全司法本部は、10月29日、最高裁朝倉給与課長と「国民のための裁判所」実現、職員制度および昇格課題について、秋季年末闘争期における第2回給与課長交渉を実施しました。 【国民のための裁判所】 より適切な裁判運営に努める 裁判員制度をはじめとする各種の司法制度改革について、「人的・物的な面を含めた態勢の整備を計画的に行ってきた」とした上で、「今後とも、さらに国民の信頼を得て、より適切な裁判運営ができるように努めていきたい」との姿勢を示しました。 小規模家裁本庁、地・家裁支部および簡裁の機能充実については、「担当者が少数であることや書記官等が多様な業務を担当しているといった事件処理の実情等を踏まえた配慮を行っているほか、効率的な事務分配の検討や支援態勢の強化などの検討も含めて事務処理状況等を考慮しており、その上で人的手当が必要とされた場合に書記官等の増配置を行っている」とした上で、「今後についても、各庁各部署の実情等を踏まえた適正な人員配置に努めていきたい」と回答しました。 成年後見等監督事件区分1事案等の見直し・点検については「今後も、協議会等の機会を通じて各庁の実情を把握するとともに、必要な意見交換や情報提供等に努めていきたい」との姿勢を示し、その支援態勢について「家事事件全体の事件動向や事件処理状況等を踏まえながら、各庁において必要な人的態勢の検討がされるものと考えている」と回答しました。 【職員制度】 これまで以上にきめ細かく目配り ―調査官 「家裁調査官の育成のための新たな施策」導入後初となる来年4月の調査官の3年目異動に向けて「他の職員と同様、各庁において実施されている異動面談を通じ、本人の意向や家庭状況等の個別事情の的確な把握に努めている」とした上で「異動する職員の負担とならない時期に、各庁の管理職員を通じて適切に行いたい」と回答しました。また、3年目異動後の配置先における育成態勢については「これまで以上にきめ細かい目配りをして主任家裁調査官の指導力向上にとりくむとともに、各庁で定着し効果を上げている「組・定例ケース会議」を活用するなどして、主任家裁調査官の若手調査官に対する指導をいっそう充実させていきたい」と回答しました。 書記官、事務官、速記官、営繕技官、行(二)職、医療職については、従前の回答を維持しました。 【昇格】 これまでにない厳しい状況 「給与問題が職員の勤務条件の中でも最も重要な問題であることは十分認識している」とする一方、「級別定数改定を巡る情勢はこれまでと比較にならないほど厳しく、財政当局は財政規律の確保を前提に引き続き級別定数の回収も辞さない強い姿勢で臨んでいる」ことから「これまでにない厳しい状況もあり得る」と回答しました。 また、書記官4級・5級について「極めて厳しい折衝を続けているところであり、定数拡大は予断を許さない状況である」と、級別定数切り上げについての厳しい認識を示しました。 なお、事務官5級について、新たな人事評価制度の下で厳格な成績主義を適用することを前提に占有期間を限定的に延長する枠組みが設けられていますが、この10月に全国で初めて、支部専門職について退職前6月(従来は3月)での5級発令があったことを明らかにしました。 書記官、調査官、看護師の暫定定数の運用については、10月期交渉に引き続き、厳しい回答となりました。