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  トップページ > 全司法新聞 > 2013年1月 > 2163号
 
全司法新聞
 
 
本年もよろしくお願いします。
全司法労働組合中央執行委員長 門田敏彦
 
 昨年は平和の祭典であるオリンピックがロンドンで開催されました。100年以上の長い歴史の中で画期的な大会であったといわれています。それは今回、女子にボクシングが加わったことで男女それぞれ26競技になり、初めてすべての参加国・地域(過去最高の204)から女性が出場したことでした。しかし、種目数でみると、まだ圧倒的に男子が多くなっています。例えば、レスリング競技は男子14階級(フリーとグレコローマン)に対し、女子4階級(フリーのみ)です。
 裁判所においても、女性の占める割合は年々大きくなり、一般職で全体の4割に迫る勢いとなっています。管理職への登用も拡大を続けています。しかし、局長クラスでの割合が約1%であるように、男女平等の登用にはまだ道のりは遠い限りです。
 さて、裁判所の外に目を向けると、脱原発を求める人々の大きなうねり、オスプレイ配備反対や米軍基地撤去を求める人々の大きなうねり、TPP参加ではなく地産地消を求める人々の運動など、様々な動きが全国各地で沸き起こっています。
 平和で民主的な社会、貧困や雇用破壊のない社会、そして将来の子どもたちに豊かで安心できる社会を築くのは、私たちひとり一人であり、社会的な力を発揮し得る労働組合の役割でもあります。地に足を着け、職場から地域から焦らず、奢らず、でも確かな地歩を一歩一歩築いていきたいと思います。
 今年もよろしくお願いいたします。
 
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新春恒例座談会
女性も男性も働きやすい職場をめざしてあらたな飛躍を誓う
 
 女性の採用が増え、管理職への登用も不十分ながらもすすんできています。その反面、全司法の各級機関へ女性の参加がすすんでいないのが現状です。労働組合への女性参画も呼びかけられている中、現場の実情はどうなのか。全国各地で活動に携わる女性に集まっていただき、その声をお聞きしました。

組合も仕事も、職場を良くすることには変わりない

【司会】 皆さんが役員になられたきっかけを教えてください。
【参加者】 昨年まで分会書記長を8年やり、今年度、支部書記長に初めてなりました。東京は女性組合員が元気で、女性だとか、男性だとかに関係なく役職に就いています。私自身も先輩が役員をされているのを見て、「素敵な先輩になりたい、逃げちゃいけない」と思ってやってきました。
【参加者】 宮崎で採用された時、隣にいた先輩が書記長をしていて、みんなの相談相手になっていました。私も困った時に助けてもらったので、その先輩や助けてもらった組合への恩返しのつもりで役員をしています。
【参加者】 岐阜支部ではたぶん初めての女性四役ですが、何で今まで誰もいなかったのか不思議に思います。裁判所は他の国公職場より女性が多く、諸権利の行使もしやすい環境にあると思います。だからこそ、現状を後退させず、むしろさらに前進させたいと思っています。
【参加者】 岡山支部で三役を6〜7年やりました。自分はやれる環境にあったからやっただけです。なので、今でも周りには「あなたもやれる環境になったらやってね」と言っています。
【司会】 皆さんそれぞれの思いやきっかけがあって役員をされているのが分かりました。たぶん、男性、女性に関わらず、役員をやっている人は同じ気持ちなのでしょうね。では、役員をやった感想など聞かせてください。
【参加者】 組合活動は、職場を良くするという点で普通に仕事をしていることと同じだと思います。だから、組合活動をやっていることが特別なことをやっているとは思ってなく、仕事の延長という感覚で受け止めています。確かに仕事の後の時間を使うことになりますが、他の人も職場を良くするため、仕事をスムーズにすすめるために自分の時間を削ったことがあると思います。だから、特別なことをやっているという感覚はありません。
【参加者】 大阪支部は役員に女性が少ないので、男性役員も気を遣ってくれています。組合活動をする中でやり辛いというのはありません。
【参加者】 「役員は受けられない」と言われてしまうことがあります。でも、きっとその人もやれば出来ると思います。私は、今も周りのみんなに助けてもらっていますし、仲間意識を持って組織運営をやるのが組合なので安心しています。
【参加者】 役員をする中で、それぞれの環境が違うこともあり、自分と同じことを他の役員に求めるのは間違いだと気付かされました。そう考えて、他の役員に接するようになったら、かえって私の意図を分かってくれて一歩踏み出してくれるようになりました。役員をやって成長させてもらいました。

女性部は駆け込み寺。女性にしか話せないことがある。

【参加者】 最近は昼休みの昼食会も参加できない、女性独自の要求が少なくなったのでは、という声を聞きますが、みなさんはどう考えますか。
【参加者】 通勤緩和など女性特有の成果は先輩たちが努力して勝ち取ってきたものだと思います。愛媛支部は女性部が休止していますが、女性の日直導入時に女性部が活動していれば、女性の視点での意見がまとまったかもしれない、という思いをもっています。
【参加者】 確かに当局も職場でどういうことが起きているのか知りたがっていると感じます。女性が困っていることを伝える機関として女性部があり、当局に直接、話せる機会があることは非常に貴重なことだと思っています。これまでも支部で解決できなかったことが解決できました。
【参加者】 支部や分会の交渉では庁舎課題など職場全体の問題がメインになってしまい、女性の要求は小さな扱いになってしまうのと思います。女性部が直接伝えるのと支部が言うのでは当局への伝わり方がやはり違ってしまうのではないでしょうか。
【参加者】 女性部で要求をまとめようとすると、自分たちの要求はわがままじゃないかとの意見が女性から出ることがあります。でも、女性が働きやすい職場は男性にとっても働きやすい職場のはずですから、男女共同参画の目線で要求を出し、職場の理解を得ていかなきゃいけないと思います。
【参加者】 女性部を無くすのは簡単ですけど、再開するのは苦労します。1人で悩むことの無いような組織にしていかなければいけないと感じています。
【参加者】 当局と話せる機会があれば、女性部を無くしてはいけないと思えるようになるのでしょうね。目的があれば視点も変わってくると思います。逆に、女性部を復活させようとしてもどんなことをやったらいいのか、交渉などのやり方が分からないという課題を克服することも求められるので大変な部分もありますが…。
【参加者】 組合活動の理想がこうだからと無理に近づけようとすることはないと思います。「今年はこれくらいまで」と出来る範囲でやっていけば良いのではないでしょうか。そういう意味で女性部は駆け込み寺的な存在だと思っています。女性の中には女性部にしか話せないことがあるはずです。そういったことを気軽に話せる場所づくりを続けていこうと思っています。

まずは知ること、その上で、守っていくための活動を

【司会】 これまで女性部が行ってきた大きなとりくみとして「母性保護」があります。女性職員が増えてきた中で「母性保護」の考え方に変化はありますか。
【参加者】 女性の数が多くなり、母性保護への関心が無くなってきています。生理休暇も全員が取るわけにはいかない、という雰囲気があります。
【参加者】 ある新採用職員と話をした際に生理休暇の話題となりましたが、職場の先輩も取っていないし、取得の仕方も分からないようでした。制度自体を聞いたことがなかったことに驚きました。
【司会】 昔は組合でスライドを作って上映会をやっていましたし、まず男性自身が男女の個体差、女性の身体のつくりを知ることが必要ということで学習し、女性が生理中は無理をしていることが分かるようになりました。このような理解をさらにすすめないといけないのでしょうが、皆さんはどう考えますか。
【参加者】 分かりやすいスライドなど作成し、母性保護の必要性を理解させるとりくみは、本当は当局が中心となってすべきものだと思います。職場では「母性保護に対してものすごく気を遣っている」と管理職がアピールする割に、職場の理解が足りていないのが問題だと感じています。
【参加者】 女性部からは「必ず管理職を指導するよう」追及し、その後に管理職に対してどのような指導をしたのかを確認するようにしています。
【参加者】 母性保護で問題が発生した時、男性の前で当局にその問題点を主張するのは難しい面もあり、そういった個人的な事情を話す場としても女性部の必要性を感じます。
【参加者】 先輩がやってきた活動を振り返ると、色々なものの意義が分かってきます。役員をやったり、組合事務室に通ったりすることで一人ひとりの経験値を上げることも必要ではないでしょうか。
【参加者】 裁判所に入所してすぐに育児休業制度が出来ました。採用当初から組合の意義やこれまでの人たちが要求と運動をした結果として今の職場があることを感じることができました。また、獲得した権利は使わないと無くなっていくし、守っていかないといけないと骨身にしみて感じています。

女性の登用のためにはかけ声より先に、制度の改善・整備を

【司会】 裁判所では女性の採用や登用の拡大が大きな施策となっています。現場の受け止め方はどうなのでしょうか?
【参加者】 大阪では女性の採用者が多く、今年4月の新採用職員も28名中20名が女性でした。このままだと女性が男性より多くなってしまうのではないかとの声さえ上がっています。
【参加者】 採用や登用の拡大に対する不満の声は聞きますが、不満の矛先は制度の問題に向けられるべきではないでしょうか。勤務地についても、「女性への配慮が強くなっている」と男性から不満の声が出ています。
【参加者】 管理職は朝から晩まで働いているイメージがあります。管理職になるとああなるのかな、と思うと一歩踏み出そうという気持ちにはなりません。また、管理職登用時になぜ、遠方へ異動させるのかが分かりません。しかも管理職になった時に初めての部門に配属されることも多く、初めての仕事、初めての土地と、管理職は何もかも初めてという実態があります。女性や男性に関係なく、当局がどうしたいのかが分かりません。
【参加者】 座談会の開催や相談窓口の設置など、当局は必死だなって思いますけど、現場は管理職をやりたくないって思って終わってしまっています。結論は女性どうこうでなく管理職の仕事に魅力がないからではないかと感じています。
【参加者】 管理職になれば職場のまとめ役などのやりがいがあることを組合としてもアピールしていますが、管理職じゃなくても自分の立ち位置を分かっていて、職場のまとめ役となっている女性は多いと思います。当局もその他のメリットを作りたいようですが、なかなか出てきていないのが実態ではないかと思っています。
【参加者】 みんなが管理職をめざそうとしても、職業人である前に家庭のある女性であって、そういった人が管理職として仕事ができる環境になっていません。子どもがいる女性が管理職になった時、遠くに異動することが出来るのか。そこを職場全体で理解される環境をつくらないと難しいのではないでしょうか。「行ける人が行く」では登用はすすみません。
【参加者】 今年度から専任事務官の管理職選考試験が始まりました。受験資格を見ると30代半ばで子どもの手が離れる人生設計じゃないと受験しづらい内容になっています。名簿登載期間に育休を取得した期間も含まれてしまいます。人生設計が順調にならないと管理職になれないと言われているようです。「女性を登用しよう」、「拡大しよう」というかけ声はあるけれど、まず制度の改善・整備が先ですよと言いたいです。女性測の一方しか見ていないからもう一方に弊害が出てきて、全体的なものになっていないと感じています。
【参加者】 女性管理職の配置については事件部が多いのに、組織全体を見るべき事務局には少ないのが実態です。事務局への登用拡大との目線も大切だと思います。
【参加者】 座談会の開催形態を見ていても、男性を参加させるなど、ますます方向性が分からなくなりました。迷走していると思います。
【参加者】 交渉で管理職への啓蒙を追及していますが、組合としてもそういった活動をやれていないと感じています。今年度、企画している労働学校の一コマで母性保護を考える時間を取る予定です。組合も当局もとりくみをやらなければ理解は広がらないと思います。
【参加者】 学習すると活動の力になります。学習して「やらなければいけない」と思うことがエネルギーになると思います。以前、退職した女性組合員が「組合は大事だよ。私は組合があったから勤められた」とおっしゃっていました。みんなにそのような意識はあるのだと思っています。

座談会を振り返って

 今年の新春座談会は、全国の現役役員または役員経験者に集まっていただき、女性職員が増えている裁判所の現状を踏まえ、組合活動への女性の参加と今後の課題などについて話をしていただきました。
 いずれも難しい課題ではあったものの、女性座談会らしく、笑い声の絶えない明るい会になりました。
 男女共同参画が叫ばれる中、今後ますます、裁判所でも全司法でも女性の果たすべき役割が大きくなっていくものと思われます。女性がよりイキイキと活躍できる職場環境と労働組合をめざしていく必要があると痛感した座談会でした。

 
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