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  トップページ > 全司法新聞 > 2014年1月 > 2187号
 
 
全司法新聞
 
14年春闘はじまる 国民的な運動で展望を切り開く
くらし・雇用の破壊を許さない共同を!
 
すべての労働者の賃上げを訴える門田委員長(1月8日新春宣伝行動)

 昨年7月の参議院選挙を経て、自公政権が参議院でも安定多数の議席を得ました。「衆参のねじれ」解消に勢いづく安倍政権が、労働者のくらしと雇用を破壊する政策を次々と打ち出す中、「国民とのねじれ」はいっそう拡大しています。2014年春闘は、労働者の生活と権利を守り労働条件改善をはかるという労働組合本来の役割を発揮しながら、運動への国民的理解と共感を広げ、新たな展望を切り開くことが求められています。

アベノミクスでも下がる賃金

 安倍首相が掲げる「アベノミクス」の第一・第二の矢である異次元の金融緩和と公共投資により、労働者の生活は改善するどころか賃上げがない中での生活必需品や電気料金等の値上げで、さらに厳しい実態を強いられています。4月からは消費税増税が予定される一方、法人税は減税の方針を示していますが、この減税分を労働者の賃上げに回すとしている企業は全体の5%にとどまっており、アベノミクスで恩恵を受けるのは、一部の大企業や富裕層に限られることが明らかになっています。
 アベノミクスで大企業や富裕層が潤う一方、労働者の賃金減少には歯止めがかかっていません。厚生労働省が発表した毎月の勤労統計によると、昨年10月の労働者の所定内給与は17か月連続で前年同月を下回っていますし、国税庁発表の民間給与実態統計調査によると年収200万円以下で働く貧困層は昨年度は1090万人と、15年前から1・3倍も増加しています。労働者の賃金改善がないことと連動し個人消費も低迷を続けていますが、このことがデフレ不況を抜け出せない大きな原因と言えます。個人消費が回復しなければ、企業が生産を拡大してもモノは売れず、金融緩和を行ってもその効果は期待できません。また、公共事業の拡大で喜ぶのは大手ゼネコンだけで、国債の大量発行により国家財政はさらに悪化するだけです。アベノミクスが私たち労働者にマイナスの結果をもたらしていることは明らかであり、今こそ大企業・財界中心の経済政策からの転換が求められます。

職につけない若者が増加

 雇用不安も深刻になっています。非正規労働者は昨年初めて2000万人を超え、雇用者全体の38・2%を占めるに至っています。特に若者の非正規率・失業率は異常な高さとなっており、雇用や勤労の厳しさを苦に自ら命を絶つ若者も依然として、減る傾向にはなく、若者の雇用環境の改善は喫緊の課題となっています。
 このような中、安倍首相はアベノミクスの第三の矢として、成長戦略の実施に意欲を示しています。「世界で一番企業が活動しやすい国」をめざすとして、労働者派遣法の改悪、限定正社員制度の導入、労働契約法と労働時間法制の改悪(ホワイトカラーエグゼンプション)、成長戦略特区の実施など、労働者保護のための様々な規制を取り払い、雇用と労働条件のさらなる悪化を引き起こそうとしています。安倍首相は、デフレ脱却のためには労働者の賃金改善が必要であるとの認識に立ち、財界への賃上げ要請や政労使会議を開き、賃金改善の機運を高めようとしていますが、第三の矢である成長戦略は賃金改善の姿勢とは明らかに矛盾するものです。デフレ脱却を本気で行うためには、企業に民主的規制を課し、労働者の賃上げと安定的雇用の確保で不況の克服をめざすことが求められます。

「戦争できる国」と忠実な公務員つくり

 憲法「改正」を狙う安倍首相は、先の臨時国会で憲法解釈により集団的自衛権行使に向けた議論を推進するとともに、国家安全保障会議設置法(日本版NSC法)や特定秘密保護法を強引に成立させました。さらに、武器輸出等を推進する国家安全保障戦略と防衛大綱を閣議決定するとともに、国家安全基本法の成立と「日米新ガイドライン」改定を視野に入れ、「戦争のできる国づくり」を着々とすすめています。特に特定秘密保護法については、憲法で保障された知る権利を著しく制限するとともに、幅広い市民活動を弾圧することが可能な危険な法律です。また、適性評価などで政権に忠実な公務員を作り、公正・中立な公務の運営が損なわれる危険性が高いものとなっています。このような世論を無視した政府・与党の数の力の暴挙に、様々な分野の団体からも批判が寄せられています。これら危険な狙いのある法律を廃止させるため、国民と連携した運動を広げていくことが求められています。

地域に出て共感を広げよう

 東日本大震災から3年を迎えようとしていますが、被災者の生活と生業の再建は遅々としてすすまず、未だ14万人もの方々が避難生活を強いられています。公務・公共サービスなどの拡充により地域に根ざした復興対策が急がれますが、安倍政権は地方への権限と財源の移譲を口実として公務・公共サービスの解体・民営化を狙った「地方分権改革」や「道州制」導入に向けた動きを強めています。現在も言われなき公務員バッシングが続く中、組合員一人ひとりが自らの仕事、地域や国民との関わりを改めて見つめ直し、私たちが果たすべき役割を自らの言葉で語り、国民からの信頼を高めていくことが重要です。そのための手法の一つとして、「21世紀国公大運動」と「全司法大運動」を結合させ、街頭宣伝など国民との対話を実践する中で、国民本位の行財政・司法の確立をめざすことが求められています。
 2014春闘スローガン「たたかいとろう 大幅賃上げ、くいとめよう 憲法改悪、許すな 雇用・暮らし破壊の暴走政治」を組合員一人ひとりの確信とし、「総対話と学習、全員結集、地域共同」を合言葉に、中央・地方で春闘の各種とりくみを展開していきましょう。


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引き続く「賃下げ特例法」で生活打撃、広がる健康不安
2014年春闘アンケートの集約結果
 

 2014年要求アンケート(2228名分集約)では、「賃下げ特例法」などで生活悪化が進み、賃上げ要求の切実な実態が浮き彫りになりました。要求額も昨年より1288円高く、賃金改善に向けた労働組合への期待も高まっています。また、職場では「国民のプレッシャー」を感じつつ、健康不安を抱えながら仕事をしている状況が広がり、メンタル不全など長期病休者の増加などが気にかかる実態が示されました。
 このアンケートをふまえて国公労連は、平均月額で23000円引き上げをはじめ、賃下げ特例法廃止、労働基本権回復、定年延長等を内容とする「2014年統一要求案」を提案しています。この要求案は全司法第74回中央委員会での議論を経て、国公労連第142回拡大中央委員会で決定されます。この要求に基づき、全司法も公務産別のたたかいに結集するとともに3月の最高裁交渉(給与課長・人事局長)に臨みます。

アンケート結果の分析

■生活実感と賃上げ要求

 生活実感では「かなり苦しい」、「やや苦しい」を合わせて56・6%(昨年63・1%)と、賃下げ実施初年度の昨年比で6・5ポイントダウンとなりましたが、引き続き高い水準であり、大幅賃下げの影響等による生活悪化を示しています。世代別に見ると、生活実感、賃金要求とも20歳台の要求の強さが30歳台でやや低くなっていますが、40歳台以降でまた高くなり、初任給付近の若年層と中高年層の改善が課題であることが浮き彫りとなっています。自由意見でも、賃上げ要望とともに「賃下げ特例法」への批判、給与減額措置の早期廃止と減額された給与の回復を望む声が多く記載されています。これらを反映して、各指標は大幅アップし、加重平均が23614円(昨年22326円)、中位数20464円(19772円)、3分の2ライン13543円(12489円)となりました。






■最近の職場状況
 気掛かりな職場状況で最も多かった項目は「国民からのプレッシャーが強まっている」41・2%であり、次に「メンタルなど長期病休者が増えている」40・0%、となっています。とりわけ、20歳台および30歳台では「国民からのプレッシャー」を強く感じており、公務員バッシング等の影響が如実に表れています。40歳台以上では「長期病休者」が最も多くなっています。

■働きぶりと心身の健康不安

 最近の働きぶりと心身の健康不安では、「やや感じる」48・5%、「強く感じる」9・7%で合計58・2%となり、昨年から2・4ポイント、一昨年から18・8ポイントも増加しました。逆に、健康不安を感じない人は昨年より2・8ポイント少なく、41・2%でした。仕事と健康のバランスが年々悪化している様子がうかがえます。

■消費増税、原発再開に関する意見傾向

 今年4月からの消費税増税については「反対」43・1%、「どちらともいえない」が37・5%、原発の運転再開については「反対」が47・6%、「どちらともいえない」が37・4%となっており、国民的な争点になっている課題では、懸念は感じつつも判断に迷っている傾向がありました。ただ、20歳台で消費税増税に「賛成」が24・5%、「反対」28・9%、原発で「賛成」21・1%、「反対」28・9%と接近していました。春闘情勢とも関わるこれらの課題について、十分に議論していく必要があります。

■組合が力を入れるべき活動・労働条件

 今後、組合が力を入れるべき課題としては、第1に「賃金・退職手当等の改善」が69・3%と、とりわけ多くなっています。賃金改善のためには春闘期の官民一体でのとりくみを前進させることが不可欠であり、アンケートに示された要求をどう運動につなげるかが重要となります。その他の課題では、第2に「増員をはかる」40・1%、第3に「仕事と家庭の両立支援対策」34・3%、第4に「メンタルヘルス対策など健康の維持・増進」26・0%、第5に「昇格改善」24・2%、第6に「定年延長・再任用による退職後の生活保障」23・3%となっています。

 

■政府への要求

 政府への要求では、第1が「景気対策、中小企業振興」53・6%で経済政策への要求が強くなっています。第2が「公務員賃下げ・公共サービス切捨て撤回」49・2%と続き、安易な賃下げによる公務・公共サービスの低下を懸念する声が強く示されています。第3が「震災復興、被災者の生活再建、原発事故の損害賠償」48・0%となっています。東日本大震災をめぐる課題が未解決である状況が反映され、引き続き高い関心が示されています。政府が4月から消費税増税を実施しようとしている下で、2014年春闘では、大企業の内部留保の一部を活用し、労働者の賃金を引き上げ、個人消費を刺激して景気を回復させることが最大の課題となります。
本アンケートに示された生活悪化の実態と賃上げ要求の切実さをふまえると、各地域で展開される春闘期の運動に職場から結集していくことが重要です。また、健康で安心して働き続けられる職場づくりが求められていることも明らかになり、全司法の組織を強く大きくし、今以上に力を発揮することが求められています。



 
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