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全司法新聞
 
前進にむけたエネルギー感じた中央委員会
全司法第74回中央委員会1月24〜25日
 
 全司法は1月24日〜25日、静岡県熱海市において第74回中央委員会を開催しました。若い中央委員が数多く参加する一方、中高年の要求に応えた運動の必要性が語られたのをはじめ、情勢が大きく動くもとで、「前進にむけたエネルギー」が感じられる中央委員会となりました。本部の提案を満場一致で可決し、14春闘勝利、組織強化・拡大を図る決意を固め合いました。

82名が参加。14春闘勝利、組織強化・拡大を図る決意を固め合う

中央執行委員長あいさつ
国民的運動が広がるもとでの14春闘

「戦争できる国づくり」に反撃

「地域に足を運び、大幅賃上げと働くルール確立を」門田敏彦委員長

 第2次安倍政権は、「アベノミクス」を打ち出し「構造改革」路線を強力に推進する一方で、憲法改悪をはじめ、戦争できる国づくりに突き進んでいます。
 秋の臨時国会では、秘密保護法や国家安全保障会議設置法が強行成立されました。何が秘密かわからない中で、故意であるなしにかかわらず、秘密を漏らした公務員や知りえた民間人を最高10年以下の懲役に処する内容となっています。
 また、同法が秘密を扱う公務員を対象としている「適性評価」には、調査内容の一部に、配偶者の有無や事実婚かどうか、父母や子及び兄弟姉妹、同居人などの氏名、生年月日、国籍、犯罪歴、精神疾患の有無、薬物、飲酒についての節度といったものまであります。
 こうした動きに対し、国民的な反撃が強まっています。年が明けてからも、総理官邸前をはじめ全国各地で秘密保護法廃止のデモや集会が拡大し、その運動に賛同する憲法・刑法学者などが日を追うごとに増え続けています。脱原発やTPP交渉参加問題、消費税増税反対など国民的な課題の運動とのつながりも出始めています。また、辺野古新基地建設でも県民の大きな怒りが、名護市長選挙での結果にも表れています。
 このような国民的課題での運動がかつてなく広がっていることに、私たちはしっかりと目をむけ、今春闘にとりくまなければなりません。

賃上げが大きなカギ

 2014年春闘では、すべての労働者が一体となって財界・大企業優先の政治・経済からの転換をはかり、大企業の内部留保を労働者や下請・中小企業に還元し、労働者が安心して働けるルールを確立することを掲げています。また、ブラック企業の規制が求められるもとで、政府は労働者派遣法の改悪や有期雇用の「特例」法案を通常国会に提出する動きなど、規制とは逆の方向の動きを強めていることから、労働法制を守るたたかいも重要な課題です。
 すべての労働者の賃上げこそがデフレ脱却の大きなカギです。すべての職場から地域に足を運んで、大幅賃上げと働くルールの確立にむけて、14年春闘を大きく盛り上げていきましょう。
 昨年は、社会保険庁分限免職撤回闘争や「公務員賃下げ特例法」撤回などのたたかいで要求と運動が前進しました。これらを確信としながら、14年春闘において、各課題の運動と要求が前進し、第2次組合員拡大強化月間での躍進できるよう、日常活動を充実させるとともに、引き続き全司法への結集を呼びかけるものです。

可決・承認された案件
1.2014年春闘方針案 (可決)
2.全司法組織強化・拡大プロジェクト
  〜新たなJOプラン2ndステージ〜(案) (可決)
3.2013年度中間決算報告 (承認)
4.中間会計監査報告 (承認)

討論内容等

2013年秋闘総括

議長の出口さん(大阪)、山本さん(福岡)

 中央委員会には、中央委員、オブザーバー、本部役員および来賓の合計82名が参加。議長に出口中央委員(大阪)、山本中央委員(福岡)を選出して始まりました。
 委員長あいさつに続いて阿部書記長が13秋年闘争の中間総括をふまえた14春闘方針案、補足資料(国公労連2014年春闘統一要求案)、全司法組織強化・拡大プロジェクト案を提案しました。
 また、中矢財政部長から中間決算報告、湯本会計監査委員から会計監査報告がありました。質疑では、国公共済担当者と組合役員の連携の重要性について発言がありました。
 討論では、各課題について、のべ36名から発言がありました。
 討論を受けて、阿部書記長からの総括答弁後に、議案の採決が行われ、全ての議案が満場一致で可決されました。その後、2014春闘アピールと「給与制度の総合的見直し」に反対する決議が採択されました。
 最後に、14春闘の奮闘と全国大会にむけて組織強化・拡大をさらに進めていくことを改めて確認し、「団結ガンバロー」で閉会となりました。

 昨年末に安倍政権が秘密保護法を強行成立させたことは、「『戦争をする国づくり』の第一歩で、労働組合が最初の弾圧の標的になる。成立は廃止運動のスタート。今後も廃止に向けてたたかっていきたい」(大阪)との決意表明や、年末年始の宿直廃止に伴う連絡員体制の実施に際し官物ではなく私物携帯電話の利用を通告してきた当局に対し、ビラや職場大会を背景に押し返した」(和歌山)との報告がありました。

春闘情勢

 政府要請に対し、経団連もベアを容認する姿勢を見せている中、「これまでの春闘とは様相が違う。地域でのとりくみに結集していこう」(愛知・福岡)、「賃下げ継続は阻止したが、『給与制度の総合的見直し』でまた下げられるのではないか」(立川)、「『給与制度の総合的見直し』で地域間格差がいわれているが、地方がますます切り下げられかねない」(福島)と、「給与制度の総合的見直し」に対する不安が出される一方で、「政府は復興財源の確保を理由に賃下げを行ったが、流用の実態が明らかになった。使い道をよく精査して声を上げていこう」(広島)、「高齢者への賃下げ攻撃は生涯賃金を切り下げる攻撃だ。若い人たちにも認識してもらい、たたかっていきたい」(愛知)などの決意が熱く語られました。

全司法大運動会

 春闘期の地域に出るとりくみに関連づけ「議員要請にとりくみたい」(宮崎・愛知)、「昨年は街頭署名を行い、若手からやってみて良かったという声があり、組織強化にもなった」(福岡)、「今期はメリハリをつけた提起がされていて、とりくみやすい」(広島)、「とりくみの意義を学ぶ学習会が効果的。今後もやっていきたい」(福井)と、各支部から決意が語られました。

労働基本権回復

 自民党が「物言わぬ」公務員づくりを進める中で、「労働基本権回復のために『公務員賃下げ違憲訴訟』勝利にむけて共にたたかおう」(東京高裁)と、決意が語られました。

震災復興、国民的課題

 「安倍首相はコントロールされていると言うが相変わらず原発から汚染水が出続けている。県労連や県国公とともに反対のとりくみを引き続きやっていきたい」(福島)と、原発の現状と決意が報告されました。
 また、秘密保護法と裁判所の関係について、「職員の親族を含めプライバシーが侵害される。司研でも取り扱ってはどうか」(福岡)との発言がありました。

権利

 春闘期交渉について、「当局は賃金は権限外として、交渉出席者を切り下げる対応をしてきた。職場諸要求も交渉議題であり、同対応は認められるものではなく、たたかっていきたい」(大阪)との決意が語られ、他支部からも「支援したい」との意見が出されました。

職場諸要求、職種・階層

 人事評価制度では、「裁判所では目標管理的手法をとらないが、現場にそれが落ちていない。制度に対する理解が不十分であるとともに制度が信用されていない」(愛知)と、評価制度が職場に浸透していない実態が報告されました。
 職員制度では、愛知から、書記官事務の整理について各職場の状況の報告を求めたところ、「主任の理解によって違う」(広島)、「民事部で月1回プレゼン会、刑事部で事前準備マニュアルの改訂、月1回ぐらい裁判官との話し合いも」(福井)などと各支部から実情が報告されました。
 速記官制度については、「養成再開署名と電子速記タイプライターの官支給の要求に協力をお願いしたい」(東京地裁)との訴えがありました。
 宿日直の課題では、休日の令状当直について、「KEITASの使い勝手の悪さが超勤につながっている」(東京地裁)との実情が報告されました。
 階層では、「中高年組合員が結集できるとりくみを強化してほしい」(愛媛)との要望が出されました。

平和と民主主義

 安倍政権の右傾化を受けて、「平和に対する危機感が増している。平和行進に支部から40名の参加をめざす」(岩手)との決意が語られました。

戦術配置

 「秋闘期に専従未配置地連を本部が支援してプレートを配置すれば、全国的な運動に広がるのではないか。また、諸要求期はプレートに限らず、全支部組合員が結集する効果的なものを検討する必要があるのではないか」(福岡)との問題提起がありました。

組織強化・拡大

 「全司法組織強化・拡大プロジェクト(案)」の提案を受けて、多くの支部から積極的な発言がありました。
 「採用直後は新採の加入が1名だったが、その後同世代の働きかけで6名中5名の加入を実現」(鹿児島)、「若手執行委員がチームで呼びかけ、10月採用で2名加入を実現。学習にも力を入れたい」(大阪)、「組合の意義・役割について学習会、懇親会を青年の企画で開催。来月も学習会をやる予定」(宇都宮)、「新採用の加入100%実現、各級機関の大会に青年がかかわっており、青年中心に頑張りたい」(鳥取)と、各支部から青年を中心とした加入のとりくみの成功例が報告されました。さらに、「定年前の脱退希望者が、シニア共済を紹介して踏みとどまった」(佐賀)と国公共済会の活用例も報告されました。
 日常活動の充実については、「労働組合としてあたりまえのことをやっていくことが重要」(広島)、「脱退理由は組合員からみて活動が見えていないことが原因。学習と日常活動の充実で役員の育成にもつながる」(福岡)、「臨時職員の加入にも力を入れている。役員が愚痴をこぼすのはマイナス」(宮崎)、「組合の任務は要求実現、この基本を押さえることが必要」(愛知)との意見のほか、「地裁分会を休止したらかえって役員個々の負担増に。成功・失敗例を本部が集めてフィードバックしてほしい」(岡山)との要望も出されました。
組合費の徴収方法も含め、「総研生と、どうつながっていくか」(立川)、「総研生の要求集約の知恵を貸してほしい」(福岡)との問いかけがあったのに対し、「引き落としでやっている」(福井)、「アンケートや連絡員で対応」(愛知)との実情が紹介されました。
 また、昨年の定期大会での発言にかかわって、「駐車場問題では大会後も支部間で情報が得られた」(佐賀)とのお礼の報告もありました。

青年協活動報告
全国青年友好祭典(8/30〜31)を青年の活動の起爆剤に!

「組織強化のため、日常的な学習が重要」濱田智弘青年協事務局長

 濱田智弘事務局長が青年協の2013年度上半期の活動と今後のとりくみについて、報告しました。
 一点目は、要求実現をめざすとりくみとして、昨年11月に総研生との意見交換会を開催したことが報告されました。意見交換会を通じて研修生の意見を集め、それを要求として確立し、交渉で当局へ伝え改善を求めるという一連の活動を経験することで、組合員の意見を聞く機会を設けることがやはり重要であるということを再認識したことが述べられました。あわせて、青年協は今後も「青年の暮らしむきアンケート」などで職場の組合員からの意見を集める活動に積極的にとりくんでいく決意が述べられました。
 二点目は、組織拡大に関して、新規採用者の勧誘を一度きりで終わることのないよう継続したとりくみを行うことが大切であることが述べられました。ここ数年、支部・地連が連携した歓迎会の開催など、各地で積極的なとりくみが行われていますが、一度きりの勧誘で終っているところもあります。継続した勧誘が行われるよう各地の常任委員が支部青年部と連携して活動していくこと、また、青年協として加入拡大にむけて歓迎グッズを作成することが報告されました。
 三点目は、組織強化に関わって青年層の学習の重要性について、会議形式の学習会の開催にこだわらず、日々の活動の中で出てきた疑問に先輩組合員が答えるなど、日常的な学習への先輩組合員の協力を求めました。
 四点目は、全国青年友好祭典の開催について、8月30日〜31日に岡山県倉敷市で開催することが決定したこと、多くの青年が参加できるよう財政的な基盤を作るとともに、友好祭典の開催を広く周知するために物品販売のとりくみを予定していることが報告され、青年に限らず多くの方に協力が呼びかけられました。
 最後に、全国友好祭典を青年の活動のための起爆剤とすること、青年の要求実現と運動の発展にむけて今後も奮闘していく決意が述べられました。

要求実現の展望が広がる春闘 全国で奮闘しよう!
阿部書記長の総括答弁

「それぞれが、できることを実践していこう」阿部賢太郎書記長

2013年秋季年末闘争の中間総括

 秘密保護法の成立阻止に向けたとりくみ経過と今後の廃止に向けたとりくみの重要性について発言があった。秋の臨時国会では秘密保護法のほか、国家安全保障会議設置法も成立しているが、これらの法律が持つ危険性について各級機関でも議論を重ね、全体の運動として盛り上げていくことを確認するとともに、国民平和大行進など私たちにできるとりくみに積極的に参加していく決意を固めたい。

2014年春闘の情勢とたたかいの基本的な構え

 賃上げの機運が高まり、昨年度までとは違う景色が見えている今春闘こそ、ベアによる賃上げを勝ち取る絶好のチャンスであること、賃上げと内需拡大こそがデフレ脱却のカギであり、消費税増税が4月に待ち受けているもと、官民一体となって外に足を踏み出す運動の重要性が指摘された。
 今春闘では全ての労働者が一体となって、財界・大企業優先の政治・経済からの転換をはかり、労働者の賃上げを勝ち取ること、劣悪な労働環境を強いる労働法制の改悪を許さず、安心して働けるルールの確立と労働条件の底上げをはかることが求められる。要求実現に向けた展望が大きく広がる今春闘において、全国で奮闘する決意を固めたい。

主な課題とたたかいの具体化

 「給与制度の総合的見直し」で高齢者へのさらなる賃金抑制や地域間給与配分の見直しの検討がすすめられている。一部の世代や地域のみの問題とすることなく、一方的な見直しを許さないとりくみを全体で強化していくことが求められる。
 「公務員賃下げ違憲訴訟」が大詰めを迎えているが、政府の一方的な労働条件の切り下げを許すのかが問われている裁判である。署名の追い上げをはかるとともに、引き続き職場内世論の形成に全力を挙げてとりくもう。
 職場が繁忙となる中で、適正・迅速な事件処理の要請に応えるために全司法大運動の役割が重要になっている。組織の足腰を鍛える運動とも位置付け、積極的なとりくみを展開してもらいたい。また、「司法が三権の中でどう位置づけられ、どういう役割を果たしているのか」を知ってもらうことも重要。裁判所の人的・物的充実の必要性とともに、司法の果たす役割や位置付けを広く国民にアピールすることが大切である。
 職場諸要求実現の課題では秋年期に地連・支部が主体となってとりくむことが重要であるが、交渉配置などが不十分な実態を踏まえれば、各級機関でとりくみを再構築していく必要がある。また、本部は諸要求貫徹闘争期に「全国統一の効果的な戦術配置」を提起しているが、具体的な戦術配置にあたっては職場の受け止め方や気分・感情、組織実態にも配慮しながら、全組合員が結集し、全ての機関が貫徹できるような行動提起も含め検討していきたい。

組織強化・拡大、「新たなJOプラン2ndステージ」

 組織強化・拡大の課題では、厳しい状況がある中でも、青年層が主体的につながりを作って新たなとりくみを始めているとの発言もあり、明るい兆しも見え始めている。その芽を潰すことのないよう、しっかりサポートしていく必要がある。
 組織強化・拡大をはかっていくためには、職場の組合員にも要求実現と組合員拡大の「担い手」としての協力を求め、職場全体で拡大運動をすすめることが大切である。「機関役員が楽しそうに活動してこそ、人は集まって来る」との発言もあったように、厳しい組織状況に屈せず、明るく楽しく元気よく活動を行っていくこと、また、自分たちに何ができるのか考えながら、組織強化・拡大に向けた歩みを止めることなく、継続していってもらいたい。
 そのためには、各支部の主体的なとりくみが必要不可欠である。本部は「プロジェクト」で基本的なとりくみを提起しているが、各拡大強化月間でもとりくみを具体化するほか、ニュース等でも各支部のとりくみ事例をフィードバックするなど、支援していきたい。

 
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成年後見・司法アクセスから「国民のための裁判所」を考える
〜第39回司法制度研究集会〜
 

 1月25日〜26日、第39回全国司法制度研究集会が開催されました。初日は講演とパネルディスカッションで成年後見事件の現状と課題を浮き彫りにし、2日目は司法制度改革と司法アクセスについて報告・講演を行いました。第74回中央委員会からの出席者を中心とした総勢82名が参加し、有益な意見交換、議論の場となりました。

成年後見の現状と課題を多面的に討論

 初日はまず「成年後見における司法書士の取り組み」と題して、三重県司法書士会の小林聖仁司法書士から講演をいただきました。
 小林氏は、司法書士として成年後見事件の申立準備のほか、成年後見人や成年後見監督人として数多くの事件を担当されており、私たち裁判所職員にとって有用な講演となりました。
 被後見人の「失われた年金記録」を調査した事案、後見開始までに被後見人がマルチ商法の被害者となっているケース、被後見人が死亡して葬儀等の必要がある場合、専門職後見人として親族との関わり、被後見人との意思疎通のはかり方など、具体的かつ苦労した点を含めた経験談は、とても興味深いものでした。
 さらに、財産が少ない被後見人の場合には自治体の支援事業を通じて報酬や経費を受け取ることができるものの、制度がまだまだ普及していないという問題点の指摘もなされ、高齢化社会にむけた法整備、リーガルサポートの果たす役割などが報告されました。
 講演に続いて、小林司法書士に加え、各地連から選出された書記官・調査官をパネラーにパネルディスカッションを行いました。
 裁判所側のパネラーから成年後見事件処理の状況等の報告があり、高齢化社会における成年後見制度の今後の展望、家裁後見担当部署の繁忙実態やその原因、改善方法の模索について多面的な討論を行いました。

司法制度改革は検証段階

 2日目はまず、本部から「1990年代からの司法改革の流れについて」報告が行われました。
 1960年代半ばから後半にかけての「司法反動」に至る動きから説き起こし、司法制度改革が、改革を求める国民的要求と「構造改革」路線という2つの流れのせめぎ合いでできたものであることを解明したうえで、全司法大運動が始まった経緯にも言及する報告になりました。
 現在、司法制度改革は検証段階にあり、職務にたずさわる私たちが、「国民目線」で問題点を見いだして検討し、改善に結びつけていくことが司法制度研究活動の重要なテーマであることが述べられました。

裁判所はまだまだ敷居が高い

軽快なテンポで市民からの視点を紹介する曽場尾弁護士

 最後に、「司法アクセス」について、市民から裁判所がどのように見えているのかをテーマに、長崎弁護士会所属の曽場尾雅宏弁護士に講演いただきました。
 冒頭に、庁舎建て替えにおける弁護士会と裁判所との折衝の状況や市民集会で出された要望が紹介され、裁判所がまだまだ市民にとって敷居の高い国家機関であることが指摘されました。
 また、東日本大震災直後の裁判所の新受件数と弁護士会や原子力損害賠償紛争解決センターでの相談件数を比較し、裁判所の利用が進んでいないことの問題点にも言及されました。
 さらに、弁護士も市民の視点から紛争の実態、様々な法律問題を捉え、関係機関とも連携して地域に根ざしていく「アウトリーチ」という新しいとりくみの紹介もありました。
 最後に、「理想は、『私たちの裁判所』だという意識を市民に持っていただくこと」と述べられ講演が締めくくられました。


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佳境に入った「賃下げ違憲訴訟」
 

岡部証人=不誠実交渉の実態が明らかに
平山証人=賃下げの合憲基準を内部検討

口頭弁論の後、報告集会で意思統一

 1月20日、「公務員賃下げ違憲訴訟」第9回口頭弁論が開かれました。この日は、2008年5月に行った交渉(国公労連と総務大臣)の双方の責任者である、国公労連岡部副委員長(当時書記長)と総務省政策統括官(当時人事・恩給局次長)を証人として調べました。全司法からも原告本人10名を含む12名が傍聴しました。裁判長は、次回の第10回口頭弁論(2月20日)で10名の原告本人尋問を決定する一方、全大教の長山証人を却下し、焦点の片山善博証人(元総務大臣)の採用については、双方から意見書の提出を求め、次回口頭弁論で採否を決定することとしました。また、この日は、昼休みに東京地方裁判所前で宣伝行動が行われ、裁判終了後は報告集会が開かれました。

財政難は人件費が原因ではない

 13時10分から103号法廷で開かれた第9回口頭弁論には、国公労連の外、自治労連や全教、JAL原告団など多数の支援者が集まり、約100席の傍聴席は満杯。予定時間を超えて午後5時20分まで証人調べが行われました。
 岡部証人は、「財政難を口実にしているが、公務員の人件費がその原因ではなく、情勢適用原則(国公法28条)に基づく人事院勧告を経ない給与減額は憲法28条に違反する」、「(労働協約締結権を回復する)自律的労使関係制度の先取りといっても現行制度下での交渉であり、仮に合意しても信義則に過ぎず、決裂しても(労働組合側に)対抗手段がないなど『いいとこ取り』だ」と述べ、政府が誠実交渉を尽くさず、使用者責任を一切尽くしていないことなどを証言しました。

やはり片山証人が必要

 一方、平山証人は、「賃下げの内容は内閣官房と財務省、法務省とも調整し、内閣法制局からも合憲との判断を得た」「労働組合とも十分に対応してきた」と述べました。また、総務省が賃下げを合憲と判断する基準として4つの要件((1)人事院勧告を尊重する、(2)必要性・合理性がある、(3)一時的な時限立法である、(4)職員団体の理解を得る)を検討していたことを初めて明らかにしたものの、それぞれの要件が合致しているかどうかについては、具体的な説明ができず、皮肉にも国側の証人でありながら、国の主張を立証できないことを露呈しました。そのことから、原告・弁護団は、改めて当時の総務大臣であった片山善博氏のを証人採用を求めしました。

署名のとりくみ強化を

 裁判終了後、報告集会が開かれ、冒頭に国公労連の宮垣委員長のあいさつに続いて、弁護団の加藤弁護士が証人尋問の内容などについて「平山証人が『内閣法制局の審査で承認されて賃下げ法が決まった』などの証言を引き出しことで、明らかにされていない文書がたくさんあることがわかり、今後、これらの書面を提出させることが重要になる。また、引き続き、片山証人の採用を求めていく」ことなどを報告しました。
 また、司法記者クラブでの記者発表を終えて駆け付けた証人の岡部副委員長は「全国の組合員のみなさんの思いを胸に、精一杯証言した。十分に伝えることができたなら嬉しい」と述べ、労をねぎらう大きな拍手に包まれました。また、全法務と国土交通労働組合の原告の仲間が決意表明を行い、最後に(1)「公務員賃下げ違憲訴訟」の公正な判決を求める署名のとりくみの強化、(2)中央、地方で賃下げの不当性を訴える宣伝行動への結集、(3)新聞投書行動のとりくみを呼びかけ、参加者全体で意思統一を行い、集会を終わりました。

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Action14春闘 第1回 14春闘本格始動
 
高級店が並ぶ丸の内仲通りをデモ
経団連を取り囲む労働組合の旗
 1月17日、全労連・国民春闘共闘・東京春闘共闘主催の「1・17春闘闘争宣言行動」がとりくまれ、厚生労働省前での要求行動や丸の内仲通り昼休みデモ、経団連包囲行動が展開されました。全司法からも在京と本部役員を中心に参加しました。
 全ての労働者の大幅賃上げと派遣労働自由化反対などの働くルールの確立を政府に求めて、多くの労働者が結集しました。昼休みデモには獅子舞やお囃子も加わり、参加者は鳴子を持って、丸の内オフィス街を練り歩きました。経団連包囲行動には450人が結集しています。
 今年は、昨年と違って賃上げの動きが出ています。ただ、大企業や一部の正規社員の賃上げに終わる可能性が高く、ボーナス(一時金)の上積みだけでお茶を濁す程度に終わることも懸念されています。正規、非正規問わずすべての労働者の賃上げがなければ、デフレも脱却できません。一人でも多くの組合員が地域に足を出して、民間の仲間とも連帯して運動を盛り上げていくことが大事です。
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東京司法9条の会
「メディアから考える憲法」
 
元記者の視点でマスコミの報道姿勢を分析
 1月17日、東京地域支部がOBと一緒に作る「東京司法九条の会」は、ジャーナリストの山口正紀さんをお招きして「メディアから考える憲法」をテーマに講演会を行い、組合員やOBなど約50人が参加しました。山口さんは元読売新聞記者で「人権と報道・連絡会」世話人として報道による人権侵害の問題にとりくんでおられます。
 講演の最後では、メディアの問題は深刻だが批判する一方で、内部で頑張っている記者を褒めることも大事であり、そのことが記者を勇気づけていることや、気持ちを同じくする各分野の人たちと手を繋いでいくことの大切さも指摘されました。以下、講演内容の要旨です。

講演の要旨

2割の賛成でも改憲可能

 メディアが憲法報道を始めたのは、湾岸戦争の頃。1993年の憲法記念日の社説は読売・産経が「改憲推進」、朝日・日経は「改憲反対」、毎日・東京は「慎重論」だった。その後日経は「改憲」に転じ、朝日・毎日は「論憲」に転じた。
 2007年に改憲のための国民投票法が成立したが、報道はほとんどなかった。最低投票率の定めがないことが大問題。例えば有権者の二割程度の賛成で憲法が変えられてしまう。
2012年に発表された「自民党憲法改正草案」は憲法改正ではなく憲法破壊である。立憲主義(権力を縛るもの)という原則を国民を縛るものに変質させるとともに、平和主義の否定、天皇の権限拡大や人権の制限など、重大な中身となっている。

民意とねじれ歴然

 この年の衆院選で自民党政権が復活したが、選挙報道で各紙は改憲公約を報道しなかった。経済問題ばかりを取り上げ、結果として争点隠しになった。
 翌年の参院選でもマスコミは改憲や原発の問題を取り上げず、アベノミクスや「ねじれ国会」解消のキャンペーンで政権を手助けした。現在、自民党は方向修正をして、憲法9条の明文改憲でなく、解釈改憲や立法で集団的自衛権行使を行おうとしている。ねじれ解消というが、民意とのねじれは歴然としている。世論調査の結果は、9条や原発については反安倍になっている。
 そして昨年の秘密保護法については、新聞労連は早くから問題点を指摘していたが、批判報道の立ち上がりは遅かった。もう一ヶ月早かったら流れが変わっていたと思う。「何が特定秘密かは秘密」ということが最大の問題で、表現の自由と知る権利の危機だ。

 
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