東海林智さん(毎日新聞記者)の講演では、安倍政権が進めようとしている労働法制の規制緩和について「労働法の基本原則を『岩盤規制』だと攻撃し、労働者を今いる所から無理矢理引っ剥がして、移動させるもの」と厳しく批判しました。また、ネットカフェ難民等を取材し、2008年の派遣村に関わった経験から、非正規労働者がおかれている過酷な実態を紹介したうえで、そうした人たちも正社員も含めて「労働組合がなければ人間らしく働けない」と主張。労働組合の役割について「一番重要なのは現場での発言権を獲得すること、自らの労働条件に関与できる立場を持つこと」だと指摘し、あわせて「運動を引っ張っていけるのは公務員の労働組合。ぜひ一歩、足を踏み出して欲しい」と呼びかけました。
槙野理啓さん(関西勤労協)の講演では「賃金が労働力の対価である」ことからわかりやすく説き起こし、賃金を受け取ることは当然の権利であること、賃金の額は生計費で決まるのが原則であることを理論的な観点から明らかにしました。
秋山正臣さん(国公近畿ブロック)の講演では、国公や地域の労働運動に関わってきた経験をふまえて、地域や社会との関係を大切にしながら運動を作っていくことの必要性を訴えました。
今回の中央労働学校は「要綱」の改訂で、これからの活動を担うリーダーの育成を目的とするものになったことをふまえて「視野を広げ、自分たちの頭で考える」ことを意識したカリキュラムとなりました。改訂後初年度ということもあり、中には戸惑う意見等もみられましたが、「考える良いきっかけになった」「これを機にいろいろ学んでみたい」等の感想も多く寄せられ、今後につながる企画となりました。
標準カリキュラム(案)を提案
また、2日目の午後には、本部の中矢副委員長が今後の地連・支部等の学習で活用するための資材として「はじめて読む『国家公務員法』」を発表しました。本部では6月以降、各地連・支部で実際に活用しながら、7月の定期大会で正式に「全司法 標準カリキュラム」として確認することにしています。
参加者の感想文から
◇もっと学ばないといけないと感じました。働いている者が声をあげなければ、誰も知らず、気づかず、わからないままです。意見を出すことのできる場があってよかったと思いました
◇一歩踏み出す組合活動という言葉に、また別なベクトルの活動を見出せるのではないかと深く共感する事があった。単組の殻にこもっていたのでは分からない事、知ることができない事が多々あることを知った
◇非正規の現状や解雇自由化等の話を聞いているうちに、自分たちだけでなく、日本全体の危機のようなものを感じました。確かに、今こそ労働組合が必要だと思います
◇裁判所は恵まれていると思いますが、それに甘んじていると、いつ、とんでもない危機が訪れるかわかりません。普段のニュースにも目を向け、正しい情報を手に入れるようにしたいと思いました