全司法本部は、12月3日に人員、賃金、労働時間、職員制度、昇格などをはじめとする諸課題について、最高裁安浪人事局長との交渉を実施しました。最高裁は、厳しい情勢のもとでも人員や昇格の課題について最大限の努力姿勢を示したほか、さらなる超勤縮減に向けた方策や人事評価制度についての理解を深めるための方策など、多くの課題で本部の主張を受け止めた検討を行う姿勢を示しました。
人員
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秋年期まとめの交渉で最高裁を追及 |
あらゆる手を尽くして最大限の努力
人員課題については「2010年度から2014年度までの5年間に2009年度末定員の10%以上を合理化するとの政府の方針の下、これまで以上に厳しい折衝を強いられている」状況にあるとしつつも、「あらゆる手を尽くして最大限の努力を行っている」との姿勢を示しました。そのうえで、複雑困難な事件が増加している地裁民訴事件について「事務処理状況等について注視していく」一方で、「個別具体的な状況に応じて人員配置の見直しを検討する必要がある」との認識を示し、家事、行政、労働審判事件等については「事件数の動向や事務処理状況等を踏まえながら、適正な人員配置に努めていきたい」と回答しました。特に、成年後見関係事件の増加が著しい家事係に対する人的手当について「これまでも繁忙な庁に対して、書記官、家裁調査官の増配置を行った」としたうえで、「裁判部門の充実をはかるための増員要求について国民の理解を得るためには、こうした人員配置の見直し等の内部努力が必要不可欠」との認識を示しました。
今後、各庁における人員配置が決まっていくことから、最後まで現場から要求の押し上げをはかるとともに、当局の動きを注視していく必要があります。
賃金
総合的見直しで人事院の動向を見守る
「賃下げ特例法」に基づく減額措置について「意見を述べる立場にない」としながらも、「最高裁として職員の人事行政を所掌する立場から、職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいる」としたうえ、「関係機関に、採り得る可能な範囲で、必要な時期に、必要に応じた対応をとっていきたい」と回答しました。また、「給与制度の総合的見直し」については「今後とも人事院における検討の動向を見守っていくこととしたい」と回答しました。
超勤縮減・健康管理
懇談会テーマの把握・紹介を検討
管理職員に配布されている「超過勤務縮減のための取組事例集」について「現場での活用方法や各庁でのとりくみ事例等を把握し、機会をとらえて各庁へ還元するなど、最高裁として下級裁における超過勤務縮減に向けたとりくみを、さらに後押ししていきたい」と回答しました。
また、「健康管理懇談会」の協議テーマについて「最高裁において把握し、各庁へ紹介することについて検討することとしたい」との姿勢を示しました。
一般定期健康診断の受検率向上に向けては「目的や受検のメリットを職員によりいっそう周知するなど、受検の必要性の啓発や受検しやすい態勢の工夫等、来年度の健康診断に向けて、受検率をさらに高めるための具体的な方策を実施していくこととしたい」と回答しました。
IT情報システム化
管内と情報共有年明けから開始
WEBを利用した情報共有に関して、本庁・管内支部・簡裁間の情報共有を目的とした掲示板について「早ければ年明け頃から各庁における準備が整い次第、順次運用が開始できる見込みである」こと、標的型メール攻撃に対する訓練について「最高裁および高地家裁本庁に所属する職員に加え、高地家裁の支部および簡裁に所属する職員も対象に含め、対象職員数を2000人に拡大して実施する方向で準備をすすめている」ことを明らかにしました。
また、各種ソフトの更新等に関わって「オフィス2003とオフィス2007との違い等を一覧化した早見表を作成し、早ければ12月中にも適宜の方法で職員に提供する」ほか、「ヘルプデスクに照会の多かった事項等について、Q&A方式でJ・NETポータルに掲載することを検討」することを明らかにしました。
人事評価制度
理解を深める工夫を検討
裁判所における新たな人事評価制度に関わって「職員団体の要望も踏まえ、職員および管理職員が制度等の理解を深めるための方策について、さらに工夫ができないか検討してみたい」と回答しました。
宿日直
KEITASの機能充実を検討
令状事務にKEITASが利用されていることを踏まえ「現在、KEITASのさらなる過誤防止支援機能の充実について検討している」ことを明らかにするとともに、「引き続き当直における過誤の防止や事務処理の効率化に向けた支援機能の充実に努めていきたい」と回答しました。
昇格
粘り強く、全力で折衝
級別定数改定をめぐっては「これまでと比較にならないほど厳しい状況である」との認識を示したものの、「考え得るあらゆる理由付けを持ち出して、粘り強く、全力で、定数の維持・確保に向けた折衝を行っているところであり、職員の処遇の維持・改善に向けて少しでも定数を獲得するため、さらに引き続き最大限の努力を続けていきたい」との姿勢を示しました。 |