「国民のための裁判所」実現
全司法本部は、6月19日、最高裁安浪人事局長と交渉を実施し、人員・昇格などの課題について追及し、最高裁から人員確保や級別定数改定に向けた最大限の努力姿勢等の回答を引き出しました。
人員
増員要求については、「国家公務員の定員削減をめぐる情勢等を踏まえると、増員を巡る財政当局との折衝はこれまで以上に厳しくなる」との状況を示したうえで、「必要な人員の確保について引き続き最大限の努力をしていきたい」、「家事事件、労働審判・行政事件について、適正な人員配置に努めていきたい」と回答しました。一方、定員削減については、「協力すべきところは協力していく必要がある」との姿勢を崩しませんでした。また、東日本大震災の被災地への応援は「今後も人員手当を含めた必要な体制整備を検討していきたい」としました。
賃金
「給与臨時特例法」に基づく減額措置が、「職員の生活に与える影響には厳しいものがある」との認識を示し、賃金・諸手当改善に向けて、「人事院に、採り得る可能な範囲で、必要な時期に、必要に応じた対応をとっていきたい」との姿勢を示しました。
労働時間短縮・超勤縮減等
労働時間については、「組織全体として超勤縮減にとりくむとともに、年休等をよりいっそう取得しやすい環境の整備に向けて、引き続き下級裁を指導したい」と回答し、ただ働き残業を根絶するため、「サービス残業・持ち帰り仕事が生じることがないよう、よりいっそう下級裁を指導したい」と回答しました。
職員の健康管理等
健康管理「懇談会」の定期開催について、「職員団体からの問題意識と定期開催の意見は、あらためて下級裁に伝える」と回答しました。
IT情報システム化
「情報化戦略計画」の具体化にあたっては、「実際にシステムを使用する職員の意見や要望等を確実に把握することが重要」との認識を示しました。また、各種システムの「レスポンス低下がシステム構造やネットワーク回線等に起因することが明らかになれば、その向上に向け随時対策を検討していきたい」、大規模災害発生時のデータ保全対策は、「災害時における業務継続の仕組みを検討していく」と回答しました。
民主的公務員制度の確立
新たな人事評価制度や評価結果の活用など職員の理解を深めるための方策について、「職員団体の要望も踏まえ、さらに工夫できないか検討したい」と回答し、運用にあたっては、「今後も誠実に対応したい」と回答しました。
職員制度
速記官中央研修のフィードバックについて、「何らかの形でその内容を各庁へ還元したい」、速記符号を普通用紙やステノパット以外の用紙に印字することが可能となるよう求めたのに対し、「職員団体の強い要望を踏まえ、今後、勉強してみたい」との考えを明らかにしました。4月から始まった家裁調査官の育成のための新たな施策については、職員からの質問や意見に対して、「今後とも誠実に対応する」、「丁寧に対応するよう、引き続き下級裁を指導していきたい」と回答しました。
庁舎設備充実・改善
庁舎の耐震化にむけて、目標(2015年度に安全性の基準を満たす割合が90%)とする目標を達成している状況であるとした上で、今後も「残りの大規模庁舎の耐震化に加え、小規模庁舎の耐震化もはかる」との考えを示しました。
防災用品の整備については、「必要に応じて追加整備等さらなる充実に努めていくことになる」とし、「追加整備の参考とするため、必要に応じて、各庁の整備状況等の情報を収集し、各庁へ提供する」と回答しました。
宿舎改善
宿舎については「必要数を確保できるよう引き続き努力したい」との姿勢を示した上で、類型に該当しなくなった職員に対する退去要請手続については、「職員の実情に即した運用となるように、現在運用基準の検討を引き続き慎重にすすめている」と回答しました。
昇格
級別定数の改定に向けては、「次年度の予算折衝においてもこれまで以上に厳しくなることは必至で、全く予断を許さない」としつつ、「司法制度改革の諸施策を円滑に運用し定着させていくとりくみにおける各職種の職責等を念頭において、職員の勤務条件にも配慮しながら最大限の努力をしていきたい」と回答しました。
|