2014年要求アンケート(2228名分集約)では、「賃下げ特例法」などで生活悪化が進み、賃上げ要求の切実な実態が浮き彫りになりました。要求額も昨年より1288円高く、賃金改善に向けた労働組合への期待も高まっています。また、職場では「国民のプレッシャー」を感じつつ、健康不安を抱えながら仕事をしている状況が広がり、メンタル不全など長期病休者の増加などが気にかかる実態が示されました。
このアンケートをふまえて国公労連は、平均月額で23000円引き上げをはじめ、賃下げ特例法廃止、労働基本権回復、定年延長等を内容とする「2014年統一要求案」を提案しています。この要求案は全司法第74回中央委員会での議論を経て、国公労連第142回拡大中央委員会で決定されます。この要求に基づき、全司法も公務産別のたたかいに結集するとともに3月の最高裁交渉(給与課長・人事局長)に臨みます。
アンケート結果の分析
■生活実感と賃上げ要求
生活実感では「かなり苦しい」、「やや苦しい」を合わせて56・6%(昨年63・1%)と、賃下げ実施初年度の昨年比で6・5ポイントダウンとなりましたが、引き続き高い水準であり、大幅賃下げの影響等による生活悪化を示しています。世代別に見ると、生活実感、賃金要求とも20歳台の要求の強さが30歳台でやや低くなっていますが、40歳台以降でまた高くなり、初任給付近の若年層と中高年層の改善が課題であることが浮き彫りとなっています。自由意見でも、賃上げ要望とともに「賃下げ特例法」への批判、給与減額措置の早期廃止と減額された給与の回復を望む声が多く記載されています。これらを反映して、各指標は大幅アップし、加重平均が23614円(昨年22326円)、中位数20464円(19772円)、3分の2ライン13543円(12489円)となりました。


■最近の職場状況
気掛かりな職場状況で最も多かった項目は「国民からのプレッシャーが強まっている」41・2%であり、次に「メンタルなど長期病休者が増えている」40・0%、となっています。とりわけ、20歳台および30歳台では「国民からのプレッシャー」を強く感じており、公務員バッシング等の影響が如実に表れています。40歳台以上では「長期病休者」が最も多くなっています。
■働きぶりと心身の健康不安
最近の働きぶりと心身の健康不安では、「やや感じる」48・5%、「強く感じる」9・7%で合計58・2%となり、昨年から2・4ポイント、一昨年から18・8ポイントも増加しました。逆に、健康不安を感じない人は昨年より2・8ポイント少なく、41・2%でした。仕事と健康のバランスが年々悪化している様子がうかがえます。

■消費増税、原発再開に関する意見傾向
今年4月からの消費税増税については「反対」43・1%、「どちらともいえない」が37・5%、原発の運転再開については「反対」が47・6%、「どちらともいえない」が37・4%となっており、国民的な争点になっている課題では、懸念は感じつつも判断に迷っている傾向がありました。ただ、20歳台で消費税増税に「賛成」が24・5%、「反対」28・9%、原発で「賛成」21・1%、「反対」28・9%と接近していました。春闘情勢とも関わるこれらの課題について、十分に議論していく必要があります。
■組合が力を入れるべき活動・労働条件
今後、組合が力を入れるべき課題としては、第1に「賃金・退職手当等の改善」が69・3%と、とりわけ多くなっています。賃金改善のためには春闘期の官民一体でのとりくみを前進させることが不可欠であり、アンケートに示された要求をどう運動につなげるかが重要となります。その他の課題では、第2に「増員をはかる」40・1%、第3に「仕事と家庭の両立支援対策」34・3%、第4に「メンタルヘルス対策など健康の維持・増進」26・0%、第5に「昇格改善」24・2%、第6に「定年延長・再任用による退職後の生活保障」23・3%となっています。

■政府への要求
政府への要求では、第1が「景気対策、中小企業振興」53・6%で経済政策への要求が強くなっています。第2が「公務員賃下げ・公共サービス切捨て撤回」49・2%と続き、安易な賃下げによる公務・公共サービスの低下を懸念する声が強く示されています。第3が「震災復興、被災者の生活再建、原発事故の損害賠償」48・0%となっています。東日本大震災をめぐる課題が未解決である状況が反映され、引き続き高い関心が示されています。政府が4月から消費税増税を実施しようとしている下で、2014年春闘では、大企業の内部留保の一部を活用し、労働者の賃金を引き上げ、個人消費を刺激して景気を回復させることが最大の課題となります。
本アンケートに示された生活悪化の実態と賃上げ要求の切実さをふまえると、各地域で展開される春闘期の運動に職場から結集していくことが重要です。また、健康で安心して働き続けられる職場づくりが求められていることも明らかになり、全司法の組織を強く大きくし、今以上に力を発揮することが求められています。

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