくことの重要性が確認されました。

3点セット前提に努力姿勢



職場実態を訴えて追及(行(二)上京団交渉)

 2日目には交渉を実施し、中間集約した「行(二)職員の処遇維持・改善と行(一)転官方策の継続を求める署名」を最高裁当局に提出しました。交渉では、「給与制度の総合的見直し」の問題も含めた賃金改善、国民サービス維持・充実の観点からの行(二)職の必要人員の確保、処遇・労働条件の維持・改善と行(一)転官希望者の早期転官実現、部下数制限撤廃と昇格水準の維持・改善、人事評価制度の運用改善等について、職場実態を訴えながら追及しました。全体的に従前を踏み出す回答はなかったものの、いわゆる3点セットの回答を前提とした努力姿勢は引き出すことができました。
 今後も、行(二)運動の活性化と日常活動の充実をはかりながら要求の前進をめざしていくことを確認し、2日間の会議と交渉を締めくくりました。

 
ページの先頭へ
 
第3回給与課長交渉を実施(6/3)
増員めぐる情勢の厳しさを強調
 
諸要求期3回目の給与課長交渉
 全司法本部は、6月3日に最高裁春名給与課長と、人員、健康管理、庁舎設備、宿舎などの課題で諸要求貫徹闘争期の第3回交渉を実施しました。追及に対する主な回答は次のとおりです。

人員

必要な人員を確保したい

 次年度予算における人員要求の姿勢は、「事件数や事務処理状況等をきめ細かく把握しながら、必要な人員を確保したい」との考え方を回答する一方、「国家公務員の定員を巡る情勢や事件数動向を踏まえると、これまでのような増員は見込めなくなると思われ、財政当局との折衝はこれまで以上に厳しくなる」との厳しい認識を強調しました。
 また、特に事務局の繁忙度が際立っている点を職場実態報告も踏まえながら指摘し、人的態勢整備を求めたものの、「一般的には事務処理の簡素化、効率化がはかられやすい部門であるところ、それらも踏まえて事務処理体制を検討していきたい」との回答に止まりました。

健康管理

懇談会のテーマを最高裁でとりまとめ

 回答では、「長時間勤務が健康および福祉や公務の能率に与える影響は十分に認識」しているとし、超過勤務縮減に向けたとりくみを継続していきたいとの姿勢を示しました。
 また、健康管理「懇談会」については、職員の健康管理において重要と認識し、裁判所職員健康安全管理規程第8条および全司法が要求している定期開催について、下級裁に伝えていること、協議テーマについても最高裁で取りまとめて紹介したこと、協議結果を職場へフィードバックしていることも明らかにしました。
 一般定期健康診断については、「広く受検できるための態勢整備に向けて知恵を絞っていく」姿勢を引き続き示すとともに、速記官などの特定定期健康診断については、全司法の問題意識も踏まえて「検査方法について注意喚起をした」ことを明らかにしました。

庁舎設備・宿舎

必要な予算確保に努力

 本年度予算においては施設整備に必要な予算を確保できた認識を示し、「今後も新しい制度の運用に支障がないよう、既存の設備等有効活用とともに必要な整備を計画的に行う」との姿勢を示しました。
 また、執行未了となった庁舎新営・耐震改修案件については、「必要な予算の確保に向けて努力したい」と回答しました。
 宿舎については、「転居にともなう異動に当たって必要な戸数を確保することに努めるスタンスに変わりはない」との基本姿勢を示した上で、「合同宿舎を管理する財務事務所への積極的な働きかけを行うなど、裁判所に認められた必要戸数の中で最大限の努力を行いたい」と回答しました。
 宿舎入退去に関する運用については、「類型該当性の判断は官署の長が行う」としながら、「個別事情により柔軟な運用を検討する余地もあると思われる」との認識を示しました。

宿日直

KEITASの機能充実に向けて努力

 「大規模庁はもとより、支部を含めた小規模庁においても、宿日直業務における当直員の負担が大きい場合があることは認識している」とした上で、当直態勢は各庁で様々であり、基本的には各庁で職員の負担感や健康管理に十分配慮した態勢で行われているとしながら、「各庁における仮眠確保の工夫例を最高裁で取りまとめ、下級裁に情報提供し、さらなる工夫を指導した」ことを明らかにしました。
 KEITASによる日直の事務効率化については、これまでも過誤防止機能を中心に改修を行ってきたことを明らかにしました。なお、職場から事務効率化への要望が強いことを主張し、それに対して「今後とも、必要性を見ながら、過誤防止支援機能の充実に向けて努力していきたい」と回答しました。

 
ページの先頭へ
 
頑張っていけるパワーをもらえた2日間
第44回国公女性交流集会
 
全国から約200人(全司法29人)が参加。(滋賀県長浜市)
交流会に参加した全司法の仲間
 5月24〜25日、滋賀県長浜市で第44回国公女性交流集会が開催され、全国から約200人(全司法29人)の参加がありました。集会1日目は、記念講演と基調報告、3つの職場と地域から、職場で起きていることなどの実態報告を行い、2日目は5つの分科会に分かれて労働組合の役割やこれからの働き方などについて討議しました。

声をかけよう、つながろう

 国公女性集会は、1960年の東京での第1回集会以来、ほぼ毎年開催され、今回で44回目となります。毎年、全国各地で働く国公女性労働者が一堂に会して、女性が働きやすい職場をつくるための意思統一の場として位置付けられ、国公女性協もその中で発足し、発展してきました。今回の集会は、「ひろげよう連帯と共同の輪〜声をかけよう、つながろう〜」をコンセプトで開催されました。
 1日目は、元職業安定所職員で全労働の役員も務めたことのある君島千佳子さんの記念講演があり、「かけがえのない仕事、労働組合、そして今」というテーマで、パワフルな話をしていただき、元気をもらうことができました。また、国公女性協の基調報告のあと、(1)社保庁不当解雇撤回闘争裁判、(2)東日本大震災の現状、(3)関空検疫所の職場実態について、それぞれ現状や実態の報告がありました。その日の夜の交流会では、近畿ブロック中根正雄副議長による落語が披露され、会場を大いに沸かせました。
 2日目は、5つの分科会に分かれて、労働組合の運動や働き方、ハラスメント問題、原発問題、笑いと健康といった多彩なテーマで大いに語り合うことができました。最後の全体会では、参加者みんなで作成したメッセージカードでできたタペストリーがお披露目され、次回の集会までにそれぞれの持ち場で頑張ろうと誓い合い、集会を閉じました。

参加者の感想

△現地実行委員として参加しました。今まで、他の組合の方と交流する機会がなく過ごしてきましたので、とても良い経験ができました。また、全司法各支部からの参加者とも交流ができ、有意義な時間を過ごせました。どんなときもくじけず、頑張っていけるパワーを頂けた2日間でした。
△派遣労働の規制緩和で、多くの労働者が「者」から「物」になってしまいました……。「物」は、子供を作ることができません。厳しい労働環境の中、女性一人で組合を作った方の元気な報告もあり、楽しく励まされた交流会でした。
△各職場の現状なども聞けて、非常に勉強になりました。参加は初めてでしたが、同じ全司法の方々もその他の単組の方々も、とてもパワフルかつ気さくな方々ばかりで、集会を通じて元気をいただけた感じでした。
△初日だけの参加でしたが、いろいろな単組の方々のお話を聞き元気をいただき、とても有意義な半日でした。私もがんばろ〜と思いました。
△分科会は、原発がテーマでしたが、久々に学生に戻り理科の授業を受けている様な感覚でした。原発についてそれぞれが自分の意見を持てるよう正確な知識や情報を得ることと、自分にできることを考えて生活する必要性を実感する機会となりました。
△全体会に参加しました。子連れでしたが、実行委員の皆さんに保育していただき、私も子も楽しく参加できました。迫力ある皆さんの報告に元気をいただきました。ありがとうございました。

 
ページの先頭へ
 
テレビではわからない実態に触れた…
福島県でユニアカ2014を開催
 
原発30キロ圏内の被災地を視察
 全労連青年部は、5月31日から6月1日にかけて「ユニオンユースアカデミー2014(以下、「ユニアカ」)」を開催し、全司法からも2名が参加しました。
 今年度のユニアカは、福島第一原発事故がもたらした被害を学び、東日本大震災の復旧・復興が進まない原因はどこにあるのかを考える機会とすることを目的に、東日本大震災当時に福島県いわき市で暮らし、現地で働いていた方から体験談を聞きました。
 震災当時、病院に勤めていた方は「避難したいという思いとたたかいながらも、患者の命を守るという正義感から職場を離れることができなかった」と述べられ、小学校教諭の方から「過酷な避難生活を経験した子どもたちは精神的に不安定で、未だに仮設の教室での授業が続くなど、教育に大きな影響が出る」ということも話していただきました。そのほか、みなさんが口をヨえて話していたのは「福島原発の事故後、放射能漏れの事実が現地で働く人に知らされなかった」ことです。震災とそれにつづく原発事故の中で実際には何が起きているのか、現地でしかわからない話に接する機会となりました。
 2日目は、被災地の復旧・復興の現状を知るために現地視察も行い、3年が経過したとは思えないような光景を目の当たりにしました。

復旧・復興がほとんど手につかず
  (石川支部・堀田浩史青年部長の感想)

 1日目の学習会では、福島で働く方から話を聞くことができ、原発事故当時は、国により放射能の拡散予想の情報が隠され、一般には公表されなかったことへの憤りなど、テレビの映像などでは知り得ない、地元の方から直接話を聞くことのできる貴重な場でした。
 翌日の現地視察では、富岡町(福島第一原発から10キロメートル圏内。帰宅困難地域の手前)や広野町(同30キロメートル圏内)などをバスで訪れました。富岡駅前の商店街は、放射能の影響等により復旧・復興がほとんど手つかずの状況で、震災後3年以上経過しているとは思えない状況でした。また、バスでの移動中、放射線測定機の値は上がったり下がったりを繰り返していました。
 この2日での経験は、わずかなスペースにとても書ききれるものでは無く、また、私自身、いろいろな思いを持ちました。


 
ページの先頭へ
 
労働法の基本原則壊すアベノミクス(労働規制緩和)
 

 安倍政権が進めようとしている労働政策は、アベノミクスの「成長戦略」の一つとして位置けられており、その目指すところは、日本を「企業が世界一活動しやすい国」にすることです。その考え方が労働分野に持ち込まれることで、日本は「労働者が世界一生きにくい国」になってしまいます。
 今、労働法の規制緩和と称して狙われているのは、次の3つです。

派遣労働拡大で「正社員ゼロ」

 第一に、非正規労働のさらなる拡大です。労働者派遣法は「常用代替防止」(正社員を派遣に置き換えてはならない)を基本原則としています。つまり、「派遣」という不安定な働かせ方は一時的、限定的な例外としているわけです。これまでに行われてきた労働法制改悪の最大の問題は、こうした派遣労働を一般化して広げていったことにありますが、今国会に提出されている労働者派遣法「改正」案は、わずかな歯止めとして残っている期間の定め(現行3年)さえ緩和しようとしています。これによると、人さえ3年ごとに交代すれば、企業は派遣労働者をずっと使うことが可能になり、「常用代替防止」の原則を根本から変えてしまうことになります。正社員とは名ばかりの「限定正社員」の導入などとあわせて、「正社員ゼロ」政策だと批判されるのは、このためです。

労働時間規制なくして「残業代ゼロ」

 第二に「残業代ゼロ」制度です。労働基準法は「1日8時間、週40時間」の労働時間の上限を定め、これを超えれば残業代の支払いを義務づけています。ところが、安倍首相が導入を指示しているのは、労働時間ではなく「成果」で報酬を決めることを理由に、労働時間の規制をなくす制度です。かつての第一次安倍内閣が「ホワイトカラー・エグゼンプション」で残業代ゼロを導入しようとして反対の世論にあい、断念したことをふまえ、今回は年収や職種などを限定し、本人の「希望」を要件にするとしていますが、企業と個人の力関係を考えれば、何の歯止めにもならないことは明らかです。
 第三に「首切り自由」。政府の規制改革会議は解雇規制をなくして、お金さえ支払えば、理由が無くても解雇できる「金銭解雇」の仕組みを検討しています。これは、会社が自由に社員を解雇できる仕組みを作るということで、これでは、労働者は安心して働くことができませんし、解雇をおそれて、会社の言うがままに働かざるを得ない状況が生まれてしまいます。

労働法の基本原則を「緩和」して壊す

 このように、安倍首相が「岩盤規制にドリルで穴をあける」と主張し、「規制緩和」と称してやろうとしていることは、労働者を守るために作られている労働法制の基本原則を根こそぎ壊すことです。こうした制度が作られれば、いつ公務にも導入されるかわかりませんし、なにより、労働組合である以上、それ自体、許すわけにはいきません。
 今、全労連、連合、全労協などの労働組合のナショナルセンターの枠を超えた労働法制改悪反対のとりくみが展開されています。各地でとりくみが展開される時には、ぜひ、積極的に参加してください。

 
ページの先頭へ